233 / 297
魔人領編
217 アイーズ
しおりを挟む
アイーズ初日の夜は、この街でこれまでにない程の盛り上がりを見せたのは当然といえよう。
客人として王女であるアリスの他、大王の守護者であるセシール、人間領からの使者である朱王達が来た事で歓迎ムードでの準備の中、心躍る音楽が流れる事で準備作業から盛り上がり始めていた。
そして準備が終わればすぐに宴会が始まり、アリスを始めとして全員が挨拶をし、酒が回り始めたところからはカラオケ大会だ。
ステージに上がった朱王が歌い、まるでライブでもしているかのように街の人々を煽ってどんどん盛り上げていく。
続いてカミン、フィディックが歌えばアリスとセシールも負けてはいられない。
二人で練習していたのであろう、ユニゾンで歌い出す。
そしてアリス達が歌った曲は以前朱王が千尋達と踊った曲であり、朱雀も巻き込んで踊れば街全体が盛り上がり、みんな立ち上がって思い思いに踊り出す。
曲が終われば歓声と拍手に包まれ、次の曲をとまた朱王がステージに押し上げられた。
グラスを片手に一曲歌いあげ、自分のライブでもやっているかのようにMCを挟みつつ続けてまた何曲か歌っていく。
楽しそうに場を盛り上げ、グラスが空になったところでフィディックと交代してステージを降りた。
その後はドルトルやグレックも歌い出した事で更なる盛り上がりを見せた。
夜も更けてなおも盛り上がるアイーズだが、このまま朝まで騒ぎ続けては人間の老人達の体がもたないだろう。
ドルトルが〆の挨拶をしてこの楽しい宴会は終わりを向かえた。
客人である朱王達は宿泊先に案内してもらい、街の人々は真夜中の片付け作業だ。
朱王達はアイザックの邸内に部屋を借りてベッドに横になり、ベッドが固いと寝袋を持ってきて寝ることにした。
もちろんこの夜も宴会から抜けてミリーに通話したのだが、街の人々に引っ張られて途中で通話を終えてしまっている。
翌朝少し長めに話そうと思う朱王だった。
アイーズにはあと二日滞在する予定であり、翌日は朝から街の様子を見学に行く朱王達。
とても楽しそうな朱王は行く先々で声をかけられ、家の造りを見せてもらったり、洗濯場や調理場の見学、街人に教えられながら農作業体験などもして、アイーズの街の生活スタイルを満喫しているようだ。
昼食はグレックが持ってきてくれた物を広場に設置されてあるテーブルで食べる事にする。
すると街の人々が昼休みに食事を持って集まりだし、木の実やフルーツをもらってデザートに食べる事にした。
食後には集まった人々を集めて、昨日のダンスのレッスンまで始めてしまう朱王。
やはり世界は違えど若者は新しいものが大好きだ。
すぐにできるようにと簡単にアレンジしたダンスを教えていく。
若者達がダンスを覚えようとする中、アリスはソワソワと混ざりたさそうに見つめながらも必死で堪えている。
王女としてその街人の輪の中に入って練習するのはプライドが許さないのかもしれない。
今後、大王領への移動中にでも教えれば喜んでくれるだろう。
この日の夜はカラオケはやめて映画を観る事にした。
クイースト王国の映画の日は昨日と今日。
昨日はアイーズに着いたばかりでパーっと楽しみたかった朱王は、映画をやめてカラオケ大会を実行したのだ。
この日はアイーズの人々にも映画を楽しんでもらおう。
ここ最近では映画を十九時から、二十一時からはクリムゾンで作った番組を放映しているはずだ。
また広場で宴会を開催し、この日はアイーズの酒を飲みながらワイワイと人間領や魔人領の話を交わしていく。
アリスやセシールは人間領の良さを全身を使って表現し、今すぐにでも戻りたいなどと言いながら様々な事を語っている。
しばらく宴会として酒を飲み交わしていたところでモニターに映像が映し出された。
昨夜もカラオケで本人の映像や魔族文字などが表示されていたのだが、この日映るのは人間領に住むクリムゾン隊員だ。
簡単ではあったが挨拶のあと、この映画の見どころや興味を惹く物言いで気分を盛り上げたところで映画が開始される。
これまで観た事のない世界が映し出され、賑やかだった広場は静まりかえり、映画に釘付けとなっているようだ。
ここアイーズでも映画の世界に感動し涙する者が続出。
拍手喝采と感動の涙、そしてこの映画に乾杯を。
この魔人領という閉鎖的な空間に生きてきた彼らの心に新たな芽が生まれた瞬間だろう。
心動かす映画の感想を語り合う人々と、その光景を見つめながら美味しく酒を楽しむ朱王と朱雀、カミンの三名。
アリスやセシール、フィディックも感想を語り合っているのだが、朱王達はただ酒を飲みながら思う。
《これは昨日観たやつだ》
車の移動中に観た映画がたまたま今日クイースト王国で放映されたようだ。
少し期間をおいて観ればまた違った気持ちで観れたのだろうが、二回続けて観たとすればそれほどテンションは上がらないだろう。
それから少ししてクリムゾンの番組が始まった。
その内容は【クイーストの美味しい物を食べ歩こう】というもので、綺麗な料理や可愛らしいお菓子などが映され、美味しそうに食べる映像が流される。
映画のように盛り上がるような事はないのだが、見た事もないような食べ物が映し出され、それを美味しいと食べられる映像を見せられては人間領の料理に興味が湧かないはずがない。
そして朱雀にとっては興味も食欲もそそる番組だったらしく、クイーストに帰ったら絶対に食いに行くなどと言っていた。
三日目に見学したのは魔人領の資源についてある程度把握する為、街の外に出て様々な場所を見て回った。
この広大な魔人領であれば人間領よりも豊富な資源があるのは確実であり、その産出場所がある程度わかっているのであればすぐにでも貿易が始められるだろう。
ここアイーズは人間領に比較的近い位置にあり、この周辺で採れるとすれば輸送もそれほど大変ではない。
鉄鉱石や宝石類、もしくは特殊な魔石などであればその価値は高くなり需要も高い。
街にも製鉄場があり、刃物なども金属で作られていることからどこか採掘場所は見つけているはずだ。
魔石については使い方を知らないようだが、ミスリルがないのであれば仕方がない事だ。
ミスリルは特殊な金属であり鉱石からの抽出に手間が掛かる為、朱王でさえも自分で抽出しようなどとは思わない。
ただ一つ、朱雀丸を削り出したミスリル塊に関しては別であり、ミスリル鉱石から抽出したのではなく、そのままの形状でミスリル塊として手に入れている。
人の手を加えられる事なく自然に抽出されたミスリルなのだ。
もしそれがまた見つかるような事があれば朱王はまた手に入れたいとも思っているのだが、そう簡単に見つかる事はないだろう。
この日一日掛けて資源の確認作業を行った。
これはアリスやセシールにとっても今後の取り引き材料として重要なものであり、朱王の説明を受けながらしっかりとリルフォン内にメモを取っている。
もちろんドルトルとグレックもだ。
少し専門的な内容になれば理解できないだろうと、朱王は映像を記録するよう指示を出し、リルフォン内にフォルダを作成させて個別に引き出しやすいよう整理して説明を続けていた。
結果としては見て回った資源の総量はそれ程多くはなかったが、今後調査を進めれば人間領との取り引きに使える材料は充分にあるだろうという結論に至った。
アイーズの周辺に関してはドルトルとグレックで担当する鉱石や宝石類を分担し、他にも採掘場を増やす事で新たな資源を確保。
運搬などに関しては今後煮詰めていくとしても、まずは調査が重要だろうとして今後獲物探し以外にも街の外へと人員を割いてもらう必要がある。
街が発展すると知れば皆協力的になるだろう。
他の領地でも今後は資源の調査を進めていく必要もあるが、人間領から遠い地であれば運搬の問題がある為それ程急ぐ必要はない。
まずはアイーズ周辺の調査が最優先だろう。
領主であるアイザックの許可なく今後の方針が決まってしまったのだが、その命令が王女からとなればアイザックも従う以外にない。
ドルトルとグレックはまとまった話を今夜アイザックに説明する事としてこの日の確認を終えた。
夜はまた酒盛りをしながらカラオケをして楽しんだ。
街の人々も何人かで一曲ずつ覚えてきたらしく、ハモったりハモらなかったり、上手かったり下手だったりと様々ではあったが、歌う気持ちよさを知ってとても満足そう。
今後もたくさんの曲を覚えて楽しんでもらいたいものだ。
街の人々が歌っていれば朱王も少し抜け出しても連れ去られる事はない。
広場から離れてミリーと通話をし始めた。
ミリー達は今、ゼス王国の観光で飛び回っているようで、毎日違う景色を見ては美味しい物を食べて回っているとの事。
朱王がアイーズに到着した日には車が完成し、思ったより乗り心地が悪くて困っていると笑うミリーはやはり可愛らしかった。
アイーズで楽しい三日を過ごし、出発の際には街人総出で見送ってくれた。
帰りもまた寄りたいなと思いながらも車を走らせる。
すでに坂道も広く拡張されており、問題なく下っていく事ができた。
アイーズから近い場所であればある程度拓けていて走行も問題ないのだが、程なくして人通りが少ないのか道の脇には足の長い草が生えていて見通しが悪くなり、道はあっても草が邪魔をしてどこが道なのかわからない程だ。
そして道幅もそれ程広くはなく、バリウスは地球でいうところの軍用車に近い大きさがありその横幅が足りない。
道の端に大きな石でも埋まっていれば車を壊してしまう可能性もある。
道がある以上草原や林の中を抜けるよりはマシだがそれ程速度を出す事はできないだろう。
およそ20キロの速度で走り進み、八時間走ったとして一日で160キロ。大王領までは約2500キロ程あるという事なので、十五日以上、それも草原が続くとは限らない為二十日以上は掛かるだろうと予想される。
それを見越して食料も大量に積んであり、肉などは現地調達になるが時間が掛かる事以外はそれ程問題はない。
アイーズから徒歩での移動であれば優に二月以上は掛かるとの事だし、まだ車の方が充分に早いのだ。
それ程急ぐ事なくのんびりと向かう事にする。
客人として王女であるアリスの他、大王の守護者であるセシール、人間領からの使者である朱王達が来た事で歓迎ムードでの準備の中、心躍る音楽が流れる事で準備作業から盛り上がり始めていた。
そして準備が終わればすぐに宴会が始まり、アリスを始めとして全員が挨拶をし、酒が回り始めたところからはカラオケ大会だ。
ステージに上がった朱王が歌い、まるでライブでもしているかのように街の人々を煽ってどんどん盛り上げていく。
続いてカミン、フィディックが歌えばアリスとセシールも負けてはいられない。
二人で練習していたのであろう、ユニゾンで歌い出す。
そしてアリス達が歌った曲は以前朱王が千尋達と踊った曲であり、朱雀も巻き込んで踊れば街全体が盛り上がり、みんな立ち上がって思い思いに踊り出す。
曲が終われば歓声と拍手に包まれ、次の曲をとまた朱王がステージに押し上げられた。
グラスを片手に一曲歌いあげ、自分のライブでもやっているかのようにMCを挟みつつ続けてまた何曲か歌っていく。
楽しそうに場を盛り上げ、グラスが空になったところでフィディックと交代してステージを降りた。
その後はドルトルやグレックも歌い出した事で更なる盛り上がりを見せた。
夜も更けてなおも盛り上がるアイーズだが、このまま朝まで騒ぎ続けては人間の老人達の体がもたないだろう。
ドルトルが〆の挨拶をしてこの楽しい宴会は終わりを向かえた。
客人である朱王達は宿泊先に案内してもらい、街の人々は真夜中の片付け作業だ。
朱王達はアイザックの邸内に部屋を借りてベッドに横になり、ベッドが固いと寝袋を持ってきて寝ることにした。
もちろんこの夜も宴会から抜けてミリーに通話したのだが、街の人々に引っ張られて途中で通話を終えてしまっている。
翌朝少し長めに話そうと思う朱王だった。
アイーズにはあと二日滞在する予定であり、翌日は朝から街の様子を見学に行く朱王達。
とても楽しそうな朱王は行く先々で声をかけられ、家の造りを見せてもらったり、洗濯場や調理場の見学、街人に教えられながら農作業体験などもして、アイーズの街の生活スタイルを満喫しているようだ。
昼食はグレックが持ってきてくれた物を広場に設置されてあるテーブルで食べる事にする。
すると街の人々が昼休みに食事を持って集まりだし、木の実やフルーツをもらってデザートに食べる事にした。
食後には集まった人々を集めて、昨日のダンスのレッスンまで始めてしまう朱王。
やはり世界は違えど若者は新しいものが大好きだ。
すぐにできるようにと簡単にアレンジしたダンスを教えていく。
若者達がダンスを覚えようとする中、アリスはソワソワと混ざりたさそうに見つめながらも必死で堪えている。
王女としてその街人の輪の中に入って練習するのはプライドが許さないのかもしれない。
今後、大王領への移動中にでも教えれば喜んでくれるだろう。
この日の夜はカラオケはやめて映画を観る事にした。
クイースト王国の映画の日は昨日と今日。
昨日はアイーズに着いたばかりでパーっと楽しみたかった朱王は、映画をやめてカラオケ大会を実行したのだ。
この日はアイーズの人々にも映画を楽しんでもらおう。
ここ最近では映画を十九時から、二十一時からはクリムゾンで作った番組を放映しているはずだ。
また広場で宴会を開催し、この日はアイーズの酒を飲みながらワイワイと人間領や魔人領の話を交わしていく。
アリスやセシールは人間領の良さを全身を使って表現し、今すぐにでも戻りたいなどと言いながら様々な事を語っている。
しばらく宴会として酒を飲み交わしていたところでモニターに映像が映し出された。
昨夜もカラオケで本人の映像や魔族文字などが表示されていたのだが、この日映るのは人間領に住むクリムゾン隊員だ。
簡単ではあったが挨拶のあと、この映画の見どころや興味を惹く物言いで気分を盛り上げたところで映画が開始される。
これまで観た事のない世界が映し出され、賑やかだった広場は静まりかえり、映画に釘付けとなっているようだ。
ここアイーズでも映画の世界に感動し涙する者が続出。
拍手喝采と感動の涙、そしてこの映画に乾杯を。
この魔人領という閉鎖的な空間に生きてきた彼らの心に新たな芽が生まれた瞬間だろう。
心動かす映画の感想を語り合う人々と、その光景を見つめながら美味しく酒を楽しむ朱王と朱雀、カミンの三名。
アリスやセシール、フィディックも感想を語り合っているのだが、朱王達はただ酒を飲みながら思う。
《これは昨日観たやつだ》
車の移動中に観た映画がたまたま今日クイースト王国で放映されたようだ。
少し期間をおいて観ればまた違った気持ちで観れたのだろうが、二回続けて観たとすればそれほどテンションは上がらないだろう。
それから少ししてクリムゾンの番組が始まった。
その内容は【クイーストの美味しい物を食べ歩こう】というもので、綺麗な料理や可愛らしいお菓子などが映され、美味しそうに食べる映像が流される。
映画のように盛り上がるような事はないのだが、見た事もないような食べ物が映し出され、それを美味しいと食べられる映像を見せられては人間領の料理に興味が湧かないはずがない。
そして朱雀にとっては興味も食欲もそそる番組だったらしく、クイーストに帰ったら絶対に食いに行くなどと言っていた。
三日目に見学したのは魔人領の資源についてある程度把握する為、街の外に出て様々な場所を見て回った。
この広大な魔人領であれば人間領よりも豊富な資源があるのは確実であり、その産出場所がある程度わかっているのであればすぐにでも貿易が始められるだろう。
ここアイーズは人間領に比較的近い位置にあり、この周辺で採れるとすれば輸送もそれほど大変ではない。
鉄鉱石や宝石類、もしくは特殊な魔石などであればその価値は高くなり需要も高い。
街にも製鉄場があり、刃物なども金属で作られていることからどこか採掘場所は見つけているはずだ。
魔石については使い方を知らないようだが、ミスリルがないのであれば仕方がない事だ。
ミスリルは特殊な金属であり鉱石からの抽出に手間が掛かる為、朱王でさえも自分で抽出しようなどとは思わない。
ただ一つ、朱雀丸を削り出したミスリル塊に関しては別であり、ミスリル鉱石から抽出したのではなく、そのままの形状でミスリル塊として手に入れている。
人の手を加えられる事なく自然に抽出されたミスリルなのだ。
もしそれがまた見つかるような事があれば朱王はまた手に入れたいとも思っているのだが、そう簡単に見つかる事はないだろう。
この日一日掛けて資源の確認作業を行った。
これはアリスやセシールにとっても今後の取り引き材料として重要なものであり、朱王の説明を受けながらしっかりとリルフォン内にメモを取っている。
もちろんドルトルとグレックもだ。
少し専門的な内容になれば理解できないだろうと、朱王は映像を記録するよう指示を出し、リルフォン内にフォルダを作成させて個別に引き出しやすいよう整理して説明を続けていた。
結果としては見て回った資源の総量はそれ程多くはなかったが、今後調査を進めれば人間領との取り引きに使える材料は充分にあるだろうという結論に至った。
アイーズの周辺に関してはドルトルとグレックで担当する鉱石や宝石類を分担し、他にも採掘場を増やす事で新たな資源を確保。
運搬などに関しては今後煮詰めていくとしても、まずは調査が重要だろうとして今後獲物探し以外にも街の外へと人員を割いてもらう必要がある。
街が発展すると知れば皆協力的になるだろう。
他の領地でも今後は資源の調査を進めていく必要もあるが、人間領から遠い地であれば運搬の問題がある為それ程急ぐ必要はない。
まずはアイーズ周辺の調査が最優先だろう。
領主であるアイザックの許可なく今後の方針が決まってしまったのだが、その命令が王女からとなればアイザックも従う以外にない。
ドルトルとグレックはまとまった話を今夜アイザックに説明する事としてこの日の確認を終えた。
夜はまた酒盛りをしながらカラオケをして楽しんだ。
街の人々も何人かで一曲ずつ覚えてきたらしく、ハモったりハモらなかったり、上手かったり下手だったりと様々ではあったが、歌う気持ちよさを知ってとても満足そう。
今後もたくさんの曲を覚えて楽しんでもらいたいものだ。
街の人々が歌っていれば朱王も少し抜け出しても連れ去られる事はない。
広場から離れてミリーと通話をし始めた。
ミリー達は今、ゼス王国の観光で飛び回っているようで、毎日違う景色を見ては美味しい物を食べて回っているとの事。
朱王がアイーズに到着した日には車が完成し、思ったより乗り心地が悪くて困っていると笑うミリーはやはり可愛らしかった。
アイーズで楽しい三日を過ごし、出発の際には街人総出で見送ってくれた。
帰りもまた寄りたいなと思いながらも車を走らせる。
すでに坂道も広く拡張されており、問題なく下っていく事ができた。
アイーズから近い場所であればある程度拓けていて走行も問題ないのだが、程なくして人通りが少ないのか道の脇には足の長い草が生えていて見通しが悪くなり、道はあっても草が邪魔をしてどこが道なのかわからない程だ。
そして道幅もそれ程広くはなく、バリウスは地球でいうところの軍用車に近い大きさがありその横幅が足りない。
道の端に大きな石でも埋まっていれば車を壊してしまう可能性もある。
道がある以上草原や林の中を抜けるよりはマシだがそれ程速度を出す事はできないだろう。
およそ20キロの速度で走り進み、八時間走ったとして一日で160キロ。大王領までは約2500キロ程あるという事なので、十五日以上、それも草原が続くとは限らない為二十日以上は掛かるだろうと予想される。
それを見越して食料も大量に積んであり、肉などは現地調達になるが時間が掛かる事以外はそれ程問題はない。
アイーズから徒歩での移動であれば優に二月以上は掛かるとの事だし、まだ車の方が充分に早いのだ。
それ程急ぐ事なくのんびりと向かう事にする。
0
お気に入りに追加
1,028
あなたにおすすめの小説
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした
鈴木竜一
ファンタジー
健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。
しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。
魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ!
【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】
※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる