転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

15

　次の日の訓練の時間、僕は魔力を意識してみた。
　身体の中に流れる魔力を手に集めるようにする。

　「お願いします」　
　
　訓練相手に一礼して剣を握る手に力を込める。
　力では負ける大人相手に段々と力で勝っていく。相手が段々と焦っていく。
　次に足に力を込める。力が集まった所で一気に踏み込んだ。

　「やぁっ」

　カランカランと音を立てて相手の剣が地面に落ちた。

　「はぁはぁ」

　僕も相手も息が荒く汗も大量にかいている。

　「ユーマ様今日はどうしたんですか。ものすごく力強くて、まだ剣を持っていた手が痺れていますよ」

　魔力で力を増幅させたけどまだ幼い肉体はそれに耐えられなかったようで僕は立っていられなくなり地面に座り込んでしまった。手をついた横の地面は10センチほど抉れていた。僕が踏み込んだ時にできたものだと思う。
　身体の負担は相当だったようで立つこともできなければ声を出すこともできなかった。ただ座り込んで荒い息をすることしかできなかった。
　魔力で自分の力を増幅させても身体がついてこない。

　「はぁはぁ、はぁ.....」
　「ユーマ様大丈夫ですか。もう今日はやめにしましょう。お部屋でお休み下さい」

　訓練相手が僕の異常に気付いて顔を覗き込んでくる。離れた所にいたレンも僕の側にやってきてタオルで汗を拭いてくれる。

　「俺がお部屋までお連れします」

　動けない僕をカイトがお姫様抱っこして歩き出す。その後ろをレンが着いてくる。
　部屋まで運ばれてソファに座らされた。

　「今日の訓練、頑張りすぎたみたいで、いつも以上に、疲れちゃった。迷惑かけてごめんね」

　運ばれている間になんとか話せる程度まで回復した。

　「頑張りたい気持ちは分かりますがこんなになるまで頑張りすぎては駄目ですよ。騎士というものは自分の体調管理もきちんとしないといざ、という時に戦えませんからね」

　訓練で汚れた服の着替えを取りに行っているレンの代わりにカイトが喋れてもまだ動けない僕の服を脱がせてくれる。

　「今日はびっくりしましたよ。いきなりあんなに強くなったと思ったら座り込むんですから」
　「あれは火事場の馬鹿力ってやつかも。僕もびっくりだよ」

　着替えを持ってきてくれたレンもびっくりしているけど魔力のことは言えないから嘘をつく。

　「動けないようなので今日はもう休んで下さい」

　汚れている服を脱がされ、2人に体を拭かれ新しい服を着てベッドに入る。

　「もう無茶をしては駄目ですからね」

　2人は僕にくぎをさすと部屋を出ていった。
　まだ昼過ぎだから眠れないと思っていたけどいつの間にか寝ていた。　
　次に目が覚めた時には外が薄っすら暗くなっていた。
　僕が寝ている間に部屋にジェイドがやってきたようでベッドサイドにメモと共に僕の好きなフルーツが置いてあった。
　そしてまた僕はいつの間にか寝ていた。

　「い、た、い」

　次に起きたのは朝だった。
　体は動くようになっていたが全身が筋肉痛で動くのが辛かった。
　僕はもっと体が成長してから魔力で力を増幅させると心に誓った。
　何事も様子を見ながら少しづつが大切だ。