99 / 297
クイースト王国編
098 飛行装備
しおりを挟む
待ちに待ったワイバーンの素材が、その鞣し加工と着色を終えたとの報告があった。
車で工房へと向かい、職人の欲しいという素材を渡す。
上位魔獣の素材を欲しがると思ったのだが、若いワイバーンの素材が欲しいとの事。
上位魔獣の素材は強度が高すぎて加工が難しく、良い商品を作る事が出来ないそうだ。
若いワイバーン二体分の素材で交渉成立。
一体分で良いとも言われたのだが、その素材の質の良さから二体分を置いてきた。
指定した色以外の素材は全て着色をしていないが!今後使用する際に着色すればいいだろう。
朱王邸に戻ってさっそく飛行装備を作る。
まずは加工が簡単な聖騎士達の飛行装備から作る事にする。
若いワイバーンの素材を切り出して次々と加工していく。
それ程器用さが必要でもない為、全員で一気に作っていく。
素材を切るのは千尋と朱王。
地属性強化が高い二人であれば切り口も綺麗。
ミスリルの工具でしっかりと形を整えながら作り込んでいく。
図面や型もあるので同じように作るだけだ。
魔力練度の高いメンバーは苦もなく飛行装備を完成させていく。
もちろん聖騎士達の望んだ色で作成する為、十二枚とも全て色が違う。
これまでは統一された鎧やローブだったが、装備にも個性を持たせる事にするようだ。
シダー国王の飛行装備をC級魔獣素材で作ったが、ヴォッヂのはA級魔獣の素材にした。
これは魔力練度の違いで別素材としたのだが、上位魔獣の素材は少し癖が強い。
魔力練度が高くないと操作がしづらくなるだろう。
ヴォッヂは聖騎士長という事もあり、その魔力練度はリゼやアイリを超える。
その点シダー国王は聖騎士と同等といったところか。
もう少し練度を上げてほしいところだが、訓練すれば大丈夫だろう。
それでも見た目はほとんど変わらない。
シダー国王の飛行装備は濃紺色に青白い飛膜だ。
魔石の代金を支払ったのも国王である為しっかりと装飾を入れる。
ミスリルの粉末を金色に着色して飛行装備の濃紺色部分に装飾を施す。
ミスリルの粉末による刺青のような方法だ。
魔力によって飛行装備にしっかりと定着するだろう。
頼まれてはいないが旦那さん用の飛行装備も作る事にした。
以前朱王は合ったことがある為、そのイメージで飛行装備を作る。
深紅を好む男性で、シダー国王の装飾と同じように装飾を加えた。
一度装飾を入れてしまうと他のも同じように装飾したくなる千尋と朱王。
悪い癖だが仕方がない。
全員分の装飾をしっかりと施した。
翌日からは自分達の分を作る事にした。
千尋の装備は当然のようにS級魔獣の素材とした。
魔力練度の高さで千尋を超えるものはいない為当然だ。
千尋の飛行装備は全てが純白の翼とし、金色と赤色で綺麗にミスリルの装飾を施す。
最上級の飛行装備が完成し、その出来に千尋も大満足だ。
蒼真の装備もS級魔獣の素材で作る。
S級魔獣は超巨大な個体だった為素材もたくさんとれる。
蒼真の飛行装備はシダー国王用のと同じような濃紺色に、銀色の飛膜。
濃紺色部分には銀色の装飾、飛膜部分には濃紺の装飾とした。
ミリーはA級魔獣の素材を使用。
S級魔獣の素材よりも若干操作しやすい。
ミリーは漆黒の翼に朱色の飛膜を選択。
漆黒の翼に朱色の装飾を施し、これまでの装備との相性も良さそうだ。
リゼはC級魔獣の素材を使用する。
A級魔獣の素材に比べれば強度がだいぶ劣るが、その柔軟性はリゼのルシファーの軌道を遮らない為にも重要だ。
防御の訓練もしたが、基本的には攻め、蹂躙するのがリゼの戦闘スタイルだ。
リゼは桜色の翼に鈍色の飛膜。
装備と合わせてもバランスが取れそうだ。
アイリは翼をC級魔獣の素材、飛膜をA級魔獣の素材を使用する。
アイリの戦闘能力上、少し柔らかめのC級魔獣素材ではスピードを充分に活かせない。
あえて飛膜を硬質なA級魔獣素材にする事で直線的な速度をあげようと考える。
色は濃いめの青紫に、少し紫を入れた銀色の飛膜。
アイリの装備にも合う綺麗な仕上がりとなった。
全員分完成したがまだまだ作らなければならない。
勇飛パーティーの分とカミン達五人の飛行装備だ。
勇飛の飛行装備はA級魔獣素材を使用し、要望通りに全て緑色の翼にした。
勇飛のイメージから金色の装飾を入れる。
かなり派手好きなので、金の模様をギラギラと光る程に多く入れた。
勇飛パーティーは基本的に単色を好む。
ナスカは深紅。
エレナは純白。
カインは天色。
個人のイメージに合った色で装飾を施した。
素材はあえてC級魔獣の素材を使用したが大丈夫だろうか。
次にカミンの飛行装備。
カミンは元聖騎士長、そして今は朱王に鍛えられて相当な強さを持つ。
S級魔獣素材を使用しても問題はないだろう。
カミンは普段から執事服を着ており、襟に青が入っている以外は黒い服装だ。
飛行装備も全て黒で作成し、飛膜に青い装飾を入れる。
これなら執事服に装備しても不自然さはない。
ちなみにこの執事服は各種耐性を備えたミスリルウェアだったりする。
調査も基本的にはこの服装。
朱王の部下である事を誓った日から装備をも執事服としたのがきっかけだ。
しかし執事服のまま装備はできるが飛行中は少し邪魔になりそうだ。
朱王の装備のジャケットと同じ様に丈を短く、そして背面にスリットを入れるなどの加工をした方が良さそうだと伝えておく。
マーリンとメイサの飛行装備はC級魔獣素材を使用する。
二人もメイド服が装備となる。
黒い翼に白い飛膜とし、装飾も白と黒で入れていく。
同じ飛行装備となったが、バックルの色を変えて違いを出す。
赤いバックルのマーリンと、薄紫のバックルのメイサ。
魔剣の色と合わせるとまた似合いそうだ。
そしてフィディックの分も作った。
高い魔力量を持ちながらそれ程魔力練度は高くない為、若いワイバーン素材で飛行装備を作る。
装備はある程度伸びるが、体がかなり大きいフィディック用にと一回り大きい飛行装備を作った。
フィディックもカインに特注して作ってもらった執事服のミスリルウェアを着込む。
真っ黒な飛行装備とし、装飾は髪の色に合わせて少し青味がかった銀色を入れた。
戦闘能力を持たないレイヒムだが、最近ではカミン達と共に行動する事も多いそうだ。
日頃から美味しい料理を作ってくれるレイヒムにも作ってあげよう。
料理人にとってコックコートは戦闘服と言っていいだろう。
レイヒムのコックコートは白い上着に黒いズボン。
それならば黒い飛行装備でもいいだろう。
朱王邸の部下達の装備が全員黒という事になってしまうが、朱王=黒い装備とイメージが湧くので問題ないだろう。
銀色でさり気なく装飾を入れ、ベルトを赤くする事にした。
やはりクリムゾン幹部達にも作った方がいいだろう。
ニシブの分はすでに作ってある為、残り四枚を作る。
いずれも魔力練度はそれほど高くない為、若いワイバーン素材でいいだろう。
幹部達のイメージに合った色で作成した。
邸にいたカミン達を集めて飛行装備を渡す。
カミンが礼を言い、マーリンやメイサも喜んでくれたようだ。
レイヒムは自分がもらえるとは思っていなかったのだろう、感激のあまり朱王に抱きついていた。
その後土下座しようとする程に謝っていたが。
そしてよくわからないまま受け取ったフィディックだが、朱王からもらえた飛行装備に嬉しそう。
外に出て飛行装備を試してもらう。
マーリンやメイサ、フィディックは空へと舞い上がり、自由に飛び回る。
C級素材を使用した飛行装備は魔力の制御がしやすく、誰にでも扱いやすい良い素材のようだ。
S級素材を使用したカミンの飛行装備だが、やはり魔力の制御は難しい。
蒼真と同等かそれ以上のカミンでさえ、強化による硬度と強度で翼の動きが悪い。
直線的な飛行は問題ないが、滑らかに滑空するのは難しいようだ。
同じく千尋達も自分の飛行装備を試す。
C級素材を使用したリゼはマーリン達と同じく空を自由に飛び回る。
千尋はさすがと言っていいだろう。
S級素材を使用したにもかかわらず、物凄いスピードで空を自由に舞う。
C級素材の翼にA級素材の飛膜を使用したアイリは狙い通り、扱いやすさと強度が両立し、直線的な速度が高い飛行装備となった。
蒼真とミリーはカミンと同じく苦戦中。
翼の動きが固く、なかなか滑らかな飛行とはいかないようだ。
しかし努力の二人は練習を惜しまない。
カミンも含めて地面で翼の操作を練習する。
思い思いの魔力の制御を試して、お互いに意見を交換しながら翼を動かしていく。
少しずつ滑らかに動くようになる翼は、イメージ力と魔力の制御のバランスが難しい。
それでも空を飛ばずに滑らかな動きができるようになるまで練習し、朱王の魔石に各々のの制御イメージを固定させる。
元々魔石に組み込んであった同調だが、魔力制御が高くないとイメージ力と結びつけることはできない。
個人の魔力制御とイメージ力を同調した甲斐あって、滑らかに動くようになった飛行装備。
硬度や強度はそのままに、自由に動くようになった翼で空を舞う。
意のままに空を舞うことが出来る装備にフィディックは号泣。
なんでこの魔族はこんなにも涙脆いのだろう。
まぁそれでもカミン達にも可愛がられているようだが。
その証拠にフィディックはミスリル製の武器を持つ。
カミンに買ってもらったそうだ。
どう見ても大剣だが、フィディックの体の大きさから考えれば普通の両手直剣だ。
千尋はフィディックから直剣を借りて魔力量2,000ガルドを溜め込む仕様にエンチャント。
ついでに貴族用のドロップにも同じようにエンチャント。
「フィディックは得意な魔法は何かあるかい?」
「リゼ様から習った氷の魔法を得意とします」
いつの間にかリゼが氷の魔法を教えたらしい。
朱王もさすがに驚く。
過去に行った千尋達との戦闘訓練。
その中でリゼだけは明らかに殺意を持って攻撃をしてきたのだ。
そのリゼが魔族であるフィディックには何故か優しいような気がする。
少し寂しい気分になる朱王だった。
まぁそれはともかく魔法陣をエンチャントし、精霊と契約してもらおう。
メイサに習って魔法陣を描き、メイサの詠唱に続いてフィディックも呪文を唱える。
召喚されたフラウはフィディックを見て震え上がる。
朱王の時もそうだったが魔族の魔力が精霊を怖がらせるのかもしれない。
フラウが逃げようとして後ろを向くと、複数の精霊が其処彼処に存在する。
不思議に思うフラウ。
もう一度フィディックを見るとあまり怖くない。
フィディックは剣を見せて魔力球を作り出す。
戸惑うフラウにリッカが近寄って契約するよう促す。
何故か早くしろよみたいなジェスチャーだがいいのだろうか。
フラウはフィディックと契約し、新たに魔族の精霊魔導師が誕生。
嬉しそうなフィディックの魔力をフラウも感じたらしく、怯える事はなくなった。
次は誰に渡しに行こうか。
そんな時はリルフォンの出番だろう。
まずは千尋が勇飛にコールする。
残念ながらクエストに向かっているそうで、帰ってくるのは明後日になるだろうとの事。
今度は蒼真がヴォッヂにコールする。
何気に蒼真とヴォッヂは仲がよく、「飛行装備が出来たんだが」と伝えるとすぐに来るという。
どれだけ急いで来たんだろう、聖騎士達が数分後には電磁移送で朱王の邸にやってきた。
各々要望通りの色の飛行装備に喜び、今後の自分達の装備についても話し合う。
全員が聖騎士となった事で、今後は装備のデザインを変更するそうだ。
それぞれ飛行装備を着用して空を舞う。
自分の意思で飛び回れる装備に全員が大満足。
楽しそうなのでしばらく遊ばせておこう。
やはりヴォッヂもA級素材に苦戦し、しばらくは同調に時間を費やした。
ある程度飛ぶ事ができるようにはなったが、今後もまだ同調する必要がありそうだ。
シダー国王にコールするのは朱王。
「飛行装備ができましたよー」と伝えると、リルフォンの向こうで騒ぎが聞こえるがこちらにすぐに向かうという。
また電磁移送で来るのだろう。
ヴォッヂ達同様に数分でやって来たが、国王がお供も連れずに出歩いていいのだろうか。
飛行装備を渡してそのデザインにも満足そう。
そして自由に空を飛び回り、その飛行性能にもご満足頂けたようだ。
旦那さん用の飛行装備も渡したらまた喜んでいた。
聖騎士共々飛行装備で帰っていく。
あとはクリムゾン幹部達に渡すだけだが、カミン達が直接運んでくれるそうだ。
ちょっとひとっ飛びして来たいのだろう。
一着ずつ手に持って飛び立った。
それを見た千尋達。
朱王をチラチラと見るのは何故だろう。
「オレ達も勇飛さん達に届けて来ていい?」
行きたいみたいなので了承する朱王。
これで飛行装備の件も一旦終了だなと一息つく。
車で工房へと向かい、職人の欲しいという素材を渡す。
上位魔獣の素材を欲しがると思ったのだが、若いワイバーンの素材が欲しいとの事。
上位魔獣の素材は強度が高すぎて加工が難しく、良い商品を作る事が出来ないそうだ。
若いワイバーン二体分の素材で交渉成立。
一体分で良いとも言われたのだが、その素材の質の良さから二体分を置いてきた。
指定した色以外の素材は全て着色をしていないが!今後使用する際に着色すればいいだろう。
朱王邸に戻ってさっそく飛行装備を作る。
まずは加工が簡単な聖騎士達の飛行装備から作る事にする。
若いワイバーンの素材を切り出して次々と加工していく。
それ程器用さが必要でもない為、全員で一気に作っていく。
素材を切るのは千尋と朱王。
地属性強化が高い二人であれば切り口も綺麗。
ミスリルの工具でしっかりと形を整えながら作り込んでいく。
図面や型もあるので同じように作るだけだ。
魔力練度の高いメンバーは苦もなく飛行装備を完成させていく。
もちろん聖騎士達の望んだ色で作成する為、十二枚とも全て色が違う。
これまでは統一された鎧やローブだったが、装備にも個性を持たせる事にするようだ。
シダー国王の飛行装備をC級魔獣素材で作ったが、ヴォッヂのはA級魔獣の素材にした。
これは魔力練度の違いで別素材としたのだが、上位魔獣の素材は少し癖が強い。
魔力練度が高くないと操作がしづらくなるだろう。
ヴォッヂは聖騎士長という事もあり、その魔力練度はリゼやアイリを超える。
その点シダー国王は聖騎士と同等といったところか。
もう少し練度を上げてほしいところだが、訓練すれば大丈夫だろう。
それでも見た目はほとんど変わらない。
シダー国王の飛行装備は濃紺色に青白い飛膜だ。
魔石の代金を支払ったのも国王である為しっかりと装飾を入れる。
ミスリルの粉末を金色に着色して飛行装備の濃紺色部分に装飾を施す。
ミスリルの粉末による刺青のような方法だ。
魔力によって飛行装備にしっかりと定着するだろう。
頼まれてはいないが旦那さん用の飛行装備も作る事にした。
以前朱王は合ったことがある為、そのイメージで飛行装備を作る。
深紅を好む男性で、シダー国王の装飾と同じように装飾を加えた。
