追放シーフの成り上がり

白銀六花

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123 ライカン

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 ディーノが戻った翌日にはエレオノーラの竜種融合を解除するとの知らせがあり、王宮に集合後には街の外へと向かい、ルーヴェべデル王国でも重要な場所とされる竜の渓谷へと移動する。
 竜種に融合した人間が命尽きる時、当代六神獣のフュージョンが解除される時には自我を取り戻した竜種と戦いにならないよう全ての竜種で押さえ付け、新たに国王や王族が六神獣に入れ替わる場所としてここを竜の渓谷と名付けているそうだ。
 それでもやはり色相竜の二体はそう簡単に押さえ込めるはずもなく、他の五体が戦闘になった過去もある事から岩山をくり抜いたようなかなり広い空間となっている。

 今回は融合者の死を待つという形ではなくスキルの解除によって竜種が自我に目覚める為、タイミングも融合者次第であり戦闘するものとして最初から準備を整えている。
 ディーノとしては国王一人で戦わせるつもりではあったのだが、人獣としての初戦闘である為国王とザハールの二人で上位竜に挑む事にしたようだ。

「じゃ、エレオノーラさん。ギフト発動するんでスキルに意識集中してくださいね」

 ディーノが声をかけると頷く上位竜。
 エレオノーラにギフトを与え、ギフトを発動してエレオノーラの能力を底上げする。
 グロウパピィと融合した国王やザハールに比べてはるかに大きな体となる竜種と融合している為か長く時間は掛かったものの、上位竜の首裏から分離されて出てきたエレオノーラ。
 高い位置から落下しそうになるところをディーノが跳躍して受け止め、竜種が動き出す前には安全な位置まで退避する。
 やはり聖銀のメンバーのいるマルドゥクの上がこの場で最も安全な場所となるだろう。

 ぐらりと巨体を傾かせながらも自我を取り戻した上位竜は咆哮をあげて足を踏みしめ、周囲を取り囲んだ人間達に殺意をもって視線を向ける。
 その上位竜の姿を見てエレオノーラは無事人間の体を取り戻せた事に涙を流し、国王とザハールの戦いを見守ろうと手すりに掴まって涙を拭う。
 しかしこれまで自身の体を支配していた人間を察知した上位竜は敵意をエレオノーラに向け、こちらに向かってこようとする上位竜にマルドゥクは唸り声をあげて威嚇する。

「マルドゥク対上位竜ってのも見てみたいとこだよな」

 ザックがそうこぼせば聖銀の誰もが頷き、マルドゥクの実力を確認したい気持ちが強いようだ。
 マルドゥクの強さを知るディーノとしては瞬殺するのではないかとさえ思っているが、ウルが寄生している以上どれ程の強さを持つかは不明だ。

 しかしこれから戦うのは国王とザハールであり、上位竜の意識を自身に向けようと剣を構え黒霧を放出してライカンへとその姿を変貌させる。
 日々訓練を積んでいた事からか変身を成功させたばかりの頃とは違い、ザハールは融合したパピィと同じような毛色の灰地に黒模様の入ったライカンとなっていた。
 国王はまだそこまでの魔力操作には至っていないのか、白狼と融合したにも関わらず今は真っ黒なライカンのままである。
 多忙な国王であればザハールに比べて訓練に割ける時間が少ない為仕方のない事かもしれない。

 炎の大剣を操るザハールが駆け出し、続く国王は水の槍を右手に握りしめて後を追う。
 その素早さはディーノが戦ったリカントロープに迫るものであり、バランタイン王国でステータス測定を行えば俊敏値2000に届くのではないかと思わせる程の俊足で駆ける。

 上位竜が向かってくる二人のライカンに注意を向け、間合いに入ったところで右前足を振り下ろすと左右に別れたライカンは一足で上位竜の顔目掛けて跳躍。
 右からは国王が伸ばした水の刃を鞭のようにしならせながら槍から一拍遅れた水刃で脳天を斬り付けたものの、強靭な竜鱗により傷を負わせる事はできずに体表を濡らすのみ。
 左からはザハールの炎の刃が顎の付け根へと振り下されるも地面についた前足を利用して後方へと退避した上位竜。
 四足で立つ上位竜は宙に浮くライカン二人目掛けて炎のブレスを吐き出した。
 咄嗟に国王は返す刃で水刃を拡散して円形の水の防壁を作り出す事でその直撃を防ぎ、余波を浴びるもライカンの魔法軽減能力によりダメージはほんのわずかなもの。
 炎のブレスから下方に抜けた二人は再び上位竜に向かって駆け出した。

 ブレスの放出をやめた上位竜は二人の姿を見失っており、足元に目を向けると炎の剣を振りかぶるザハールの姿を発見。
 踏み潰そうと右前足を上げたところでその素早さを活かして左後足へと狙いを変えたザハールが横薙ぎに斬撃を振るう。
 炎の斬撃により斬り傷は焼かれ、痛みによりバランスが崩れると尻尾を使って振り上げた右後足を前方へ踏み出し倒れずにすんだ。
 その間に左側面から回り込んだ国王が尻尾を駆け上がって背中へと到着し、四つん這いになり動きを一瞬止めた上位竜の翼の付け根へと剣を突き立てて水魔法を発動する。
 そう深くは刺さらなかったものの、急所への一撃により上位竜は横倒しになって悶え苦しむ。
 竜種の弱点が翼の付け根である事を知っていた国王はすぐさま上位竜から飛び上がり、赤黒い血を引いた槍を持って地面へと着地。
 誰も知り得なかった事ではあるが、水属性の直接攻撃では対象の血液を吸い出す事が可能なようだ。
 上位竜の血液により巨大に膨れ上がった水刃は不定形であり、国王の意思では刃を形成する事ができなかった為振り払い、転げ暴れる上位竜に警戒しながら再び立ち上がるその時を待つ。
 おそらくは血液にも上位竜の魔力が混じっている事から操作はできないのだろう。
 暴れ回る上位竜の行動は予測が難しく、攻撃しようにも属性武器では遠距離攻撃ができない為今は待つしかないのだ。

 上位竜が起き上がり、怒りの咆哮をあげたと同時に駆け出したザハールと国王。
 油断なく攻め時を狙っていた二人に対し、起き上がったばかりの上位竜では咄嗟にとれる行動は限られてくる。
 素早い二人から距離をとりたい上位竜は炎のブレスを吐き出し、少し離れた位置を駆けていた二人は左右に別れて上位竜との距離を詰めようとするも、怒りの矛先を国王に向けた上位竜はブレスを左に薙ぐ。
 国王はわずかに集めた水の刃を拡散し、最初のブレスと同様に水の防壁によってその威力を抑え込む。
 反対側へと抜け出したザハールも炎の刃でブレスを相殺している為ダメージは小さく、国王へと意識を向けている上位竜の顔に向かって跳躍。
 炎の斬撃を右目に向かって振り下ろし、燃え上がる炎は上位竜の目を焼きつかせ角膜を白く濁らせる。
 悲鳴をあげブレスを途切れさせた上位竜は体を仰け反らせ、それを隙と判断した国王は左前足を踏み台にして一気に駆け上がり、振り被った槍で首筋を大きく斬り裂いた。
 待機時間により水魔法の発動はできなかったものの、多くの血が流れ落ちている事からダメージとしてはかなりのものとなるだろう。
 そして先に地面に着地したザハールは上位竜の腹下へと駆け込み、跳躍から腹部を斬り裂いてすぐさま後方へと退避。
 体を蹌踉めかせた上位竜は尾を振り回すも、ザハールが退避した事により空振りに終わる。
 このままでは不利と判断したのか上位竜が翼を羽ばたかせると、追い討ちしようと距離を詰めていた国王が空に逃すまいと跳躍して飛膜を斬り裂いた。
 前方へと落下していく国王を見下ろしながらも翼を羽ばたかせる上位竜だが、片翼では揚力を稼げず飛び上がる事ができずに唸り声をあげて着地した国王へと向かって右前足を振り下ろす。
 上位竜の前方に着地した事から危険と判断した国王は、着地と同時に右へと駆け出しておりその攻撃を受ける事はない。
 そこへ後方からザハールが尻尾を踏み台にして駆け上がり、国王に向かって歩みを進める上位竜の急所へと刃を突き立て、待機時間を終えた火属性魔法を発動。
 体内に炎熱が広がり傷口からも炎を噴き上げて絶叫する上位竜。
 自身の炎でザハールの炎を相殺しようとしたのだろう、しかし他者から受けた炎のダメージは同属性といえども小さなものではない。

 しばらく転げ回った上位竜は痛みに震えてまともに立ち上がる事もできない程に消耗しているようだ。
 国王とザハールは動きの鈍くなった上位竜にとどめを刺そうと動き出し、程なくして首筋を深く切り開いたところでこの戦いに幕を下ろす事となった。



 上位竜との戦いを終えた国王とザハールが剣を掲げるとこの地に集まっていた者達から拍手喝采、賛辞の言葉が投げかけられる。
 二人掛かりとはいえ人間とそう変わらない大きさのライカンが上位竜を短時間で倒してみせたのだ。
 グロウパピィとの融合が普段の生活のみならず戦闘面にも有用なものであると証明できただろう。
 今後パピィと融合する予定のフュージョン持ち王族達も期待が高まっているようだ。

 国王がライカン化を解除して剣を納め、ザハールは周囲の騒めきを収めようとライカン化を解除して国王に跪く。
 ザハールと同じようにルーヴェべデルの者達は跪き、国王の言葉を待つ。

「此度ライカンの強さを示す事ができた今、竜種を六神獣とする必要はなくなった!よって今後は六神獣を国の守護者とするのではなく、ライカン率いる部隊を複数設立し、やがて訪れる竜害に備えようと思う!また、我がルーヴェべデル王国は今日より、ルーヴェべデル獣王国を名乗る事をここに宣言する!」

 国王の宣言によりルーヴェべデルは正式に獣王国と名乗る事になり、六神獣を守護者ではなくするとなれば竜種は全て破棄するとみていいだろう。
 ゲルマニュートがどういう扱いになるのかはわからないが、見た目以外は人として生活できている事から例外とされるかもしれないが。

 そしてこの国王の宣言により色相竜の表情は……竜種の表情などわかるものではないのだが、少し不満がありそうにも思えなくもない。
 しかし本来の色相竜の強さは六神獣が数体掛かりで相手にする必要があり、竜害が起こった際には連戦続きで回復の見込めない竜種では勝ち目がないだろうというのが国の上層部の見解だ。
 色相竜と融合する先代国王、先々代国王もその事はよくわかっている為、色相竜との融合を解除するのも仕方がない事だとはわかっているのだろう。
 ただこれまで守り続けてきた竜種を手放すのが惜しいのもわからなくもないのだが。

「もう一人、ソゾンを解放したいのだが……良ければバランタイン王国の戦いを見せてもらいたい。やはりモンスター同士の戦いを見てきた我らは人としての戦いに経験が足りんようでな」

 国王が言うようにルーヴェべデル王国では人間がそのままモンスターと戦うような事はなかった為か、巨大な竜種に挑む際にも国王の動きには少し迷いが見てとれた。
 それに対しザハールはディーノの戦いを見てきた事もあり、国王に比べれば迷いも少なく咄嗟の攻撃にもうまく対処できていたように思える。

「じゃあオレやりましょうか。上位竜の相手するのは初めてですけど」

「竜種相手すんのに最初っから色相竜に挑む奴はお前くらいだと思うけどな」

 ディーノが初めて竜種と戦うような物言いをする為ザックも一応ツッコんでおく。
 これまでのディーノの冒険話を聞いた際にはどこで竜種の話が出るのかと楽しみにしていたものの、出てきた竜種は色相竜である黄竜とドラゴニュートという特殊個体のみ。
 それもザックでさえ討伐がかなり難しいと思える雷竜を討伐、発見する事さえも困難なドラゴニュートを捕獲したと聞けば(こいつはアホなのか?)とさえ思ってしまった程だ。
 初の下位竜との戦いで経験を積み、上位竜との戦いで試行錯誤しながら勝利をおさめ、色相竜に挑んでは命の危機に晒されながらも仲間と共に討伐する。
 そんな可愛らしい弟分の冒険譚を聞きたかったザックの予想を裏切る色相竜討伐話に、何もアドバイスしてやれない兄貴分としては素直に喜んでやれない複雑な思いだったりもしたものだ。

「ではディーノに頼もうか。できれば其方の全力の戦いを見せてもらえると嬉しいがな」

「そうですね。竜害までに強くなる必要あるので本気で行かせてもらいます」

 国王の頼みにそう答えたディーノはこの後、ルーヴェべデル獣王国とバランタイン聖王国の戦争を回避した今の状況が正しかった事を知らしめる戦いを見せる事となった。
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