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魔人領編
233 発射
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移動しながら道路工事紛いの作業をして、六日目で北の国の魔貴族領内に入った朱王達。
地ならしをしながら戻って行き、後続組と合流してそこからは飛行装備で一気に大王領へと向けて飛び立った。
カミン達も半日遅れで到着できそうとの事で、行きが二十二日かかったところを七日で帰って来られたとすれば随分と楽に走行できている事がわかる。
北の国大王領へと到着した朱王達と東の国クリシュティナ一行が空から城前へと向かうと、多くの人々が集まって到着を待っていたようだ。
位置情報から到着を把握していたのだろうディミトリアス大王と守護者も待っており、竜人エリオッツとマーリン、メイサも見える。
全員が城前広場へと舞い降りると、ステージから歓迎の言葉が投げかけられる。
「東の国の皆様、ようこそお出で下さいました。我々北の国の一同歓迎させて頂きます。また、朱王様、スタンリー卿、お帰りなさいませ。無事にご帰還された事嬉しく思います」
マーシャルが歓迎の挨拶をすると、集まっていた領民達から盛大な拍手と歓迎の言葉があがる。
東の国の魔貴族にとって驚く程多くの魔人達、人間達から歓迎され、その賑わいが自分達に向けられているものと感じると恥ずかしさと嬉しさがこみ上げてくる。
そしてクリシュティナに近寄るディミトリアスが歓迎の言葉をかける。
「久しいな、クリシュティナ大王よ。此度、我らや人間領と和平を結んでくれた事、心より感謝する。これからは一国の代表としてだけではなく友人としてもよろしく頼む」
「ディミトリアス大王。其方の娘殿や仲間達には本当に世話になった。こちらこそ手を差し伸べてくれた北の国には感謝してもしきれない。ありがとう、ディミトリアス大王。ありがとう、北の国の全ての者達に感謝を」
ディミトリアスが差し出した手をクリシュティナが握り、互いの良好な関係を示すとまた大王領が湧いた。
「朱王殿にもアリスやエルザが世話になったな。スタンリーもご苦労だった」
「お互い様ですよ。それよりお風呂に入りたい。会談より先にお風呂にしませんか?」
「朱王さんのすげー戦い見れたから行って良かったですよ。それとオレも風呂入りたいなー」
「では風呂で裸の付き合いとでもいくか。セシールはクリシュティナ大王を案内してやってくれ」
という事で全員で入浴する事にした。
普段は洗浄魔法のみで風呂など入った事のない東の魔人達ばかりなので、誰も裸でお湯に入るなどとは思ってもいないのだが。
領民達は普段の仕事や今夜の準備に取り掛かる。
銭湯ではやはり装備を脱ぐとは思っておらず、全裸になる北の魔人達に驚く東の魔人達だった。
しかし体を洗って湯船に浸かるとその良さが身に染みてわかるはずだ。
じんわりと包み込むお湯が体を温め、これまで道路作り作業をしていた疲れもふっ飛ぶ気持ち良さ。
そこに朱王はいつものように冷えたお酒も楽しむ。
「やっぱりお風呂は最高だね~」
「そうじゃのぉ~」
「ああ、生き返る気分だ~」
久しぶりに湯船に浸かった朱王達も、北に来てすぐに風呂作りをして良かったと改めて思う。
ルディや他の魔貴族達も満足そうにお湯を楽しんでいるようだ。
隣で女湯に入るクリシュティナ達も満足している事だろう。
「ところでディミトリアス大王。花火は準備できてますか?」
