221 / 257
221 自信
しおりを挟む
昼八の時前には邸へと帰って来たセヴェリン。
従者として今はヴィタが付き従っているらしい。
帰って来るなり客室で寛いでいたディーノに近寄り「よく帰って来た、お帰りディーノ」とやはり家族のように迎えてくれた。
気恥ずかしさと嬉しさと、それと同じくらいの根回しへの怖さと。
何やら地盤が固められつつあるが、ディーノを大事にしているセヴェリン一家が迎え入れてくれようとするならそれも悪くはないだろう。
ディーノが語った【誰もが認める存在】に今すでになっているのだから、受け入れ態勢も万全なのである。
ディーノ自身に自覚はなくとも、聖王国内ではディーノの名はすでに知れ渡っているのだ。
あとはもうひと押し。
「ディーノよ。まだ若いお前をこのジャダルラックに縛るつもりはないが、以前の答えを聞かせて欲しい。我が子として迎え入れさせてはくれまいか」
「セヴェリン様がオレを買ってくれているのはわかっているつもりです。ですがオレにそこまでの価値はあるのでしょうか?領主である貴方が今再びオレを迎え入れてくれようとしてくれているのです。嬉しく思いますしその希望に応えたい。ですが応えたくとも自分という存在に自信を持つことが今もできずにいるのです」
周囲の評価と自己評価とでここまで差が大きい者はなかなかいないだろう。
実力といい人格といいディーノを知る誰もが認めるだけの結果を残しているにも関わらず自己評価が低い。
女性には弱いのは欠点だが。
それはディーノに対する劣等感を持つ者にとっては別の聞こえ方をするものだ。
「ディー……」
「お前、ふざっけんなよ!?なーにが自身を持つことができずにいるのです……っだよこのバカ!自分を卑下すんのはやめやがれ!お前が自身持てなかったら誰も自身なんて持てねーだろうが!お前を目指してる奴らまで貶めてんじゃねーよこのバカ野郎!」
卑屈なディーノにマリオがキレた。
胸ぐらを掴んで吠える。
いつだって強敵にも怯むことなく前に向かって進んできたディーノなのだ。
過去の戦いを思い返してもマリオにできないことを当たり前にこなし、血まみれになってもパーティーのために立ち上がる姿を見てきた。
振り返らずに前を向くその背中を。
その背中を見て弱者だと思いたかった。
しかしその背中がはるか遠くにあることを知った。
その背中を追って来て尚もまだ遠い先にあることを知っている。
その背中を追っているのが自分だけではなく他にも多勢いることも知っている。
前を向いて進んでいく仲間と共に、いずれその背中に追いつくことを目標にしている。
そんな自分達の目標とする男が自信を持てずに自らを貶めるなど許せるはずがない。
「お前を追ってる俺らまで否定すんじゃねーよ。自信持って前歩いててくれよ、なぁディーノ……」
唇を歪ませたマリオの目に涙が浮かぶと、ディーノの目にも涙がつたう。
「自信なんて持てると思うかよ……オレはオレ自身を許せねーんだぞ」
ディーノの過去を知るセヴェリンとソフィア、そしてマリオ。
「お前がどんだけ辛い思いして生きてきたのか俺だって知ってる。自分自身を許せねーって気持ちもわからなくもねぇ。でもお前がやりたくてやったわけじゃねーんだ。いい加減自分を許してやったっていいじゃねぇか」
「お前の姉を殺したかもしれないのにか?」
この場にいた全員の血の気が引いた。
「っ……それでもだ。お前のせいじゃねぇ」
ディーノの過去を知らない者も、二人の間にはただならぬ因縁があるのだと知った。
マリオの姉の死にディーノが関わっているどころか殺したかもしれないとなれば只事ではない。
ディーノに好意を寄せているアリスでさえも知らない二人の過去。
ただの仲違いでパーティーを追放されただけではないのかもしれない。
「多くの人がオレの力で殺されたんだ。誰が許してもオレは自分を許せない」
幼いころに刻まれた記憶は今も呪いとしてディーノにのしかかっている。
目の前で嬲り殺される人、人、人。
振り下ろされる拳にはディーノのギフトが込められ、その光景が今も脳裏から離れることはない。
誰も知り得ないディーノの罪悪感は、生涯晴れることはないのかもしれない。
「うるせぇ!!」
マリオの右拳がディーノの左頬を打ち抜いた。
罪の意識に力無く佇んだディーノへの拳は、思いの外強烈な一撃となった。
まさかこのタイミングで殴られると思わなかったディーノも驚きの表情でマリオに向き直る。
「自分を許せねーから自身が持てねぇとかそんなん別の問題だろ!許せねーなら許せねーでそれはそれでいい!ただ自信だけは持てや!お前が自分の意思でやってきたことがお前のすべてなんだからよ。お前は俺が認めるすげー奴なんだ。自信持っていいんだぜ」
めちゃくちゃな奴である。
セヴェリンの言葉を遮って文句を言い始めたうえに暴力、そして自分が認めるから自信を持てと。
罪の意識については別問題と。
自分勝手で気持ちのいいくらいバカな奴でもある。
「ディーノよ。私も彼と同じく君を認めているからこそ我が子として迎え入れたいと思っているのだよ。君が何を感じ、何を思い、何のために、何をしてきたのかが今の君の評価だ。そこに君の生き様が、成してきた結果があるのだから疑いようのない君の成果じゃないか。罪の意識については他人が何を言おうと君だけのものだ。生涯背負い続けるものなのかもしれないがね」
「本当にいい仲間を持ったわねぇ。ディーノ、貴方は仲間に対して自信を持つなと言えるの?価値のない存在だなんて言えるの?貴方のことを慕ってくれている仲間にそんな失礼なことが言えるのかしら?」
セヴェリンの物言いは優しさに溢れているが、普段優しいソフィアからの問いかけはディーノの胸によく刺さる。
「え、えー、と。じゃあ答えやすいソフィア様の方から。お前ら、いや、マリオもジェラルドもレナータもソーニャも、黒夜叉のアリスもフィオレも……ウルとライナーは一旦外させてくれ。お前らはオレの自慢の仲間達だ。誰にだって自信を持って紹介できる最高の仲間達だ。そこは絶対に揺るがねぇ」
酒も飲まずになかなかに恥ずかしいセリフを吐いてしまったが後悔はない。
ディーノの紛れもない本心である。
「ではそんな貴方が自信を持って紹介できる仲間達が目標としている貴方のことは?」
「自信が……ん?自信を持って紹介……目標……自信を持ってないとおかしい?」
なかなかに難しいお題である。
自分には自信がないけど仲間からすると自信がないとおかしいことになる。
「そうよ。貴方は自信を持っていないとおかしいでしょう?だから自信を持っていいのよ」
ふむ。
言いくるめられてしまった。
自信を持ってないといけないらしい。
「では私の問いにも答えてもらおうか。我が家の子として迎えさせてはくれまいか」
「……はい。よろしくお願いします。義父様、義母様」
もう答え一つしかないし。
何となく腑に落ちないが望まれて受け入れてもらえるのだ。
彼らの望みに応えるべきだろう。
「チラッと聞いてはいたけどこれでディーノも貴族の子かよ。まあめでたいってことでおめでとうって言っとくか」
なんなんだこいつ。
ムカつくな~。
殴られたし。
何もかもこいつの思うようになった気がする。
「ねぇディーノ。さっきの話、私知らないんだけど」
アリスにも話してなかったことだし知らないのは当然だ。
「あまり話したい話題じゃないからな。昔のことだし聞かせたくなかった」
「聞きたい。ディーノが抱えてるもの、全部受け止めたいから」
「お前は悪くないんだから話していいと思うぜ?気分のいい話じゃねーけどよ」
ここまで聞かれていればディーノの罪が何なのか気にもなるだろう。
ため息を吐きつつ、ディーノは孤児院に入るより前のこと、盗賊に捕まったことから話を始めた。
マリオとも話を擦り合わせたことがないが、マリオの姉が絡んでくる事件も中にはあったはずだ。
一年もの間捕まっていただけに、ディーノはいつその事件があったかは知らないが、地理的に考えれば当てはまる確率は高い。
ディーノが語る盗賊との一年は想像を超えて凄惨なものだった。
伯爵邸に宿泊を決めたオリオン一行は夕食を共にしながらここしばらくの話に盛り上がっていた。
つい先ほど聞いたディーノの話を打ち消すべく、おもしろおかしい冒険譚に話題を盛り上げ、セヴェリンとソフィアも楽しそうに食事を進める。
従者として同行しているヴィタも沈んだ空気には耐えられないと、初めて会ったはずのブレイブに怯むことなく質問と合いの手を挟んで話題を絶えさせない。
貴族の食卓とは思えないほど話題に溢れ、身振り手振りで戦いの激しさを伝える。
あまりにもディーノの話が重すぎた。
モンスターとの戦闘後に必ず行う反省会という名の戦闘履歴を思い返せば当然か。
ディーノの思考やその場の情景が脳裏によぎるのだ。
お願い、やめて、ごめんなさい、許してくださいと懇願する相手に右拳を振るい、痛みに悶える様子を眺めては左拳を振るう。
歯が折れて口内から流れ出る血に、溺れるように声を詰まらせる様を見ては嘲笑う。
助けを乞う女性の頬にナイフを滑らせ、そのまま耳を削ぎ落とすと泣き叫ぶその顔を何度も殴り付ける。
楽しそうに、何度も何度も殴りつけ、声も出せなくなるとぐちゃぐちゃに潰れた顔にナイフを突き立てる。
目玉をくり抜き、鼻を削ぎ落とし……
「もうやめて!」と叫ぶソフィアにも構わず話を続けたディーノの目には少しだけ狂気が見えた。
そんな話を一の時以上も聞かされ続けた今、静かに食事をしていては喉を通らない。
静まり返ればディーノの話が思い出され、ブレイブが話を盛り上げてくれるだけで救われる思いがした。
従者として今はヴィタが付き従っているらしい。
帰って来るなり客室で寛いでいたディーノに近寄り「よく帰って来た、お帰りディーノ」とやはり家族のように迎えてくれた。
気恥ずかしさと嬉しさと、それと同じくらいの根回しへの怖さと。
何やら地盤が固められつつあるが、ディーノを大事にしているセヴェリン一家が迎え入れてくれようとするならそれも悪くはないだろう。
ディーノが語った【誰もが認める存在】に今すでになっているのだから、受け入れ態勢も万全なのである。
ディーノ自身に自覚はなくとも、聖王国内ではディーノの名はすでに知れ渡っているのだ。
あとはもうひと押し。
「ディーノよ。まだ若いお前をこのジャダルラックに縛るつもりはないが、以前の答えを聞かせて欲しい。我が子として迎え入れさせてはくれまいか」
「セヴェリン様がオレを買ってくれているのはわかっているつもりです。ですがオレにそこまでの価値はあるのでしょうか?領主である貴方が今再びオレを迎え入れてくれようとしてくれているのです。嬉しく思いますしその希望に応えたい。ですが応えたくとも自分という存在に自信を持つことが今もできずにいるのです」
周囲の評価と自己評価とでここまで差が大きい者はなかなかいないだろう。
実力といい人格といいディーノを知る誰もが認めるだけの結果を残しているにも関わらず自己評価が低い。
女性には弱いのは欠点だが。
それはディーノに対する劣等感を持つ者にとっては別の聞こえ方をするものだ。
「ディー……」
「お前、ふざっけんなよ!?なーにが自身を持つことができずにいるのです……っだよこのバカ!自分を卑下すんのはやめやがれ!お前が自身持てなかったら誰も自身なんて持てねーだろうが!お前を目指してる奴らまで貶めてんじゃねーよこのバカ野郎!」
卑屈なディーノにマリオがキレた。
胸ぐらを掴んで吠える。
いつだって強敵にも怯むことなく前に向かって進んできたディーノなのだ。
過去の戦いを思い返してもマリオにできないことを当たり前にこなし、血まみれになってもパーティーのために立ち上がる姿を見てきた。
振り返らずに前を向くその背中を。
その背中を見て弱者だと思いたかった。
しかしその背中がはるか遠くにあることを知った。
その背中を追って来て尚もまだ遠い先にあることを知っている。
その背中を追っているのが自分だけではなく他にも多勢いることも知っている。
前を向いて進んでいく仲間と共に、いずれその背中に追いつくことを目標にしている。
そんな自分達の目標とする男が自信を持てずに自らを貶めるなど許せるはずがない。
「お前を追ってる俺らまで否定すんじゃねーよ。自信持って前歩いててくれよ、なぁディーノ……」
唇を歪ませたマリオの目に涙が浮かぶと、ディーノの目にも涙がつたう。
「自信なんて持てると思うかよ……オレはオレ自身を許せねーんだぞ」
ディーノの過去を知るセヴェリンとソフィア、そしてマリオ。
「お前がどんだけ辛い思いして生きてきたのか俺だって知ってる。自分自身を許せねーって気持ちもわからなくもねぇ。でもお前がやりたくてやったわけじゃねーんだ。いい加減自分を許してやったっていいじゃねぇか」
「お前の姉を殺したかもしれないのにか?」
この場にいた全員の血の気が引いた。
「っ……それでもだ。お前のせいじゃねぇ」
ディーノの過去を知らない者も、二人の間にはただならぬ因縁があるのだと知った。
マリオの姉の死にディーノが関わっているどころか殺したかもしれないとなれば只事ではない。
ディーノに好意を寄せているアリスでさえも知らない二人の過去。
ただの仲違いでパーティーを追放されただけではないのかもしれない。
「多くの人がオレの力で殺されたんだ。誰が許してもオレは自分を許せない」
幼いころに刻まれた記憶は今も呪いとしてディーノにのしかかっている。
目の前で嬲り殺される人、人、人。
振り下ろされる拳にはディーノのギフトが込められ、その光景が今も脳裏から離れることはない。
誰も知り得ないディーノの罪悪感は、生涯晴れることはないのかもしれない。
「うるせぇ!!」
マリオの右拳がディーノの左頬を打ち抜いた。
罪の意識に力無く佇んだディーノへの拳は、思いの外強烈な一撃となった。
まさかこのタイミングで殴られると思わなかったディーノも驚きの表情でマリオに向き直る。
「自分を許せねーから自身が持てねぇとかそんなん別の問題だろ!許せねーなら許せねーでそれはそれでいい!ただ自信だけは持てや!お前が自分の意思でやってきたことがお前のすべてなんだからよ。お前は俺が認めるすげー奴なんだ。自信持っていいんだぜ」
めちゃくちゃな奴である。
セヴェリンの言葉を遮って文句を言い始めたうえに暴力、そして自分が認めるから自信を持てと。
罪の意識については別問題と。
自分勝手で気持ちのいいくらいバカな奴でもある。
「ディーノよ。私も彼と同じく君を認めているからこそ我が子として迎え入れたいと思っているのだよ。君が何を感じ、何を思い、何のために、何をしてきたのかが今の君の評価だ。そこに君の生き様が、成してきた結果があるのだから疑いようのない君の成果じゃないか。罪の意識については他人が何を言おうと君だけのものだ。生涯背負い続けるものなのかもしれないがね」
「本当にいい仲間を持ったわねぇ。ディーノ、貴方は仲間に対して自信を持つなと言えるの?価値のない存在だなんて言えるの?貴方のことを慕ってくれている仲間にそんな失礼なことが言えるのかしら?」
セヴェリンの物言いは優しさに溢れているが、普段優しいソフィアからの問いかけはディーノの胸によく刺さる。
「え、えー、と。じゃあ答えやすいソフィア様の方から。お前ら、いや、マリオもジェラルドもレナータもソーニャも、黒夜叉のアリスもフィオレも……ウルとライナーは一旦外させてくれ。お前らはオレの自慢の仲間達だ。誰にだって自信を持って紹介できる最高の仲間達だ。そこは絶対に揺るがねぇ」
酒も飲まずになかなかに恥ずかしいセリフを吐いてしまったが後悔はない。
ディーノの紛れもない本心である。
「ではそんな貴方が自信を持って紹介できる仲間達が目標としている貴方のことは?」
「自信が……ん?自信を持って紹介……目標……自信を持ってないとおかしい?」
なかなかに難しいお題である。
自分には自信がないけど仲間からすると自信がないとおかしいことになる。
「そうよ。貴方は自信を持っていないとおかしいでしょう?だから自信を持っていいのよ」
ふむ。
言いくるめられてしまった。
自信を持ってないといけないらしい。
「では私の問いにも答えてもらおうか。我が家の子として迎えさせてはくれまいか」
「……はい。よろしくお願いします。義父様、義母様」
もう答え一つしかないし。
何となく腑に落ちないが望まれて受け入れてもらえるのだ。
彼らの望みに応えるべきだろう。
「チラッと聞いてはいたけどこれでディーノも貴族の子かよ。まあめでたいってことでおめでとうって言っとくか」
なんなんだこいつ。
ムカつくな~。
殴られたし。
何もかもこいつの思うようになった気がする。
「ねぇディーノ。さっきの話、私知らないんだけど」
アリスにも話してなかったことだし知らないのは当然だ。
「あまり話したい話題じゃないからな。昔のことだし聞かせたくなかった」
「聞きたい。ディーノが抱えてるもの、全部受け止めたいから」
「お前は悪くないんだから話していいと思うぜ?気分のいい話じゃねーけどよ」
ここまで聞かれていればディーノの罪が何なのか気にもなるだろう。
ため息を吐きつつ、ディーノは孤児院に入るより前のこと、盗賊に捕まったことから話を始めた。
マリオとも話を擦り合わせたことがないが、マリオの姉が絡んでくる事件も中にはあったはずだ。
一年もの間捕まっていただけに、ディーノはいつその事件があったかは知らないが、地理的に考えれば当てはまる確率は高い。
ディーノが語る盗賊との一年は想像を超えて凄惨なものだった。
伯爵邸に宿泊を決めたオリオン一行は夕食を共にしながらここしばらくの話に盛り上がっていた。
つい先ほど聞いたディーノの話を打ち消すべく、おもしろおかしい冒険譚に話題を盛り上げ、セヴェリンとソフィアも楽しそうに食事を進める。
従者として同行しているヴィタも沈んだ空気には耐えられないと、初めて会ったはずのブレイブに怯むことなく質問と合いの手を挟んで話題を絶えさせない。
貴族の食卓とは思えないほど話題に溢れ、身振り手振りで戦いの激しさを伝える。
あまりにもディーノの話が重すぎた。
モンスターとの戦闘後に必ず行う反省会という名の戦闘履歴を思い返せば当然か。
ディーノの思考やその場の情景が脳裏によぎるのだ。
お願い、やめて、ごめんなさい、許してくださいと懇願する相手に右拳を振るい、痛みに悶える様子を眺めては左拳を振るう。
歯が折れて口内から流れ出る血に、溺れるように声を詰まらせる様を見ては嘲笑う。
助けを乞う女性の頬にナイフを滑らせ、そのまま耳を削ぎ落とすと泣き叫ぶその顔を何度も殴り付ける。
楽しそうに、何度も何度も殴りつけ、声も出せなくなるとぐちゃぐちゃに潰れた顔にナイフを突き立てる。
目玉をくり抜き、鼻を削ぎ落とし……
「もうやめて!」と叫ぶソフィアにも構わず話を続けたディーノの目には少しだけ狂気が見えた。
そんな話を一の時以上も聞かされ続けた今、静かに食事をしていては喉を通らない。
静まり返ればディーノの話が思い出され、ブレイブが話を盛り上げてくれるだけで救われる思いがした。
0
お気に入りに追加
1,778
あなたにおすすめの小説
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/
隠れジョブ【自然の支配者】で脱ボッチな異世界生活
破滅
ファンタジー
総合ランキング3位
ファンタジー2位
HOT1位になりました!
そして、お気に入りが4000を突破致しました!
表紙を書いてくれた方ぴっぴさん↓
https://touch.pixiv.net/member.php?id=1922055
みなさんはボッチの辛さを知っているだろうか、ボッチとは友達のいない社会的に地位の低い存在のことである。
そう、この物語の主人公 神崎 翔は高校生ボッチである。
そんなボッチでクラスに居場所のない主人公はある日「はぁ、こんな毎日ならいっその事異世界にいってしまいたい」と思ったことがキッカケで異世界にクラス転移してしまうのだが…そこで自分に与えられたジョブは【自然の支配者】というものでとてつもないチートだった。
そしてそんなボッチだった主人公の改生活が始まる!
おまけと設定についてはときどき更新するのでたまにチェックしてみてください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる