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クイースト王国編
101 邪魔者
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デーモンと戦う千尋達を遠くから見下ろす人影。
一人や二人ではない。
その数、十人。
「なんだよあの人間共は。あの黒い箱も気になるがあいつらかなり強えじゃねーか」
鍛えられた肉体に長い白髪。
目の色に特徴のある男。
「私達が狙ってたデーモンなんですけどね。先に取られてしまいました」
少年のような体躯に短めの白髪。
赤い角膜に黒い結膜の瞳が千尋達を見据える。
「別にいいわよ。彼奴らを殺してデーモンを連れて行きましょう」
「まぁ待て。このままデヴィル化するまで待機だ」
そう。彼らは魔人族の集団、この地に住まうデーモンの捕獲に来た精鋭だ。
デーモンを捕獲し、人間族、そして魔族との戦争にでも使うつもりだろう。
抑えてはいるが膨大な魔力量を内に秘める。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ついにデヴィルとなったデーモン。
相対するのは朱王。
これまで感じた最高の魔力量に、朱王も冷や汗が流れる。
デヴィルから放たれる魔力が収縮し、その体を覆う。
これまで放たれていた魔力はそのままデヴィルの放てる魔力の幅。
朱王の視界に映る魔力幅の測定値は、予想以上となる6万ガルド超え。
だが朱王には朱雀丸と魔法陣がある。
魔力の幅もその能力によって補う事ができる。
戦闘に関しては結局のところ魔法戦。
魔力の放出量が上回わればどんな魔法にでも対抗できるが、魔法に対するイメージ力や魔力の練度、魔法への還元率でその差も埋まる。
さて、デヴィルの実力はどれ程のものか。
朱王の火炎、そして予測と操作、確定に対抗できるだけの実力はあるのか。
魔力量や幅では圧倒的にデヴィルが上。
あとはデヴィルの実力次第。
朱王は魔力を高める事で火焔を放ち、朱雀丸を右に構えてデヴィルの出方を見る。
予測の為のデータを集める事にする。
デヴィルも冷静に朱王を見据える。
ここまで全ての攻撃をいなし、圧倒的な魔力量を見せつけてもなお余裕のある表情。
油断できない相手だ。
だがデヴィル化した今、自分に倒せないものはないという自信がある。
強化した体に風の鎧を纏い、朱王へと一歩ずつ歩み寄る。
朱王の間合いとデヴィルの間合いはほぼ同じ。
同時に動き出す。
デヴィルの右の拳を朱王の火焔が弾き、続く左の拳を回避。
先程までと同じカ風の爪刃も襲いくる。
デヴィルの暴風の如き連撃を受け流す朱王は、風の爪刃をも全て相殺する。
しかし朱王もそれ程余裕があるわけではない。
デモンロードの時とは比べ物にならない程のパワーとスピード。
全てを刀で受け流す事ができずに、両脚をも使って捌ききる。
一撃が必殺となるパワー。
それが打撃技として連続して放たれている。
朱王は受け流す事でしか防ぐ事ができない程にデヴィルの攻撃は速くて重い。
さらには風の魔法まで上乗せされている。
しかし朱王は笑みを浮かべる。
この防御しかできない状況でなおも余裕を見せる。
朱王の不敵な笑みを不気味に思いつつも、デヴィルは朱王を叩き潰そうと全力で拳を振るう。
ある程度防御し続けたところで朱王は反撃に出る。
数万という攻撃を全て受け流し、合間を縫って刀を一振り。
ほんのわずかに頬を斬った程度だが、その傷の意味は大きい。
また全ての攻撃を受け流しつつも反撃の隙を窺い、再び浅い傷を付ける。
数千発に一度だった反撃が、数百発に一度、百発に一度と反撃の感覚が狭まっていく。
予測する為のデータが集まり、操作に慣れ、確率を上げていき、最後には確定させる。
少しずつ確率が上がっていき、デヴィルの体にも少しずつ傷がついていく。
つけられた傷を超速回復するが、火焔に焼かれて回復が遅い。
デヴィルは徐々に押され始め、気付けば互角の打ち合いとなる程に反撃が繰り出されている。
朱王の予測は操作によって確率が上昇する事で真価を発揮する。
先の操作で行動を限定し、そこから確率を高めた一太刀がデヴィルの速くて重い攻撃を抑え込む。
十全に振るえない拳は威力も激減。
続く朱王の攻撃を受けるしかなくなる。
ここで防御に回ればデヴィルは反撃さえできなくなるだろう。
朱王の予測がデヴィルの次の行動を許さない為だ。
すでにデヴィルはダメージ覚悟で朱王に攻撃をしなくてはならない。
肉弾戦では勝ち目がない。
……
……
勝ち目がないと感じてしまった。
デヴィルの強みである圧倒的な力で勝ち目はないと。
デヴィルは咄嗟にブレスを吐き出す。
デヴィルと朱王の間で大規模な爆発が起こる。
その爆発は大気を揺らし、地面を10メートル以上も抉ぐる程の威力。
一瞬で発動するにはあまりにも威力の高いブレスに、朱王もデヴィルから距離をとる。
すでに二十分以上は戦闘しているというのに、どちらも息切れ一つしていない。
デヴィルは唸り声をあげながら朱王を見据える。
朱王は油断なくデヴィルに意識を集中し、自分の今の状態について考える。
使用した魔力量はおよそ朱雀丸の一度の魔力量と同程度。
ダメージは与えられるがとどめを刺すにはかなりの魔力量が必要だろう。
朱王は下級魔法陣ファイアを発動。
放出する魔力が増大する。
これまで温存していた魔法陣。
長期戦となれば魔力の運用が重要になる。
下級魔法陣とはいえ、そうそう使用するべきではないと考える。
朱王の魔力が増大した事により、デヴィルは生まれて初めての感情が芽生える。
それが何なのかはわからない。
体が強張る違和感を覚えつつ、どうしていいのかわからずに苛立ち始める。
冷静であれば慎重に戦う事ができただろう。
咆哮を上げて地面を殴りつける。
何度も何度も殴りつけ、地面が数十メートルに渡って陥没する。
少し離れた位置で朱王とデヴィルの戦闘を見守る千尋達。
「あんなのと魔法陣なしで互角に戦っちゃうんだもんなー。まいっちゃうよねー」
「オレもちょっと戦ってみたかったがな」
「デヴィルもキレちゃったみたいだしもう終わりね」
「朱王様が負けるところなんて想像つきません!」
「私この赤いマカルォン食べてもいいですか?」
各々感想をもらしつつ戦いの行く末を見守る。
誰もが朱王の勝利を信じて疑わない。
デヴィルの素材の事はすっかり忘れているようだが。
怒り任せに地面を殴りつけたデヴィルは、朱王を見上げて唸り声をあげる。
そして咆哮をあげるとともに一瞬で朱王との距離を詰める。
デヴィルの一撃を受け、再び攻防が繰り広げられる。
朱王の攻撃がデヴィルの体を抉り、傷口を灼く。
朱王の放つ豪炎はデヴィルの攻撃を正面から受け止める程に強力だ。
デヴィルの右の蹴りを刀で受け、下から振り上げられる左の拳を豪炎で弾き、右薙ぎに胸を斬り裂く。
それでも引かずに右の拳を振り下ろすデヴィル。
傷を負い、血飛沫をあげながらもひたすら朱王と打ち合うこと数分。
ついにデヴィルが防御に回る。
やはり一度防御に回ると朱王の攻撃に耐えられるものではない。
強化した腕は刀で斬られる事はないが、全てを受けきる事が出来ずに傷を負い続ける。
傷を負い、超速回復を続け、朱王の攻撃に耐え続けたデヴィルの体は軋み、やがて限界に達する。
朱王の右袈裟がデヴィルを襲う。
防御に振り上げるつもりの左腕はだらりと下がったまま持ち上がらない。
鎖骨から腹までかけて深い傷を付けられたデヴィル。
朱王はとどめの一撃を放つ為の魔力を練る。
上級魔法陣インフェルノを発動していない状態での紅蓮の炎は、朱王の防御の為の魔力をそのまま攻撃に回した事を意味する。
刀を上段に構えた朱王。
とどめの一撃を振り下ろそうとした瞬間……
!!!!!?
