追放シーフの成り上がり

白銀六花

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 それから二日間はラフロイグでの観光や旅に必要な物資の買い足しなどをしながら過ごし、ウルが休みを取れたエルヴェーラとデートを楽しんでいる間にライナーの剣を受け取りにファイスへとやって来た。
 ブレイブのメンバーを連れて来るのは初めてだが、今現在属性武器が必要な訳ではないため注文する予定はない。
 しかしアリスのバーンの性能を知るだけに、今の属性武器の流行を作ったファブリツィオの武器に興味はある。

「おぅ、来たか来たかぁ。属性剣ぁできてるぜぇい。今持ってくらぁ」

「癖強いな」と溢すマリオの言葉にみんな頷く。
 奥にある工房から布に包んだ剣を持ってきて机に置いたファブリツィオ。
 布を捲って出てきた属性剣に思わず感嘆の声があがる。

「氷の属性剣【グラキエース】だぁ。剣身にゃ竜飲鉄のコーティング、側面ぁ装飾の溝んとこを境に貼り合わせにしてあるがぁ魔鉄をコーティングしてある。だが強度ぁ心配ねぇよ?ディーノが持ってきた魔核を素材にしてあっからよぉ、斬れ味も強度も一級品だぜぃ」

 ディーノが持ってきた素材となればティアマトやイスレロなどもあるため強度は充分に確保できそうだ。
 斬れ味を増すためにも何か溶かし込んでいるとしても職人でなければ細かいことはわからない。
 企業秘密もあるだろう。

「おお……なんか思ってた以上にすごいですね。本物と見比べないと色以外の違いはわかんないですよ」

「そぉかいそぉかい。同じように見えるんなら期待に応えられたってことでよかったぜぃ」

 本物から図面も起こさずによく同じような物を作れるものだと思わなくもない。
 写真は確かにその物をそっくりに写し出した絵だとしても、やはり平面図と立体の写真とでは寸法に狂いは出るはずだ。
 見比べてようやくわかる違いであればほぼ注文通りと思っていいだろう。
 コーティングの影響か見た感じはクレートの精霊剣よりも輝いてみえるため期待以上の属性剣だが。

「ん?でもさっき剣身に竜飲鉄って言いませんでした?たしか竜飲鉄が魔法を反射できるって話でしたよね」

 魔鉄コーティングは側面に貼り合わせとも言っていたが、普通属性剣としてコーティングするとしたら逆ではないだろうか。

「氷の属性剣だからなぁ。凍らせながら斬るより斬りながら凍らせた方が斬れ味ぁいいだろ?出力高けりゃ凍ったとこに刃を通しちまうんだからよぉ。竜飲鉄使うんならこっちのがいいんじゃねぇかってなぁ。普通の氷の属性剣も斬れ味ぁ悪いんだ」

 言われてみればわからなくもない。
 氷属性の場合は刃が通る前に対象が凍ってしまえば身が締まって強度があがる。
 柔らかいところに刃を通して凍りつかせるとすれば斬れ味に違いが出るのは当然か。
 通常の属性剣は魔法に斬撃が乗るのに対し、グラキエースは斬撃に魔法を乗せるイメージだ。

「なる、ほど。氷属性ならではのアイデアですね。ただ竜飲鉄が刃にあるなら魔法の反射はでき……あ、すごい!もしかしたら魔法も斬れるんじゃないですか!?」

「うぇっへっへっへっ。だよなぁ、出来そうだよなぁ。確証はねぇがおもしろい剣だろ?」

 とんでもない爺さんだ。
 おもしろいもん作ってやると言って新しい可能性を作り出してきた。
 職人の挑戦が生んだ商品で、冒険者や戦士の可能性を大幅に引き上げるとすれば竜害への貢献度は凄まじい。
 噴出系武器然り、竜飲鉄処理による魔法対策然り。
 属性武器の枠に捉われなければ……

「通常武器でも魔法斬れるってことか!?」

 マリオがファブリツィオに飛びついた。

「まあ完全に遮断するのぁ無理だろうけどよ。拳王国でぁ魔法弾くのに使ってるってんだから出来なくもねぇんじゃねぇか?」

「俺の!俺の剣にもコーティングしてもらえないっすか!?」

「アリスにも言ったが他所さんの武器やらに手ぇ掛んのぁ気が引けるんだけどよぉ」

 それでもアリスは無理を言って胸当てに風の魔核を組み込んでもらっている。
 もうマリオ行きつけの鍛冶屋バーヴォへの持ち込みはしない方がいいだろう。
 ちなみに、アリスが竜飲鉄の有用性に気付かなかったのは風の防壁があったためだ。
 風の防壁も魔法であるが故にモンスターからの魔法を多少は相殺できる。
 風の防壁も穂先にある竜飲鉄の刃に弾かれているのだが、長物であることや視認できないことが理由に気付けなかった。

「じゃあバーヴォなら竜飲鉄のコーティングやってくれないんすかね!?」

「バーヴォ?王都の流行りの鍛冶屋か?」

 ファブリツィオも知っている鍛冶屋らしい。
「そっす!」と答えるとどうやら竜飲鉄のコーティングはやっていないらしい。
 大きな店だからこそ知っていただけでファブリツィオとの繋がりはない。

「前は店売り武器しか使ってなかったし鍛冶屋はバーヴォしか知らないんすよね。伝手で頼むとしたらディーノからだし、ファイスか王都の……なんだったっけか」

 しかし竜飲鉄のコーティングは、もう亡くなったファブリツィオの師匠から受け継いだ技術らしく、兄弟弟子達であれば加工が可能だが他ではやってないとのこと。
 王都にも兄弟弟子が鍛冶屋をやっているところはあるそうだが、ここでディーノの行き付けの店だったことが判明。
 ディーノは予備のダガーを見せてやると「間違いねぇな」と溢した。
 しかしマリオの武器がバーヴォ製であれば竜飲鉄コーティングを断られるのは目に見えている。

「仕方ねぇ、形状弄くり回すわけじゃあねぇしやってやるがぁよぉ、研ぎがぁ必要な時ぁ俺の兄弟弟子がぁやってるとこで頼んでくれぃ。まあ俺でもいいんだがよ」

 となれば剣に致命的な何かがあればバーヴォのサポートは受けられないとみていいだろう。
 超高額な武器だけにサポートが受けられないのは厳しいが、今後作り直すとすればファイスにしようと思うマリオ。

「あざっす!無理言って申し訳ないっす!」

「まあ武器ってのぁ使用者のもんだからよぉ。職人ぁやりたくねーと思ってもやるもんだぁ。断って簡単に引き下がるんならそれまでだしよぉ」

 客から頼まれれば手掛けるのが職人だとは語るものの、ディーノのユニオンのような特殊な物であった場合は断るつもりでいる。
 下手な細工をして性能を落とすような真似はしたくないのだ。
 そしてこのやり取りを他人事のように見ているジェラルドに向かってマリオが吠える。

「おい、ジェラルド!お前なんでこの話題に興奮しねーんだ!?お前の盾だって竜飲鉄のコーティングができるってことなんじゃねーのか!?」

「え……そうなのか?」

 ジェラルドの盾はガイアドラゴンの鱗を使った盾である。
 スキルの効果が通る珍しい素材であるため、ジェラルドが長年愛用する盾だ。
 盾として使用する以上は鱗そのままではなく、裏側は金属の枠状になっており包み込むようにして鱗が収められている。
 要は金属枠の内側に竜飲鉄処理をすれば、魔法防御がこれまでよりもしやすくなるということだろう。

「出来ねぇこともねぇだろな。素材は足りねぇけどよ」

「じゃあもし、もしですよ?これ素材にして盾作り直したとしたらどんな感じに……」

 丸ごと作り直すつもりだろうか。
 ここしばらく竜種討伐を斡旋されていたため金銭面では余裕があり、仕上がりによってはこの大事な大事なガイアドラゴンの盾を改造しようと考えたのだろう。

「装飾もねぇシンプルな盾だがぁ、お前さんが大事にしてるってのがよぉくわかる使い込まれたいい盾だぁ。だがよぉ、ここんところをこう、金属のねぇ部分作ってやりゃあ盾越しでも向こうっ側が見えるようになんだろ?後ぁこっから上は金属にしちまって……」

 なにやらファブリツィオの改造案の説明が始まった。
 金属加工ならなんでもやってそうな鍛冶屋であるため、盾の加工も経験があるのだろう。
 形状の変更やガイアドラゴンの鱗への細工やら持ち手へのギミックだなんだと説明を聞くと、今までのシンプルな盾からかなりの変更が加えられることがわかる。
 完成形の姿は想像もつかないが、ファブリツィオの仕事なら想定を大きく上回る盾になるだろうと期待ができる。

 なんだかんだと話をしていくうちにアリスまでもが装備の竜飲鉄処理を決め、胸当ての魔核の取り付け方も変更するなど相談していった結果。
 マリオとジェラルド、アリスの前衛組は装備の金属部分を全て竜飲鉄処理をすることが決まった。
 今は素材が足りないためマリオの剣だけ預けていくことになったが、獣王国から戻り次第装備の全てを竜飲鉄処理。
 その後クラリスが言っていた色相竜戦に臨むことになる。

「俺の黄竜剣預けてる間になんか使える剣ないっすか?それに近い巨剣がいいんすけど」

「そんなら……こいつぁどうだぃ?素材ぁティアマトの牙なんだがとにかく硬くて斬れ味だけぁ一級品。だが強度は低いからよぉ、受けるにゃ向かねぇのよ」

 料理用の包丁としては最高の素材だとのことで、近隣の奥様方にはよく売れているらしい。
 ティアマト素材が料理包丁かよと思わなくもないが。

「戦い方に工夫が要るってことか。でもまあそいつでやってみる」

 金額は包丁にしてしまう素材で出来ていることから金貨二枚と武器としては格安。
 値段相応の武器という可能性もあるが、ファブリツィオが変な物を渡すとは思えないため何かしらの思惑があってのことと捉えておく。

 ファイスに来ていろいろと相談させてもらったが、本来の目的であるライナーの剣の受け取りが放置されてしまった。

「支払いはいくらになりますか?」

「魔核の持ち込みもあったんだぁ、白金貨五枚でいいぜぇ」

 特注の氷の属性剣が白金貨五枚となれば充分安いだろう。
 アリスの魔鉄槍バーンも同じ金額だったこともあり、どちらも魔核無しで考えてのこの金額なのかもしれない。

「じゃあこれ……あ、精霊国貨幣だった」

 困ったことにライナーが持っている金は精霊国の貨幣である。
 どこかで通貨を両替する必要があったのだが、これまでは国からの支払いやディーノの奢りとしていたため気付くのが遅くなった。

「差額分は後で渡すからオレの金と交換するか。とりあえず白金貨五枚な」

 ひとまずここはディーノが両替しておいて、後でその差額分を支払うなり支払ってもらうなりすればいいだろう。
 しかし精霊国の召喚者で冒険者でもなかったライナーが、よく白金貨五枚も持っていたものだと少し驚いた。
 実のところこれは精霊国国王から召喚者への賠償金として渡された金であり、一人につき白金貨十枚と一般的な生活を送れば一生働かなくてもいい金額が渡されている。
 下位竜と戦えるだけの実力があるとすれば、生涯使用する武器として白金貨五枚支払うのにも躊躇いはない。
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