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今日はとうとう街へ行く日だ。
前日までにレンとカイトとの3人でルートの確認やお店の確認などが行われていた。
あの騎士の心配とは反対にカイトは真面目に恥ずかしがることなくレンと今日のことを話し合っていた。
「楽しみだな」
街へと走る馬車の中で僕は1人はしゃいでいた。
馬車の中には私服に着替えたレンとカイト、そしていつもより質素な服装をしている僕の3人がいる。
「今日馬車を停める場所からユーマ様が行きたい図書館までは少し歩きますが大丈夫ですか?」
「鍛えてるから大丈夫だよ」
カイトの言葉に僕は笑顔で答えた。
街の所々に馬車を停める場所、前世の駐車場のような所があった。今日は1番の目的地である図書館のすぐ近くではなく少し離れた馬車止めに停めてもらうことにしていた。
それは僕が街をぶらぶらしてみたかったから頼んだ。
「ユーマ様着いたみたいですよ」
レンの言葉通り馬車は止まった。
外から扉が開けられる。
まず護衛であるカイトが降り周りの様子を確認する。次に僕が降りて最後にレンが降りた。
「私はここで馬の世話をしながら待っていますのでごゆっくり楽しんできてください」
御者の言葉に見送られ僕達は図書館の方へと歩き出した。
「うわぁー、いい匂いがするね」
「そうですね、この辺りはお茶やお菓子を扱うお店が集まっている所ですから甘い香りがしますね。帰りに何か買って帰りましょうか」
「うん、何がいいかな」
「図書館に行くまでの道のりでユーマ様が1番気に入ったものを帰りに買いましょう」
馬車から降りた僕が見た街並みはまるで前世の中世ヨーロッパのようだった。レンガ造りの家が並んでいてとにかく可愛い。見ているだけでわくわくしてくる。
街は図書館を中心にしてそれぞれ区画に分かれている。この辺りは食料品を扱う区画の中でも特にお茶とお菓子を取り扱っている店が集まっている場所だった。馬車を降りた時から焼き菓子の甘い香りがしてきていた。
僕が本を読む時いつも紅茶を飲んでいるから気を利かせてこの場所に馬車を停めてくれたんだと思う。
「さぁ、行きましょうかユーマ様」
レンが僕の手を握って歩き出す。カイトは僕達の後ろを付いてくる。
「ユーマ様、あのお店のマドレーヌ美味しそうですね。それにあちらのお店のマカロンはメイドの仲間内で人気なんですよ。いつもユーマ様が飲まれている紅茶の茶葉はあのお店で買っているんです」
全てが初めての僕にこの辺りによく買い物に来ているレンが色々説明してくれる。図書館までの30分の道のりなんてあっという間だった。
カイトは僕達にぶつかりそうな人がいれば間に入ってくれたりとスリに合わないよう注意していた。
「わぁー、大きい建物。ここ本当に図書館?」
たどり着いた図書館は僕の想像以上の大きさだった。
5階立てで1階分の広さは東京ドームぐらいだろうか、正確な広さは分からないけどとにかく広い。
「......大きいね」
「ここには世間に出回っている本全てと歴史的に貴重な本など本という形になっているものは全て存在していると言われていますからね。でも安心してくださいユーマ様が読みたい本があるエリアは分かっていますから」
あまりの大きさに驚いている僕を安心させるようにレンは言った。
敷地に入るための門にも騎士はいるし、扉の前にも2人の騎士がいる。中に入ると騎士が巡回していた。
「騎士の人も多いんだね」
「高位の貴族やたまにですが王族も訪れますからね。特に一般書が置いてある1、2階へは訪れる人も多いので警備も厳重になっています」
1、2階が一般書、3、4階が専門書、5階は他の階に入りきらず、そして誰も読まないような人気のない本が置いてあった。だから他の階は騎士が巡回しているのに5階だけは扉の前に2人の騎士が立っているだけだった。
これも全てレンが教えてくれた。
レンの説明を聞きながら目当てのエリアへ行く。
そこは宝の山だった。
レンの説明によると沢山の利用者がいるようだが広すぎるからか人は散らばっていて多いという感じはしなかった。そのおかげでゆっくり本を選ぶことができた。
前日までにレンとカイトとの3人でルートの確認やお店の確認などが行われていた。
あの騎士の心配とは反対にカイトは真面目に恥ずかしがることなくレンと今日のことを話し合っていた。
「楽しみだな」
街へと走る馬車の中で僕は1人はしゃいでいた。
馬車の中には私服に着替えたレンとカイト、そしていつもより質素な服装をしている僕の3人がいる。
「今日馬車を停める場所からユーマ様が行きたい図書館までは少し歩きますが大丈夫ですか?」
「鍛えてるから大丈夫だよ」
カイトの言葉に僕は笑顔で答えた。
街の所々に馬車を停める場所、前世の駐車場のような所があった。今日は1番の目的地である図書館のすぐ近くではなく少し離れた馬車止めに停めてもらうことにしていた。
それは僕が街をぶらぶらしてみたかったから頼んだ。
「ユーマ様着いたみたいですよ」
レンの言葉通り馬車は止まった。
外から扉が開けられる。
まず護衛であるカイトが降り周りの様子を確認する。次に僕が降りて最後にレンが降りた。
「私はここで馬の世話をしながら待っていますのでごゆっくり楽しんできてください」
御者の言葉に見送られ僕達は図書館の方へと歩き出した。
「うわぁー、いい匂いがするね」
「そうですね、この辺りはお茶やお菓子を扱うお店が集まっている所ですから甘い香りがしますね。帰りに何か買って帰りましょうか」
「うん、何がいいかな」
「図書館に行くまでの道のりでユーマ様が1番気に入ったものを帰りに買いましょう」
馬車から降りた僕が見た街並みはまるで前世の中世ヨーロッパのようだった。レンガ造りの家が並んでいてとにかく可愛い。見ているだけでわくわくしてくる。
街は図書館を中心にしてそれぞれ区画に分かれている。この辺りは食料品を扱う区画の中でも特にお茶とお菓子を取り扱っている店が集まっている場所だった。馬車を降りた時から焼き菓子の甘い香りがしてきていた。
僕が本を読む時いつも紅茶を飲んでいるから気を利かせてこの場所に馬車を停めてくれたんだと思う。
「さぁ、行きましょうかユーマ様」
レンが僕の手を握って歩き出す。カイトは僕達の後ろを付いてくる。
「ユーマ様、あのお店のマドレーヌ美味しそうですね。それにあちらのお店のマカロンはメイドの仲間内で人気なんですよ。いつもユーマ様が飲まれている紅茶の茶葉はあのお店で買っているんです」
全てが初めての僕にこの辺りによく買い物に来ているレンが色々説明してくれる。図書館までの30分の道のりなんてあっという間だった。
カイトは僕達にぶつかりそうな人がいれば間に入ってくれたりとスリに合わないよう注意していた。
「わぁー、大きい建物。ここ本当に図書館?」
たどり着いた図書館は僕の想像以上の大きさだった。
5階立てで1階分の広さは東京ドームぐらいだろうか、正確な広さは分からないけどとにかく広い。
「......大きいね」
「ここには世間に出回っている本全てと歴史的に貴重な本など本という形になっているものは全て存在していると言われていますからね。でも安心してくださいユーマ様が読みたい本があるエリアは分かっていますから」
あまりの大きさに驚いている僕を安心させるようにレンは言った。
敷地に入るための門にも騎士はいるし、扉の前にも2人の騎士がいる。中に入ると騎士が巡回していた。
「騎士の人も多いんだね」
「高位の貴族やたまにですが王族も訪れますからね。特に一般書が置いてある1、2階へは訪れる人も多いので警備も厳重になっています」
1、2階が一般書、3、4階が専門書、5階は他の階に入りきらず、そして誰も読まないような人気のない本が置いてあった。だから他の階は騎士が巡回しているのに5階だけは扉の前に2人の騎士が立っているだけだった。
これも全てレンが教えてくれた。
レンの説明を聞きながら目当てのエリアへ行く。
そこは宝の山だった。
レンの説明によると沢山の利用者がいるようだが広すぎるからか人は散らばっていて多いという感じはしなかった。そのおかげでゆっくり本を選ぶことができた。
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