279 / 297
人間領vs魔人領
259 雷と水
しおりを挟む
空が瞑色となり、地上戦では残る魔人軍は数百となり、足の速い魔獣群との戦いも始まっている。
討ち倒した魔人達は生きた者も死んだ者も全て戦場を整える為に端に寄せられており、死にかけた者に対してはある程度の回復魔法も施してある。
すでに連合軍近接部隊にも二割近い被害が出ており、この後の魔獣群戦げ厳しいと判断せざるを得ない。
消耗しているとはいえ人間側の主力部隊が出る必要がありそうだ。
そんな中、隠れていた偵察隊からの一報で大王がこちらに向かっている事が確認された。
大王と魔貴族が二人、ザウス王国に向かっているとの事だがその先にはデーモンと戦う蒼真とアイリがいるはずだ。
「蒼真達の元へは私が向かいましょう」
「うむ。頼むぞダルク。ジェイラス卿は魔獣群の相手をよろしいか。おそらくは超級もおるでしょうからな」
「一人では厳しいかもしれんがやってみよう」
この魔獣群にも超級は数体いるものと考えられる。
ジェイラス一人では一体を相手するのも厳しいが、今も魔貴族軍と戦う主力部隊にも戦闘を終え次第戦ってもらう必要がありそうだ。
まだ戦っていないデーモンも一体いるが、動きを見せない為今はまだ放置しておく。
今もまだ先代守護者である魔貴族の老人と戦うニコラスだが、デーモンを倒した後であり残る魔力量からこの老魔人を倒せるかどうか難しいところだ。
地属性強化を得意とする老魔人の斬撃は鋭く重い。
ニコラスから見ても相当な実力者となったウルハやエイミーだったが、この老魔人が相手では勝てないのも頷ける。
ニコラスの雷撃も属性の相性からか威力が十全に通らないようにも思える。
剣技は互角のようだが、動きを止めては剣の速度で上回る老魔人が優位であり、ニコラスは体捌きと瞬雷による加速とで老魔人相手にも引けを取らない戦いぶりをみせる。
この思わぬ好敵手に老魔人も獰猛な笑みを浮かべて斬り結び、対するニコラスも主人である朱王をも思わせる程の実力を持つ相手に全力をもって魔剣を振るう。
魔貴族軍との戦いが始まってすでに三時間が経過しようというのに、老人二人の白熱した戦いはまだまだ続きそうだ。
老魔人ラシャドと向かい合うウェストラル王国聖騎士長シルヴィア。
「いくぞヴァリエッタ!」
下級魔法陣を発動し、魔剣オルナの迅雷を通して精霊ヴォルトへと魔力を注ぎ込む。
雷鳥の姿をした精霊は翼を広げて目にも止まらぬ速度で飛び回る。
「ほうほう。先程の者よりも出力の高い雷魔法が見れそうじゃの。どれ、わしの風魔法も見せてやろうか」
精霊剣を右に構えるラシャドは暴風を纏ってシルヴィアを手招く。
瞬雷により一瞬でラシャドの背後へと移動したシルヴィアは体を捻りながらその背中に斬り付ける。
その速度を予想していなかったラシャドも咄嗟に回転しながら精霊剣を振るうも、間に合わずその背に斬撃と雷撃を受ける。
風の鎧により傷を負う事はなかったものの、雷撃を相殺しきれずに背中を痺れさせ、飛行装備が停止して高度を落とし始めるラシャドをシルヴィアは追う。
高い魔力放出により麻痺も払い除け、上空から襲いくるシルヴィアの斬撃を受け止めた瞬間にその姿が掻き消える。
再び瞬雷による移動をしたシルヴィアがラシャドの左後方へと現れ、横腹に雷刃で斬り付ける。
雷球に多様性を持たせて戦ったレオナルドとは違い、雷魔法の速度を重視して戦うシルヴィア。
速さに自信を持っていたラシャドもこのシルヴィアの速度には驚きの表情を見せる。
しかし出力の不足するシルヴィアの雷刃はラシャドの風の鎧を貫く事はできず、わずかに雷撃のダメージを通すのみ。
対してラシャドの風の刃はシルヴィアの雷壁をも易々と突き破ってくる事だろう。
しかしシルヴィアにとって雷壁は完全な防御ではなく、防御と同時に雷撃による熱と麻痺を与える攻防一体の障壁だ。
一瞬でも動きを抑える事ができればその攻撃を防ぐ事も難しくはないのだ。
瞬雷による移動方は魔力の消費が激しく多用する事もできないが、最初の二撃でいつどのタイミングで発動してくるかわからないようラシャドに印象だけを残し、体勢を崩したところから雷刃による自身の剣技でラシャドに挑む。
攻勢に回ったシルヴィアは強く、反撃を繰り出したとしても蒼真達とのあまりにも激しい防御の訓練のおかげもあって攻守が入れ替わる事はない。
シルヴィアの強さを嬉しく思ったラシャドは年甲斐もなくこの戦いに気持ちが昂る。
向かい合って早々に上級魔法陣ボルテクスを発動したノーリス国王イスカリオットは、竜人ルエとの訓練で身につけた雷竜化をして聖剣フラガラッハを構える。
緑雷が体を包み込み、竜鱗浮き上がるその姿はルエを模したものだろう。
守護者ジャレンはこの雷竜化したイスカリオットに驚愕しつつも、自信も呪文を唱えて精霊化。
炎の竜魔人となって豪焔を放つ。
翼を羽ばたかせて前に出るジャレンだが、膨大な魔力を放出したイスカリオットから緑雷が繋がり、振り払おうとするも緑雷は繋がったまま。
今この状態が危険と判断したジャレンはで全身を業焔で包み込み、精霊剣を構えてイスカリオットに備える。
膨大な魔力を放出したイスカリオット。
轟音と共に掻き消えると同時にジャレンは四肢が弾け飛ぶ程の衝撃が体を貫き、意識が飛びそうになりながらもこの業雷に耐える。
ジャレンの背後へと突き抜けたイスカリオットは聖剣を振り抜くも、正面に構えた精霊剣に当たって斬り伏せる事はできなかった。
この光速移動の斬撃は自身の技として振るったとしても軌道の修正が効かない。
そして精霊剣を構える魔人に直線的に向かうこの技は諸刃の剣でもあるのだ。
精霊剣を払い除けなければ自信の体にその刃が食い込む事になるだろう。
一撃を耐え切ったジャレンには緑雷がまだ繋がったままであり、今は全身のダメージを回復する為に回す魔力が惜しい。
全魔力を業焔の防御膜へと注ぎ込み、再び魔力を高めたイスカリオットに精霊剣を向けて構える。
攻撃に出るべきだが速度で勝るイスカリオットには届く事はないだろう。
雷撃に耐えて隙を突いて斬り込むしかない。
轟音と共にジャレンへと業雷が落ち、全身に走る衝撃に耐え切ったジャレンは背後にいるであろうイスカリオットへと振り向く。
しかし次の瞬間に再び業雷に襲われたジャレン。
纏う業焔はそのままに腹部を斬り裂かれて業雷による衝撃が体を突き抜ける。
業雷の出力をある程度は相殺できているとしてもその衝撃は凄まじく、腹部を斬られては次の斬撃も防ぐ事は不可能だろう。
その後も業焔の出力を落とさずにイスカリオットの業雷に耐え続け、十を超える業雷を浴び、全身を斬り刻まれて地上へと落ちていった。
この戦闘を圧勝と思われたイスカリオットだが、ジャレンが業雷を相殺し切れなかったのと同じようにイスカリオットも業焔を全て相殺できてはいない。
全身に火傷を負い、多くの魔力を失った事から戦いの継続は難しいだろう。
作り上げた精霊魔導の特性上、短期決戦、それも個人戦向きとなるイスカリオットの能力では強者を一人倒せれば目的は果たしたと考えていいだろう。
この後はザウス王と代わって戦線の指揮に回るつもりでいる。
雷竜化を解除して本陣へと向かって飛び立った。
ウェストラル国王ハロルドの相手をするのは守護者ケレンだが、人間を好むこの魔人は一国の王を相手にどう戦うのか。
水棲魔獣のような精霊を聖剣フロッティに纏わせると、ハロルドを守るかのようにコーアンは渦を巻く。
対するケレンは地属性強化を施して長大な精霊剣を肩に担ぐようにして構える。
ハロルドが聖剣を薙ぐとコーアンは大きな口を開けてケレンへと向かい、強化のみの精霊剣で薙ぎ払い水刃を撒き散らす。
喰らいつこうと何度でも襲い掛かるコーアンを余力をもって打ち払うケレンだが、ハロルドはコーアンの内部を通って急接近。
コーアンから吐き出されるようにしてケレンに斬り掛かる。
