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朝起きてまずジェイドの所へ行く。
この家の主人たちより使用人の朝は早い。主人達が起き出す前に使用人は朝ご飯を食べそれから仕事が始まる。
だから僕はいつもより早めに起きて使用人達が利用する食堂へとやってきた。
「おはようジェイド、調子はどう?」
「ユーマ、なんでここに!」
僕が声をかけるとジェイドは驚いた顔をして食事をする手が止まっていた。
食堂にはもうほぼ人がいなかったがまだいた何人かはジェイドと同じように驚いた顔をして僕のことを見ていた。
「昨日ジェイドのお世話をするって言ったじゃないか。もう、こんなに溢して。いつもと逆の手じゃ食べづらいだろ。僕が食べさせてあげるよ。ほら、あーん」
ジェイドの皿の周りにはスクランブルエッグやサラダやらが少し散らかっていた。
「大丈夫だよ自分で食べられるから」
ジェイドが色々言ってくるが僕はそれを無視してフォークに刺したサラダをジェイドの口元へ持っていく。
「ほら早く食べないと片付けできないよ」
ジェイドは諦めたのか大きな口を開けた。僕はそこに食べ物を入れる。
「おいしい?」
「うん、おいしい。けどこんな所クロード様に見つかったらなんて言われるか」
最後の方は小声だったからなんて言っていたのか聞こえなかったがジェイドが美味しいと言ってくれたことが嬉しくて次はウインナーを口へ持っていく。
「ほらもっと沢山食べて」
「それぐらいは自分で食べられるよ」
「いいから。ほら、あーん」
そこからはあまり嫌がらず残り全て僕が食べさせてあげた。
「全部食べたね。そういえばジェイド人参嫌いじゃなかったか?ユーマ様に食べさせてもらったから食べられたとかか」
食器を下げに来た使用人に指摘されジェイドは顔を真っ赤にしていた。
「ジェイドそれ本当?」
「人参嫌いなのは本当。でもユーマが食べさせてくれたからいつもより美味しく感じた」
その言葉に僕は思わずジェイドの頭を撫でた。
「ジェイド可愛いねー」
「よせ、やめろ。子供扱いするな」
いつもより賑やかな食堂のその光景をその場にいた人は微笑ましく見ていた。
「ジェイド食事以外に困ったことはなかった?」
僕も朝食を食べ終え今はジェイドと2人で僕の部屋で食後の紅茶を飲んでいた。
「うーん、そうだな。まだそんなに時間経ってないからよく分からないけど、手首曲げると痛いから服を着たり脱いだり、あとはお風呂に入る時は大変だったな」
ジェイドは僕が何を考えているかなんて考えないで僕の質問に答えてくれた。そういう素直でまっすぐなところ本当にかわいい。
前世が社会人で成人していたからか他の人の子供らしいところを見るとすごく可愛く感じてしまう。
というか子供というだけで可愛い。
「じゃあ今日は僕と一緒に入ろう。僕がジェイドのお世話するんだから」
「ええっと、じゃあ父さんが許可したらな」
ジェイドは多分僕にそんなことさせられないと思っているが自分だけでは上手く断ることができないから父親に丸投げしたんだろうな。
「うん分かった。先生に訓練の時許可貰っておくね。時間は後で伝えるから」
それで話は終わり僕は剣の訓練へ、訓練に参加できないジェイドは父親のお使いで街へ行った。
いつもはジェイドと先生の3人で裏庭の一角で訓練をしているのだが今日は違う場所に連れて行かれた。
「今日からしばらくユーマ様も皆さんの訓練に参加させていただきます」
「よろしくお願いします」
先生に連れて行かれたのは僕の家で働いている騎士達の訓練場だ。そこには20人ほどの大人がいた。騎士は全員で30人ほどいるはずだから残りの人は家族の誰かの護衛や当直明けなどで休んでいるんだろう。
その日の訓練は騎士の人達が代わる代わる相手をしてくれた。向こうも多少は手加減してくれていたとはいえいつもジェイド1人だけを相手している僕にとってはそれぞれ癖の違う人を相手にしないといけない。いつもより訓練時間は短かったのにいつも以上に疲れてしまった。
訓練終わりに軽く汗を流していつもはしない昼寝をすることにした。
もちろん先生にジェイドとの入浴の許可を取ることも忘れてはいなかった。
昼寝は服の乱れもなく無事にすることができた。
