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僕は先に来て大量にあった荷物の整理を終えていたレンに部屋の案内と説明を受けた。寮の部屋はお屋敷の自分の部屋と同じくらいの規模の部屋だった。学生の寮にしては広すぎる気もする。僕のいる寮が侯爵、伯爵の子息が住む寮だから特別なのかもしれないけど。
案内と説明を終えると僕は入学式の為制服に着替えた。
お母様にプレゼントされたネクタイピンも忘れず付ける。僕の髪と目の色によく似たシルバーと青色の小さな石が付いた物だ。見た目が派手過ぎずおしゃれなので気に入っている。
「ユーマ様制服大変お似合いですよ。これからの学園生活頑張って下さいね」
「レン心配することないよ。ユーマ様なら優秀な成績で問題なく学園生活送れるよ。それは今まで一番近くで見てきたレンが一番分かってるでしょ」
レンがかなり心配しているのをエルが宥めている。いつもと逆でかなり珍しい光景だ。
「大丈夫なのは十分分かってるんです。それでも心配なんです」
「僕はレン達に会えなくなるのは寂しいけど手紙書くからね。みんなも些細なことでもなんでもいいから書いてくれると嬉しいな」
「ユーマ様~」
レンはとうとう大泣きしだした。
僕に抱き着こうとしているのをカイトが必死に止めている。
「抱き着いたらユーマ様の制服が乱れるだろ。ユーマ様遅刻するといけないのでもう学園に行って下さい。みんなユーマ様を応援していますからね」
「うん、行ってくるね。次に会うのは長期のお休みの時だね。いってきます」
「「「「いってらっしゃいませ」」」」
僕は4人に別れを告げ見送られて寮を出て学園へと向かう。
学園に入学すると特別な理由でもない限り年2回の長期の休み以外はこの学園を囲む街から出ることはできない。
入学試験前後の8,9月の2ヶ月間、進級の前の3月の1ヶ月間が学園街から出ることが許されている休みだ。だから次にみんなに会えるのは8月になる。
僕は寮を出て10分ほど歩いた。
学園の門が見えてくる。
「うわぁ、ゲームのオープニングで見たまんまだ」
門から見える学園のその建物は前世でやっていたゲームのオープニングの映像そのままだった。違いはゲームでは人の姿のない門から学園の建物が映った後攻略対象者の姿が1人ずつアップになっていくが現実は学園の門の外も中も人が沢山いる。
「痛っ、おい、立ち止まってるんじゃねぇぞ」
「あっ、ごめんなさい」
ゲームの中の映像と同じその建物に静かに感動して立ち止まっていたら後ろから誰かにぶつかられた。僕は慌てて後ろを振り返り謝る。
「うわ、可愛い」
僕の顔を見たその人が何か言った気がしたが小声だったから何を言ったのかは聞こえなかった。
「ごめんなさい」
何も言ってこなかったから僕はもう一度謝る。その人の方が身長が高かったから自然と上目遣いになっていた。その人の顔を見ると初対面なはずなのにどこかで見たような気がしていた。きっとゲームの中だったんだろうけどその人がどんな役割の人だったのかは思い出せなかった。
「いや、お互い怪我無いみたいだからもういいよ。でも人が多いから気を付けろよ」
「はい、ありがとうございます」
「うっ」
僕は自分がつり目で普通にしていると冷たい印象を人に与えることを知っているから笑顔で答えた。するとその人は胸を押さえ呻きながら去って行った。
「大丈夫かな、あの人?」
僕はもっと外から見た学園の建物を堪能したかったがまた誰かとぶつかってはいけないと思い歩き出した。すると人が集まっている一角があった。気になり近付いて行く。
さっきの人もそうだったけどここに居る人も多分新入生だから僕と同い年のはずなのにみんな僕より身長が高い。僕もそれなりに鍛えてきたからもう少し身長も筋肉もあってもいいはずなのに。ゲームの姿そのままだ。
これがゲームの強制力か......
だからみんな何かを見ているけど後ろからやって来た僕にみんなが何を見ているのか分からなかった。
「今年の入学試験のトップはユーマ・アバーテの498点か。凄いな過去最高得点じゃないか。あと2点何を間違えたのか気になるな。一体どんな奴なんだろうな」
「今の所侯爵家の次男って情報しかないみたいだぞ」
前からそんな話し声が聞こえてくる。
皆が見ているのは入学試験の順位と得点を貼り出している掲示板だったみたいだ。それが分かった僕は興味を無くしてその場から立ち去り入学式が行われるホールへと向かった。
だから掲示板の一番前で順位表を長時間睨みつけている人がいたことを知らなかった。
案内と説明を終えると僕は入学式の為制服に着替えた。
お母様にプレゼントされたネクタイピンも忘れず付ける。僕の髪と目の色によく似たシルバーと青色の小さな石が付いた物だ。見た目が派手過ぎずおしゃれなので気に入っている。
「ユーマ様制服大変お似合いですよ。これからの学園生活頑張って下さいね」
「レン心配することないよ。ユーマ様なら優秀な成績で問題なく学園生活送れるよ。それは今まで一番近くで見てきたレンが一番分かってるでしょ」
レンがかなり心配しているのをエルが宥めている。いつもと逆でかなり珍しい光景だ。
「大丈夫なのは十分分かってるんです。それでも心配なんです」
「僕はレン達に会えなくなるのは寂しいけど手紙書くからね。みんなも些細なことでもなんでもいいから書いてくれると嬉しいな」
「ユーマ様~」
レンはとうとう大泣きしだした。
僕に抱き着こうとしているのをカイトが必死に止めている。
「抱き着いたらユーマ様の制服が乱れるだろ。ユーマ様遅刻するといけないのでもう学園に行って下さい。みんなユーマ様を応援していますからね」
「うん、行ってくるね。次に会うのは長期のお休みの時だね。いってきます」
「「「「いってらっしゃいませ」」」」
僕は4人に別れを告げ見送られて寮を出て学園へと向かう。
学園に入学すると特別な理由でもない限り年2回の長期の休み以外はこの学園を囲む街から出ることはできない。
入学試験前後の8,9月の2ヶ月間、進級の前の3月の1ヶ月間が学園街から出ることが許されている休みだ。だから次にみんなに会えるのは8月になる。
僕は寮を出て10分ほど歩いた。
学園の門が見えてくる。
「うわぁ、ゲームのオープニングで見たまんまだ」
門から見える学園のその建物は前世でやっていたゲームのオープニングの映像そのままだった。違いはゲームでは人の姿のない門から学園の建物が映った後攻略対象者の姿が1人ずつアップになっていくが現実は学園の門の外も中も人が沢山いる。
「痛っ、おい、立ち止まってるんじゃねぇぞ」
「あっ、ごめんなさい」
ゲームの中の映像と同じその建物に静かに感動して立ち止まっていたら後ろから誰かにぶつかられた。僕は慌てて後ろを振り返り謝る。
「うわ、可愛い」
僕の顔を見たその人が何か言った気がしたが小声だったから何を言ったのかは聞こえなかった。
「ごめんなさい」
何も言ってこなかったから僕はもう一度謝る。その人の方が身長が高かったから自然と上目遣いになっていた。その人の顔を見ると初対面なはずなのにどこかで見たような気がしていた。きっとゲームの中だったんだろうけどその人がどんな役割の人だったのかは思い出せなかった。
「いや、お互い怪我無いみたいだからもういいよ。でも人が多いから気を付けろよ」
「はい、ありがとうございます」
「うっ」
僕は自分がつり目で普通にしていると冷たい印象を人に与えることを知っているから笑顔で答えた。するとその人は胸を押さえ呻きながら去って行った。
「大丈夫かな、あの人?」
僕はもっと外から見た学園の建物を堪能したかったがまた誰かとぶつかってはいけないと思い歩き出した。すると人が集まっている一角があった。気になり近付いて行く。
さっきの人もそうだったけどここに居る人も多分新入生だから僕と同い年のはずなのにみんな僕より身長が高い。僕もそれなりに鍛えてきたからもう少し身長も筋肉もあってもいいはずなのに。ゲームの姿そのままだ。
これがゲームの強制力か......
だからみんな何かを見ているけど後ろからやって来た僕にみんなが何を見ているのか分からなかった。
「今年の入学試験のトップはユーマ・アバーテの498点か。凄いな過去最高得点じゃないか。あと2点何を間違えたのか気になるな。一体どんな奴なんだろうな」
「今の所侯爵家の次男って情報しかないみたいだぞ」
前からそんな話し声が聞こえてくる。
皆が見ているのは入学試験の順位と得点を貼り出している掲示板だったみたいだ。それが分かった僕は興味を無くしてその場から立ち去り入学式が行われるホールへと向かった。
だから掲示板の一番前で順位表を長時間睨みつけている人がいたことを知らなかった。
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