8 / 72
8
しおりを挟む
「レンは恋人いないの?」
「いませんね。今は仕事が楽しくていなくても十分です。最近はユーマ様と本のお話もできて前より充実していますしね」
「僕もレンと色々本の話ができて楽しいよ」
「ユーマ様は本当に可愛らしい方ですよね。さぁ、もう一杯紅茶はいかがですか?それとこちらが今日持ってきた本です。先日ユーマ様がお気に召していた本と同じ作者なのでこちらもお勧めしたく持って参りました」
レンはそう言って持ってきていた袋を僕に渡してくれた。
もう何冊もレンに本を借りていて借りた本全ての感想を僕は伝えていた。その為か、いつもレンが淹れてくれた紅茶を飲みながら読んでいるから表情を見られているのか分からないが、レンは僕がどんな内容を好み、どの作者が好きか把握している。
でもそれはレンが一流のメイドだからかもしれない。
こんなに気が利いて優しいレンに恋人がいないなんて不思議だ。もしかして仕事が忙しすぎるのが原因だったりして。
「レン、休みはちゃんと貰えてる?」
「どうしたんですか急に。きちんと頂いていますよ。私としてはもっとユーマ様のお世話をしたいくらいです」
レンの優しい笑顔が眩しい。本当の兄には甘えられないからレンのことを兄のように慕い、そして仲間のように思っていた。
「そういえばいつもお兄様の傍にいたメイド変わったんだね。前の子どうしたの?」
この日は珍しく読書を休んでジェイドと一緒にレンの淹れてくれた紅茶を飲みながらレン手作りのクッキーを食べていた。
レンの作るお菓子はどれも美味しくいつかジェイドにも食べさせてあげたいと思っていたのがやっと叶った。
「あぁ、あの子なら恋人ができたとかでその方と一緒になる準備のために実家に帰ったという話ですよ。私はそこまで仲良くなかったので噂話程度でしか知りませんが。でもあの子確か私と同い年なはずですから14歳だったはずです。その年でもう結婚を考えるなんて早いですよね。よほど相手の方を好きなんですね」
僕の言葉に不自然にジェイドのクッキーを食べる手が止まった気がしたけどそれよりレンの話の方が興味深い。
「それは喜ばしい話だね。相手はどんな人なんだろうね。あれだけ可愛い子の相手ならかっこいいんだろうな」
「ユーマ様が最近お気に入りの小説の2人のような感じかもしれませんね」
「あぁ、あの2人か。でもほら1週間前に借りた小説の脇役だけど素敵なカップルがいたでしょ。あんな感じかもしれないよ」
メイドの話からレンとの小説の中のカップルの話へと脱線して盛り上がっている横でジェイドが1人ぼー、とクッキーを食べていた。
「ジェイドどうしたの?なんだか静かだよ」
いつもは口を挟まないでもにこにこしながら話を聞いているのに、静かな様子のジェイドが気になり声をかけた。
「あっ、いや。俺もあのメイドのことはよく知らないんだけどそんな年なんだな、と思って。もっと幼いのかと思ってたからびっくりしたんだよ」
「そうだよね。僕もあの子僕と同い年くらいかと思ってたよ」
この世界の結婚適齢期は20歳くらいだから14歳で結婚を考える相手がいるという人は多くないがいる。そんな人は貴族で政略結婚なのでメイドが、となるとほぼいないから尚更びっくりだ。
そんな充実した毎日を送っていた僕の知らないところでそれは起こっていた。それはジェイドが怪我をした2日後でお兄様の部屋でのことだった。
「んー、んー」
ユーマの兄、クロードの部屋のテーブルの上でユーマが可愛いと言っていたクロード付きのメイドのミナトが裸で口に猿轡をされてテーブルの脚に両手両足を縛り付けられ寝かされていた。
「いませんね。今は仕事が楽しくていなくても十分です。最近はユーマ様と本のお話もできて前より充実していますしね」
「僕もレンと色々本の話ができて楽しいよ」
「ユーマ様は本当に可愛らしい方ですよね。さぁ、もう一杯紅茶はいかがですか?それとこちらが今日持ってきた本です。先日ユーマ様がお気に召していた本と同じ作者なのでこちらもお勧めしたく持って参りました」
レンはそう言って持ってきていた袋を僕に渡してくれた。
