転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

めぐもふ

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 次の日は一日中ベッドで寝かされていた。
 いくら僕が大丈夫だと言っても心配した両親やジェイドから1日は部屋から出ることを禁止された。
 昨夜の鼻血は、この世界にはBLが一杯だということに気付いて興奮して出してしまった血です、なんて言えないから大人しく従っている。
 
 「ユーマ様持って参りました」
 「ありがとう」
 
 僕はベッドの中で大人しくすることにしたけど元気だから暇でしかたなかった。そこで僕付きのメイドに何冊かの本を持ってきてもらうことにした。
 この屋敷には図書室と呼ばれている部屋がありそこには沢山の本があった。もしかしたらその中にBL本があるかもしれないと思ったのだ。
 図書室からジャンルの違う本を3冊ほど持ってきて欲しいと頼んだのだが。
 
 「うーん」
 「どうかされましたか?もしかして持ってきた本が好みではなかったのですか?」

 僕はメイドが持ってきてくれた本をぱらぱらと捲り唸る。
 僕が今読みたいのは恋愛の話だ。
 だがメイドが持ってきてくれたのは。
 この家の歴史の本、この国の偉人達が紹介された本、そしてこの国やその周辺の地図だった。
 勉強にはなりそうだけど今の僕の気分ではない。
 僕は迷ったけど正直に話すことにした。

 「他の人には内緒にして欲しいんだけど恋愛の話が読みたかったんだ」
 「そうだったんですね。ユーマ様もそろそろ恋愛に興味を持たれるお年頃ですよね。でもこのお屋敷の図書室でそのような本は見たことありませんね」
 「そっか、ないのか」

 僕はメイドのその言葉を聞いて落ち込んだ。両親にそんな本を買って欲しいとねだるのはなんだか恥ずかしい気がした。だからBL本を堪能できるのは1人で自由に行動できるようになってからだと思うとその落ち込みも酷かった。
 僕のその様子を見たメイドは優しく声をかけてくれた。

 「私が持っているものでよければお貸ししますよ。実家にあるので次の休みに取りに行くとして1週間ほど待ってもらうことになりますが」
 「いいの?ありがとう」
 「旦那様方には内緒ですよ。まだ早いと考えていらっしゃるかもしれませんから」

 僕は前世の記憶があり精神的には20歳を超えているけどまだこの世界では8歳だ。確かに恋愛小説を読むのは早いのかもしれない。
 この優しいメイドには迷惑掛けないようにしようと心に誓った。
 この日は大人しくベッドの中でメイドが持ってきてくれた本を読んだ。
 この国の偉人達と地図を合わせて読み、生きている年代が同じで住んでいた場所も近い人がいればどこかで会って一回くらいそんな関係になっていないかな、とか家の歴史の中に出てくる当主夫婦の肖像画や紹介文を読んで2人の恋愛をあれこれ想像していた。
 メイドが持ってきてくれたこの屋敷の本でもベッドの中で1日楽しく過ごせた。
 その次の日にはベッドの中から出ることが許された。
 そして午前中に訓練、3食のジェイドの食事の世話、ジェイドとの入浴、午後からの図書室通いがそこに加わった。
 この1週間で恋愛小説ではない本から色々とBLを想像していたから妄想力がかなり鍛えられたと思う。
 僕は何を見ても恋愛に、BLに結びつける能力を手に入れた。

 コンコン

 「どうぞ」
 「失礼します」

 夜のんびりしているとあの優しいメイドが約束通り本を持ってやってきた。
 僕は1週間この日を楽しみに過ごしてきた。

 「約束の本を持ってきましたよ。とりあえず初心者用におすすめの本を3冊ほど持ってきました」
 「ありがとう」

 初心者用にと持ってきてもらったその本を僕は喜んで受け取る。初心者用じゃなく過激な内容だって僕は大丈夫なんだけどそんなことは言わないし、表情にだって出さない。

 「では失礼しますが夜更かしは駄目ですよ」

 僕がこれからこの本を読むことはメイドにはバレていた。
 メイドに迷惑をかけないと心に誓っていた僕はその注意に従う。だから続きが気になったら眠れなくなるからこの日は読むことをやめて明日から読むことにした。メイドにも一度持って帰ってもらう。そばにあると読みたくなるからね。
 腕が動かせるようになったジェイドとの食事と入浴は習慣化していて続いている。入浴中ジェイドの身体チェックもかかしていない。毎日どこかしらに痕があり仲良しだなと1人にまにまにしている。
 午前中の訓練も騎士の人達の中ですることが通常になり休憩時間に仲良しの人同士を見るとついつい妄想してしまう。
 午後は借りた本を読む。
 これがここ最近の日常だ。

 「この本の主人公の友達と主人公の兄も絶対両思いだよね」
 「ユーマ様いい所に気が付きましたね。その2人が主人公のお話もありますが読みますか?少々過激な内容になりますが」

 僕は借りた本を読みきって感想をメイドに話していた。今ではこのメイド、レンとは本の感想を言い合う大の読書仲間だ。レンも恋愛小説が大好きで実家に何冊も持っているらしい。

 「読みたいな、また持ってきてくれる?」
 「承知しました」

 レンの淹れてくれた紅茶を飲みながらお気に入りのシーンが書かれたページを読む。
 充実した腐活動がおくれていた。

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