転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

めぐもふ

文字の大きさ
上 下
27 / 72

27

しおりを挟む
 2人ともが散々泣いた後3人で明日の相談をする。
 僕とレンの声は枯れていた。おまけに鼻水ずるずるでたまに何を言っているのか分からない時まである。頭もフワフワしていて考えも上手くまとまらない。だけどユーマの為にと必死に考える。

 「じゃあ明日はまだ本調子ではないユーマ様のためにいつもの1番奥じゃなくて日当たりのいい場所に沢山クッションを置いて座り心地良くして過ごしてもらおう」

 泣きすぎてフワフワしている2人の代わりにカイトが意見をまとめて明日の予定が決まった。
 扉の前にいる騎士にクッションを置く許可を貰い3人でクッションを買いに行く。
 それぞれ両手一杯にクッションを抱えて戻ってきてその日は解散となった。
 次の日僕はいつもより早めに図書館に来た。
 昨日決めた日当たりのいい場所に買ってきたクッションを置く。どんな感じか試しにクッションの山に寝転がってみる。

 「眩しすぎないし暖かくて気持ちいいな」

 最近睡眠時間を削って副作用について調べていたからか気持ち良すぎていつの間にか寝てしまっていた。昨日の夜は早目にベッドに入ったけどユーマに会えるのが嬉しすぎて目が冴えてしまったからここにきて安心感からか短時間だけどぐっすりと眠ることができた。

 「ユーマが来るまでもう一度副作用について調べてみるか」

 横に置いてあった本を手に取り寝たままそれを読む。
 今までと比べてぐっすりと眠れたことで頭が冴えて集中することができた。
 扉の方から物音が聞こえてくる。少しするとカイトに抱きかかえられたユーマの姿が見えた。

 「ユーマ久しぶりだね」

 ユーマは僕の想像以上に憔悴していた。驚いたけどそれを表情に出さないようにいつも通りに声をかけた。
 カイトがユーマをクッションの山の中、僕の隣に座らせる。
 レンとカイトは僕に目配せすると部屋から出て行った。2人でユーマの為に買い物に行ったのもあるしいつも図書館では2人はいなくなっていたからなるべくいつも通りにしようとそれも昨日話し合った。
 2人でクッションに埋もれてこれまでの僕の話をする。ユーマはもしかしたら寝込んでいる間の話はしたくないかもしれないから僕からは何も聞かなかった。
 穏やかな時間が流れている。

 「ユーマ?」

 僕の話に相槌を打っていたユーマの声が聞こえなくなったから体を起こしてユーマを覗き込む。
 ユーマは少し眉間に皺を寄せながら寝ていた。

 「ユーマ寝ちゃったか。こんなに痩せちゃって何があったんだよ。顔色も悪いし、ちゃんと寝れてないって聞いてるんだよ」

 僕はユーマの眉間の皺を指で伸ばしてみる。

 「ここで寝れるなら寝て早く元気になってね」

 僕はユーマの髪を撫でながら元気になれと願いながら魔法を使う。
 いつも艶々のユーマの髪までがいつもより艶が無かった。
 髪を撫で続けていると眉間にあった皺も無くなり、目の下の隈も薄くなってきた。寝ているその表情も穏やかになってきた。

 「早く元気になって明るい笑顔を見せてよ」

 薄くなったけどまだ残っている隈を見ながら呟く。そしてユーマの額にキスをした。そうしたら隈がまた薄くなってきた。僕はユーマの顔の色んな所に何度もキスをした。最後にユーマの唇に軽くキスをして読書に戻った。
 キスはユーマに魔法で治療する目的だったけど最後の唇へのキスだけは違う気持ちだった。僕はそれがなんだか分からなかった。
 読書をしながらもユーマの唇をチラチラと見て落ち着かなく読書に集中できなかった。顔がとても熱い。

 「ユーマの唇柔らかかったな」

 僕はユーマの唇を見ながら自分の唇を触りさっきの感触を思い出していた。

 「ユーマ、僕の美しい人」

 普段表情が変わらないのに顔が熱くなってきた。きっと赤くなっているに違いない。

 「ユーマ様穏やかな顔で寝れていますね。朝より顔色も良くなっているしここにお連れできて良かったです。ケインもありがとう」

 レン達が買い物から帰ってきた。
 ユーマの寝顔を見ながらレンが目に涙を浮かべている。
 みんなユーマが大好きだから元気な姿が見たいんだ。

 「ユーマ様、そろそろ帰りませんと」
 「うーん、もう朝?」
 「ユーマ寝ぼけてるね、違うよ。ここは図書館、お迎えがきたよ」

 起こすのは可哀想だけどベッドでしっかり寝て欲しい。

 「もう少し寝かせて」
 「これは駄目だね」

 ユーマは完全に寝ぼけていてふにゃふにゃしている。
 来た時と同じようにカイトに抱きかかえられて帰って行った。
 笑顔のユーマもいいけど寝ぼけてふにゃふにゃしているユーマも可愛い。

 「ユーマが元気になってよかった。でも副作用についてもしっかり調べないといけないな」

 僕のこれからの魔法の練習以外の課題ができた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

処理中です...