もう何冊もレンに本を借りていて借りた本全ての感想を僕は伝えていた。その為か、いつもレンが淹れてくれた紅茶を飲みながら読んでいるから表情を見られているのか分からないが、レンは僕がどんな内容を好み、どの作者が好きか把握している。
でもそれはレンが一流のメイドだからかもしれない。
こんなに気が利いて優しいレンに恋人がいないなんて不思議だ。もしかして仕事が忙しすぎるのが原因だったりして。
「レン、休みはちゃんと貰えてる?」
「どうしたんですか急に。きちんと頂いていますよ。私としてはもっとユーマ様のお世話をしたいくらいです」
レンの優しい笑顔が眩しい。本当の兄には甘えられないからレンのことを兄のように慕い、そして仲間のように思っていた。
「そういえばいつもお兄様の傍にいたメイド変わったんだね。前の子どうしたの?」
この日は珍しく読書を休んでジェイドと一緒にレンの淹れてくれた紅茶を飲みながらレン手作りのクッキーを食べていた。
レンの作るお菓子はどれも美味しくいつかジェイドにも食べさせてあげたいと思っていたのがやっと叶った。
「あぁ、あの子なら恋人ができたとかでその方と一緒になる準備のために実家に帰ったという話ですよ。私はそこまで仲良くなかったので噂話程度でしか知りませんが。でもあの子確か私と同い年なはずですから14歳だったはずです。その年でもう結婚を考えるなんて早いですよね。よほど相手の方を好きなんですね」
僕の言葉に不自然にジェイドのクッキーを食べる手が止まった気がしたけどそれよりレンの話の方が興味深い。
「それは喜ばしい話だね。相手はどんな人なんだろうね。あれだけ可愛い子の相手ならかっこいいんだろうな」
「ユーマ様が最近お気に入りの小説の2人のような感じかもしれませんね」
「あぁ、あの2人か。でもほら1週間前に借りた小説の脇役だけど素敵なカップルがいたでしょ。あんな感じかもしれないよ」
メイドの話からレンとの小説の中のカップルの話へと脱線して盛り上がっている横でジェイドが1人ぼー、とクッキーを食べていた。
「ジェイドどうしたの?なんだか静かだよ」
いつもは口を挟まないでもにこにこしながら話を聞いているのに、静かな様子のジェイドが気になり声をかけた。
「あっ、いや。俺もあのメイドのことはよく知らないんだけどそんな年なんだな、と思って。もっと幼いのかと思ってたからびっくりしたんだよ」
「そうだよね。僕もあの子僕と同い年くらいかと思ってたよ」
この世界の結婚適齢期は20歳くらいだから14歳で結婚を考える相手がいるという人は多くないがいる。そんな人は貴族で政略結婚なのでメイドが、となるとほぼいないから尚更びっくりだ。
そんな充実した毎日を送っていた僕の知らないところでそれは起こっていた。それはジェイドが怪我をした2日後でお兄様の部屋でのことだった。
「んー、んー」
ユーマの兄、クロードの部屋のテーブルの上でユーマが可愛いと言っていたクロード付きのメイドのミナトが裸で口に猿轡をされてテーブルの脚に両手両足を縛り付けられ寝かされていた。
14
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載


【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

異世界では総受けになりました。
西胡瓜
BL
尾瀬佐太郎はある日、駅のホームから突き飛ばされ目が覚めるとそこは異世界だった。
しかも転移先は魔力がないと生きていけない世界。
魔力なしで転移してしまったサタローは、魔力を他人から貰うことでしか生きられない体となってしまう。
魔力を貰う方法……それは他人の体液を自身の体に注ぎ込んでもらうことだった。
クロノス王国魔法軍に保護され、サタローは様々な人物から魔力を貰うことでなんとか異世界を生き抜いていく。
※アホ設定なので広い心でお読みください
※コメディ要素多め
※総受けだけど最終的には固定カプになる予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる