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225 ジャルパ
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モンスター蔓延る危険領域内での睡眠はそう満足にはとれるものではない。
それでも昨日の疲れはある程度取れ、体はあちこち痛いが頭の方はハッキリしている。
水分補給代わりに下級回復薬を飲みつつ、朝食にはまた携帯食料を口にする。
あまり美味しい食べ物ではないが栄養価は高く腹持ちもいい。
「さて、よく寝れたかお前ら。俺はまだ結構眠い。あと美味いもん食いてぇ」
「わがまま言うなー」
今回は火を使えないためソーニャが料理をすることもないが、なかなかに美味しいスープはパーティーにも評判がいいのだ。
そんな美味しいスープが今回無いのは少し寂しい気もする。
「んであれだ。あいつをどうするか。モンスターである以上は殺っちまっていいとは思うんだけどよ。襲ってこないんなら放っておいてもいいような気もする」
「ディーノも何も言ってなかったしな」
もし知っていればモンスターについては無駄に教えたがりなディーノのことだ、必要のあることないことなんでも説明してくれたはずなのだ。
ジャルパを倒すのが目的であれば最初からこの目立つモンスターを討伐目標として進んできただろう。
だが何も言われていないということは討伐する必要もなく、こちらに害がなければ素通りでもいいのではないだろうか。
「ねぇ。あのモンスターの背後にあるの、ディーノが言ってた神殿じゃない?もしかしたらあれを守ってるのかも」
遠見筒でジャルパを確認するフィオレが神殿を見つけたようだ。
「じゃあ神殿のとこまで来たんだし目的達成ってこと?」
「違うでしょ。まだここは神殿より手前」
だとすれば神殿のところまで、ジャルパに近付く必要があるということだ。
「仕方ない。やるか」
「そうね、やりましょう」
マリオがやると言うならジャルパ討伐に挑むしかない。
様々な状況で判断して行動していくのが冒険者というものだ。
ディーノの指示がなくとも挑んでみよう。
武器を手にジャルパへと近付いて行くと、これまで静かに佇んでいたその巨体が動き始める。
目には怒りにも似た光を灯し、目の前の敵を排除しようと前傾姿勢で叫び声をあげた。
「もしかしてこいつかなり強えんじゃね?」
「昨日も説明したけど竜種を凌ぐとも書いてあったわよ」
「迫力はティアマト並みだね」
ジャルパを見た目から分析していると、その巨体をからは信じられない速度で拳が振り抜かれる。
咄嗟に前に出たジェラルドはプロテクションを発動し、その拳を抑え込もうと力を込めるが。
その膂力に相応しい威力で殴り飛ばされた。
上方からの力であれば耐えられたとしても後方へとなればジェラルドの重さだけでは軽々と飛ばされてしまう。
しかしその威力は尋常ではなく、先ほどまで休んでいた位置ほどの距離を飛ばされてしまう。
「強さもティアマトに匹敵するかもっ!!」
ジェラルドを殴り飛ばしたことで顔が下方へと向けられていたため、フィオレはその剥き出しになった歯茎へとインパクトの込められた矢を射る。
顔面を殴られたかのような衝撃にジャルパも顔を後方へと仰け反らせ、フィオレはステルスを発動しながら木々の中に姿を暗ます。
さすがはフィオレと言いたい判断の早さと的確な行動。
殴り飛ばされたとはいえジェラルドの防御力であれば死ぬことはない。
おそらくはまた戻って来るだろうと判断し、マリオ達もジャルパを倒そうと動き出す。
マリオがジャルパの足元へと駆け寄る中、アリスはディーノのように足元に防壁を展開して空へ駆け上がる。
速度と足の回転が追い付かず空を駆け回ることはできないが、ある程度の高さまでなら駆け上がることが可能だ。
レナータは顔を狙いやすい位置を探して岩場に向かって走り出し、ソーニャはジャルパの顔が上を向いている間に振り上げた右腕側へと姿を隠す。
アリスの攻撃に合わせて仕掛けようとタイミングを見計らう。
足場にした防壁で魔力をある程度消費しているものの、アリスの出力は並みの魔法スキルよりも高い攻撃力を誇る。
胸元の高さまで駆け上がったアリスはその距離を詰め、頭上から振り下ろされる拳を掻い潜って炎槍を射出する。
同時にエアレイドを発動して一気に加速したソーニャのダガーが右脇腹へと突き刺さり、体を捻るようにして引き裂きながら跳躍。
炎槍は接触状態からではないため威力としては落ちてしまったが、脇腹に深い火傷と傷跡を残して地面に向かって落ちていく。
ジャルパは双方からの痛みに膝を崩してしまい、尻餅をつくようにして後方へと倒れる。
駆け寄っていたマリオは倒れ込んだ足を駆け上がりジャルパの膝を蹴って跳躍すると着地点に合わせてストリームスラッシュを発動。
斬れ味のいい牙剣で腹部を斬り開き、体重を乗せての八連撃が筋繊維をズタズタに斬り裂いた。
スラッシュの硬直によって動きを止めてしまうものの、起き上がろうとするジャルパから薙ぎ払われることはない。
「強えのは間違いねーけど強度自体は大したことねー!」
勝利を確信したマリオが声をあげた。
しかしアリスが退避しようと駆け出したところでジャルパからの地属性魔法が発動。
大地を破って巨大な岩が突き出した。
アリスは足元から突き上げられた岩によって弾き飛ばされ、遠く離れた地面を転がり蹲る。
膝を強打したことですぐには動けないが、道具入れから上級回復薬を取り出して半分傷に掛けると残りを一気に飲み干した。
やはり踏み込みすぎると攻撃を受ける可能性は跳ね上がり、ダメージを負えば戦闘続行も難しい。
これがパーティー戦であるためまだ狙いを絞られることはないとしても、ソロだったとすればこのまま叩き伏せられて命を落とすことにもなるだろう。
そして岩の牢獄内に残されたマリオはというと。
隙間が多く逃げようとしたものの、高く突き上げられた岩が崩壊、マリオの頭上から降ってくる。
ここで最も安全なのがジャルパ側というのが不思議だが、魔法を発動した者は基本的に自分には被害がないように発動するのが普通だ。
それはモンスターとて例外はない。
ジャルパの足の甲へと転がり込んだマリオ。
降り注ぐ岩の雨からは避けられたとしてもジャルパがマリオの位置に気付かないはずはなく、そのまま足を振り上げられて空へと投げ出された。
そして振り上げられるジャルパ右腕。
死を覚悟するマリオだったが、山なりに射られた矢がジャルパの鼻上へと刺さり、呪闇が視界を遮る。
呪闇を払おうと顔を拭うもすぐに晴れることはない。
その間に態勢を立て直す必要があるものの、宙に投げ出されたマリオが地面に打ち付けられればまともに動くことはできなくなる。
エアレイドはスキル待機時間のため使えないが、ソーニャの速度であれば跳躍力も相当なもの。
落ちてきたマリオに向かってソーニャが飛び付き、地面に叩き付けられる衝撃を和らげる。
互いにぶつかった痛みと地面に落ちた衝撃とでかなりのダメージとなってしまったものの、戦線復帰できないほどではない。
二人とも回復薬を飲み干して戦闘態勢を整える。
危険な魔法ではあるが、呪闇はモンスターに対して有効な手だ。
遠くから駆けてくるジェラルドを見て全員での戦闘再開を確信し、アリスが立ち上がったことにも安心する。
パーティーの最大火力が戦闘不能ではジャルパを倒すのは難しい。
呪闇が途切れて怒りの咆哮をあげるジャルパ。
地属性魔法を発動すると地面から激しい振動が伝わってくる。
このままではマズい、そう思った瞬間にジャルパの顔が大きく右に弾き飛ばされた。
フィオレのインパクトだろう、魔法も遮られたのか地面の振動も収まった。
本当に優秀なアーチャーである。
ジャルパが起き上がるまでにジェラルドがマリオの元まで辿り着き、距離をとっては魔法の的に、ジェラルドに対しても薙ぎ払われてしまうだろうと近距離戦で臨むことにする。
はあはあと息を切らすジェラルドではあるが疲れを気にしている場合ではない。
オリオンが駆け出せばジャルパも駆け出し、ジャルパの間合いに入ると再び低空の右拳を振り向けられる。
これに正面から受けてはまた殴り飛ばされてしまうため、盾を斜めに掲げて潜り抜けるようにして受け流す。
地面ごと抉られれば殴り飛ばされた可能性もあるが、なんとか凌ぐことができた。
しかし一撃防いだとしても今度は左の拳を頭上から振り下ろされる。
これにすぐにマリオとソーニャは退避。
竜種以上の一撃にジェラルドのプロテクションでも鼻血が噴き出すかと思うほどの重さがある。
強度こそ低くとも攻撃力だけなら今まで戦ったどの竜種よりも高い。
足も地面に沈み込み、膝を崩せばそのまま叩き潰されることになるだろう。
低くなったジャルパの首に左右からマリオの斬撃とソーニャの全身を使った切り裂きとが振り向けられ、拳に乗せられた力を緩めることでジャルパはこれを回避。
のし掛かる力が緩むとジェラルドは鼻血が出た。
今以上の一撃を受ければ耳から血が出る可能性さえあるのだ。
ジェラルドとしては絶体絶命の危機だった。
しかしここで跳躍しているマリオとソーニャは隙だらけでもある。
体を起こしたジャルパが右拳を振るい、マリオは咄嗟にソーニャを抱え込んで殴り飛ばされる、が、ここで一人忘れてはならないウィザードランサーが駆け込んでいた。
岩による突き上げられたダメージによって高い位置までは駆け上がれなかったものの、左脇腹へとバーンを突き立て、体内へ直接炎槍を射出。
内臓を貫く一撃がジャルパの体を傾かせるのに充分な威力を持つ。
マリオもジャルパの拳を受けるものの、振り抜くまでに至らなかったことで全身を砕かれずに済んだ。
地面を転がっていくと先に起き上がったソーニャがマリオへと駆け寄る。
「あっぶね~」と溢す姿に少し涙が溢れつつ、回復薬を叩き付けてすぐにジェラルドの元へと駆けていく。
新しい回復薬を取り出して頭から掛け流し、埋まったジェラルドを引っ張り出してジャルパに備える。
アリスもすでに態勢を整えているが、膝のダメージが大きいのか動きは鈍い。
痛みに悶えるジャルパを前に、オリオンもまた満身創痍な前衛で戦いに臨む。
それでも昨日の疲れはある程度取れ、体はあちこち痛いが頭の方はハッキリしている。
水分補給代わりに下級回復薬を飲みつつ、朝食にはまた携帯食料を口にする。
あまり美味しい食べ物ではないが栄養価は高く腹持ちもいい。
「さて、よく寝れたかお前ら。俺はまだ結構眠い。あと美味いもん食いてぇ」
「わがまま言うなー」
今回は火を使えないためソーニャが料理をすることもないが、なかなかに美味しいスープはパーティーにも評判がいいのだ。
そんな美味しいスープが今回無いのは少し寂しい気もする。
「んであれだ。あいつをどうするか。モンスターである以上は殺っちまっていいとは思うんだけどよ。襲ってこないんなら放っておいてもいいような気もする」
「ディーノも何も言ってなかったしな」
もし知っていればモンスターについては無駄に教えたがりなディーノのことだ、必要のあることないことなんでも説明してくれたはずなのだ。
ジャルパを倒すのが目的であれば最初からこの目立つモンスターを討伐目標として進んできただろう。
だが何も言われていないということは討伐する必要もなく、こちらに害がなければ素通りでもいいのではないだろうか。
「ねぇ。あのモンスターの背後にあるの、ディーノが言ってた神殿じゃない?もしかしたらあれを守ってるのかも」
遠見筒でジャルパを確認するフィオレが神殿を見つけたようだ。
「じゃあ神殿のとこまで来たんだし目的達成ってこと?」
「違うでしょ。まだここは神殿より手前」
だとすれば神殿のところまで、ジャルパに近付く必要があるということだ。
「仕方ない。やるか」
「そうね、やりましょう」
マリオがやると言うならジャルパ討伐に挑むしかない。
様々な状況で判断して行動していくのが冒険者というものだ。
ディーノの指示がなくとも挑んでみよう。
武器を手にジャルパへと近付いて行くと、これまで静かに佇んでいたその巨体が動き始める。
目には怒りにも似た光を灯し、目の前の敵を排除しようと前傾姿勢で叫び声をあげた。
「もしかしてこいつかなり強えんじゃね?」
「昨日も説明したけど竜種を凌ぐとも書いてあったわよ」
「迫力はティアマト並みだね」
ジャルパを見た目から分析していると、その巨体をからは信じられない速度で拳が振り抜かれる。
咄嗟に前に出たジェラルドはプロテクションを発動し、その拳を抑え込もうと力を込めるが。
その膂力に相応しい威力で殴り飛ばされた。
上方からの力であれば耐えられたとしても後方へとなればジェラルドの重さだけでは軽々と飛ばされてしまう。
しかしその威力は尋常ではなく、先ほどまで休んでいた位置ほどの距離を飛ばされてしまう。
「強さもティアマトに匹敵するかもっ!!」
ジェラルドを殴り飛ばしたことで顔が下方へと向けられていたため、フィオレはその剥き出しになった歯茎へとインパクトの込められた矢を射る。
顔面を殴られたかのような衝撃にジャルパも顔を後方へと仰け反らせ、フィオレはステルスを発動しながら木々の中に姿を暗ます。
さすがはフィオレと言いたい判断の早さと的確な行動。
殴り飛ばされたとはいえジェラルドの防御力であれば死ぬことはない。
おそらくはまた戻って来るだろうと判断し、マリオ達もジャルパを倒そうと動き出す。
マリオがジャルパの足元へと駆け寄る中、アリスはディーノのように足元に防壁を展開して空へ駆け上がる。
速度と足の回転が追い付かず空を駆け回ることはできないが、ある程度の高さまでなら駆け上がることが可能だ。
レナータは顔を狙いやすい位置を探して岩場に向かって走り出し、ソーニャはジャルパの顔が上を向いている間に振り上げた右腕側へと姿を隠す。
アリスの攻撃に合わせて仕掛けようとタイミングを見計らう。
足場にした防壁で魔力をある程度消費しているものの、アリスの出力は並みの魔法スキルよりも高い攻撃力を誇る。
胸元の高さまで駆け上がったアリスはその距離を詰め、頭上から振り下ろされる拳を掻い潜って炎槍を射出する。
同時にエアレイドを発動して一気に加速したソーニャのダガーが右脇腹へと突き刺さり、体を捻るようにして引き裂きながら跳躍。
炎槍は接触状態からではないため威力としては落ちてしまったが、脇腹に深い火傷と傷跡を残して地面に向かって落ちていく。
ジャルパは双方からの痛みに膝を崩してしまい、尻餅をつくようにして後方へと倒れる。
駆け寄っていたマリオは倒れ込んだ足を駆け上がりジャルパの膝を蹴って跳躍すると着地点に合わせてストリームスラッシュを発動。
斬れ味のいい牙剣で腹部を斬り開き、体重を乗せての八連撃が筋繊維をズタズタに斬り裂いた。
スラッシュの硬直によって動きを止めてしまうものの、起き上がろうとするジャルパから薙ぎ払われることはない。
「強えのは間違いねーけど強度自体は大したことねー!」
勝利を確信したマリオが声をあげた。
しかしアリスが退避しようと駆け出したところでジャルパからの地属性魔法が発動。
大地を破って巨大な岩が突き出した。
アリスは足元から突き上げられた岩によって弾き飛ばされ、遠く離れた地面を転がり蹲る。
膝を強打したことですぐには動けないが、道具入れから上級回復薬を取り出して半分傷に掛けると残りを一気に飲み干した。
やはり踏み込みすぎると攻撃を受ける可能性は跳ね上がり、ダメージを負えば戦闘続行も難しい。
これがパーティー戦であるためまだ狙いを絞られることはないとしても、ソロだったとすればこのまま叩き伏せられて命を落とすことにもなるだろう。
そして岩の牢獄内に残されたマリオはというと。
隙間が多く逃げようとしたものの、高く突き上げられた岩が崩壊、マリオの頭上から降ってくる。
ここで最も安全なのがジャルパ側というのが不思議だが、魔法を発動した者は基本的に自分には被害がないように発動するのが普通だ。
それはモンスターとて例外はない。
ジャルパの足の甲へと転がり込んだマリオ。
降り注ぐ岩の雨からは避けられたとしてもジャルパがマリオの位置に気付かないはずはなく、そのまま足を振り上げられて空へと投げ出された。
そして振り上げられるジャルパ右腕。
死を覚悟するマリオだったが、山なりに射られた矢がジャルパの鼻上へと刺さり、呪闇が視界を遮る。
呪闇を払おうと顔を拭うもすぐに晴れることはない。
その間に態勢を立て直す必要があるものの、宙に投げ出されたマリオが地面に打ち付けられればまともに動くことはできなくなる。
エアレイドはスキル待機時間のため使えないが、ソーニャの速度であれば跳躍力も相当なもの。
落ちてきたマリオに向かってソーニャが飛び付き、地面に叩き付けられる衝撃を和らげる。
互いにぶつかった痛みと地面に落ちた衝撃とでかなりのダメージとなってしまったものの、戦線復帰できないほどではない。
二人とも回復薬を飲み干して戦闘態勢を整える。
危険な魔法ではあるが、呪闇はモンスターに対して有効な手だ。
遠くから駆けてくるジェラルドを見て全員での戦闘再開を確信し、アリスが立ち上がったことにも安心する。
パーティーの最大火力が戦闘不能ではジャルパを倒すのは難しい。
呪闇が途切れて怒りの咆哮をあげるジャルパ。
地属性魔法を発動すると地面から激しい振動が伝わってくる。
このままではマズい、そう思った瞬間にジャルパの顔が大きく右に弾き飛ばされた。
フィオレのインパクトだろう、魔法も遮られたのか地面の振動も収まった。
本当に優秀なアーチャーである。
ジャルパが起き上がるまでにジェラルドがマリオの元まで辿り着き、距離をとっては魔法の的に、ジェラルドに対しても薙ぎ払われてしまうだろうと近距離戦で臨むことにする。
はあはあと息を切らすジェラルドではあるが疲れを気にしている場合ではない。
オリオンが駆け出せばジャルパも駆け出し、ジャルパの間合いに入ると再び低空の右拳を振り向けられる。
これに正面から受けてはまた殴り飛ばされてしまうため、盾を斜めに掲げて潜り抜けるようにして受け流す。
地面ごと抉られれば殴り飛ばされた可能性もあるが、なんとか凌ぐことができた。
しかし一撃防いだとしても今度は左の拳を頭上から振り下ろされる。
これにすぐにマリオとソーニャは退避。
竜種以上の一撃にジェラルドのプロテクションでも鼻血が噴き出すかと思うほどの重さがある。
強度こそ低くとも攻撃力だけなら今まで戦ったどの竜種よりも高い。
足も地面に沈み込み、膝を崩せばそのまま叩き潰されることになるだろう。
低くなったジャルパの首に左右からマリオの斬撃とソーニャの全身を使った切り裂きとが振り向けられ、拳に乗せられた力を緩めることでジャルパはこれを回避。
のし掛かる力が緩むとジェラルドは鼻血が出た。
今以上の一撃を受ければ耳から血が出る可能性さえあるのだ。
ジェラルドとしては絶体絶命の危機だった。
しかしここで跳躍しているマリオとソーニャは隙だらけでもある。
体を起こしたジャルパが右拳を振るい、マリオは咄嗟にソーニャを抱え込んで殴り飛ばされる、が、ここで一人忘れてはならないウィザードランサーが駆け込んでいた。
岩による突き上げられたダメージによって高い位置までは駆け上がれなかったものの、左脇腹へとバーンを突き立て、体内へ直接炎槍を射出。
内臓を貫く一撃がジャルパの体を傾かせるのに充分な威力を持つ。
マリオもジャルパの拳を受けるものの、振り抜くまでに至らなかったことで全身を砕かれずに済んだ。
地面を転がっていくと先に起き上がったソーニャがマリオへと駆け寄る。
「あっぶね~」と溢す姿に少し涙が溢れつつ、回復薬を叩き付けてすぐにジェラルドの元へと駆けていく。
新しい回復薬を取り出して頭から掛け流し、埋まったジェラルドを引っ張り出してジャルパに備える。
アリスもすでに態勢を整えているが、膝のダメージが大きいのか動きは鈍い。
痛みに悶えるジャルパを前に、オリオンもまた満身創痍な前衛で戦いに臨む。
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