咄嗟にハロルドの斬撃を受けるもコーアンの喰らい付きは止まる事なくケレンを襲う。
コーアンの体内に取り込まれた二人は斬撃を重ね合い、ケレンの威力の高い一撃にハロルドが払い除けられたところでコーアンの体内にいるのはケレンのみ。
コーアンの分解が始まり、水刃のミキサーがケレンの体を切り刻む。
しかし魔力強化の高いケレンが相手ではコーアンの水刃は体表を浅く傷つけるのみであり、ケレンの超威力の剣圧によって打ち破られた。
「さすがは国王。驚くべき精霊魔法の使い手だ。まるで魔法が自由意思を持っているようだ」
「コーアンは私を守護する精霊。其方の言う通り自由意思を持っておる」
「面白い。人間は興味が尽きる事はないな」
「我ら人間もここ最近では魔人に興味を持っている。共に歩めればと思うが戦いに決着をつけなければ終わる事ができないのだったな」
「うむ。我らが勝利したとて人間をそう悪く扱うつもりはない。その能力を活かして働いてもらう事にはなるがな」
「いや、我ら人間が勝利しても魔人をそう悪く扱うつもりもないぞ」
「ふはは。だが勝つのは我ら魔族だ」
互いの意見が一致していようとこの戦いを終わらせる必要がある。
違うとすれば人間領を取り込もうとする魔人族と、友好関係を築いて共存していこうという人間族。
共に生きるとしてもその意味には大きな違いがあり、もしここで人間族が負けるような事があれば魔人領の二国を相手に戦う必要が出てくる。
その戦いには多くの人間が駆り出され、戦況も厳しいものとなるだろう。
ハロルドは人間領を守る為、ケレンは新たな魔王を誕生させる為、お互いに全力をもって剣を振るう。
討ち倒した魔人達は生きた者も死んだ者も全て戦場を整える為に端に寄せられており、死にかけた者に対してはある程度の回復魔法も施してある。
すでに連合軍近接部隊にも二割近い被害が出ており、この後の魔獣群戦げ厳しいと判断せざるを得ない。
消耗しているとはいえ人間側の主力部隊が出る必要がありそうだ。
そんな中、隠れていた偵察隊からの一報で大王がこちらに向かっている事が確認された。
大王と魔貴族が二人、ザウス王国に向かっているとの事だがその先にはデーモンと戦う蒼真とアイリがいるはずだ。
「蒼真達の元へは私が向かいましょう」
「うむ。頼むぞダルク。ジェイラス卿は魔獣群の相手をよろしいか。おそらくは超級もおるでしょうからな」
「一人では厳しいかもしれんがやってみよう」
この魔獣群にも超級は数体いるものと考えられる。
ジェイラス一人では一体を相手するのも厳しいが、今も魔貴族軍と戦う主力部隊にも戦闘を終え次第戦ってもらう必要がありそうだ。
まだ戦っていないデーモンも一体いるが、動きを見せない為今はまだ放置しておく。
今もまだ先代守護者である魔貴族の老人と戦うニコラスだが、デーモンを倒した後であり残る魔力量からこの老魔人を倒せるかどうか難しいところだ。
地属性強化を得意とする老魔人の斬撃は鋭く重い。
ニコラスから見ても相当な実力者となったウルハやエイミーだったが、この老魔人が相手では勝てないのも頷ける。
ニコラスの雷撃も属性の相性からか威力が十全に通らないようにも思える。
剣技は互角のようだが、動きを止めては剣の速度で上回る老魔人が優位であり、ニコラスは体捌きと瞬雷による加速とで老魔人相手にも引けを取らない戦いぶりをみせる。
この思わぬ好敵手に老魔人も獰猛な笑みを浮かべて斬り結び、対するニコラスも主人である朱王をも思わせる程の実力を持つ相手に全力をもって魔剣を振るう。
魔貴族軍との戦いが始まってすでに三時間が経過しようというのに、老人二人の白熱した戦いはまだまだ続きそうだ。
老魔人ラシャドと向かい合うウェストラル王国聖騎士長シルヴィア。
「いくぞヴァリエッタ!」
下級魔法陣を発動し、魔剣オルナの迅雷を通して精霊ヴォルトへと魔力を注ぎ込む。
雷鳥の姿をした精霊は翼を広げて目にも止まらぬ速度で飛び回る。
