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しおりを挟む「ユーマ様がいないからびっくりしましたよ。心配させないで下さい」
朝起きて両親の部屋から自室へ帰ると僕を起こしに来ていたレンに怒られた。
「ごめんなさい」
僕は素直に謝って、寂しくなったから両親の部屋にお泊りに行っていたと伝える。
「最近のユーマ様は甘えることが無くなっていたと思っていましたがそうでもありませんでしたね」
「もうレンからかわないで」
僕が両親の部屋で寝たことを聞いたレンは笑いながらからかってくる。
昨日クロードに襲われ両親の所に逃げ込んだのがきっかけだけど最近このお屋敷から離れると思うと無性に寂しくなっていたのも真実だから僕はレンの言葉に顔を赤くしてレンを軽く叩く。
「今のうちにしっかり甘えておかなくてはいけませんね」
「もうやめて」
昨日この隣の部屋、寝室であんなことがあったとは思えないほど平和な空気が流れていた。
コンコン
部屋の扉がノックされレンが扉を開けるとジェイドが立っていた。
「あの、ユーマ、おはよう。で、き、昨日の、ことなんだけど」
部屋に入ってきたジェイドは僕とレンの顔をチラチラ見ながら何か話したそうに、でもなかなか口に出せないでいた。
「おはようジェイド。こんな早くにどうしたの?朝ご飯食べた?」
「いや、まだ食べてない。早くユーマに会いたくて」
「そっか。それならレン、僕とジェイドの朝ご飯用意してくれる」
「承知しました。少々お待ち下さい」
ジェイドが話したそうにしているのはきっと昨夜のことだ。でも昨夜のことを僕もレンに聞かせるわけにはいかない。2人分の朝食を用意してもらうことで自然とレンに部屋から出て行ってもらいジェイドと2人っきりになる。
「昨日はありがとう。ジェイドはあれから大丈夫だった?」
「ユーマを逃がした後俺もあの場からすぐ逃げたから何ともなかった。あの3人より力あるとはいえ3人同時に来られると無理だからな。昨日はなんとか間に合ったけどもう3人の傍にいることはできない。ごめんなユーマ」
「なんで謝るの。昨日はジェイドが助けてくれなかったら僕どうなってたことか」
昨日のことを思い出すと体が震えてきた。
ジェイドの話によると前から僕を襲う話はあったみたいだった。僕の部屋の合鍵まで作られていた。
毎晩のようにクロードの部屋で4人で行為に及んでいたのに昨夜だけは無かった。そんな日もあるかなと思っていたけどなんだか胸騒ぎがしたジェイドはクロードの部屋に行くがそこにはクロードの姿はなかった。いつもは机の引き出しの中にある僕の部屋の合鍵も無くなっていた。急いで僕の部屋に向かい僕をクロードから助け出してくれた、という訳だった。
「部屋の鍵かけ忘れてたのかと思ってたけど合鍵作られてたのか......」
「なんとか奪って来れたらいいんだけど」
「駄目だよ。せっかく逃げられたのに。3人同時に来られると無理だってジェイドも言ってたでしょ。もうあの3人に近寄っちゃ駄目だよ」
「だけど......」
ガチャと音がして扉が開きレンが2人分の朝食を持って入ってきたからその話はそこで終わりになった。
「絶対駄目だからね」
朝食を食べ終わりレンがお皿を片付けに部屋から出た時にもう1度僕はジェイドにくぎをさした。ジェイドは一応頷き部屋から出て行った。
不安はあるけどもうジェイドがクロードに近寄らないことを祈るしかない。
不安に思いながらも1日を過ごして最近仲直りしてきたことで使用人用のお風呂にジェイドと一緒に入浴しに行った。今日はレンとカイトも一緒だ。
「もう俺クロード様には近寄らないから安心してくれ。あと1か月なんとか逃げ切ろうな」
朝とは違いジェイドはそうはっきりと言った。僕はその言葉に安心して4人で楽しく入浴した。
部屋に帰り誰もいなくなり1人だけになった。ベッドに入り部屋を暗くする。すると昨日の恐怖が蘇ってきた。暗がりの中からあの3人が現れる。そんな考えが思い浮かび体が小刻みに震える。
昨日この場所、このベッドで。
ここに居たくなくてベッドから飛び起き部屋から飛び出す。
走って向かった先は昨日と同じ両親の部屋。
「おとーさま、おかーさま。今日も一緒に寝て下さい」
部屋に入りソファに座り本を読んでいたお母様に僕は涙を流しながら抱き着いた。
その日も2人に挟まれ安心して眠ることができた。
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