上 下
3 / 72

3

しおりを挟む
 強くなろうと決意して半年が経った。日々強くなっていると思うけど、まだこれでは8歳も歳上の兄にはいざという時勝てない。
 中々思ったようにはいかないな。
 基礎はそろそろ学び終えるから次は体格差のある人間に襲われた時の対処法を応用編として教えてもらおうと思っている。

 「ユーマ今日もお疲れ。毎日頑張ってるな、えらいえらい」

 今日の訓練を終えてお風呂に入ろうと廊下を歩いていたら突然後ろから頭を撫でられた。
 後ろを振り返ると筋肉ムキムキな大きな男の人がいた。

 「お母様」

 僕はそう言ってその筋肉ムキムキの大きな男の人に抱きついた。
 抱きついてきた僕の頭をその人は優しく撫でてくれる。
 優しく撫でてくれるのが嬉しくてすりすりと擦り寄り甘える。すると逞しい腕に抱き上げられた。

 「ユーマは相変わらず甘えん坊だな。それにしても大分筋肉ついてきたな」
 「お母様に比べるとまだまだですよ」

 そう言って僕は男の人の腕や胸の筋肉を触った。
 この世界の僕の性格が甘えたなため前世の大人の記憶があってもよく甘えてしまう。
 この世界は全員が男の人でどこを見ても女の人はいない。それなのに子供はできる。
 子供を作れる身体になることができれば子供は誰でも作れる。
 12歳頃から子供を作れる身体に変化する。ただし何回もセックスをしてその身体の中に沢山の精液を注がれることで段々と子供が作れる身体へと変わっていく。
 だから同じ年齢でも攻め側だとその身体は子供が作れるように変化はしていない。
 12歳頃から身体は変化していくためゲームの中の兄のイタズラはその年齢が近づいていくごとに淫らになっていった。

 「2人とも何してるんだい?」

 そう言いながらやってきたのは線の細い儚げな美人だった。
 この人は僕のお父様だ。
 このお父様があのムキムキなお母様に僕達兄弟を産ませたのだと思うとちょっとびっくりだ。絶対お父様の方が受っぽい。
 じー、とお父様のことを見ていた。

 「ふふふ、ユーマは可愛いね。今度はお父様が抱いてやろう。おいで」

 そう言われてお母様の腕からお父様の腕へと移動する。
 お父様はお母様と違い筋肉はそれほどないがしっかりと抱いていてくれて安心感がある。それにほんのり甘い香りがしていつまでもこの腕の中にいたくなる。そんな所も前世の母親像を思い出させる。
 この儚げ美人なお父様がどうムキムキのお母様を抱いたのかものすごく興味がある。腐男子になりたてだったからもっと色々な本を読みゲームもしたかったという後悔は強い。
 両親2人に可愛がられながら僕は腐ったことを考えていた。

 「父上、母上、それにユーマこんな所でどうしたんですか?」

 お父様が来たのとは反対の方から兄がやってきた。

 「おう、クロード。ユーマに少しずつ筋肉が付いてきたんじゃないかと話をしていたんだ。お前ももう少し外に出た方が健康にもいいんじゃないか」
 「お母様の言う通りだよ。こんなに色白で、病弱だからと言って一歩も外に出ないのは逆に身体に悪いって先生も仰っていたよ」

 両親は病弱だと言っている兄を心配して少しでも外に出るように勧めている。

 「そうですね、今より外に出る時間を長くしたいと思います。ユーマそんなに筋肉が付いたのかい。お兄様にも触らせておくれ」

 両親の提案に軽く答えると今度は満面の笑みで僕の方へと手を伸ばしてくる。
 僕は兄に触られないようお母様の後ろにそっと隠れようとした。

 「クロード様、家庭教師の先生がおみえです。自室へお帰り下さい」

 突然聞こえてきた第三者の声にびっくりして逃げるのが遅れた。兄の手は僕の頭と腰に置かれ抱き寄せられた。
 4人で声の主を見るとそこには僕と同い年くらいの女の子のような可愛い容姿でエプロンドレスを着たメイドが立っていた。  
 女の子のように可愛くてもここは男しかいない世界。もちろんその子も男の子だ。
 容姿も可愛いが変声期前のその声もまた可愛い。

 「クロード様あまり先生をお待たせしてはいけませんよ。旦那様奥様失礼します」

 僕の両親に挨拶をして僕に触れている兄の手を取って去って行く。僕には一言の挨拶も無かった。
 おまけに睨まれたような気がする。
 同じ年頃だから仲良くなりたいのに僕はあの子に嫌われているようだ。
 そのあとは予定通り汗を流していつも通り過ごした。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。 毎週水曜に更新予定です。 宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー

チョコミント
BL
落ちこぼれ魔法使いと4人の聖騎士とのハーレム物語が始まる。 生まれてから病院から出た事がない少年は生涯を終えた。 生まれ変わったら人並みの幸せを夢見て… そして生前友人にもらってやっていた乙女ゲームの悪役双子の兄に転生していた。 死亡フラグはハーレムエンドだけだし悪い事をしなきゃ大丈夫だと思っていた。 まさか無意識に悪事を誘発してしまう強制悪役の呪いにかかっているなんて… それになんでヒロインの個性である共魔術が使えるんですか? 魔力階級が全てを決める魔法の世界で4人の攻略キャラクターである最上級魔法使いの聖戦士達にポンコツ魔法使いが愛されています。 「俺なんてほっといてヒロインに構ってあげてください」 執着溺愛騎士達からは逃げられない。 性描写ページには※があります。

悠久の機甲歩兵

竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。 ※現在毎日更新中

突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています

ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた 魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。 そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。 だがその騎士にも秘密があった―――。 その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。

ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく
BL
ちょっと早めのハロウィンとは名ばかりのコスプレ呑み会の会場に入ろうとしてドアを開けたら異世界転移してしまった紫苑 魔法があり魔獣もいる世界で生きるためにハンターになることにしたが、特大の問題があった 転移した国は慢性的な水不足で風呂文化が存在しなかったのだ クリーンの魔法では汚れは落ちるが風情が無い! 風呂文化がない事が我慢できない紫苑はチートな魔力で風呂を普及するべく行動に出る 風呂が好きなのに、日本では銭湯・スーパー銭湯・レジャープールに入れなかった鬱憤は異世界で晴らす! もう我慢はしないと決めた男がチート級の魔力にモノを言わせて花嫁たちを溺愛つつ異世界で好き勝手する話 6章から不定期更新になります 嫁を愛でたい男の日常の話です 糖度が高いです お風呂まで長いです R18までも長いです(3章に少し、4章から) 素人がスマホでポチポチ書いています キリの良いところまで複数話更新することがあります 選択肢が増えると良いな、と思い総攻めを投稿してみました 何でも許せる方、お付き合いください

処理中です...