「ほうほう。先程の者よりも出力の高い雷魔法が見れそうじゃの。どれ、わしの風魔法も見せてやろうか」
精霊剣を右に構えるラシャドは暴風を纏ってシルヴィアを手招く。
瞬雷により一瞬でラシャドの背後へと移動したシルヴィアは体を捻りながらその背中に斬り付ける。
その速度を予想していなかったラシャドも咄嗟に回転しながら精霊剣を振るうも、間に合わずその背に斬撃と雷撃を受ける。
風の鎧により傷を負う事はなかったものの、雷撃を相殺しきれずに背中を痺れさせ、飛行装備が停止して高度を落とし始めるラシャドをシルヴィアは追う。
高い魔力放出により麻痺も払い除け、上空から襲いくるシルヴィアの斬撃を受け止めた瞬間にその姿が掻き消える。
再び瞬雷による移動をしたシルヴィアがラシャドの左後方へと現れ、横腹に雷刃で斬り付ける。
雷球に多様性を持たせて戦ったレオナルドとは違い、雷魔法の速度を重視して戦うシルヴィア。
速さに自信を持っていたラシャドもこのシルヴィアの速度には驚きの表情を見せる。
しかし出力の不足するシルヴィアの雷刃はラシャドの風の鎧を貫く事はできず、わずかに雷撃のダメージを通すのみ。
対してラシャドの風の刃はシルヴィアの雷壁をも易々と突き破ってくる事だろう。
しかしシルヴィアにとって雷壁は完全な防御ではなく、防御と同時に雷撃による熱と麻痺を与える攻防一体の障壁だ。
一瞬でも動きを抑える事ができればその攻撃を防ぐ事も難しくはないのだ。
瞬雷による移動方は魔力の消費が激しく多用する事もできないが、最初の二撃でいつどのタイミングで発動してくるかわからないようラシャドに印象だけを残し、体勢を崩したところから雷刃による自身の剣技でラシャドに挑む。
攻勢に回ったシルヴィアは強く、反撃を繰り出したとしても蒼真達とのあまりにも激しい防御の訓練のおかげもあって攻守が入れ替わる事はない。
シルヴィアの強さを嬉しく思ったラシャドは年甲斐もなくこの戦いに気持ちが昂る。
向かい合って早々に上級魔法陣ボルテクスを発動したノーリス国王イスカリオットは、竜人ルエとの訓練で身につけた雷竜化をして聖剣フラガラッハを構える。
緑雷が体を包み込み、竜鱗浮き上がるその姿はルエを模したものだろう。
守護者ジャレンはこの雷竜化したイスカリオットに驚愕しつつも、自信も呪文を唱えて精霊化。
炎の竜魔人となって豪焔を放つ。
翼を羽ばたかせて前に出るジャレンだが、膨大な魔力を放出したイスカリオットから緑雷が繋がり、振り払おうとするも緑雷は繋がったまま。
今この状態が危険と判断したジャレンはで全身を業焔で包み込み、精霊剣を構えてイスカリオットに備える。
膨大な魔力を放出したイスカリオット。
轟音と共に掻き消えると同時にジャレンは四肢が弾け飛ぶ程の衝撃が体を貫き、意識が飛びそうになりながらもこの業雷に耐える。
ジャレンの背後へと突き抜けたイスカリオットは聖剣を振り抜くも、正面に構えた精霊剣に当たって斬り伏せる事はできなかった。
この光速移動の斬撃は自身の技として振るったとしても軌道の修正が効かない。
そして精霊剣を構える魔人に直線的に向かうこの技は諸刃の剣でもあるのだ。
精霊剣を払い除けなければ自信の体にその刃が食い込む事になるだろう。
一撃を耐え切ったジャレンには緑雷がまだ繋がったままであり、今は全身のダメージを回復する為に回す魔力が惜しい。
全魔力を業焔の防御膜へと注ぎ込み、再び魔力を高めたイスカリオットに精霊剣を向けて構える。
攻撃に出るべきだが速度で勝るイスカリオットには届く事はないだろう。
雷撃に耐えて隙を突いて斬り込むしかない。
轟音と共にジャレンへと業雷が落ち、全身に走る衝撃に耐え切ったジャレンは背後にいるであろうイスカリオットへと振り向く。
しかし次の瞬間に再び業雷に襲われたジャレン。
纏う業焔はそのままに腹部を斬り裂かれて業雷による衝撃が体を突き抜ける。
業雷の出力をある程度は相殺できているとしてもその衝撃は凄まじく、腹部を斬られては次の斬撃も防ぐ事は不可能だろう。