「うむ。最終確認は昨日済ませてある。今日が大王領で初の花火となるが期待して欲しい」
「我も手伝ったのだ。失敗するはずないだろう」
エリオッツもふふんと自慢気だ。
それ程大きな花火を作る予定はしていないが、アースガルド初の花火なのだ。
うまく打ち上がる事を期待しよう。
風呂上りにはまたコーヒー牛乳を飲んで、温まった体を内側から冷やしてこの温度差と水分、甘さを楽しんだ。
その後はカミン達が到着するのが夕方になるだろうと先に東の国で決まった内容で最終的な打ち合わせをする。
相変わらず会議には参加する気のないエリオッツだが、もしかしたら重大な仕事があるので参加してほしいところだ。
だが呼んで来るエリオッツではないので諦めているが。
すでに東の国の魔貴族は装備を整え、飛行装備の能力も上げているが北の国はこれから行う必要がある。
北の国の領民達では加工のできない素材を準備してもらえば朱王達が作ってくれるのだが、報酬として朱王の欲しい素材を提供する事で製作依頼を受ける形とした。
南の国に向けた準備とはいえ、無償で朱王の技術を受け取る事はできないとの考えからだ。
東の国の戦力としてはクリシュティナと右翼、左翼、ステラ他二十名の魔貴族のみ。
北の国はディミトリアスと守護者四人、アリスとマーシャルにアイザックも参加する。
他にも魔王領に近い領地の魔貴族を五名と大王領に近い魔貴族を八名。
主戦力としてはこの二十一名となる。
また、実際に戦闘をする予定ではないが国境の防衛に戦える魔人を千五百人程を配置する事とした。
人間領からは朱王と朱雀にカミン部隊と少数だが、人間領の五国は西の国を相手に戦う予定である為応援を呼ぶつもりはない。
それ以前にこちらは大王が二人に、大王に匹敵する力を持つ右翼と左翼、それを上回った朱王がいる。
負けるはずがないと考えるが、それでも被害を最小に抑えるべく充分に準備を整えておく。
話がある程度まとまったところで、カミン達の帰りまでは時間があると、北の大王領内を観光する事とした。
さすがに人数が多い為いくつかのグループに分かれて行動してもらったが。
カミン達の車が到着したのが十七時前。
道がとても走りやすかったと聞き、作業に従事した東の魔貴族達も満足そう。
アリスとエルザは帰ってきて早々にセシールが食べていたアイスクリームに飛びついていた。
デオンとステラも北の魔人達に歓迎され、カミン達と共に風呂へと向かう。
レイヒムは風呂に入りたい気持ちを我慢して、今夜の宴会の為に調理場へと向かって行った。
もろもろの準備を終えて十八時半。
ステージに立つディミトリアス大王とクリシュティナ大王、人間領を代表して朱王も一緒に立つ。
「皆、いつも宴会の準備をご苦労」
どれ程のペースで宴会を開いているのかはわからないが、挨拶としては少し問題がありそうだ。
「今日ここに我ら北の国と人間領、そして東の国とが手を取り合い、共存していく事が確約された。これは大王としての私が望む事であり、北の国の皆が望んだ事。今日このめでたき日に我々が協力しながら作り上げた、記念すべき第一号花火を贈ろうと思う」
わあ! と盛り上がる領民達。
この花火を上げる為に多くの人々が協力し、アイデアを出し合って作り上げた花火だ。
人間領にもない魔人領北の国で作り上げた花火なのだ。
盛り上がらないはずはない。
「発射!」
ディミトリアス大王の掛け声と共に、打ち上げ場にいた魔人が点火。
ドン!!
ヒュルルルル……
ドーーーン!!
と、真円とはならなかったものの、大きくて色彩豊かな花火が夜空に咲いた。
見守る北の領民達は盛大に賑わい、花火に携わった者達は涙を流す者もいた。
続けて数発の花火が打ち上げられ、腹に響く爆発音と美しい火の花に心を震わされた。
この国同士のつながりを祝福するのに打ち上げられた完成したばかりの花火は、北の国として本当に記念すべき瞬間だろう。
拍手が巻き起こり、宴会開始を前に大王領は盛大に盛り上がった。
「クリシュティナ大王。一つ挨拶を頼む」
ディミトリアスが場所を譲り、マイクの前に立つクリシュティナ。
「東の国大王クリシュティナ=オルティスだ。我ら東の国を歓迎してくれた事感謝する。美しい街並みに生き生きとした魔人、人魔、人間達。東では叶わなかった人と魔人とが共存している国がここにはあり、共に手を取り合いながら生きていく未来を今ここで見る事ができている。北の国に生きる人々が美しく、とても幸せな国だと私は思う。そして夜空に輝く打ち上げ花火には感動した。素晴らしい贈り物に感謝を。ありがとう北の民達よ。心より御礼申し上げる」
クリシュティナの挨拶に拍手が巻き起こり、続く朱王からの乾杯の挨拶を待つ。
「ただいまみんな」
「お帰りなさいませ朱王様!」と声を揃えた領民達。
北の国に変革をもたらした朱王は領民達から朱王様と呼ばれるようになっている。
「私が不在の間によく花火を完成させてくれたね。今夜の花火は生涯忘れない。本当に感動したよ。ありがとう。それと美味しそうな料理にキンキンに冷えたお酒。準備してくれたみんなにもありがとう。それじゃ今日もいくよ! かんぱーい!!」
「乾杯!!」と掛け声まで完璧に揃うのは練習でもしているのだろうか。
甲高い音をたててグラスを打ち付け合い、冷えた酒で喉を潤したら拍手が巻き起こり宴会が始まった。
今は木のコップではなくガラス製の透明なグラスで酒を飲む。
やはり冷えたシュワシュワなお酒は透明なグラスで飲むに限ると、数人の人魔をガラス職人として育てていた。
まだ完璧な物は作れていないが、透き通ったグラスに注がれた酒は美しく見えて美味しさも引き上げてくれる。
美味しい料理に冷えた北の国の酒。
開発中の酒も振る舞われ、試飲しながら今後の調整などの話をして酒造の職人達は様々な提案をしながら笑顔で戻っていく。
それなりに美味しかった北の国の酒にも様々な種類を作るようになってきたのだ。
お酒も進むが食事も進む。
レイヒムの弟子達が作る料理も美味しく、様々な食材を使われた新しい料理も生まれているようだ。
最近では水田も作られ始め、今後は米の栽培も始まるとの事で食文化もまた劇的に変化していく事になるだろう。
料理を楽しみ、お酒を楽しみ、腹が膨れて酔いが回れば歌いたい、踊りたい。
真っ先にステージに上がったディミトリアスが得意曲を歌い、それに負けじとエリオッツもステージに上がって歌い出す。
女性陣も後に続き、またこの夜も大いに盛り上がりを見せる北の国大王領だった。
地ならしをしながら戻って行き、後続組と合流してそこからは飛行装備で一気に大王領へと向けて飛び立った。
カミン達も半日遅れで到着できそうとの事で、行きが二十二日かかったところを七日で帰って来られたとすれば随分と楽に走行できている事がわかる。
北の国大王領へと到着した朱王達と東の国クリシュティナ一行が空から城前へと向かうと、多くの人々が集まって到着を待っていたようだ。
位置情報から到着を把握していたのだろうディミトリアス大王と守護者も待っており、竜人エリオッツとマーリン、メイサも見える。
全員が城前広場へと舞い降りると、ステージから歓迎の言葉が投げかけられる。
「東の国の皆様、ようこそお出で下さいました。我々北の国の一同歓迎させて頂きます。また、朱王様、スタンリー卿、お帰りなさいませ。無事にご帰還された事嬉しく思います」
マーシャルが歓迎の挨拶をすると、集まっていた領民達から盛大な拍手と歓迎の言葉があがる。
東の国の魔貴族にとって驚く程多くの魔人達、人間達から歓迎され、その賑わいが自分達に向けられているものと感じると恥ずかしさと嬉しさがこみ上げてくる。
そしてクリシュティナに近寄るディミトリアスが歓迎の言葉をかける。
「久しいな、クリシュティナ大王よ。此度、我らや人間領と和平を結んでくれた事、心より感謝する。これからは一国の代表としてだけではなく友人としてもよろしく頼む」
「ディミトリアス大王。其方の娘殿や仲間達には本当に世話になった。こちらこそ手を差し伸べてくれた北の国には感謝してもしきれない。ありがとう、ディミトリアス大王。ありがとう、北の国の全ての者達に感謝を」
ディミトリアスが差し出した手をクリシュティナが握り、互いの良好な関係を示すとまた大王領が湧いた。
「朱王殿にもアリスやエルザが世話になったな。スタンリーもご苦労だった」
「お互い様ですよ。それよりお風呂に入りたい。会談より先にお風呂にしませんか?」
「朱王さんのすげー戦い見れたから行って良かったですよ。それとオレも風呂入りたいなー」
「では風呂で裸の付き合いとでもいくか。セシールはクリシュティナ大王を案内してやってくれ」
という事で全員で入浴する事にした。
普段は洗浄魔法のみで風呂など入った事のない東の魔人達ばかりなので、誰も裸でお湯に入るなどとは思ってもいないのだが。
領民達は普段の仕事や今夜の準備に取り掛かる。
銭湯ではやはり装備を脱ぐとは思っておらず、全裸になる北の魔人達に驚く東の魔人達だった。
しかし体を洗って湯船に浸かるとその良さが身に染みてわかるはずだ。
じんわりと包み込むお湯が体を温め、これまで道路作り作業をしていた疲れもふっ飛ぶ気持ち良さ。
そこに朱王はいつものように冷えたお酒も楽しむ。
「やっぱりお風呂は最高だね~」
「そうじゃのぉ~」
「ああ、生き返る気分だ~」
久しぶりに湯船に浸かった朱王達も、北に来てすぐに風呂作りをして良かったと改めて思う。
ルディや他の魔貴族達も満足そうにお湯を楽しんでいるようだ。
隣で女湯に入るクリシュティナ達も満足している事だろう。
「ところでディミトリアス大王。花火は準備できてますか?」
「うむ。最終確認は昨日済ませてある。今日が大王領で初の花火となるが期待して欲しい」
「我も手伝ったのだ。失敗するはずないだろう」
エリオッツもふふんと自慢気だ。
それ程大きな花火を作る予定はしていないが、アースガルド初の花火なのだ。
うまく打ち上がる事を期待しよう。
風呂上りにはまたコーヒー牛乳を飲んで、温まった体を内側から冷やしてこの温度差と水分、甘さを楽しんだ。
その後はカミン達が到着するのが夕方になるだろうと先に東の国で決まった内容で最終的な打ち合わせをする。
相変わらず会議には参加する気のないエリオッツだが、もしかしたら重大な仕事があるので参加してほしいところだ。
だが呼んで来るエリオッツではないので諦めているが。
すでに東の国の魔貴族は装備を整え、飛行装備の能力も上げているが北の国はこれから行う必要がある。
北の国の領民達では加工のできない素材を準備してもらえば朱王達が作ってくれるのだが、報酬として朱王の欲しい素材を提供する事で製作依頼を受ける形とした。
南の国に向けた準備とはいえ、無償で朱王の技術を受け取る事はできないとの考えからだ。
東の国の戦力としてはクリシュティナと右翼、左翼、ステラ他二十名の魔貴族のみ。
北の国はディミトリアスと守護者四人、アリスとマーシャルにアイザックも参加する。
他にも魔王領に近い領地の魔貴族を五名と大王領に近い魔貴族を八名。
主戦力としてはこの二十一名となる。
また、実際に戦闘をする予定ではないが国境の防衛に戦える魔人を千五百人程を配置する事とした。
人間領からは朱王と朱雀にカミン部隊と少数だが、人間領の五国は西の国を相手に戦う予定である為応援を呼ぶつもりはない。
それ以前にこちらは大王が二人に、大王に匹敵する力を持つ右翼と左翼、それを上回った朱王がいる。
負けるはずがないと考えるが、それでも被害を最小に抑えるべく充分に準備を整えておく。
話がある程度まとまったところで、カミン達の帰りまでは時間があると、北の大王領内を観光する事とした。
さすがに人数が多い為いくつかのグループに分かれて行動してもらったが。
カミン達の車が到着したのが十七時前。
道がとても走りやすかったと聞き、作業に従事した東の魔貴族達も満足そう。
アリスとエルザは帰ってきて早々にセシールが食べていたアイスクリームに飛びついていた。
デオンとステラも北の魔人達に歓迎され、カミン達と共に風呂へと向かう。
レイヒムは風呂に入りたい気持ちを我慢して、今夜の宴会の為に調理場へと向かって行った。
もろもろの準備を終えて十八時半。
ステージに立つディミトリアス大王とクリシュティナ大王、人間領を代表して朱王も一緒に立つ。
「皆、いつも宴会の準備をご苦労」
どれ程のペースで宴会を開いているのかはわからないが、挨拶としては少し問題がありそうだ。
「今日ここに我ら北の国と人間領、そして東の国とが手を取り合い、共存していく事が確約された。これは大王としての私が望む事であり、北の国の皆が望んだ事。今日このめでたき日に我々が協力しながら作り上げた、記念すべき第一号花火を贈ろうと思う」
わあ! と盛り上がる領民達。
この花火を上げる為に多くの人々が協力し、アイデアを出し合って作り上げた花火だ。
人間領にもない魔人領北の国で作り上げた花火なのだ。
盛り上がらないはずはない。
「発射!」
ディミトリアス大王の掛け声と共に、打ち上げ場にいた魔人が点火。
ドン!!
