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「ユーマ様、それ以上借りても読み切ることはできませんよ」
夢中になって選んでいた僕の手には5冊ほどの本があった。
「でもまだ気になる本が......」
「貸し出し期間は1週間なのでまた1週間後に参りましょ」
「分かった」
僕は後ろ髪を引かれながらレンについて貸し出し手続きに向かう。レンの手にもいつの間にか2冊の本が握られていた。
馬車までの帰り道で自分用と家族とジェイドへお土産としてマドレーヌを、メイド達への差し入れとしてマカロンを買って帰った。
この日は初めての外出に疲れたのかいつもより早めに寝てしまっていた。
初めて図書館を利用しだして5回目の日。
僕は読みたい本を5冊選び他の階を探索する、というのを2回目からしていた。本当に色々な本があり、それを色々な人が読んでいる。
そして今日は5階の探索の日だった。
「ここなら人来ないから僕1人で大丈夫だよ。2人はあのプリン買ってきて」
「プリンなら私1人で大丈夫ですからカイトさんは護衛をしていた方が」
「駄目だよ。レンは綺麗だから変な人に絡まれるかもしれない、だからカイトさんと一緒の方がいいよ。ここは騎士さんもいるし警備も厳重だから大丈夫。ほら早くしないと売り切れるよ」
僕はまだ渋っている2人を強引に送り出した。今日のお土産は数量限定のプリンだから本当に早く行かないと売り切れてしまう。
「これで2人はデートだね。仲良くなるといいな」
僕は5階の騎士に軽く会釈すると扉の中に入った。
中は古い本が多いからか少しカビ臭かった。
本棚に入っている本を眺めながら奥へと進んでいく。
1番奥へと行くと僕と同じくらいの歳の子がしゃがみ込んでぶつぶつ言いながら本を読んでいた。
気になり近寄って行く。
その辺りは一段とカビ臭かった。
「うわっ」
あまりにその子が気になりすぎて近くにあった荷物に気付かずつまづいてしまった。思わずその子の肩に手を置く。
するとその子の持っていた本の文字が光って見えた。
「何これ」
「古代語だよ」
その子は僕がここにいることそして触れたことには反応せず淡々と答えた。
手を離すと光っていた文字の光は消え読めない記号となった。
もっとよく見ようと近付き本を覗き込む。肩がその子の肩に触れた。
その子がページを捲った次のページに一際輝いている文字があった。光っていない時は読めない記号なのに光っている時は何故だか読める。
僕達は自然とその1番輝いている文字を口に出して読んでいた。
すると身体の中になんともいえない熱が広がり今まで感じたことのない力を身体の中から感じた。
「この力は今は失われた古代の力。魔法を使うための魔力を自分の身体の中から見つけ出すための言葉がさっきの言葉」
「魔力?魔法ってお伽話の中だけじゃないの?」
「違うよ。誰もがその存在を忘れてるだけ。それにもう君には使えるって分かってるでしょ。ねぇ、あの声君のことを呼んでるんじゃない」
確かに僕の名前を呼ぶ2人の声が聞こえる。もう、誰もいないからってあんな大声図書館で出したら駄目じゃないか。
「ねぇ、来週またこの時間に来るからもっと教えて」
「君が魔法のこと誰にも言わないならいいよ。まぁ、言っても誰も信じないと思うけど」
「分かった誰にも言わない。また来週、約束だよ」
僕はこの不思議な少年と次の約束をして図書館を後にした。
家に着いてからどちらも名乗っていないことを思い出した。
魔法のことも少年のことも気になるけどそれとは別にプリンは非常に美味しかった。
夢中になって選んでいた僕の手には5冊ほどの本があった。
「でもまだ気になる本が......」
「貸し出し期間は1週間なのでまた1週間後に参りましょ」
「分かった」
僕は後ろ髪を引かれながらレンについて貸し出し手続きに向かう。レンの手にもいつの間にか2冊の本が握られていた。
馬車までの帰り道で自分用と家族とジェイドへお土産としてマドレーヌを、メイド達への差し入れとしてマカロンを買って帰った。
この日は初めての外出に疲れたのかいつもより早めに寝てしまっていた。
初めて図書館を利用しだして5回目の日。
僕は読みたい本を5冊選び他の階を探索する、というのを2回目からしていた。本当に色々な本があり、それを色々な人が読んでいる。
そして今日は5階の探索の日だった。
「ここなら人来ないから僕1人で大丈夫だよ。2人はあのプリン買ってきて」
「プリンなら私1人で大丈夫ですからカイトさんは護衛をしていた方が」
「駄目だよ。レンは綺麗だから変な人に絡まれるかもしれない、だからカイトさんと一緒の方がいいよ。ここは騎士さんもいるし警備も厳重だから大丈夫。ほら早くしないと売り切れるよ」
僕はまだ渋っている2人を強引に送り出した。今日のお土産は数量限定のプリンだから本当に早く行かないと売り切れてしまう。
「これで2人はデートだね。仲良くなるといいな」
僕は5階の騎士に軽く会釈すると扉の中に入った。
中は古い本が多いからか少しカビ臭かった。
本棚に入っている本を眺めながら奥へと進んでいく。
1番奥へと行くと僕と同じくらいの歳の子がしゃがみ込んでぶつぶつ言いながら本を読んでいた。
気になり近寄って行く。
その辺りは一段とカビ臭かった。
「うわっ」
あまりにその子が気になりすぎて近くにあった荷物に気付かずつまづいてしまった。思わずその子の肩に手を置く。
するとその子の持っていた本の文字が光って見えた。
「何これ」
「古代語だよ」
その子は僕がここにいることそして触れたことには反応せず淡々と答えた。
手を離すと光っていた文字の光は消え読めない記号となった。
もっとよく見ようと近付き本を覗き込む。肩がその子の肩に触れた。
その子がページを捲った次のページに一際輝いている文字があった。光っていない時は読めない記号なのに光っている時は何故だか読める。
僕達は自然とその1番輝いている文字を口に出して読んでいた。
すると身体の中になんともいえない熱が広がり今まで感じたことのない力を身体の中から感じた。
「この力は今は失われた古代の力。魔法を使うための魔力を自分の身体の中から見つけ出すための言葉がさっきの言葉」
「魔力?魔法ってお伽話の中だけじゃないの?」
「違うよ。誰もがその存在を忘れてるだけ。それにもう君には使えるって分かってるでしょ。ねぇ、あの声君のことを呼んでるんじゃない」
確かに僕の名前を呼ぶ2人の声が聞こえる。もう、誰もいないからってあんな大声図書館で出したら駄目じゃないか。
「ねぇ、来週またこの時間に来るからもっと教えて」
「君が魔法のこと誰にも言わないならいいよ。まぁ、言っても誰も信じないと思うけど」
「分かった誰にも言わない。また来週、約束だよ」
僕はこの不思議な少年と次の約束をして図書館を後にした。
家に着いてからどちらも名乗っていないことを思い出した。
魔法のことも少年のことも気になるけどそれとは別にプリンは非常に美味しかった。
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