追放シーフの成り上がり

白銀六花

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249 執筆活動

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 オリオンが四小国へと旅立ってから早十二日。
 ディーノは執筆活動を続けながら、国王からの要望があれば巨鳥の捕獲に向かうという、作家なのか冒険者なのかよくわからない生活を送っていた。
 ディーノの脚本とローレンツの台本との擦り合わせや、団員達の役の割り振り他、ディーノの考える英雄伝説をどう表現していくかなどを説明したりしつつ、団長としての仕事に少しずつおもしろさを覚えてきたところでもある。
 誰もが良く知る英雄伝説であるからこそディーノも話が進めやすく、序盤だけとはいえ観客への見せ方には、団員達ともあーでもないこーでもないとよく意見を交わし合った。
 やはりディーノの考えだけを押し付けるよりも多くの意見を出し合うことは表現の仕方にも幅が広がり、ローレンツの台本にも加筆がどんどん増えていく。
 役者としての難易度もあがると思うのだが、誰もがより良いものを作るべきだと努力を惜しむことはしない。

 脚本の進捗状況は七割ほどとなり、終わりが見えてきたようでいながら真実の歴史を語る場面であるためなかなか進めずにいる状態でもある。
 ローレンツへの相談も次第に増えて、ここ数日は劇場に泊まり込みで作業を進めているくらいだ。
 ウルとライナーには申し訳ないが、冒険者業はギルドからの連絡次第再開するということにして、自由に領地を行き来してもらうよう頼んでいる。
 しかしそこはアイデアの豊富なライナーがラフロイグ領とマーカーズ領、そしてラウンローヤの街まで人を送ることをギルドに提案。
 人数や荷物に制限を設け、マルドゥクの運動がてら領地や街に一走りの冒険者業、もとい運搬業を始めたらしい。
 これが当たったのか毎日予約の客が後を立たないのだとか。
 ディーノの復帰に合わせて休業となるため、その辺はギルドが全て配慮してくれているとのこと。
 おかげでディーノも二人にそれほど気にすることなく執筆活動を続けることができているのだが。

 また、ディーノの脚本を商品化しようと考えたローレンツは、国王に頼んでもう一人文官をつけてもらっている。
 名をミハエル=ロインクスというが、王都の南西、シュータイン皇国の北側隣領となるロインクス領の長男で、国王から文才を見出されてそのまま王都の文官として務めるようになったとのこと。
 爵位は弟に譲ったということなら、貴族としては国王に認められて文官になるのと、領地と爵位を親から譲られるのとでは後者の方が得な気もするが。
 しかし本人としては田舎でダラダラと領地経営するよりも、王都で文官として働く方が自分には向いている、人生も楽しめると不満はまったくないそうだ。
 書に詳しい者らしくディーノの書いた脚本の添削と言葉の変更など、様々な点で修正が必要だと指摘を受けた。
 もちろん作者となるディーノが全て書き直す必要があり、いろいろと指摘されることによってディーノの文章作りにも多くの学びがあって助かった。
 まだこの後も執筆が続くとなれば、ここである程度知識をつけた状態で書いた方が言葉選びに悩まずに済む。
 学舎に通うことができなかったディーノとしてはとてもありがたい。
 とはいえこの文官の男もディーノの脚本を読んで、素晴らしい才能だと太鼓判を押してくれた。
 畑違いの仕事だと嘆いていたディーノも、文官に褒められたとなれば少しだけ自信が持てる。
 脚本に向かう姿勢も以前とは少し違うものになったかもしれない。



 アリス達オリオンが戻ってきたのはその日の夕暮れ時だった。
 黒夜叉もブレイブも拠点をラフロイグにしていたものの、ディーノが王都にいるとなればラフロイグには戻らずそのままエイシス劇場へとエンペラーホークでやって来た。
 すでに国王への報告は済ませてあるためこの後は自由である。
 宿をとる必要があるため、マリオ達はアリスを降ろしてそのまま南区へと行ってしまったが。

「ディーノただいまっ!」

「お帰りアリス。小国への旅も特に問題はなかったみたいだな」

 元気そうに戻って来たアリスを見れば全員無事に帰って来たことはわかる。

「問題ならあったわよ」

「は?何があったんだ?」

「ヴァイツェの侯爵と揉めたのよ。どうも女性蔑視な国らしくて、護衛に来た私達を献上品か何かみたいな言い方をされてね」

 実力がものを言うこの世界で男尊女卑などそうそう考えられるものではない。
 持って生まれたスキルにもよるが、女でも男と同等の力を持つことも可能である。
 もしかするとヴァイツェの場合は男と女でスキルの発現に差があるのかもしれない。

「確かにそんな国もあるって聞いたな。バランタインでは考えれないけど。でも無視すればいいんじゃないのか?」

「私達は護衛としてついて行ったんだし我慢したんだけどね。バランタインと仲良くしたいエルスタウトの伯爵が発言を取り消せって激怒したのよ」

 国は違うとしても侯爵に伯爵が激怒するのはマズいだろう。
 小国とはいえ国際問題もいいところである。

「それ、大丈夫なのか?」

「怒鳴られた侯爵も怒っちゃって大変だったわ。戦争だーとか騒いでたけどペルエル側もケルシャルト側もヴァイツェが悪いって取り合わなかったけどね。今度は決闘だとか言い出して会議どころじゃなかったもの」

 他人事として聞く分にはおもしろそうな話だ。
 ヴァイツェとエルスタウトのスキルも気になるし決闘するところも見てみたい。
 あっ、聖銀との戦いを観戦しにあれだけの人が集まるのも今ならわかる気がするな。
 他人の戦いなら観たいと思うのは普通なのかもしれない。

「決闘したのか?」

「残念だけど決闘にはならなかったわ。バランタインのトレイス様が止めて下さったの。そもそも今回の合同会議も色相竜討伐の相談だったし、四国のほぼ中央付近に居着いたからどの国でも被害を出したくなくてバランタインに相談を持ち掛けたってことだもの」

 それなのに喧嘩したうえ戦争だとか言い出したとすればヴァイツェの侯爵は余程の馬鹿者ではなかろうか。
 戦争を始めた時点で色相竜を刺激する可能性もあり、戦争の真っ只中に乱入されるようなことになれば両国とも壊滅することも考えられる。
 兵を失った国は戦う術もなく色相竜から、そして他国からも攻め入られることにもなるだろう。
 場合によっては都合がいいと捉える国もあるかもしれないが、それはまた別の話か。

「うーん、はっきり言ってそんなのが侯爵してるなんてヤバい国だな。できれば関わりたくない相手だ」

「相談受けた時点でうちも関わってるんだけどね。とりあえずバランタインも色相竜討伐に協力することになったわ」

 ん?
 協力するってことはまだ戦ってないのか?
 他国からの依頼だって冒険者なら受けても問題ないはずだが。

「オリオンで戦うことにならなかったのか?」

「トレイス様は私達に戦わせるつもりだったみたいだけど、場所が悪くて私達だと難しいのよ」

「じゃあ誰がやるんだ?」

 質問ばっかりだが話がイマイチ見えてこない。
 四国の中央だから四方から攻めようとか考えてるんだろうか。

「ディーノ」

「ん?なんだ?」

「だからディーノがやるの」

「え?オレ?」

「うん。火山の火口付近に住み着いてるからディーノにやってもらうんだって」

 えーと……
 今忙しいんだよな……
 それに色相竜戦は黄竜以降は経験ないけど大丈夫だろうか。
 勝てなくはないだろうけどそこそこ苦戦しそうな気もするんだが。

「近いうちに国王様から依頼くると思うわ」

 んー。
 まあいいか。
 モンスター相手の実戦で全出力の精霊魔法も試したいし依頼がきたら受けよう。

「じゃあそれまでにもう少し脚本の方も進めとくかぁ」

 ずっと座り作業で体も鈍ってそうだが仕方がない。
 色相竜戦前に何かしらのモンスター討伐でもして勘を取り戻すことにしよう。



 ◇◆◇



 国王から依頼があったのはそれから二日後ではあったが、四国の準備が整うまで待つ必要があるとのことでそう急ぎの依頼ではないらしい。
 戦うのがディーノであれば準備も何も必要ないはずだが、もしかするとまた観戦に来るお偉いさんが多いのかもしれない。
 しかし場所が火山の火口付近となれば近くでの観戦は不可能となり、遠見筒でも調達すれば離れた位置からでも観戦はできる。
 遠目に見たところで得られるものはないと思うが、国の大事となれば観戦するのも当然かもしれない。
 ディーノとしては他国の者に見られて困る能力でもなく、離れた位置からの観戦であれば被害を気にせず闘いに専念できるため問題はない。
 バランタイン聖王国側としてはディーノの実力を他国に知らしめるのが目的かもしれないが、政治的な話に興味のないディーノからすればどうでもいいことである。
 やれと言われたら殺るだけだ。

 アリスが帰って来てから五日ほど経ったこの日。
 ディーノの執筆活動もある程度の目処がつき、ゼイラムが活躍するシーンを書き切ったことで、歪められた歴史を真実の歴史に書き起こせたことに一安心。
 この先の展開はヘラクレスにゼイラムのギフトが渡されることになるため、誰もが知る英雄の歴史をディーノの解釈をもとに書きあげるだけだ。
 ヘラクレスの活躍を如何にして盛り上げていくかが重要となるが、ゼイラムのシーンを書き起こすのに比べれば簡単作業である。
 ミハエルからの脚本編集作業も一緒に進めているものの、こちらはまだ商品化まで急ぐ必要がないことからここで中断したとしても問題はない。
 ディーノが色相竜討伐に向かっている間にローレンツの台本作りを手伝ってもらえば助かるな~などと思っていたのだが。

「私もディーノさんの戦いを是非とも見てみたいのですよ。それに団員の皆も団長の勇姿を見れば士気が高まるというもの。貴方の団長としての威厳にも繋がりますし、劇団員全員で観戦に向かおうと考えておりますよ」

 ミハエルもなかなかに自由な男である。
 国王の命令で脚本の編集を手伝いに来ているはずなのに、色相竜討伐の観戦に行きたいなどと言い出すとは思わなかった。
 隣で笑顔のまま頷くローレンツは巨鳥捕獲を見せに連れて行ったりもしているので、今回も気晴らしに観戦をと考えているのだろう。
 劇団員はこれまで連れて行ったことはないが、団長としての威厳か……
 お互いに一般市民としての関係からフランクな付き合いをしているものの、座長であるローレンツよりも雑な扱いを受けている気もしなくもない。
 一応は座長の上司という立場になるわけだし、威厳が必要だというなら戦いを観せるのも悪くはない、のか?
 冒険者としての威厳を見せても意味がない気もするが。
 まあそれでも戦いの演技もするわけだし、実戦を観て得られるものがあるならそれはそれでいいか。

「じゃあ遠くからの観戦になるので、遠見筒を全員分用意してくださいね。あ、でもマルドゥクの機嫌が悪くなるかもしれないな……なにか美味そうなモンスターの捕獲も考えないと」

 劇団員はまだ十人しかいないとはいえ、ローレンツとミハエル、キアーラとアデリーナも行くとなれば結構な大所帯だ。
 全員乗れなくはないとしても人数が増えると嫌そうな態度をとるマルドゥクである。
 色相竜を食わせるという手もあるが、素材として四国側が欲する可能性もあることから当てにはできない。
 向こうの国で何かしらのモンスターを紹介してもらうことにしよう。
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