ヒュルルルル……
ドーーーン!!
と、真円とはならなかったものの、大きくて色彩豊かな花火が夜空に咲いた。
見守る北の領民達は盛大に賑わい、花火に携わった者達は涙を流す者もいた。
続けて数発の花火が打ち上げられ、腹に響く爆発音と美しい火の花に心を震わされた。
この国同士のつながりを祝福するのに打ち上げられた完成したばかりの花火は、北の国として本当に記念すべき瞬間だろう。
拍手が巻き起こり、宴会開始を前に大王領は盛大に盛り上がった。
「クリシュティナ大王。一つ挨拶を頼む」
ディミトリアスが場所を譲り、マイクの前に立つクリシュティナ。
「東の国大王クリシュティナ=オルティスだ。我ら東の国を歓迎してくれた事感謝する。美しい街並みに生き生きとした魔人、人魔、人間達。東では叶わなかった人と魔人とが共存している国がここにはあり、共に手を取り合いながら生きていく未来を今ここで見る事ができている。北の国に生きる人々が美しく、とても幸せな国だと私は思う。そして夜空に輝く打ち上げ花火には感動した。素晴らしい贈り物に感謝を。ありがとう北の民達よ。心より御礼申し上げる」
クリシュティナの挨拶に拍手が巻き起こり、続く朱王からの乾杯の挨拶を待つ。
「ただいまみんな」
「お帰りなさいませ朱王様!」と声を揃えた領民達。
北の国に変革をもたらした朱王は領民達から朱王様と呼ばれるようになっている。
「私が不在の間によく花火を完成させてくれたね。今夜の花火は生涯忘れない。本当に感動したよ。ありがとう。それと美味しそうな料理にキンキンに冷えたお酒。準備してくれたみんなにもありがとう。それじゃ今日もいくよ! かんぱーい!!」
「乾杯!!」と掛け声まで完璧に揃うのは練習でもしているのだろうか。
甲高い音をたててグラスを打ち付け合い、冷えた酒で喉を潤したら拍手が巻き起こり宴会が始まった。
今は木のコップではなくガラス製の透明なグラスで酒を飲む。
やはり冷えたシュワシュワなお酒は透明なグラスで飲むに限ると、数人の人魔をガラス職人として育てていた。
まだ完璧な物は作れていないが、透き通ったグラスに注がれた酒は美しく見えて美味しさも引き上げてくれる。
美味しい料理に冷えた北の国の酒。
開発中の酒も振る舞われ、試飲しながら今後の調整などの話をして酒造の職人達は様々な提案をしながら笑顔で戻っていく。
それなりに美味しかった北の国の酒にも様々な種類を作るようになってきたのだ。
お酒も進むが食事も進む。
レイヒムの弟子達が作る料理も美味しく、様々な食材を使われた新しい料理も生まれているようだ。
最近では水田も作られ始め、今後は米の栽培も始まるとの事で食文化もまた劇的に変化していく事になるだろう。
料理を楽しみ、お酒を楽しみ、腹が膨れて酔いが回れば歌いたい、踊りたい。
真っ先にステージに上がったディミトリアスが得意曲を歌い、それに負けじとエリオッツもステージに上がって歌い出す。
女性陣も後に続き、またこの夜も大いに盛り上がりを見せる北の国大王領だった。
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