その後も業焔の出力を落とさずにイスカリオットの業雷に耐え続け、十を超える業雷を浴び、全身を斬り刻まれて地上へと落ちていった。
この戦闘を圧勝と思われたイスカリオットだが、ジャレンが業雷を相殺し切れなかったのと同じようにイスカリオットも業焔を全て相殺できてはいない。
全身に火傷を負い、多くの魔力を失った事から戦いの継続は難しいだろう。
作り上げた精霊魔導の特性上、短期決戦、それも個人戦向きとなるイスカリオットの能力では強者を一人倒せれば目的は果たしたと考えていいだろう。
この後はザウス王と代わって戦線の指揮に回るつもりでいる。
雷竜化を解除して本陣へと向かって飛び立った。
ウェストラル国王ハロルドの相手をするのは守護者ケレンだが、人間を好むこの魔人は一国の王を相手にどう戦うのか。
水棲魔獣のような精霊を聖剣フロッティに纏わせると、ハロルドを守るかのようにコーアンは渦を巻く。
対するケレンは地属性強化を施して長大な精霊剣を肩に担ぐようにして構える。
ハロルドが聖剣を薙ぐとコーアンは大きな口を開けてケレンへと向かい、強化のみの精霊剣で薙ぎ払い水刃を撒き散らす。
喰らいつこうと何度でも襲い掛かるコーアンを余力をもって打ち払うケレンだが、ハロルドはコーアンの内部を通って急接近。
コーアンから吐き出されるようにしてケレンに斬り掛かる。
咄嗟にハロルドの斬撃を受けるもコーアンの喰らい付きは止まる事なくケレンを襲う。
コーアンの体内に取り込まれた二人は斬撃を重ね合い、ケレンの威力の高い一撃にハロルドが払い除けられたところでコーアンの体内にいるのはケレンのみ。
コーアンの分解が始まり、水刃のミキサーがケレンの体を切り刻む。
しかし魔力強化の高いケレンが相手ではコーアンの水刃は体表を浅く傷つけるのみであり、ケレンの超威力の剣圧によって打ち破られた。
「さすがは国王。驚くべき精霊魔法の使い手だ。まるで魔法が自由意思を持っているようだ」
「コーアンは私を守護する精霊。其方の言う通り自由意思を持っておる」
「面白い。人間は興味が尽きる事はないな」
「我ら人間もここ最近では魔人に興味を持っている。共に歩めればと思うが戦いに決着をつけなければ終わる事ができないのだったな」
「うむ。我らが勝利したとて人間をそう悪く扱うつもりはない。その能力を活かして働いてもらう事にはなるがな」
「いや、我ら人間が勝利しても魔人をそう悪く扱うつもりもないぞ」
「ふはは。だが勝つのは我ら魔族だ」
互いの意見が一致していようとこの戦いを終わらせる必要がある。
違うとすれば人間領を取り込もうとする魔人族と、友好関係を築いて共存していこうという人間族。
共に生きるとしてもその意味には大きな違いがあり、もしここで人間族が負けるような事があれば魔人領の二国を相手に戦う必要が出てくる。
その戦いには多くの人間が駆り出され、戦況も厳しいものとなるだろう。
ハロルドは人間領を守る為、ケレンは新たな魔王を誕生させる為、お互いに全力をもって剣を振るう。
0
お気に入りに追加
1,028
あなたにおすすめの小説
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした
鈴木竜一
ファンタジー
健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。
しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。
魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ!
【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】
※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる