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しおりを挟む「僕一緒にお風呂に入るって言ったよね」
いつもよりぐっすりとした昼寝から目覚めてジェイドの部屋へ行くとそこにジェイドの姿は無かった。
隣室の使用人に聞くとお風呂に向かったと言うので僕も慌ててお風呂へ向かう。
ジェイド達使用人が使うお風呂は僕達家族が使うものに比べると半分くらいの広さしかない。
前世の記憶で比べると家族用のお風呂は一般的な銭湯の男女風呂を合わせたくらい。
だから使用人のお風呂もそこそこの広さがあるのだが入浴する人数が違う。でも今は早い時間だからか、僕がいるから遠慮しているのか分からないがジェイドと2人しかいない。
脱衣所の扉を開けると隅でジェイドが苦戦しながら服を脱いでいた。
「ほら、こっち痛い方だよね。気をつけて脱いで。朝あんなに言ったのに酷いよ。次はズボンを脱いで。なんで黙って、しかも早目に入るんだよ」
僕は文句を言いながらジェイドの服を脱がしていく。
「上脱げたらあとは大丈夫だから。ご飯食べさせてもらったり一緒にお風呂入ったりするなんて恥ずかしいだろ」
「そんな手でどうやって髪洗うの?試しにやってみせてよ」
僕がそう言うとジェイドは腕を上げ手を動かす動作をした。
「痛っ」
途端小さい声をあげた。痛いのを我慢しようとしたが我慢できずに小さい声を漏らしてしまったみたいだ。
「ほら痛いんじゃん。もう服も脱いだし入るよ。滑らないように気をつけてよ」
ジェイドはもう嫌がらずに僕の思い通りにさせてくれるようだ。
「ほらここに座って」
シャワーの前に大人しくなったジェイドを座らせる。
「お客さんどこか痒いところはないですか?」
「なんだよそれ」
前世のちょっとした言葉でもこの世界では意味が通じないことが多い。
「うーんとね、今はジェイドが僕のご主人様だからジェイドが気持ちいいと思うことをしたいってことかな」
「なんでユーマが俺のご主人様なんだよ。とりあえず洗ってもらってるのすごい気持ちいいよ」
なんとか誤魔化して髪を洗っていく。
髪を洗い終えると次は身体だ。タオルに石鹸をつけて泡立てて優しく全身を洗っていく。
「んっ、」
「どうしたのジェイド」
脇腹の辺りを洗っていたらジェイドから小さな声が聞こえてきた。
「いやちょっとこそばくて」
「そうなんだ、ごめんね。終わるまで我慢してくれる」
「頑張るわ」
僕はそう言ったがあの声はこそばくてあげた声ではなかったと思う。その声は前世で毎日のように聞いていたBLのドラマCDの受の声に似ていた。
それに何も言わなかったけどジェイドの身体の色んな所に小さな痕がある。これはきっとキスマークというやつだなと1人にまにましていた。
誰だろうジェイドをこんな敏感な身体にして色んな所にキスマークまでつけるような相手は。
頭の中で屋敷にいる人たちの顔を思い出し1人色々妄想する。
「ユーマ、ユーマ。ユーマってばどうしたんだよ手止まってるぞ」
「わっ、ごめんね。考え事してた。洗えたから泡流すね」
僕は妄想に夢中でジェイドの身体を洗う手が止まっていた。
慌ててジェイドの前に置いてあった桶を取ろうと手を伸ばしたけど泡で前のめりになった足が滑って僕の手は勢いよくジェイドの胸、特に乳首の辺りを擦ってしまった。
「ひゃぁん」
今までにないほど可愛い声をジェイドは出す。
「ほんとごめんジェイド。もうあとは温まって出よう」
「うん」
ジェイドは小さくうなづいた。
ジェイドの耳は真っ赤だった。耳だけでなく全身真っ赤でどれだけ恥ずかしかったのかが一目で分かる。
僕は改めてジェイドの全身をこっそり観察していた。
毎日のように鍛錬に励んでいるから身体つきは筋肉質でがっしりしている。それによく陽に焼けている。だが下着の部分は焼けていないため白い。
それがエロい。
「ユーマ?」
こっそり見ていたはずが観察に夢中になりすぎてがっつりジェイドのことを凝視していた。
「ごめんね、僕も早くジェイドみたいな筋肉を付けたくて見ちゃってたよ。もうそろそろ出よっか」
「訓練毎日ちゃんと続けてたらユーマもこうなるよ。ユーマだって最初の頃よりは筋肉ついてきてると思うぜ」
僕は慌てて言い訳しながら湯船を出る。
慌てていたため足を滑らせこけそうになった。
その僕をジェイドは抱き止めてくれる。
「ユーマ大丈夫か?」
ジェイドが心配して声をかけてくれるけど僕はそれどころじゃなかった。
だって鏡に映った僕達の姿を見て分かってしまったんだから。
この世界男しかいないんだからどこを見てもBLじゃん、と。
「ユーマ、ユーマ!」
ジェイドが僕の顔を覗き込んできてびっくりしている。僕は興奮のあまり鼻血を出していた。
そこからはあまり記憶がないがジェイドが呼んだ使用人によって部屋に運ばれて寝かされていたようだ。
腕怪我してるのに迷惑かけてごめんジェイド。
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