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「ユーマ様そろそろ外に出ませんか?ケインも会いたがっていましたよ」
僕に桃を食べさせながらレンがさりげなく僕に外出を進めてきた。
「......ケインに会いたいな」
最近夢を見ない時もごくたまにだけどあったからか心に余裕が出てきたのかそんな言葉が自然と口から溢れ出てきた。
「ユーマ様!お出かけになりますか。じゃあ早速明日出かけましょうか。もうカーテンも開けて陽の光を浴びましょうね」
レンは凄く嬉しそうだ。僕もレンの嬉しそうな顔を久し振りに見て嬉しかった。
カーテンを開けて久しぶりに見た光は凄く眩しかった。
「明日の予定をカイトと御者と話し合ってきますね。ユーマ様は残りのバナナを食べていて下さいね」
レンは嬉しそうに寝室を出ていった。
僕はバナナを少しづつ食べながら外の風景を眺めていた。
食欲も出てきたし心身共に回復してきたのを感じる。
明日ケインに会うのが楽しみだ。
残りの時間はベッドの中で久しぶりに本を読んで過ごした。
「ユーマ様今日はお出かけですね」
「迷惑かけると思うけどよろしくね」
僕は着替えるためにベッドから降りようとした。
だけど足に力が入らず立ち上がることができずに床に座り込んでしまった。
「ユーマ様大丈夫ですか!」
「ごめん立ち上がれないみたい。早速迷惑かけちゃったね」
僕は弱々しく笑う。
10日間寝込んだ僕の体は思っていた以上に弱っていた。
「ケインに会いたかったけどな。歩けないんじゃ行けないよね」
「ユーマ様、大丈夫です。カイトに運んでもらいましょう。今のユーマ様には外に出ることが何より大切だと思います。旦那様には私がちゃんと許可を取ってまいります」
レンは言うと僕をもう一度ベッドに座らせ足早に寝室を出て行った。
僕の着替えは別のメイドが手伝ってくれた。
「ユーマ様無事許可を頂いてまいりました」
僕の準備が全て済んだ頃レンはカイトと共に部屋に入ってきた。
「ユーマ様のご準備は済んでいます」
今まで僕の世話をしてくれていたメイドがレンに報告すると部屋を出て行った。
「ではユーマ様図書館にケインに会いに行きましょう」
「僕の我儘聞いてくれてありがとう」
「ユーマ様の我儘なんてレンの我儘に比べたら可愛いものですよ」
「カイト!」
僕の部屋に3人の笑い声が響く。久しぶりに僕も笑った気がする。
「そろそろ行きましょうか。ユーマ様失礼します」
カイトは言うと僕を横抱きにして歩き出した。
屋敷を出る前にお父様に話しかけられ馬車まで見送られた。
この10日間お父様達にも凄く心配をかけた。お父様は僕が外に出ることができるまで元気になったことを凄く喜んでいた。
「お父様行ってまいります」
馬車の中からお父様に笑顔で挨拶をする。
「気を付けて行ってくるんですよ」
見送ってくれるお父様の目に光るものを見つけた気がする。
馬車の中はいつも以上にクッションが置かれていて僕がゆったりとくつろげるようになっていた。
今日馬車が停まったのも図書館のすぐ近くの場所だった。
その場所から図書館の5階までカイトに抱きかかえられて行く。その状態でケインに会うのは恥ずかしかったけど歩けないから仕方ない。
「ユーマ久しぶりだね」
ケインが居たのはいつもの1番奥ではなく5階の中でも1番日当たりのいい場所だった。そこには床にクッションが大量に置かれていた。
そのクッションの山の中でケインは本を読んでいた。
カイトは僕をケインの隣に座らせる。
「最近来れなくてごめんね。ちょっと体調崩してて」
「こうして来てくれたから大丈夫。今日はゆっくり話をしようよ。魔法の練習はお休み」
「ケイン魔法ってレン達がいるのに」
「大丈夫だよ。あの2人なら外に買い物に行ったよ。ユーマが食べやすいもの探しに行くんだって」
確かに2人の姿は周りに無かった。
それからはケインと2人で話をした。主にケインが会わない間に習得した魔法や何気ない日常のことを話してくれた。
僕は日当たりのいい場所でクッションに埋もれてケインの落ち着いた優しい声を聞きながらいつの間にか寝ていた。
「ユーマ寝ちゃったか。こんなに痩せちゃって何があったんだよ。顔色も悪いし、ちゃんと寝れてないって聞いているんだよ」
ケインが僕の髪を優しく撫でていてくれる。それが心地よくて僕は深い深い眠りに落ちていた。
「ユーマ様、そろそろ帰りませんと」
レンが申し訳なさそうな声で僕を起こしてくれる。
「うーん、もう朝?」
「ユーマ寝ぼけているね、違うよ。ここは図書館、お迎えがきたよ」
僕はぐっすり寝すぎて寝ぼけていた。
「もう少し寝かせて」
「これは駄目だね」
僕はまた眠ってしまった。そんな僕を見てケインが少し笑っている。
僕はまた寝たままカイトに抱きかかえられ屋敷へと帰った。
その日は夢など一切見ずにぐっすりと寝ることができた。
次の日僕は誰かに起こされる前に自分で起き身支度も全て自分で整えた。
顔色も良く体のふらつきや怠さも一切なく気分も凄くよかった。