一度装飾を入れてしまうと他のも同じように装飾したくなる千尋と朱王。
悪い癖だが仕方がない。
全員分の装飾をしっかりと施した。
翌日からは自分達の分を作る事にした。
千尋の装備は当然のようにS級魔獣の素材とした。
魔力練度の高さで千尋を超えるものはいない為当然だ。
千尋の飛行装備は全てが純白の翼とし、金色と赤色で綺麗にミスリルの装飾を施す。
最上級の飛行装備が完成し、その出来に千尋も大満足だ。
蒼真の装備もS級魔獣の素材で作る。
S級魔獣は超巨大な個体だった為素材もたくさんとれる。
蒼真の飛行装備はシダー国王用のと同じような濃紺色に、銀色の飛膜。
濃紺色部分には銀色の装飾、飛膜部分には濃紺の装飾とした。
ミリーはA級魔獣の素材を使用。
S級魔獣の素材よりも若干操作しやすい。
ミリーは漆黒の翼に朱色の飛膜を選択。
漆黒の翼に朱色の装飾を施し、これまでの装備との相性も良さそうだ。
リゼはC級魔獣の素材を使用する。
A級魔獣の素材に比べれば強度がだいぶ劣るが、その柔軟性はリゼのルシファーの軌道を遮らない為にも重要だ。
防御の訓練もしたが、基本的には攻め、蹂躙するのがリゼの戦闘スタイルだ。
リゼは桜色の翼に鈍色の飛膜。
装備と合わせてもバランスが取れそうだ。
アイリは翼をC級魔獣の素材、飛膜をA級魔獣の素材を使用する。
アイリの戦闘能力上、少し柔らかめのC級魔獣素材ではスピードを充分に活かせない。
あえて飛膜を硬質なA級魔獣素材にする事で直線的な速度をあげようと考える。
色は濃いめの青紫に、少し紫を入れた銀色の飛膜。
アイリの装備にも合う綺麗な仕上がりとなった。
全員分完成したがまだまだ作らなければならない。
勇飛パーティーの分とカミン達五人の飛行装備だ。
勇飛の飛行装備はA級魔獣素材を使用し、要望通りに全て緑色の翼にした。
勇飛のイメージから金色の装飾を入れる。
かなり派手好きなので、金の模様をギラギラと光る程に多く入れた。
勇飛パーティーは基本的に単色を好む。
ナスカは深紅。
エレナは純白。
カインは天色。
個人のイメージに合った色で装飾を施した。
素材はあえてC級魔獣の素材を使用したが大丈夫だろうか。
次にカミンの飛行装備。
カミンは元聖騎士長、そして今は朱王に鍛えられて相当な強さを持つ。
S級魔獣素材を使用しても問題はないだろう。
カミンは普段から執事服を着ており、襟に青が入っている以外は黒い服装だ。
飛行装備も全て黒で作成し、飛膜に青い装飾を入れる。
これなら執事服に装備しても不自然さはない。
ちなみにこの執事服は各種耐性を備えたミスリルウェアだったりする。
調査も基本的にはこの服装。
朱王の部下である事を誓った日から装備をも執事服としたのがきっかけだ。
しかし執事服のまま装備はできるが飛行中は少し邪魔になりそうだ。
朱王の装備のジャケットと同じ様に丈を短く、そして背面にスリットを入れるなどの加工をした方が良さそうだと伝えておく。
マーリンとメイサの飛行装備はC級魔獣素材を使用する。
二人もメイド服が装備となる。
黒い翼に白い飛膜とし、装飾も白と黒で入れていく。
同じ飛行装備となったが、バックルの色を変えて違いを出す。
赤いバックルのマーリンと、薄紫のバックルのメイサ。
魔剣の色と合わせるとまた似合いそうだ。
そしてフィディックの分も作った。
高い魔力量を持ちながらそれ程魔力練度は高くない為、若いワイバーン素材で飛行装備を作る。
装備はある程度伸びるが、体がかなり大きいフィディック用にと一回り大きい飛行装備を作った。
フィディックもカインに特注して作ってもらった執事服のミスリルウェアを着込む。
真っ黒な飛行装備とし、装飾は髪の色に合わせて少し青味がかった銀色を入れた。
戦闘能力を持たないレイヒムだが、最近ではカミン達と共に行動する事も多いそうだ。
日頃から美味しい料理を作ってくれるレイヒムにも作ってあげよう。
料理人にとってコックコートは戦闘服と言っていいだろう。
レイヒムのコックコートは白い上着に黒いズボン。
それならば黒い飛行装備でもいいだろう。
朱王邸の部下達の装備が全員黒という事になってしまうが、朱王=黒い装備とイメージが湧くので問題ないだろう。
銀色でさり気なく装飾を入れ、ベルトを赤くする事にした。
やはりクリムゾン幹部達にも作った方がいいだろう。
ニシブの分はすでに作ってある為、残り四枚を作る。
いずれも魔力練度はそれほど高くない為、若いワイバーン素材でいいだろう。
幹部達のイメージに合った色で作成した。
邸にいたカミン達を集めて飛行装備を渡す。
カミンが礼を言い、マーリンやメイサも喜んでくれたようだ。
レイヒムは自分がもらえるとは思っていなかったのだろう、感激のあまり朱王に抱きついていた。
その後土下座しようとする程に謝っていたが。
そしてよくわからないまま受け取ったフィディックだが、朱王からもらえた飛行装備に嬉しそう。
外に出て飛行装備を試してもらう。
マーリンやメイサ、フィディックは空へと舞い上がり、自由に飛び回る。
C級素材を使用した飛行装備は魔力の制御がしやすく、誰にでも扱いやすい良い素材のようだ。
S級素材を使用したカミンの飛行装備だが、やはり魔力の制御は難しい。
蒼真と同等かそれ以上のカミンでさえ、強化による硬度と強度で翼の動きが悪い。
直線的な飛行は問題ないが、滑らかに滑空するのは難しいようだ。
同じく千尋達も自分の飛行装備を試す。
C級素材を使用したリゼはマーリン達と同じく空を自由に飛び回る。
千尋はさすがと言っていいだろう。
S級素材を使用したにもかかわらず、物凄いスピードで空を自由に舞う。
C級素材の翼にA級素材の飛膜を使用したアイリは狙い通り、扱いやすさと強度が両立し、直線的な速度が高い飛行装備となった。
蒼真とミリーはカミンと同じく苦戦中。
翼の動きが固く、なかなか滑らかな飛行とはいかないようだ。
しかし努力の二人は練習を惜しまない。
カミンも含めて地面で翼の操作を練習する。
思い思いの魔力の制御を試して、お互いに意見を交換しながら翼を動かしていく。
少しずつ滑らかに動くようになる翼は、イメージ力と魔力の制御のバランスが難しい。
それでも空を飛ばずに滑らかな動きができるようになるまで練習し、朱王の魔石に各々のの制御イメージを固定させる。
元々魔石に組み込んであった同調だが、魔力制御が高くないとイメージ力と結びつけることはできない。
個人の魔力制御とイメージ力を同調した甲斐あって、滑らかに動くようになった飛行装備。
硬度や強度はそのままに、自由に動くようになった翼で空を舞う。
意のままに空を舞うことが出来る装備にフィディックは号泣。
なんでこの魔族はこんなにも涙脆いのだろう。
まぁそれでもカミン達にも可愛がられているようだが。
その証拠にフィディックはミスリル製の武器を持つ。
カミンに買ってもらったそうだ。
どう見ても大剣だが、フィディックの体の大きさから考えれば普通の両手直剣だ。
千尋はフィディックから直剣を借りて魔力量2,000ガルドを溜め込む仕様にエンチャント。
ついでに貴族用のドロップにも同じようにエンチャント。
「フィディックは得意な魔法は何かあるかい?」
「リゼ様から習った氷の魔法を得意とします」
いつの間にかリゼが氷の魔法を教えたらしい。
朱王もさすがに驚く。
過去に行った千尋達との戦闘訓練。
その中でリゼだけは明らかに殺意を持って攻撃をしてきたのだ。
そのリゼが魔族であるフィディックには何故か優しいような気がする。
少し寂しい気分になる朱王だった。
まぁそれはともかく魔法陣をエンチャントし、精霊と契約してもらおう。
メイサに習って魔法陣を描き、メイサの詠唱に続いてフィディックも呪文を唱える。
召喚されたフラウはフィディックを見て震え上がる。
朱王の時もそうだったが魔族の魔力が精霊を怖がらせるのかもしれない。
フラウが逃げようとして後ろを向くと、複数の精霊が其処彼処に存在する。
不思議に思うフラウ。
もう一度フィディックを見るとあまり怖くない。
フィディックは剣を見せて魔力球を作り出す。
戸惑うフラウにリッカが近寄って契約するよう促す。
何故か早くしろよみたいなジェスチャーだがいいのだろうか。
フラウはフィディックと契約し、新たに魔族の精霊魔導師が誕生。
嬉しそうなフィディックの魔力をフラウも感じたらしく、怯える事はなくなった。
次は誰に渡しに行こうか。
そんな時はリルフォンの出番だろう。
まずは千尋が勇飛にコールする。
残念ながらクエストに向かっているそうで、帰ってくるのは明後日になるだろうとの事。
今度は蒼真がヴォッヂにコールする。
何気に蒼真とヴォッヂは仲がよく、「飛行装備が出来たんだが」と伝えるとすぐに来るという。
どれだけ急いで来たんだろう、聖騎士達が数分後には電磁移送で朱王の邸にやってきた。
各々要望通りの色の飛行装備に喜び、今後の自分達の装備についても話し合う。
全員が聖騎士となった事で、今後は装備のデザインを変更するそうだ。
それぞれ飛行装備を着用して空を舞う。
自分の意思で飛び回れる装備に全員が大満足。
楽しそうなのでしばらく遊ばせておこう。
やはりヴォッヂもA級素材に苦戦し、しばらくは同調に時間を費やした。
ある程度飛ぶ事ができるようにはなったが、今後もまだ同調する必要がありそうだ。
シダー国王にコールするのは朱王。
「飛行装備ができましたよー」と伝えると、リルフォンの向こうで騒ぎが聞こえるがこちらにすぐに向かうという。
また電磁移送で来るのだろう。
ヴォッヂ達同様に数分でやって来たが、国王がお供も連れずに出歩いていいのだろうか。
飛行装備を渡してそのデザインにも満足そう。
そして自由に空を飛び回り、その飛行性能にもご満足頂けたようだ。
旦那さん用の飛行装備も渡したらまた喜んでいた。
聖騎士共々飛行装備で帰っていく。
あとはクリムゾン幹部達に渡すだけだが、カミン達が直接運んでくれるそうだ。
ちょっとひとっ飛びして来たいのだろう。
一着ずつ手に持って飛び立った。
それを見た千尋達。
朱王をチラチラと見るのは何故だろう。
「オレ達も勇飛さん達に届けて来ていい?」
行きたいみたいなので了承する朱王。
これで飛行装備の件も一旦終了だなと一息つく。
0
お気に入りに追加
1,028
あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした
鈴木竜一
ファンタジー
健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。
しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。
魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ!
【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】
※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる