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「ケイン、聞いて。この間僕声が聞こえないくらい離れた場所にいる人の声を聞くことができたよ」
いつもの図書館の5階の1番奥。そこにもうケインはいた。
最近はレンに借りる本を選ぶのを任せて僕は真っ直ぐこの場所にやってくる。
レンも僕がケインに会っていることは知っているし何度か話をしてケインなら大丈夫だと思ったんだろう、帰る時間に呼びに来るだけで後は好きにさせてくれる。
「ユーマはここに来るたびに新しい魔法覚えているね。僕はユーマのその想像力が羨ましいよ。でも今回は僕も新しい魔法を覚えたんだよ」
「なになに、どんな魔法覚えたの?」
ケインと僕は挨拶もなく会えばすぐ魔法の話になる。
ケインと一緒に魔法について話している時間はとても楽しい。いつもあっという間に時間は過ぎていく。
「僕が覚えた魔法は気配を消す魔法だよ。相手に気付かれずに近寄れるし、触られるかこっちから話しかけるまで気付かれることはないんだ。そのうち姿を消す魔法も覚えたいな」
なんて腐活動に適している魔法なんだろう。姿を消すことができれば間近で恋人同士を観察できる。
この間のことがあってから僕は魔法を腐活動に役立てることばかり考えている。
「僕もその姿を消す魔法覚えたいな」
だから僕がこう思うのは当然だった。
「いいよ。一緒に覚えよう。でもまずユーマは気配を消す魔法から覚えないとね」
「頑張る」
僕にはやる気が漲っていた。
気配を消す想像をする。だけど今までのものと違って目に見えないものだから中々上手くいかない。
それでも1時間くらいしたら身体中にいつもと違う変化があった。その変化をうまく説明することはできないけどいつもより身体が温かくなっている気がする。
「ケイン、できたと思うんだけどどう?」
「どうって言われてもな、もう僕ユーマがここにいるって分かってるから効果ないみたい」
「そっか、じゃあレンとカイトで確かめよう。気配消して近付いていきなり声をかけたらびっくりするんじゃないかな」
僕の魔法が成功しているかはレンとカイトで確認することになった。
「ユーマいたよ」
ケインが2人の気配を見つけてくれた。
2人は反対側の壁側にいるようだった。そのまま2人で気配を消したまま近付く。
手を繋いで仲良く話をしている2人を発見した。
ゆっくりと音を立てないよう近付いて行く。
2人のすぐ傍まで来たけど2人は僕達に気付いていない。僕の魔法は成功しているみたいだ。
魔法が成功したことが嬉しくて後ろにいたケインを笑顔で振り返った。そしてレン達を驚かそうと今度は声を出しながらレン達の方を見た。
「わっ!......」
レン達の方を見ると2人はキスをしていた。
「あーぁ」
背後からケインのなんともいえない声が聞こえてくる。
「ユーマ様」
レンは顔を真っ赤にしてカイトの背後に隠れてしまった。
「いきなりごめんなさい。2人は付き合ってたんだね。言ってくれたらよかったのに」
僕は素直に謝った。そして2人が付き合っている事を今知ったような振りをした。
「いえ、俺たちもこんな所で申し訳ありませんでした。レンさんとは少し前からお付き合いさせていただいています。ユーマ様にはすぐお伝えすべきでした。こんな形でお伝えすることになって申し訳ありませんでした」
「いいよ、いつかは教えてくれるつもりだったんでしょ。それよりレンのこと大切にしてよ。傷付けたら許さないからね」
赤い顔でおろおろとしているレンとは反対にカイトは真面目な顔で堂々とした態度だった。
「もちろんです。レンさんのことは一生大切にするつもりです」
「よろしくね。レンも絶対幸せにしてもらうんだよ。レンが幸せだと僕も嬉しいんだから」
「ユーマ様......」
レンは涙目で僕の手を握ってくる。僕は自分のハンカチを出してレンの涙を拭いてあげた。
その日からレンとカイトは僕の前でも堂々といちゃつき始めた。
その姿を見ているとお互いがお互いを好きなことが伝わってくるし、僕も幸せになる。
眼福です。
でもなぜかジェイドは2人が付き合い出した事を知った時は喜んでいたのにいちゃついている姿を見ると不機嫌になっていた。
いつもの図書館の5階の1番奥。そこにもうケインはいた。
最近はレンに借りる本を選ぶのを任せて僕は真っ直ぐこの場所にやってくる。
レンも僕がケインに会っていることは知っているし何度か話をしてケインなら大丈夫だと思ったんだろう、帰る時間に呼びに来るだけで後は好きにさせてくれる。
「ユーマはここに来るたびに新しい魔法覚えているね。僕はユーマのその想像力が羨ましいよ。でも今回は僕も新しい魔法を覚えたんだよ」
「なになに、どんな魔法覚えたの?」
ケインと僕は挨拶もなく会えばすぐ魔法の話になる。
ケインと一緒に魔法について話している時間はとても楽しい。いつもあっという間に時間は過ぎていく。
「僕が覚えた魔法は気配を消す魔法だよ。相手に気付かれずに近寄れるし、触られるかこっちから話しかけるまで気付かれることはないんだ。そのうち姿を消す魔法も覚えたいな」
なんて腐活動に適している魔法なんだろう。姿を消すことができれば間近で恋人同士を観察できる。
この間のことがあってから僕は魔法を腐活動に役立てることばかり考えている。
「僕もその姿を消す魔法覚えたいな」
だから僕がこう思うのは当然だった。
「いいよ。一緒に覚えよう。でもまずユーマは気配を消す魔法から覚えないとね」
「頑張る」
僕にはやる気が漲っていた。
気配を消す想像をする。だけど今までのものと違って目に見えないものだから中々上手くいかない。
それでも1時間くらいしたら身体中にいつもと違う変化があった。その変化をうまく説明することはできないけどいつもより身体が温かくなっている気がする。
「ケイン、できたと思うんだけどどう?」
「どうって言われてもな、もう僕ユーマがここにいるって分かってるから効果ないみたい」
「そっか、じゃあレンとカイトで確かめよう。気配消して近付いていきなり声をかけたらびっくりするんじゃないかな」
僕の魔法が成功しているかはレンとカイトで確認することになった。
「ユーマいたよ」
ケインが2人の気配を見つけてくれた。
2人は反対側の壁側にいるようだった。そのまま2人で気配を消したまま近付く。
手を繋いで仲良く話をしている2人を発見した。
ゆっくりと音を立てないよう近付いて行く。
2人のすぐ傍まで来たけど2人は僕達に気付いていない。僕の魔法は成功しているみたいだ。
魔法が成功したことが嬉しくて後ろにいたケインを笑顔で振り返った。そしてレン達を驚かそうと今度は声を出しながらレン達の方を見た。
「わっ!......」
レン達の方を見ると2人はキスをしていた。
「あーぁ」
背後からケインのなんともいえない声が聞こえてくる。
「ユーマ様」
レンは顔を真っ赤にしてカイトの背後に隠れてしまった。
「いきなりごめんなさい。2人は付き合ってたんだね。言ってくれたらよかったのに」
僕は素直に謝った。そして2人が付き合っている事を今知ったような振りをした。
「いえ、俺たちもこんな所で申し訳ありませんでした。レンさんとは少し前からお付き合いさせていただいています。ユーマ様にはすぐお伝えすべきでした。こんな形でお伝えすることになって申し訳ありませんでした」
「いいよ、いつかは教えてくれるつもりだったんでしょ。それよりレンのこと大切にしてよ。傷付けたら許さないからね」
赤い顔でおろおろとしているレンとは反対にカイトは真面目な顔で堂々とした態度だった。
「もちろんです。レンさんのことは一生大切にするつもりです」
「よろしくね。レンも絶対幸せにしてもらうんだよ。レンが幸せだと僕も嬉しいんだから」
「ユーマ様......」
レンは涙目で僕の手を握ってくる。僕は自分のハンカチを出してレンの涙を拭いてあげた。
その日からレンとカイトは僕の前でも堂々といちゃつき始めた。
その姿を見ているとお互いがお互いを好きなことが伝わってくるし、僕も幸せになる。
眼福です。
でもなぜかジェイドは2人が付き合い出した事を知った時は喜んでいたのにいちゃついている姿を見ると不機嫌になっていた。
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