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 充実した日々を過ごしているとあっという間に時は過ぎていった。
 入学まであと2か月という日だった。
 僕の合格が分かってからジェイドとは少しずつ会話が増えていて最近では前と同じくらい話すようになっていた。

 「ジェイドこれどうしたの!」

 訓練の時間長袖を着ていたジェイドの袖の下、手首の辺りに縛られたような痕が見えた。僕は人気のない場所までジェイドを連れていき両袖を捲ると痕は両手首に付いていた。

 「もしかしてこれお兄様にやられたの?」

 なかなか口を開かなかったが僕が詰め寄るとその口をやっと開いた。

 「ユーマの入学が近くなってきてクロード様の機嫌が悪くて」

 だから行為が激しくなってきてそれを嫌がると縛られるのだと言う。

 「酷い。ジェイドが嫌ならお兄様の傍にいるの止めていいんだよ。もし僕の為にって言うんなら僕はこんなことになってまでジェイドにお兄様の傍に居てほしくない」
 「ユーマ……俺はユーマが学園に入学するあと2か月このお屋敷で安全に過ごしてほしいんだ。俺が少しでもクロード様のイライラを抑えられてるならそれでいい。俺もユーマの学園入学と同時に騎士学校への入学決まったしあと2か月くらい大丈夫だよ」
 「ジェイド」

 ジェイドは両手首にできている痕を袖を下ろして隠す。きっと服に隠れて見えない所にも縛られた痕はあるはずだ。そんなことされて大丈夫なわけないのに大丈夫だという。
 ジェイドは本格的に騎士になるために騎士学校へ入学することを決めた。その学校の卒業生であるジェイドの父親も凄く喜んでいた。
 入学まで2か月だからそれまでクロードからどんな酷いことをされても我慢するって僕はそんなこと望んでいないのに。でも僕がいくらやめてといってもジェイドの意志は固かった。

 「今以上に酷くなるなら本当にお兄様から離れてね」
 「分かってるよ」

 ジェイドは口ではそう言っているが僕の為だとクロードの傍から離れる気はなさそうだ。
 早く2か月経ってほしい。

 「眠れない」

 入学まであと1か月というある日僕はベッドの中でジェイドのことを考えていて中々眠ることができないでいた。
 最近のジェイドは前に比べて顔色が悪いことが多い。訓練中もふらついていてよく注意されている。
 どうにかクロードの傍から離したいけどジェイドが離れようとしないからそれも難しい。

 「うーん、どうしたらいいんだろ」

 一度落ち着くために飲み物でも飲もうとベッドから起き上がり寝室の扉を開けた。そこで何者かに口を押さえられベッドへと引きずり戻された。

 「んーん、ん」
 「ユーマなんで私から離れようとするんだい。私はこんなにユーマを愛しているんだよ」

 ベッドに倒された僕の上にクロードが跨り僕の夜着を脱がしにかかる。

 「お兄様!何するんですか止めて下さい。僕達兄弟なんですよ」
 「兄弟だから愛し合ってはいけないのかい?そんなこと関係ないよ。私はユーマが生まれた時にその可愛さのあまり一生を懸けて愛すると誓ったんだから。アオイ、アキしっかりユーマを押さえてなさい。ほらユーマのこの可愛い乳首も私に愛して欲しそうにしているよ」

 僕をベッドに倒したのはクロードでアキとアオイの2人がかりで僕を抑え込む。

 「やめて、お兄様。誰か助けて」
 「私を拒絶する言葉なんか聞きたくないよ」

 クロードは僕の乳首を指で弾きそして美味しそうに舐め出した。必死にやめてとお願いするが聞き入れてくれない。それどころか口の中にタオルを押し込められた。
 満足するまで乳首を舐めたクロードは今度は夜着の下を脱がそうと手を伸ばした。他の2人も止めようともせず楽しそうに笑いながらその様子を見ている。
 絶望と恐怖で涙が溢れていた。

 「それ以上は止めて下さいクロード様」

 諦めかけていた時寝室にジェイドが入ってきてクロードを突き飛ばした。それに驚き力が緩んだ2人からジェイドは僕を助け出してくれた。

 「ユーマ逃げろ」

 ジェイドのその言葉で僕は近くにあった夜着の上を掴んで自分の部屋から転がるように走って逃げた。
 僕が逃げた先は両親の部屋だ。
 部屋に入る前に乱れた夜着を整える。

 「どうしたんだユーマ」

 まだ起きていた両親はびっくりした顔をして僕を部屋に招き入れてくれた。

 「あと1か月でこのお屋敷から出ていくと考える寂しくなって」
 「ユーマは甘えん坊さんだね。おいで一緒に寝ようか」

 兄に襲われたなんて言えない僕の嘘を信じてくれた2人の間に挟まれて安心して眠ることができた。
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