朝ご飯も沢山食べる僕にレンも涙を流しながら喜んでいた。
僕に桃を食べさせながらレンがさりげなく僕に外出を進めてきた。
「......ケインに会いたいな」
最近夢を見ない時もごくたまにだけどあったからか心に余裕が出てきたのかそんな言葉が自然と口から溢れ出てきた。
「ユーマ様!お出かけになりますか。じゃあ早速明日出かけましょうか。もうカーテンも開けて陽の光を浴びましょうね」
レンは凄く嬉しそうだ。僕もレンの嬉しそうな顔を久し振りに見て嬉しかった。
カーテンを開けて久しぶりに見た光は凄く眩しかった。
「明日の予定をカイトと御者と話し合ってきますね。ユーマ様は残りのバナナを食べていて下さいね」
レンは嬉しそうに寝室を出ていった。
僕はバナナを少しづつ食べながら外の風景を眺めていた。
食欲も出てきたし心身共に回復してきたのを感じる。
明日ケインに会うのが楽しみだ。
残りの時間はベッドの中で久しぶりに本を読んで過ごした。
「ユーマ様今日はお出かけですね」
「迷惑かけると思うけどよろしくね」
僕は着替えるためにベッドから降りようとした。
だけど足に力が入らず立ち上がることができずに床に座り込んでしまった。
「ユーマ様大丈夫ですか!」
「ごめん立ち上がれないみたい。早速迷惑かけちゃったね」
僕は弱々しく笑う。
10日間寝込んだ僕の体は思っていた以上に弱っていた。
「ケインに会いたかったけどな。歩けないんじゃ行けないよね」
「ユーマ様、大丈夫です。カイトに運んでもらいましょう。今のユーマ様には外に出ることが何より大切だと思います。旦那様には私がちゃんと許可を取ってまいります」
レンは言うと僕をもう一度ベッドに座らせ足早に寝室を出て行った。
僕の着替えは別のメイドが手伝ってくれた。
「ユーマ様無事許可を頂いてまいりました」
僕の準備が全て済んだ頃レンはカイトと共に部屋に入ってきた。
「ユーマ様のご準備は済んでいます」
今まで僕の世話をしてくれていたメイドがレンに報告すると部屋を出て行った。
「ではユーマ様図書館にケインに会いに行きましょう」
「僕の我儘聞いてくれてありがとう」
「ユーマ様の我儘なんてレンの我儘に比べたら可愛いものですよ」
「カイト!」
僕の部屋に3人の笑い声が響く。久しぶりに僕も笑った気がする。
「そろそろ行きましょうか。ユーマ様失礼します」
カイトは言うと僕を横抱きにして歩き出した。
屋敷を出る前にお父様に話しかけられ馬車まで見送られた。
この10日間お父様達にも凄く心配をかけた。お父様は僕が外に出ることができるまで元気になったことを凄く喜んでいた。
「お父様行ってまいります」
馬車の中からお父様に笑顔で挨拶をする。
「気を付けて行ってくるんですよ」
見送ってくれるお父様の目に光るものを見つけた気がする。
馬車の中はいつも以上にクッションが置かれていて僕がゆったりとくつろげるようになっていた。
今日馬車が停まったのも図書館のすぐ近くの場所だった。
その場所から図書館の5階までカイトに抱きかかえられて行く。その状態でケインに会うのは恥ずかしかったけど歩けないから仕方ない。
「ユーマ久しぶりだね」
ケインが居たのはいつもの1番奥ではなく5階の中でも1番日当たりのいい場所だった。そこには床にクッションが大量に置かれていた。
そのクッションの山の中でケインは本を読んでいた。
カイトは僕をケインの隣に座らせる。
「最近来れなくてごめんね。ちょっと体調崩してて」
「こうして来てくれたから大丈夫。今日はゆっくり話をしようよ。魔法の練習はお休み」
「ケイン魔法ってレン達がいるのに」
「大丈夫だよ。あの2人なら外に買い物に行ったよ。ユーマが食べやすいもの探しに行くんだって」
確かに2人の姿は周りに無かった。
それからはケインと2人で話をした。主にケインが会わない間に習得した魔法や何気ない日常のことを話してくれた。
僕は日当たりのいい場所でクッションに埋もれてケインの落ち着いた優しい声を聞きながらいつの間にか寝ていた。
「ユーマ寝ちゃったか。こんなに痩せちゃって何があったんだよ。顔色も悪いし、ちゃんと寝れてないって聞いているんだよ」
ケインが僕の髪を優しく撫でていてくれる。それが心地よくて僕は深い深い眠りに落ちていた。
「ユーマ様、そろそろ帰りませんと」
レンが申し訳なさそうな声で僕を起こしてくれる。
「うーん、もう朝?」
「ユーマ寝ぼけているね、違うよ。ここは図書館、お迎えがきたよ」
僕はぐっすり寝すぎて寝ぼけていた。
「もう少し寝かせて」
「これは駄目だね」
僕はまた眠ってしまった。そんな僕を見てケインが少し笑っている。
僕はまた寝たままカイトに抱きかかえられ屋敷へと帰った。
その日は夢など一切見ずにぐっすりと寝ることができた。
次の日僕は誰かに起こされる前に自分で起き身支度も全て自分で整えた。
顔色も良く体のふらつきや怠さも一切なく気分も凄くよかった。
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