この家の主人たちより使用人の朝は早い。主人達が起き出す前に使用人は朝ご飯を食べそれから仕事が始まる。
だから僕はいつもより早めに起きて使用人達が利用する食堂へとやってきた。
「おはようジェイド、調子はどう?」
「ユーマ、なんでここに!」
僕が声をかけるとジェイドは驚いた顔をして食事をする手が止まっていた。
食堂にはもうほぼ人がいなかったがまだいた何人かはジェイドと同じように驚いた顔をして僕のことを見ていた。
「昨日ジェイドのお世話をするって言ったじゃないか。もう、こんなに溢して。いつもと逆の手じゃ食べづらいだろ。僕が食べさせてあげるよ。ほら、あーん」
ジェイドの皿の周りにはスクランブルエッグやサラダやらが少し散らかっていた。
「大丈夫だよ自分で食べられるから」
ジェイドが色々言ってくるが僕はそれを無視してフォークに刺したサラダをジェイドの口元へ持っていく。
「ほら早く食べないと片付けできないよ」
ジェイドは諦めたのか大きな口を開けた。僕はそこに食べ物を入れる。
「おいしい?」
「うん、おいしい。けどこんな所クロード様に見つかったらなんて言われるか」
最後の方は小声だったからなんて言っていたのか聞こえなかったがジェイドが美味しいと言ってくれたことが嬉しくて次はウインナーを口へ持っていく。
「ほらもっと沢山食べて」
「それぐらいは自分で食べられるよ」
「いいから。ほら、あーん」
そこからはあまり嫌がらず残り全て僕が食べさせてあげた。
「全部食べたね。そういえばジェイド人参嫌いじゃなかったか?ユーマ様に食べさせてもらったから食べられたとかか」
食器を下げに来た使用人に指摘されジェイドは顔を真っ赤にしていた。
「ジェイドそれ本当?」
「人参嫌いなのは本当。でもユーマが食べさせてくれたからいつもより美味しく感じた」
その言葉に僕は思わずジェイドの頭を撫でた。
「ジェイド可愛いねー」
「よせ、やめろ。子供扱いするな」
いつもより賑やかな食堂のその光景をその場にいた人は微笑ましく見ていた。
「ジェイド食事以外に困ったことはなかった?」
僕も朝食を食べ終え今はジェイドと2人で僕の部屋で食後の紅茶を飲んでいた。
「うーん、そうだな。まだそんなに時間経ってないからよく分からないけど、手首曲げると痛いから服を着たり脱いだり、あとはお風呂に入る時は大変だったな」
ジェイドは僕が何を考えているかなんて考えないで僕の質問に答えてくれた。そういう素直でまっすぐなところ本当にかわいい。
前世が社会人で成人していたからか他の人の子供らしいところを見るとすごく可愛く感じてしまう。
というか子供というだけで可愛い。
「じゃあ今日は僕と一緒に入ろう。僕がジェイドのお世話するんだから」
「ええっと、じゃあ父さんが許可したらな」
ジェイドは多分僕にそんなことさせられないと思っているが自分だけでは上手く断ることができないから父親に丸投げしたんだろうな。
「うん分かった。先生に訓練の時許可貰っておくね。時間は後で伝えるから」
それで話は終わり僕は剣の訓練へ、訓練に参加できないジェイドは父親のお使いで街へ行った。
いつもはジェイドと先生の3人で裏庭の一角で訓練をしているのだが今日は違う場所に連れて行かれた。
「今日からしばらくユーマ様も皆さんの訓練に参加させていただきます」
「よろしくお願いします」
先生に連れて行かれたのは僕の家で働いている騎士達の訓練場だ。そこには20人ほどの大人がいた。騎士は全員で30人ほどいるはずだから残りの人は家族の誰かの護衛や当直明けなどで休んでいるんだろう。
その日の訓練は騎士の人達が代わる代わる相手をしてくれた。向こうも多少は手加減してくれていたとはいえいつもジェイド1人だけを相手している僕にとってはそれぞれ癖の違う人を相手にしないといけない。いつもより訓練時間は短かったのにいつも以上に疲れてしまった。
訓練終わりに軽く汗を流していつもはしない昼寝をすることにした。
もちろん先生にジェイドとの入浴の許可を取ることも忘れてはいなかった。
昼寝は服の乱れもなく無事にすることができた。
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