強烈な光を放つと共に複数の斬撃と刺突。
朱王の体を斬り裂き、貫く複数の刃。
「デヴィルはやらせねーよ」
朱王に一斉に斬りかかった白髪の集団。
膨大な魔力を有した赤と黒の目を持つ男女、魔族の集団に体を貫かれて倒れる朱王。
動けないデヴィルは朱王が倒れるのを見つめながら傷を超速回復する。
地面に倒れ伏した朱王を見下ろす魔族の男は、他の魔族と比べても飛び抜けた魔力を放つ。
「残念だったな。テメーが隙を見せるのを待ってたんだ。人間にしては強えがここで死んでもらう」
朱王の胸に剣を突き立てた男が魔力を込める。
「「「「「朱王 (さん)!!」」」」」
全員が一気に駆け寄る。
蒼真は下級魔法陣を発動してそのうちの一人に斬り掛かる。
しかしすぐ横の男の横薙ぎの剣が向かい、跳躍して回避。
千尋も四刀流を駆使して複数の魔族に斬り掛かる。
リゼもルシファーを薙いで攻撃を仕掛け、アイリも雷刃で斬り掛かる。
ミリーは朱王の胸を剣で突き刺す男に向かうが、横から女に斬り付けられる。
朱王に剣を突き立てた男の魔力が膨張し、魔力を収縮して爆発。
朱王の高い強度が体を四散させる事はなかったが、胸は深く抉られ、口からは大量の血を流し、その目には生気はない。
「邪魔をっっっ…… しないでください!!」
ミリーの強力な一撃が女を弾き飛ばす。
朱王にとどめを刺した魔族の男は、ミリーの右薙ぎの一撃を剣の腹で受け止める。
「なんだ? 邪魔なのはテメーだろうが!!」
ミリーのメイスを弾いた魔族の男。
それと同時にデヴィルの咆哮が響き渡る。
目の前にいた魔族を右の拳で殴り飛ばし、蒼真と相対していた魔族をも背後から叩き潰す。
蒼真は下級魔法陣ウィンドを発動した圧空刃でデヴィルの拳を受ける。
しかしその一撃は重く、蒼真でも受け流しきれずに弾き飛ばされる。
デヴィルは目の前にいる者を敵とみなして殴り飛ばす。
魔族もその一撃に耐え切れずにデヴィルから距離をとる。
朱王にとどめを刺した魔族もデヴィルの拳をガードして弾き飛ばされた。
デヴィルは朱王の死体を叩き潰そうと拳を振り上げ、咄嗟に上級魔法陣エクスプロージョンを発動したミリーはデヴィルの顔面を打ち抜く。
ミリーの一撃はデヴィルをも弾き飛ばし、数十メートル先へと転がっていく。
「ミリー!! 朱王さんを回復しろ!!」
ミリーは言われたように朱王に回復魔法をかける。
魔力を全て注ぐつもりで魔法を発動するが、傷が塞がる事はない。
それでも朱王が息を吹き返す事を信じて魔法を発動し続ける。
起き上がって朱王にまた向かおうとするデヴィルに蒼真が立ち向かう。
下級魔法陣では耐え切れない。
上級魔法陣エアリアルを発動し、デヴィルの拳と蒼真の刀が交錯する。
双方の攻撃は互いに相殺しあい、二人を中心に爆風が吹き荒れる。
蒼真の背後から襲い掛かる魔族。
それを阻止しようとアイリが魔族に雷刃を食らわせる。
強化された豪雷が魔族の体を貫く。
魔族の数は十人。
そのうち二人はデヴィルによって叩き潰されて身動きがとれない。
リゼは朱王に近付かせないようルシファーで三人の魔族を同時に牽制している。
ミリーは眩しく光を放つ程に魔力を放出して朱王に回復魔法をかけている。
千尋は傷の癒えない朱王を見て硬直する。
ミリーの目からは涙が溢れ、必死で回復しているが効果がでない。
そんな事はお構いなしとばかりに襲い掛かる魔族。
目の前の魔族に苛立ちを覚えながらも剣を振るう千尋。
リクとシンでの四刀流で、二人相手でも攻勢に出る。
朱王の回復を信じて千尋とリゼが魔族と戦い、蒼真とアイリがデヴィルを相手に戦い続ける。
しかしミリーは回復魔法をやめてしまう。
「朱王? 朱王は…… 朱王はどこですか?」
突然ミリーが朱王を探し始める。
目の前に朱王が横たわっているのにもかかわらず、辺りをきょろきょろと見回している。
「ミリー!? 朱王さんを! 朱王さんを早く回復して!!」
千尋はミリーが回復をやめた事で声を荒げて回復するように促す。
「千尋さん! 朱王はどこですか!?」
「ミリー!? 目の前に朱王さんが倒れているだろ!? 呆けてる場合じゃないんだよ! 早く回復してよ!!」
「朱王…… 朱王……」とその後も辺りを見回すミリー。
朱王の死が受け入れられないのか。
(…… 死? 朱王さんが死んだ? なんで? デヴィルを倒そうとしてたのに…… それなのにあいつらが…… 朱王さんを殺した…… ?)
沸々と怒りが湧き上がる千尋。
怒りのあまり思考がまとまらない。
ただ千尋の頭の中にあるのは怒りと殺意。
辺りを見回せば、蒼真とアイリはデヴィルと戦っているが、かなり部が悪い。
アイリが攻撃に回り、蒼真はデヴィルから打ち込まれる拳を防いでいる。
蒼真はすでに体力の限界は超えているかもしれない。
額から血を流し、刀を握る手も血で真っ赤に染まる。
アイリの雷撃で一瞬動きは止まるものの、蒼真は反撃に出る事さえ出来ない状態だ。
アイリは拳から放たれる風の爪刃を相殺し、その合間に雷撃を放つ。
上級魔法陣ボルテクスを発動した雷刃でさえも、一瞬の麻痺しか与えられない。
多少の傷を与えても超速回復によってすぐに癒えてしまう。
二人掛かりでも抑え切る事ができそうにない。
リゼは三人の魔族を相手取りながらも、ルシファーの不規則な動きに警戒した魔族が攻め切れずにいる。
しかし同時に攻撃されればリゼは耐え切れないだろう。
それ程までに魔族から放たれる魔力は膨大だ。
そして千尋を取り囲む魔族が二人。
ミリーと朱王を攻撃させるわけにはいかない。
朱王をミリーに回復してもらわなければ。
体の傷を塞いで蘇生すれば間に合うかもしれない。
少しずつ考えがまとまり始める千尋。
ミリーは未だに朱王を探して辺り見回している。
そのミリーに一人の魔族が剣を振り上げる。
千尋はベルゼブブを抜いてその魔族に向けようとするが、他の魔族の男が斬り掛かってくる。
舌打ちしつつもその剣を躱し、ミリーに向けられた剣をリクのエンヴィで受け止める。
リクとシンでこの場は凌ぐしかないが、ミリーと朱王の側に行かなければ守り切れない。
しかしこの魔族が邪魔だ。
「どけよ!! 邪魔すんな!!」
両手の魔剣で斬り掛かるが、相手の魔力強化が激震を相殺する。
全力で剣を振るうが二人の魔族がその剣戟を全て受け止める。
これまで戦ってきた魔族とは違う。
一般の魔族にはないその強さに、千尋は歯噛みしながら剣を振るう。
立ち上がったミリーは今もまだ朱王を探す。
横たわる朱王に目をくれず、辺りを見回しながら自分へと視線を向ける魔族に気がつく。
朱王にとどめを刺した魔族の男。
他の魔族よりも遥かに高い魔力を放つ。
呆けたような表情をしたミリーがメイスを握りしめて魔族の男に立ち向かう。
「ああ? オレとやる気か? テメー如きがオレに勝てると思ってんのか!?」
苛立ちを見せる魔族の男。
ミリーは魔力を練り、エクスプロージョンを再び発動する。
ホムラは巨大な火竜へと変貌し、ミリーの背後に立つ。
「あなたはなんだか気に入りませんね……」
ゆらりと魔族の男へと歩み寄るミリー。
一拍の間をおいて剣とメイスを激しく打ち付け合う。
爆轟とも呼べる一撃を放つミリーに、魔族の男も朱王の豪炎にも似た炎で相殺する。
ミリーの乱打を受け止める魔族の男。
その全ての攻撃が必殺となる威力。
ミリーの上級魔法陣を発動した状態でさえもほぼ互角の戦いだ。
魔力の放出量から考えてもそれ程長くは保たないだろう。
ミリーが戦い始めた事で千尋もリクとシンを引き寄せて魔族二人を相手に剣を振るう。
千尋を相手に攻めてこない二人は時間稼ぎのつもりなのか。
如何に攻めようとも魔族はその攻撃を全て防ぎ切る。
攻めて来ない魔族が相手であればと、千尋も周りの様子を確認する。
リゼが受け持った魔族三人は、ルシファーの不規則な動きにも慣れ、連携をとってリゼへと襲い掛かる。
一人がルシファーを弾き、もう一人がリゼの魔法を発動の瞬間に防ぎ、最後の一人が斬り掛かる。
リゼはルシファーを大剣へと変化させてその剣を受ける。
リゼが一太刀受けると他の二人も襲い掛かる。
さすがに捌き切れずに、剣を受けながらも距離をとって戦う事を選択する。
それでも全てを捌き切る事ができずに、少しずつ斬撃を浴びていく。
防戦一方となったリゼにすでに勝ち目はない。
デヴィルと戦うは蒼真は倒れ、アイリも全ての攻撃を逃げ惑う事で躱している状態だ。
デヴィルの攻撃を受け続けていた蒼真だが、背後からの魔族の魔法を浴びた直後に強烈な拳を正面から受けてしまった。
逃げ惑うアイリもデヴィルと魔族の同時攻撃に、紫電を放ってギリギリで躱している。
しかしこの回避も魔力の消費が激しく、長くは逃げ続けられないだろう。
すでに絶望的な状況。
大量の血を流して動かない朱王、腕がおかしな方向に曲がって倒れ伏す蒼真。
必死に逃げ惑うアイリ、両腕から血を流しながらも互角に戦っているミリー。
そして今、リゼが魔族の一撃に耐え切れずにその場に倒れてしまった。
(くそっ…… オレがもっと強かったら…… 皆んな傷つかずに済むのに…… 朱王さんも死なずに済んだかもしれないのに…… 邪魔だ…… こいつ等邪魔なんだよ……)
千尋の心の中で怒りが限界まで達する。
「テメー等全員ぶっ殺してやる!!!!」
残りの魔力球を全てエクスカリバー、カラドボルグへと叩き込む。
同時に上級魔法陣アース、上級魔法陣インプロージョンを発動。
魔剣の溜め込める魔力量を遥かに超えた地属性魔法。
強化と圧縮を最大限に高める。
千尋の心の中は怒りと殺意で満たされた。
一人や二人ではない。
その数、十人。
「なんだよあの人間共は。あの黒い箱も気になるがあいつらかなり強えじゃねーか」
鍛えられた肉体に長い白髪。
目の色に特徴のある男。
「私達が狙ってたデーモンなんですけどね。先に取られてしまいました」
少年のような体躯に短めの白髪。
赤い角膜に黒い結膜の瞳が千尋達を見据える。
「別にいいわよ。彼奴らを殺してデーモンを連れて行きましょう」
「まぁ待て。このままデヴィル化するまで待機だ」
そう。彼らは魔人族の集団、この地に住まうデーモンの捕獲に来た精鋭だ。
デーモンを捕獲し、人間族、そして魔族との戦争にでも使うつもりだろう。
抑えてはいるが膨大な魔力量を内に秘める。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ついにデヴィルとなったデーモン。
相対するのは朱王。
これまで感じた最高の魔力量に、朱王も冷や汗が流れる。
デヴィルから放たれる魔力が収縮し、その体を覆う。
これまで放たれていた魔力はそのままデヴィルの放てる魔力の幅。
朱王の視界に映る魔力幅の測定値は、予想以上となる6万ガルド超え。
だが朱王には朱雀丸と魔法陣がある。
魔力の幅もその能力によって補う事ができる。
戦闘に関しては結局のところ魔法戦。
魔力の放出量が上回わればどんな魔法にでも対抗できるが、魔法に対するイメージ力や魔力の練度、魔法への還元率でその差も埋まる。
さて、デヴィルの実力はどれ程のものか。
朱王の火炎、そして予測と操作、確定に対抗できるだけの実力はあるのか。
魔力量や幅では圧倒的にデヴィルが上。
あとはデヴィルの実力次第。
朱王は魔力を高める事で火焔を放ち、朱雀丸を右に構えてデヴィルの出方を見る。
予測の為のデータを集める事にする。
デヴィルも冷静に朱王を見据える。
ここまで全ての攻撃をいなし、圧倒的な魔力量を見せつけてもなお余裕のある表情。
油断できない相手だ。
だがデヴィル化した今、自分に倒せないものはないという自信がある。
強化した体に風の鎧を纏い、朱王へと一歩ずつ歩み寄る。
朱王の間合いとデヴィルの間合いはほぼ同じ。
同時に動き出す。
デヴィルの右の拳を朱王の火焔が弾き、続く左の拳を回避。
先程までと同じカ風の爪刃も襲いくる。
デヴィルの暴風の如き連撃を受け流す朱王は、風の爪刃をも全て相殺する。
しかし朱王もそれ程余裕があるわけではない。
デモンロードの時とは比べ物にならない程のパワーとスピード。
全てを刀で受け流す事ができずに、両脚をも使って捌ききる。
一撃が必殺となるパワー。
それが打撃技として連続して放たれている。
朱王は受け流す事でしか防ぐ事ができない程にデヴィルの攻撃は速くて重い。
さらには風の魔法まで上乗せされている。
しかし朱王は笑みを浮かべる。
この防御しかできない状況でなおも余裕を見せる。
朱王の不敵な笑みを不気味に思いつつも、デヴィルは朱王を叩き潰そうと全力で拳を振るう。
ある程度防御し続けたところで朱王は反撃に出る。
数万という攻撃を全て受け流し、合間を縫って刀を一振り。
ほんのわずかに頬を斬った程度だが、その傷の意味は大きい。
また全ての攻撃を受け流しつつも反撃の隙を窺い、再び浅い傷を付ける。
数千発に一度だった反撃が、数百発に一度、百発に一度と反撃の感覚が狭まっていく。
予測する為のデータが集まり、操作に慣れ、確率を上げていき、最後には確定させる。
少しずつ確率が上がっていき、デヴィルの体にも少しずつ傷がついていく。
つけられた傷を超速回復するが、火焔に焼かれて回復が遅い。
デヴィルは徐々に押され始め、気付けば互角の打ち合いとなる程に反撃が繰り出されている。
朱王の予測は操作によって確率が上昇する事で真価を発揮する。
先の操作で行動を限定し、そこから確率を高めた一太刀がデヴィルの速くて重い攻撃を抑え込む。
十全に振るえない拳は威力も激減。
続く朱王の攻撃を受けるしかなくなる。
ここで防御に回ればデヴィルは反撃さえできなくなるだろう。
朱王の予測がデヴィルの次の行動を許さない為だ。
すでにデヴィルはダメージ覚悟で朱王に攻撃をしなくてはならない。
肉弾戦では勝ち目がない。
……
……
勝ち目がないと感じてしまった。
デヴィルの強みである圧倒的な力で勝ち目はないと。
デヴィルは咄嗟にブレスを吐き出す。
デヴィルと朱王の間で大規模な爆発が起こる。
その爆発は大気を揺らし、地面を10メートル以上も抉ぐる程の威力。
一瞬で発動するにはあまりにも威力の高いブレスに、朱王もデヴィルから距離をとる。
すでに二十分以上は戦闘しているというのに、どちらも息切れ一つしていない。
デヴィルは唸り声をあげながら朱王を見据える。
朱王は油断なくデヴィルに意識を集中し、自分の今の状態について考える。
使用した魔力量はおよそ朱雀丸の一度の魔力量と同程度。
ダメージは与えられるがとどめを刺すにはかなりの魔力量が必要だろう。
朱王は下級魔法陣ファイアを発動。
放出する魔力が増大する。
これまで温存していた魔法陣。
長期戦となれば魔力の運用が重要になる。
下級魔法陣とはいえ、そうそう使用するべきではないと考える。
朱王の魔力が増大した事により、デヴィルは生まれて初めての感情が芽生える。
それが何なのかはわからない。
体が強張る違和感を覚えつつ、どうしていいのかわからずに苛立ち始める。
冷静であれば慎重に戦う事ができただろう。
咆哮を上げて地面を殴りつける。
何度も何度も殴りつけ、地面が数十メートルに渡って陥没する。
少し離れた位置で朱王とデヴィルの戦闘を見守る千尋達。
「あんなのと魔法陣なしで互角に戦っちゃうんだもんなー。まいっちゃうよねー」
「オレもちょっと戦ってみたかったがな」
「デヴィルもキレちゃったみたいだしもう終わりね」
「朱王様が負けるところなんて想像つきません!」
「私この赤いマカルォン食べてもいいですか?」
各々感想をもらしつつ戦いの行く末を見守る。
誰もが朱王の勝利を信じて疑わない。
デヴィルの素材の事はすっかり忘れているようだが。
怒り任せに地面を殴りつけたデヴィルは、朱王を見上げて唸り声をあげる。
そして咆哮をあげるとともに一瞬で朱王との距離を詰める。
デヴィルの一撃を受け、再び攻防が繰り広げられる。
朱王の攻撃がデヴィルの体を抉り、傷口を灼く。
朱王の放つ豪炎はデヴィルの攻撃を正面から受け止める程に強力だ。
デヴィルの右の蹴りを刀で受け、下から振り上げられる左の拳を豪炎で弾き、右薙ぎに胸を斬り裂く。
それでも引かずに右の拳を振り下ろすデヴィル。
傷を負い、血飛沫をあげながらもひたすら朱王と打ち合うこと数分。
ついにデヴィルが防御に回る。
やはり一度防御に回ると朱王の攻撃に耐えられるものではない。
強化した腕は刀で斬られる事はないが、全てを受けきる事が出来ずに傷を負い続ける。
傷を負い、超速回復を続け、朱王の攻撃に耐え続けたデヴィルの体は軋み、やがて限界に達する。
朱王の右袈裟がデヴィルを襲う。
防御に振り上げるつもりの左腕はだらりと下がったまま持ち上がらない。
鎖骨から腹までかけて深い傷を付けられたデヴィル。
朱王はとどめの一撃を放つ為の魔力を練る。
上級魔法陣インフェルノを発動していない状態での紅蓮の炎は、朱王の防御の為の魔力をそのまま攻撃に回した事を意味する。
刀を上段に構えた朱王。
とどめの一撃を振り下ろそうとした瞬間……
!!!!!?
強烈な光を放つと共に複数の斬撃と刺突。
朱王の体を斬り裂き、貫く複数の刃。
「デヴィルはやらせねーよ」
朱王に一斉に斬りかかった白髪の集団。
膨大な魔力を有した赤と黒の目を持つ男女、魔族の集団に体を貫かれて倒れる朱王。
動けないデヴィルは朱王が倒れるのを見つめながら傷を超速回復する。
地面に倒れ伏した朱王を見下ろす魔族の男は、他の魔族と比べても飛び抜けた魔力を放つ。
「残念だったな。テメーが隙を見せるのを待ってたんだ。人間にしては強えがここで死んでもらう」
朱王の胸に剣を突き立てた男が魔力を込める。
「「「「「朱王 (さん)!!」」」」」
全員が一気に駆け寄る。
蒼真は下級魔法陣を発動してそのうちの一人に斬り掛かる。
しかしすぐ横の男の横薙ぎの剣が向かい、跳躍して回避。
千尋も四刀流を駆使して複数の魔族に斬り掛かる。
リゼもルシファーを薙いで攻撃を仕掛け、アイリも雷刃で斬り掛かる。
ミリーは朱王の胸を剣で突き刺す男に向かうが、横から女に斬り付けられる。
朱王に剣を突き立てた男の魔力が膨張し、魔力を収縮して爆発。
朱王の高い強度が体を四散させる事はなかったが、胸は深く抉られ、口からは大量の血を流し、その目には生気はない。
「邪魔をっっっ…… しないでください!!」
ミリーの強力な一撃が女を弾き飛ばす。
朱王にとどめを刺した魔族の男は、ミリーの右薙ぎの一撃を剣の腹で受け止める。
「なんだ? 邪魔なのはテメーだろうが!!」
ミリーのメイスを弾いた魔族の男。
それと同時にデヴィルの咆哮が響き渡る。
目の前にいた魔族を右の拳で殴り飛ばし、蒼真と相対していた魔族をも背後から叩き潰す。
蒼真は下級魔法陣ウィンドを発動した圧空刃でデヴィルの拳を受ける。
しかしその一撃は重く、蒼真でも受け流しきれずに弾き飛ばされる。
デヴィルは目の前にいる者を敵とみなして殴り飛ばす。
魔族もその一撃に耐え切れずにデヴィルから距離をとる。
朱王にとどめを刺した魔族もデヴィルの拳をガードして弾き飛ばされた。
デヴィルは朱王の死体を叩き潰そうと拳を振り上げ、咄嗟に上級魔法陣エクスプロージョンを発動したミリーはデヴィルの顔面を打ち抜く。
ミリーの一撃はデヴィルをも弾き飛ばし、数十メートル先へと転がっていく。
「ミリー!! 朱王さんを回復しろ!!」
ミリーは言われたように朱王に回復魔法をかける。
魔力を全て注ぐつもりで魔法を発動するが、傷が塞がる事はない。
それでも朱王が息を吹き返す事を信じて魔法を発動し続ける。
起き上がって朱王にまた向かおうとするデヴィルに蒼真が立ち向かう。
下級魔法陣では耐え切れない。
上級魔法陣エアリアルを発動し、デヴィルの拳と蒼真の刀が交錯する。
双方の攻撃は互いに相殺しあい、二人を中心に爆風が吹き荒れる。
蒼真の背後から襲い掛かる魔族。
それを阻止しようとアイリが魔族に雷刃を食らわせる。
強化された豪雷が魔族の体を貫く。
魔族の数は十人。
そのうち二人はデヴィルによって叩き潰されて身動きがとれない。
リゼは朱王に近付かせないようルシファーで三人の魔族を同時に牽制している。
ミリーは眩しく光を放つ程に魔力を放出して朱王に回復魔法をかけている。
千尋は傷の癒えない朱王を見て硬直する。
ミリーの目からは涙が溢れ、必死で回復しているが効果がでない。
そんな事はお構いなしとばかりに襲い掛かる魔族。
目の前の魔族に苛立ちを覚えながらも剣を振るう千尋。
リクとシンでの四刀流で、二人相手でも攻勢に出る。
朱王の回復を信じて千尋とリゼが魔族と戦い、蒼真とアイリがデヴィルを相手に戦い続ける。
しかしミリーは回復魔法をやめてしまう。
「朱王? 朱王は…… 朱王はどこですか?」
突然ミリーが朱王を探し始める。
目の前に朱王が横たわっているのにもかかわらず、辺りをきょろきょろと見回している。
「ミリー!? 朱王さんを! 朱王さんを早く回復して!!」
千尋はミリーが回復をやめた事で声を荒げて回復するように促す。
「千尋さん! 朱王はどこですか!?」
「ミリー!? 目の前に朱王さんが倒れているだろ!? 呆けてる場合じゃないんだよ! 早く回復してよ!!」
「朱王…… 朱王……」とその後も辺りを見回すミリー。
朱王の死が受け入れられないのか。
(…… 死? 朱王さんが死んだ? なんで? デヴィルを倒そうとしてたのに…… それなのにあいつらが…… 朱王さんを殺した…… ?)
沸々と怒りが湧き上がる千尋。
怒りのあまり思考がまとまらない。
ただ千尋の頭の中にあるのは怒りと殺意。
辺りを見回せば、蒼真とアイリはデヴィルと戦っているが、かなり部が悪い。
アイリが攻撃に回り、蒼真はデヴィルから打ち込まれる拳を防いでいる。
蒼真はすでに体力の限界は超えているかもしれない。
額から血を流し、刀を握る手も血で真っ赤に染まる。
アイリの雷撃で一瞬動きは止まるものの、蒼真は反撃に出る事さえ出来ない状態だ。
アイリは拳から放たれる風の爪刃を相殺し、その合間に雷撃を放つ。
上級魔法陣ボルテクスを発動した雷刃でさえも、一瞬の麻痺しか与えられない。
多少の傷を与えても超速回復によってすぐに癒えてしまう。
二人掛かりでも抑え切る事ができそうにない。
リゼは三人の魔族を相手取りながらも、ルシファーの不規則な動きに警戒した魔族が攻め切れずにいる。
しかし同時に攻撃されればリゼは耐え切れないだろう。
それ程までに魔族から放たれる魔力は膨大だ。
そして千尋を取り囲む魔族が二人。
ミリーと朱王を攻撃させるわけにはいかない。
朱王をミリーに回復してもらわなければ。
体の傷を塞いで蘇生すれば間に合うかもしれない。
少しずつ考えがまとまり始める千尋。
ミリーは未だに朱王を探して辺り見回している。
そのミリーに一人の魔族が剣を振り上げる。
千尋はベルゼブブを抜いてその魔族に向けようとするが、他の魔族の男が斬り掛かってくる。
舌打ちしつつもその剣を躱し、ミリーに向けられた剣をリクのエンヴィで受け止める。
リクとシンでこの場は凌ぐしかないが、ミリーと朱王の側に行かなければ守り切れない。
しかしこの魔族が邪魔だ。
「どけよ!! 邪魔すんな!!」
両手の魔剣で斬り掛かるが、相手の魔力強化が激震を相殺する。
全力で剣を振るうが二人の魔族がその剣戟を全て受け止める。
これまで戦ってきた魔族とは違う。
一般の魔族にはないその強さに、千尋は歯噛みしながら剣を振るう。
立ち上がったミリーは今もまだ朱王を探す。
横たわる朱王に目をくれず、辺りを見回しながら自分へと視線を向ける魔族に気がつく。
朱王にとどめを刺した魔族の男。
他の魔族よりも遥かに高い魔力を放つ。
呆けたような表情をしたミリーがメイスを握りしめて魔族の男に立ち向かう。
「ああ? オレとやる気か? テメー如きがオレに勝てると思ってんのか!?」
苛立ちを見せる魔族の男。
ミリーは魔力を練り、エクスプロージョンを再び発動する。
ホムラは巨大な火竜へと変貌し、ミリーの背後に立つ。
「あなたはなんだか気に入りませんね……」
ゆらりと魔族の男へと歩み寄るミリー。
一拍の間をおいて剣とメイスを激しく打ち付け合う。
爆轟とも呼べる一撃を放つミリーに、魔族の男も朱王の豪炎にも似た炎で相殺する。
ミリーの乱打を受け止める魔族の男。
その全ての攻撃が必殺となる威力。
ミリーの上級魔法陣を発動した状態でさえもほぼ互角の戦いだ。
魔力の放出量から考えてもそれ程長くは保たないだろう。
ミリーが戦い始めた事で千尋もリクとシンを引き寄せて魔族二人を相手に剣を振るう。
千尋を相手に攻めてこない二人は時間稼ぎのつもりなのか。
如何に攻めようとも魔族はその攻撃を全て防ぎ切る。
攻めて来ない魔族が相手であればと、千尋も周りの様子を確認する。
リゼが受け持った魔族三人は、ルシファーの不規則な動きにも慣れ、連携をとってリゼへと襲い掛かる。
一人がルシファーを弾き、もう一人がリゼの魔法を発動の瞬間に防ぎ、最後の一人が斬り掛かる。
リゼはルシファーを大剣へと変化させてその剣を受ける。
リゼが一太刀受けると他の二人も襲い掛かる。
さすがに捌き切れずに、剣を受けながらも距離をとって戦う事を選択する。
それでも全てを捌き切る事ができずに、少しずつ斬撃を浴びていく。
防戦一方となったリゼにすでに勝ち目はない。
デヴィルと戦うは蒼真は倒れ、アイリも全ての攻撃を逃げ惑う事で躱している状態だ。
デヴィルの攻撃を受け続けていた蒼真だが、背後からの魔族の魔法を浴びた直後に強烈な拳を正面から受けてしまった。
逃げ惑うアイリもデヴィルと魔族の同時攻撃に、紫電を放ってギリギリで躱している。
しかしこの回避も魔力の消費が激しく、長くは逃げ続けられないだろう。
すでに絶望的な状況。
大量の血を流して動かない朱王、腕がおかしな方向に曲がって倒れ伏す蒼真。
必死に逃げ惑うアイリ、両腕から血を流しながらも互角に戦っているミリー。
そして今、リゼが魔族の一撃に耐え切れずにその場に倒れてしまった。
(くそっ…… オレがもっと強かったら…… 皆んな傷つかずに済むのに…… 朱王さんも死なずに済んだかもしれないのに…… 邪魔だ…… こいつ等邪魔なんだよ……)
千尋の心の中で怒りが限界まで達する。
「テメー等全員ぶっ殺してやる!!!!」
残りの魔力球を全てエクスカリバー、カラドボルグへと叩き込む。
同時に上級魔法陣アース、上級魔法陣インプロージョンを発動。
魔剣の溜め込める魔力量を遥かに超えた地属性魔法。
強化と圧縮を最大限に高める。
千尋の心の中は怒りと殺意で満たされた。
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