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 2人ともが散々泣いた後3人で明日の相談をする。
 僕とレンの声は枯れていた。おまけに鼻水ずるずるでたまに何を言っているのか分からない時まである。頭もフワフワしていて考えも上手くまとまらない。だけどユーマの為にと必死に考える。

 「じゃあ明日はまだ本調子ではないユーマ様のためにいつもの1番奥じゃなくて日当たりのいい場所に沢山クッションを置いて座り心地良くして過ごしてもらおう」

 泣きすぎてフワフワしている2人の代わりにカイトが意見をまとめて明日の予定が決まった。
 扉の前にいる騎士にクッションを置く許可を貰い3人でクッションを買いに行く。
 それぞれ両手一杯にクッションを抱えて戻ってきてその日は解散となった。
 次の日僕はいつもより早めに図書館に来た。
 昨日決めた日当たりのいい場所に買ってきたクッションを置く。どんな感じか試しにクッションの山に寝転がってみる。

 「眩しすぎないし暖かくて気持ちいいな」

 最近睡眠時間を削って副作用について調べていたからか気持ち良すぎていつの間にか寝てしまっていた。昨日の夜は早目にベッドに入ったけどユーマに会えるのが嬉しすぎて目が冴えてしまったからここにきて安心感からか短時間だけどぐっすりと眠ることができた。

 「ユーマが来るまでもう一度副作用について調べてみるか」

 横に置いてあった本を手に取り寝たままそれを読む。
 今までと比べてぐっすりと眠れたことで頭が冴えて集中することができた。
 扉の方から物音が聞こえてくる。少しするとカイトに抱きかかえられたユーマの姿が見えた。

 「ユーマ久しぶりだね」

 ユーマは僕の想像以上に憔悴していた。驚いたけどそれを表情に出さないようにいつも通りに声をかけた。
 カイトがユーマをクッションの山の中、僕の隣に座らせる。
 レンとカイトは僕に目配せすると部屋から出て行った。2人でユーマの為に買い物に行ったのもあるしいつも図書館では2人はいなくなっていたからなるべくいつも通りにしようとそれも昨日話し合った。
 2人でクッションに埋もれてこれまでの僕の話をする。ユーマはもしかしたら寝込んでいる間の話はしたくないかもしれないから僕からは何も聞かなかった。
 穏やかな時間が流れている。

 「ユーマ?」

 僕の話に相槌を打っていたユーマの声が聞こえなくなったから体を起こしてユーマを覗き込む。
 ユーマは少し眉間に皺を寄せながら寝ていた。

 「ユーマ寝ちゃったか。こんなに痩せちゃって何があったんだよ。顔色も悪いし、ちゃんと寝れてないって聞いてるんだよ」

 僕はユーマの眉間の皺を指で伸ばしてみる。

 「ここで寝れるなら寝て早く元気になってね」

 僕はユーマの髪を撫でながら元気になれと願いながら魔法を使う。
 いつも艶々のユーマの髪までがいつもより艶が無かった。
 髪を撫で続けていると眉間にあった皺も無くなり、目の下の隈も薄くなってきた。寝ているその表情も穏やかになってきた。

 「早く元気になって明るい笑顔を見せてよ」

 薄くなったけどまだ残っている隈を見ながら呟く。そしてユーマの額にキスをした。そうしたら隈がまた薄くなってきた。僕はユーマの顔の色んな所に何度もキスをした。最後にユーマの唇に軽くキスをして読書に戻った。
 キスはユーマに魔法で治療する目的だったけど最後の唇へのキスだけは違う気持ちだった。僕はそれがなんだか分からなかった。
 読書をしながらもユーマの唇をチラチラと見て落ち着かなく読書に集中できなかった。顔がとても熱い。

 「ユーマの唇柔らかかったな」

 僕はユーマの唇を見ながら自分の唇を触りさっきの感触を思い出していた。

 「ユーマ、僕の美しい人」

 普段表情が変わらないのに顔が熱くなってきた。きっと赤くなっているに違いない。

 「ユーマ様穏やかな顔で寝れていますね。朝より顔色も良くなっているしここにお連れできて良かったです。ケインもありがとう」

 レン達が買い物から帰ってきた。
 ユーマの寝顔を見ながらレンが目に涙を浮かべている。
 みんなユーマが大好きだから元気な姿が見たいんだ。

 「ユーマ様、そろそろ帰りませんと」
 「うーん、もう朝?」
 「ユーマ寝ぼけてるね、違うよ。ここは図書館、お迎えがきたよ」

 起こすのは可哀想だけどベッドでしっかり寝て欲しい。

 「もう少し寝かせて」
 「これは駄目だね」

 ユーマは完全に寝ぼけていてふにゃふにゃしている。
 来た時と同じようにカイトに抱きかかえられて帰って行った。
 笑顔のユーマもいいけど寝ぼけてふにゃふにゃしているユーマも可愛い。

 「ユーマが元気になってよかった。でも副作用についてもしっかり調べないといけないな」

 僕のこれからの魔法の練習以外の課題ができた。
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