2 / 72
2
しおりを挟む
前世の僕は女性向けゲーム会社に勤めていてそこでプログラマーをしていた。
僕が転生してしまったこの世界もチームの一員として製作に参加していた。
プログラマーだけどある1人の攻略キャラのシナリオも担当していた。上司は前に同じように担当したストーリーが人気があったからだと言っていたが本当はメインシナリオと他の攻略キャラ何人かのストーリーを人気ライターが担当したから経費削減のため僕と他数名の社員にストーリーを作れと言ってきたのだと思っている。
最終チェックは人気ライターの手が入るのだから僕達が担当する必要があるのか分からないが、全て任せるよりは多少は予算が抑えられるのだろう。
この18禁BLゲームを作るために沢山のBLゲームをプレイし、本を読んだ。そしてハマった。立派な腐男子だ。
人気シナリオライターのシナリオだけあって完成度は素晴らしいものだった。18禁だけあってしっかりエロいが一人一人のストーリーが奥深い。僕達が担当したところもいい感じに手直しされている。
僕も何回もプレイして推し様までできてしまった。全年齢対応も発売され、一般人気もすごく沢山のグッズも出ている。もちろん僕の部屋も推し様のグッズで溢れている。
「尊い」
この日は続編の発売日で届いたばかりのパッケージの両面をかれこれ30分ほど眺めていた。
仕事で二徹してきて帰り疲れ切っているはずなのに元気になった気がする。
続編は製作チームにいなかったため完全初見だった。だから尚更楽しみにしていた。
帰ってきてから朝までゲームをしていたことは覚えている。そして時間になったから渋々出社したことも覚えているがその後の記憶がない。あんなに大好きだったゲームのタイトルも覚えていない。内容も大まかなストーリー以外は忘れていることの方が多い。
それでも楽しかった前世、もっと色んなゲームを作りたかったし腐活動もしたかったな。
でも今こうなってしまったのだから後悔しても無駄だ。これからのことを考えないと。
「ビッチになんかなるもんか」
「ユーマ何か言ったかい?」
僕の頭の上から兄の声が聞こえてくる。僕がビッチになってしまった原因の人だ。今も僕は兄の膝の上にいて兄に抱きかかえられるようにして本を読んでいた。
「なんでもないですよお兄様」
「お兄様なんて、前までは『お兄ちゃま』と可愛く呼んでくれていたのに。もうあんな風に可愛く呼んでくれないのかい?」
僕はこの兄の悪戯から逃れるために甘えることを止めた。まずは呼び方から変えた。それがこの兄には寂しいようだ。
「いつまでも甘えてばかりいては駄目だから」
「ユーマはいつまででも甘えてくれていいんだよ。僕の可愛い弟のままでいてほしいんだ」
兄は抱きしめる力を強め僕の首筋に頬を擦り付けてくる。首筋に兄の唇が触れた。慌てて兄から離れようとしたけど僕と兄は8歳差、兄の力には敵わない。
「ユーマ、僕の可愛い可愛いユーマ」
僕を抱きしめ首筋に頬を擦り付けたまま兄は呟いている。
その体勢は兄の家庭教師が来たことを知らせにメイドが来るまで続いた。
兄は今16歳で学園に通える歳だが身体が弱いことを理由に通わず家庭教師を付けている。
でもこれはただ僕と一緒にいたいための理由だと思う。確かに兄は身体は弱いが学園で寮生活できないほど弱くはないはずだ。
医者も大丈夫だと言っていたのを僕は聞いたことがある。けれど子供達に甘い両親は兄のしたいようにさせている。
兄は僕も自分と同じように家庭教師を付けて学園に行かさないようにと考えているようだ。
学園には別に行きたくない。ゲームの舞台だ、いつ何が起きるか分からない。でもこのまま屋敷で兄と過ごすのも不安だらけだ。
兄に甘えることを止めること、お兄ちゃま呼びをやめた事以外に兄からの悪戯から逃れるために僕以外のお気に入りを見つけてもらうこと、何かあった時のために抵抗できるよう剣術、武術を習うことを心に決めた。
そして両親に言ったところすんなり許可がおり、1週間後には僕の剣術、武術の先生がやってきた。
僕が転生してしまったこの世界もチームの一員として製作に参加していた。
プログラマーだけどある1人の攻略キャラのシナリオも担当していた。上司は前に同じように担当したストーリーが人気があったからだと言っていたが本当はメインシナリオと他の攻略キャラ何人かのストーリーを人気ライターが担当したから経費削減のため僕と他数名の社員にストーリーを作れと言ってきたのだと思っている。
最終チェックは人気ライターの手が入るのだから僕達が担当する必要があるのか分からないが、全て任せるよりは多少は予算が抑えられるのだろう。
この18禁BLゲームを作るために沢山のBLゲームをプレイし、本を読んだ。そしてハマった。立派な腐男子だ。
人気シナリオライターのシナリオだけあって完成度は素晴らしいものだった。18禁だけあってしっかりエロいが一人一人のストーリーが奥深い。僕達が担当したところもいい感じに手直しされている。
僕も何回もプレイして推し様までできてしまった。全年齢対応も発売され、一般人気もすごく沢山のグッズも出ている。もちろん僕の部屋も推し様のグッズで溢れている。
「尊い」
この日は続編の発売日で届いたばかりのパッケージの両面をかれこれ30分ほど眺めていた。
仕事で二徹してきて帰り疲れ切っているはずなのに元気になった気がする。
続編は製作チームにいなかったため完全初見だった。だから尚更楽しみにしていた。
帰ってきてから朝までゲームをしていたことは覚えている。そして時間になったから渋々出社したことも覚えているがその後の記憶がない。あんなに大好きだったゲームのタイトルも覚えていない。内容も大まかなストーリー以外は忘れていることの方が多い。
それでも楽しかった前世、もっと色んなゲームを作りたかったし腐活動もしたかったな。
でも今こうなってしまったのだから後悔しても無駄だ。これからのことを考えないと。
「ビッチになんかなるもんか」
「ユーマ何か言ったかい?」
僕の頭の上から兄の声が聞こえてくる。僕がビッチになってしまった原因の人だ。今も僕は兄の膝の上にいて兄に抱きかかえられるようにして本を読んでいた。
「なんでもないですよお兄様」
「お兄様なんて、前までは『お兄ちゃま』と可愛く呼んでくれていたのに。もうあんな風に可愛く呼んでくれないのかい?」
僕はこの兄の悪戯から逃れるために甘えることを止めた。まずは呼び方から変えた。それがこの兄には寂しいようだ。
「いつまでも甘えてばかりいては駄目だから」
「ユーマはいつまででも甘えてくれていいんだよ。僕の可愛い弟のままでいてほしいんだ」
兄は抱きしめる力を強め僕の首筋に頬を擦り付けてくる。首筋に兄の唇が触れた。慌てて兄から離れようとしたけど僕と兄は8歳差、兄の力には敵わない。
「ユーマ、僕の可愛い可愛いユーマ」
僕を抱きしめ首筋に頬を擦り付けたまま兄は呟いている。
その体勢は兄の家庭教師が来たことを知らせにメイドが来るまで続いた。
兄は今16歳で学園に通える歳だが身体が弱いことを理由に通わず家庭教師を付けている。
でもこれはただ僕と一緒にいたいための理由だと思う。確かに兄は身体は弱いが学園で寮生活できないほど弱くはないはずだ。
医者も大丈夫だと言っていたのを僕は聞いたことがある。けれど子供達に甘い両親は兄のしたいようにさせている。
兄は僕も自分と同じように家庭教師を付けて学園に行かさないようにと考えているようだ。
学園には別に行きたくない。ゲームの舞台だ、いつ何が起きるか分からない。でもこのまま屋敷で兄と過ごすのも不安だらけだ。
兄に甘えることを止めること、お兄ちゃま呼びをやめた事以外に兄からの悪戯から逃れるために僕以外のお気に入りを見つけてもらうこと、何かあった時のために抵抗できるよう剣術、武術を習うことを心に決めた。
そして両親に言ったところすんなり許可がおり、1週間後には僕の剣術、武術の先生がやってきた。
13
お気に入りに追加
309
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった
藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。
毎週水曜に更新予定です。
宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。
強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー
チョコミント
BL
落ちこぼれ魔法使いと4人の聖騎士とのハーレム物語が始まる。
生まれてから病院から出た事がない少年は生涯を終えた。
生まれ変わったら人並みの幸せを夢見て…
そして生前友人にもらってやっていた乙女ゲームの悪役双子の兄に転生していた。
死亡フラグはハーレムエンドだけだし悪い事をしなきゃ大丈夫だと思っていた。
まさか無意識に悪事を誘発してしまう強制悪役の呪いにかかっているなんて…
それになんでヒロインの個性である共魔術が使えるんですか?
魔力階級が全てを決める魔法の世界で4人の攻略キャラクターである最上級魔法使いの聖戦士達にポンコツ魔法使いが愛されています。
「俺なんてほっといてヒロインに構ってあげてください」
執着溺愛騎士達からは逃げられない。
性描写ページには※があります。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる
おりく
BL
ちょっと早めのハロウィンとは名ばかりのコスプレ呑み会の会場に入ろうとしてドアを開けたら異世界転移してしまった紫苑
魔法があり魔獣もいる世界で生きるためにハンターになることにしたが、特大の問題があった
転移した国は慢性的な水不足で風呂文化が存在しなかったのだ
クリーンの魔法では汚れは落ちるが風情が無い!
風呂文化がない事が我慢できない紫苑はチートな魔力で風呂を普及するべく行動に出る
風呂が好きなのに、日本では銭湯・スーパー銭湯・レジャープールに入れなかった鬱憤は異世界で晴らす!
もう我慢はしないと決めた男がチート級の魔力にモノを言わせて花嫁たちを溺愛つつ異世界で好き勝手する話
6章から不定期更新になります
嫁を愛でたい男の日常の話です
糖度が高いです
お風呂まで長いです
R18までも長いです(3章に少し、4章から)
素人がスマホでポチポチ書いています
キリの良いところまで複数話更新することがあります
選択肢が増えると良いな、と思い総攻めを投稿してみました
何でも許せる方、お付き合いください
異世界に転生したらめちゃくちゃ嫌われてたけどMなので毎日楽しい
やこにく
BL
「穢らわしい!」「近づくな、この野郎!」「気持ち悪い」
異世界に転生したら、忌み人といわれて毎日罵られる有野 郁 (ありの ゆう)。
しかし、Mだから心無い言葉に興奮している!
(美形に罵られるの・・・良い!)
美形だらけの異世界で忌み人として罵られ、冷たく扱われても逆に嬉しい主人公の話。騎士団が(嫌々)引き取
ることになるが、そこでも嫌われを悦ぶ。
主人公受け。攻めはちゃんとでてきます。(固定CPです)
ドMな嫌われ異世界人受け×冷酷な副騎士団長攻めです。
初心者ですが、暖かく応援していただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる