100 / 257
100 今後の予定とウルの処遇
しおりを挟む
ゼイラムの戦いを知り、ディーノは今後まだ強くなる必要があると考えつつも、ルーヴェべデルとの戦争が怒るとすれば面倒な事になるだけでなく、戦力を落とした状態では多くの者達が死んでいく、またはバランタイン王国が滅ぶ事にもなり兼ねないと思考を巡らせる。
ルーヴェべデルのテイムや、ウルのパラサイトスキルであれば竜種を相手にも捕獲する事も利用する事もできるのではないか。
もしテイムできなくともある程度の混乱状態に陥らせるのではないかとも考えられる。
もしそうだとするならば今敵国として戦争するのではなく、手を組んで竜害に備えた方が両国共に自国の為にもなるだろう。
しかしこの場で発言していいのかと顔をあげて戸惑っていると。
「ディーノよ。先に渡した竜殺しの勲章は国王としての私の信頼の証でもある。好きに発言する事を許す」
「ではルーヴェべデルとの戦いはどうするつもりなのでしょう。私は敵国の者とは知りながらも0級冒険者であるウルを友人であると思っておりますが」
竜害に備える為にもルーヴェべデルとの戦争を避けるべきと考えるディーノは、危険と知りつつもウルを友であると告げる事で、敵国とするべきではないと暗に伝えようとする。
「ふむ。ウル=シュミットから私も直接話を聞いておる。其方が自分を庇おうとしても罪に問わないで欲しいともな。異国の者であろうとも友と語るのであれば信のおける者であろう。あの者は戦争よりも平和を願うとも申しておってな。優しき男と私も思う。が、ウルの名を出したという事は何か考えがあるのであろう。申してみよ」
国王はディーノの問いには答えなかったものの、その思いを汲んでくれたのかルーヴェべデルとの戦争を仄めかすような言葉を使わない。
「今後バランタイン聖王国の意思を伝える為にもルーヴェべデルには使者が送られる事と思われますが、そこにウルと私を派遣して頂きたく、お願いできないでしょうか」
ディーノは自身の考えを語りつつ、ウルの重要性としてルーヴェべデル獣王国の特殊スキル発現者かもしれないと説明した。
付き合いこそそれほど長くはないものの、暇があるたびに何度もウルのもとを訪れたディーノはその都度酒を飲み交わしながらルーヴェべデルの話を聞いていた。
最初こそ隠しはしていたものの、ルーヴェべデルの上位者は六神獣と呼ばれる最強の戦士達であり、フュージョンという人とモンスターを融合するスキルにより、人間の意思を持ったモンスターの姿をした戦士が六神獣との事。
自分の意思では融合を解除する事はできず、モンスターの体が死ぬまで融合し続ける事からその融和性は高く、ウルのパラサイトよりも優れた能力として格上の能力とされていたそうだ。
しかしルーヴェべデルにおいてもモンスターに寄生できるパラサイトスキルを持ったウルはやはり異例であり、六神獣と同格のモンスターに寄生できる事から0級冒険者として国に雇われていたと聞いている。
小国にも特殊スキルが発現しているかもしれないとすれば、ウルのパラサイトはその条件に当てはまる事になるだろう。
平和を望むウルであれば国益よりも人民の命を重視するだろうと、竜害に備える戦士として獣王国に戻るべきであるとも語った。
また、ディーノ達が倒した黄竜を捉える方法として、ティアマトとクランプス、貴族の男が使役していた巨獣とで制圧し、弱ったところをテイムスキル持ち全員で操作する事でルーヴェべデルへと連れ帰る予定だったとの事。
まだ数人いるフュージョンスキル持ちに上位竜を与える為の遠征だったと報告した。
「ふむ。ルーヴェべデルは建国から二百年程の歴史の浅い国であるしな。パラサイトの過去の発現など知る由もなかろう。ルーヴェべデルとの戦争を避ける為にも使者は送るつもりであるが、ディーノ、其方は我が国で最も重要なスキルを持つ事になる。竜害を前に危険に晒すわけにはいかぬ」
「それは理解しておりますが、国王様の話から私の実力ではゼイラムに遠く及ばないように思えます。このままでは竜害に耐えられないかと」
国王の話からゼイラムは大地を埋め尽くすほどの下位竜、上位竜の半数を倒した後にもかかわらず、黄竜クラスの色相竜を十体以上を相手に一人で戦える実力を持つとされているのだ。
今のディーノの実力では遠く及ばないと思うのは当然だろう。
「確かにな。其方には今以上に強くなってもらう必要はあるのだがルーヴェべデルに派遣して無駄に危険に晒す必要もない。聖銀と共にその実力を高めてほしいと思っておる」
「お言葉ですが国王様。ギフトを持つ私と四聖戦士である聖銀はいるとしても、伝説の英雄ヘラクレスをどうなさるおつもりでしょう。いえ、それだけでは被害は抑えきれません。多くの戦士達、新たな戦士達に高い実力を身に付けさせなければ辺境の全てが滅んでしまう事にもなります」
物語にはバランタイン王国の事しか書かれておらず、辺境の事などどこにも触れられてはいないのだが、もし世界規模での竜害が起こるとすれば辺境領地でも確実に竜種は現れる。
その全てを守る事はできないとしても、少しでも被害を抑える為にも多くの戦士達が高い実力を身に付ける必要があるのは当然だろう。
ディーノと聖銀だけでなく、この場にいる黒夜叉とアークトゥルス、ルビーグラスを始めとした全ての冒険者達、各地の衛兵達にも訓練を積ませるべきだ。
「現代のヘラクレスとなれる者達は聖銀に探させておるがしかし、ディーノが言う事も最もである。多くの者を一流の戦士として育てあげ、竜種と戦う実力を身に付けてほしいところだが……其方のその目。何か考えがあるのだろう?」
国王の問いに頷いたディーノは、この国を守る為にも少し危険な発言とは思いつつも考えている事を口にする。
「バランタイン聖王国の貴族階級の方々には魔法スキル持ちが多いと聞いております。その皆様に魔法戦士として戦って頂きたいと考えますがいかがでしょう」
「アリス=フレイリアのようにという事か?ドルドレイク伯からその戦いぶりを聞かせてもらったが、少し信じられん思いだ」
アリスの戦いは魔法スキルは遠距離戦にこそ使用するものという常識を覆すものであり、エンベルトと同じように始めた近距離戦とはいえ異質な戦い方である。
「聖銀のエンベルトも近接戦を得意とするウィザードです。アリスにもエンベルトと同じように近接戦闘で訓練していったところ、竜種にも通用する程の実力を持つまでに至りました」
実のところエンベルトの戦いは国の重鎮にさえも知られておらず、誰もが遠距離でも超威力の魔法を可能とした者という認識であり、ディーノの言葉に驚きの声があがる。
「エンベルトも近接戦を……ふぅむ。アリスよ。この場でその魔法を見せてはくれまいか」
「は、はいっ!」
国王から突然話を振られたアリスは少し動揺しつつも立ち上がって一礼し、地面に置いた魔鉄槍バーンを持って頭上に向けて掲げる。
「いきます」と掛け声を出すと、ボッ!という射出音と共に炎槍が上空に向けて放出され、高い位置にある垂れ幕が大きく吹き上げられた。
炎槍こそそれ程長い距離を放出する事はできないものの、その噴射の威力が垂れ幕を吹き上げるまでの威力を持つ事に誰もが驚く。
「今見たアリスの炎槍は黄竜の腹をも突き破る超威力を誇ります。これに至るまでには相当な死線を潜り抜ける必要がありますが、この魔鉄槍が完成してすぐにAA級モンスターをも討ち破る威力を持っていましたから貴族様方も戦いに使用すれば相当な威力となるでしょう」
ディーノが説明するとアリスはまた一礼してまた同じように跪く。
「素晴らしい!すぐにでも魔法スキルを持つ者達に訓練をさせようではないか!」
「属性によっても違いはあると思いますが、魔法スキルを収束させると威力は上がるようです。私の場合は魔鋼武器からの全放出ですから威力はそれ程ではありません。スキルの放出を一点に集中させるのが高威力の鍵となるでしょう」
ディーノの属性剣も性能が高いとはいえ威力としてはそれ程高くはない。
敵の体内に直接魔法スキルを叩き込む事で超威力を可能としているが、基本的には高速移動をする為に使用している。
「それならば属性武器を見直さねばならんな。ふむ、有益な情報はありがたい。何か褒美を取らせたいが……何か欲しいものはあるか?」
何か見返りを求めて進言したわけでもないのだが、褒美がもらえるというのであればディーノとしては欲しいものがある。
「それでしたら魔鋼素材が欲しいのですが」
「魔鋼か。希少素材の為そう多くはないが国庫に少しあったはずだ。それを褒美として贈ろう」
もう一振りの魔鋼武器をファブリツィオに相談しようと思っていたディーノだが、素材集めに苦労するだろうとは思っていたものの、国王からの褒美として魔鋼を手に入れる事ができた。
どれだけの量がもらえるかはわからないが、ディーノが持つ剣であればそれ程多くの魔鋼は必要ない為なんとかなるだろう。
その後は国王と属性武器の相談を受けつつ文官達はその話の内容を記録していき、貴族用の属性武器として多くを注文する事になるのだろう。
国王も実際に戦う事にはならないかもしれないが、自身を守る武器は必要だろうとバランタイン聖王国の聖剣を造るつもりのようだ。
最初こそディーノをルーヴェべデルに行かせないつもりなのか話を逸らされていっていたものの、全ての領地にいる貴族や戦士達の実力を高める為にも戦力強化に力を入れていく事が決まり、ディーノはゼイラムに劣らない実力を身につける為にもパーティーで行動することを条件に、黒夜叉独自の方法で強化、ルーヴェべデルにも派遣されることが決まった。
そしてパーティーにはディーノとアリス、フィオレに加え、ウルもパーティーメンバーとして同行する事も決定し、ウルはルーヴェべデル側の、ディーノはバランタイン側の親善大使として務めるよう指示された。
バランタイン側の独断でウルが親善大使として決めてしまっているものの、食料難で困窮するルーヴェべデルであれば、竜害の可能性の報告と支援を約束すればこの条件を飲むものとして考えたようだ。
そしてウルの能力はパラサイトという寄生能力である事から何か強力なモンスターが必要だろうと、以前からディーノが狙っていたSS級モンスターを捕獲すればいいだろうと、ディーノの今後の予定に組み込んでおく。
ラフロイグ伯爵の護衛依頼が発注されている為、一度ラフロイグへと向かい、ファブリツィオに魔鋼武器を注文してからモンスター捕獲に向かうつもりのようだ。
アークトゥルスとルビーグラスは今後セヴェリンと共にジャダルラック領へと帰る事になるが、セヴェリンはジャダルラック領復興に向けて多くの商人達と取引きをする必要があるとして、十日程の期間を滞在する事となっている。
マリオ達ブレイブのメンバーがしばらく王都に滞在している事から、両パーティー共に観光を楽しむつもりでいるとの事。
ルーヴェべデルのテイムや、ウルのパラサイトスキルであれば竜種を相手にも捕獲する事も利用する事もできるのではないか。
もしテイムできなくともある程度の混乱状態に陥らせるのではないかとも考えられる。
もしそうだとするならば今敵国として戦争するのではなく、手を組んで竜害に備えた方が両国共に自国の為にもなるだろう。
しかしこの場で発言していいのかと顔をあげて戸惑っていると。
「ディーノよ。先に渡した竜殺しの勲章は国王としての私の信頼の証でもある。好きに発言する事を許す」
「ではルーヴェべデルとの戦いはどうするつもりなのでしょう。私は敵国の者とは知りながらも0級冒険者であるウルを友人であると思っておりますが」
竜害に備える為にもルーヴェべデルとの戦争を避けるべきと考えるディーノは、危険と知りつつもウルを友であると告げる事で、敵国とするべきではないと暗に伝えようとする。
「ふむ。ウル=シュミットから私も直接話を聞いておる。其方が自分を庇おうとしても罪に問わないで欲しいともな。異国の者であろうとも友と語るのであれば信のおける者であろう。あの者は戦争よりも平和を願うとも申しておってな。優しき男と私も思う。が、ウルの名を出したという事は何か考えがあるのであろう。申してみよ」
国王はディーノの問いには答えなかったものの、その思いを汲んでくれたのかルーヴェべデルとの戦争を仄めかすような言葉を使わない。
「今後バランタイン聖王国の意思を伝える為にもルーヴェべデルには使者が送られる事と思われますが、そこにウルと私を派遣して頂きたく、お願いできないでしょうか」
ディーノは自身の考えを語りつつ、ウルの重要性としてルーヴェべデル獣王国の特殊スキル発現者かもしれないと説明した。
付き合いこそそれほど長くはないものの、暇があるたびに何度もウルのもとを訪れたディーノはその都度酒を飲み交わしながらルーヴェべデルの話を聞いていた。
最初こそ隠しはしていたものの、ルーヴェべデルの上位者は六神獣と呼ばれる最強の戦士達であり、フュージョンという人とモンスターを融合するスキルにより、人間の意思を持ったモンスターの姿をした戦士が六神獣との事。
自分の意思では融合を解除する事はできず、モンスターの体が死ぬまで融合し続ける事からその融和性は高く、ウルのパラサイトよりも優れた能力として格上の能力とされていたそうだ。
しかしルーヴェべデルにおいてもモンスターに寄生できるパラサイトスキルを持ったウルはやはり異例であり、六神獣と同格のモンスターに寄生できる事から0級冒険者として国に雇われていたと聞いている。
小国にも特殊スキルが発現しているかもしれないとすれば、ウルのパラサイトはその条件に当てはまる事になるだろう。
平和を望むウルであれば国益よりも人民の命を重視するだろうと、竜害に備える戦士として獣王国に戻るべきであるとも語った。
また、ディーノ達が倒した黄竜を捉える方法として、ティアマトとクランプス、貴族の男が使役していた巨獣とで制圧し、弱ったところをテイムスキル持ち全員で操作する事でルーヴェべデルへと連れ帰る予定だったとの事。
まだ数人いるフュージョンスキル持ちに上位竜を与える為の遠征だったと報告した。
「ふむ。ルーヴェべデルは建国から二百年程の歴史の浅い国であるしな。パラサイトの過去の発現など知る由もなかろう。ルーヴェべデルとの戦争を避ける為にも使者は送るつもりであるが、ディーノ、其方は我が国で最も重要なスキルを持つ事になる。竜害を前に危険に晒すわけにはいかぬ」
「それは理解しておりますが、国王様の話から私の実力ではゼイラムに遠く及ばないように思えます。このままでは竜害に耐えられないかと」
国王の話からゼイラムは大地を埋め尽くすほどの下位竜、上位竜の半数を倒した後にもかかわらず、黄竜クラスの色相竜を十体以上を相手に一人で戦える実力を持つとされているのだ。
今のディーノの実力では遠く及ばないと思うのは当然だろう。
「確かにな。其方には今以上に強くなってもらう必要はあるのだがルーヴェべデルに派遣して無駄に危険に晒す必要もない。聖銀と共にその実力を高めてほしいと思っておる」
「お言葉ですが国王様。ギフトを持つ私と四聖戦士である聖銀はいるとしても、伝説の英雄ヘラクレスをどうなさるおつもりでしょう。いえ、それだけでは被害は抑えきれません。多くの戦士達、新たな戦士達に高い実力を身に付けさせなければ辺境の全てが滅んでしまう事にもなります」
物語にはバランタイン王国の事しか書かれておらず、辺境の事などどこにも触れられてはいないのだが、もし世界規模での竜害が起こるとすれば辺境領地でも確実に竜種は現れる。
その全てを守る事はできないとしても、少しでも被害を抑える為にも多くの戦士達が高い実力を身に付ける必要があるのは当然だろう。
ディーノと聖銀だけでなく、この場にいる黒夜叉とアークトゥルス、ルビーグラスを始めとした全ての冒険者達、各地の衛兵達にも訓練を積ませるべきだ。
「現代のヘラクレスとなれる者達は聖銀に探させておるがしかし、ディーノが言う事も最もである。多くの者を一流の戦士として育てあげ、竜種と戦う実力を身に付けてほしいところだが……其方のその目。何か考えがあるのだろう?」
国王の問いに頷いたディーノは、この国を守る為にも少し危険な発言とは思いつつも考えている事を口にする。
「バランタイン聖王国の貴族階級の方々には魔法スキル持ちが多いと聞いております。その皆様に魔法戦士として戦って頂きたいと考えますがいかがでしょう」
「アリス=フレイリアのようにという事か?ドルドレイク伯からその戦いぶりを聞かせてもらったが、少し信じられん思いだ」
アリスの戦いは魔法スキルは遠距離戦にこそ使用するものという常識を覆すものであり、エンベルトと同じように始めた近距離戦とはいえ異質な戦い方である。
「聖銀のエンベルトも近接戦を得意とするウィザードです。アリスにもエンベルトと同じように近接戦闘で訓練していったところ、竜種にも通用する程の実力を持つまでに至りました」
実のところエンベルトの戦いは国の重鎮にさえも知られておらず、誰もが遠距離でも超威力の魔法を可能とした者という認識であり、ディーノの言葉に驚きの声があがる。
「エンベルトも近接戦を……ふぅむ。アリスよ。この場でその魔法を見せてはくれまいか」
「は、はいっ!」
国王から突然話を振られたアリスは少し動揺しつつも立ち上がって一礼し、地面に置いた魔鉄槍バーンを持って頭上に向けて掲げる。
「いきます」と掛け声を出すと、ボッ!という射出音と共に炎槍が上空に向けて放出され、高い位置にある垂れ幕が大きく吹き上げられた。
炎槍こそそれ程長い距離を放出する事はできないものの、その噴射の威力が垂れ幕を吹き上げるまでの威力を持つ事に誰もが驚く。
「今見たアリスの炎槍は黄竜の腹をも突き破る超威力を誇ります。これに至るまでには相当な死線を潜り抜ける必要がありますが、この魔鉄槍が完成してすぐにAA級モンスターをも討ち破る威力を持っていましたから貴族様方も戦いに使用すれば相当な威力となるでしょう」
ディーノが説明するとアリスはまた一礼してまた同じように跪く。
「素晴らしい!すぐにでも魔法スキルを持つ者達に訓練をさせようではないか!」
「属性によっても違いはあると思いますが、魔法スキルを収束させると威力は上がるようです。私の場合は魔鋼武器からの全放出ですから威力はそれ程ではありません。スキルの放出を一点に集中させるのが高威力の鍵となるでしょう」
ディーノの属性剣も性能が高いとはいえ威力としてはそれ程高くはない。
敵の体内に直接魔法スキルを叩き込む事で超威力を可能としているが、基本的には高速移動をする為に使用している。
「それならば属性武器を見直さねばならんな。ふむ、有益な情報はありがたい。何か褒美を取らせたいが……何か欲しいものはあるか?」
何か見返りを求めて進言したわけでもないのだが、褒美がもらえるというのであればディーノとしては欲しいものがある。
「それでしたら魔鋼素材が欲しいのですが」
「魔鋼か。希少素材の為そう多くはないが国庫に少しあったはずだ。それを褒美として贈ろう」
もう一振りの魔鋼武器をファブリツィオに相談しようと思っていたディーノだが、素材集めに苦労するだろうとは思っていたものの、国王からの褒美として魔鋼を手に入れる事ができた。
どれだけの量がもらえるかはわからないが、ディーノが持つ剣であればそれ程多くの魔鋼は必要ない為なんとかなるだろう。
その後は国王と属性武器の相談を受けつつ文官達はその話の内容を記録していき、貴族用の属性武器として多くを注文する事になるのだろう。
国王も実際に戦う事にはならないかもしれないが、自身を守る武器は必要だろうとバランタイン聖王国の聖剣を造るつもりのようだ。
最初こそディーノをルーヴェべデルに行かせないつもりなのか話を逸らされていっていたものの、全ての領地にいる貴族や戦士達の実力を高める為にも戦力強化に力を入れていく事が決まり、ディーノはゼイラムに劣らない実力を身につける為にもパーティーで行動することを条件に、黒夜叉独自の方法で強化、ルーヴェべデルにも派遣されることが決まった。
そしてパーティーにはディーノとアリス、フィオレに加え、ウルもパーティーメンバーとして同行する事も決定し、ウルはルーヴェべデル側の、ディーノはバランタイン側の親善大使として務めるよう指示された。
バランタイン側の独断でウルが親善大使として決めてしまっているものの、食料難で困窮するルーヴェべデルであれば、竜害の可能性の報告と支援を約束すればこの条件を飲むものとして考えたようだ。
そしてウルの能力はパラサイトという寄生能力である事から何か強力なモンスターが必要だろうと、以前からディーノが狙っていたSS級モンスターを捕獲すればいいだろうと、ディーノの今後の予定に組み込んでおく。
ラフロイグ伯爵の護衛依頼が発注されている為、一度ラフロイグへと向かい、ファブリツィオに魔鋼武器を注文してからモンスター捕獲に向かうつもりのようだ。
アークトゥルスとルビーグラスは今後セヴェリンと共にジャダルラック領へと帰る事になるが、セヴェリンはジャダルラック領復興に向けて多くの商人達と取引きをする必要があるとして、十日程の期間を滞在する事となっている。
マリオ達ブレイブのメンバーがしばらく王都に滞在している事から、両パーティー共に観光を楽しむつもりでいるとの事。
10
お気に入りに追加
1,777
あなたにおすすめの小説
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。
こずえ
ファンタジー
私はとあるパーティーに所属していた。
私はこの世界では珍しく、魔法が使えない体質だったようで、パーティーで依頼をこなしながら、ソロで依頼をこなしたりして魔法に負けないくらいの力を手に入れる為に日々修行していた。
しかし、ある日突然、そんな日常は終わりを告げる。
「役立たずは出ていけ。」
そうして、私は無職になった。
こんにちは。
作者です。
筆が遅い節がありますので、次話投稿が遅れてたらごめんなさい。
もし誤字や脱字があったり、ここはこう言った表現がいいのでは無いかと感じられたさいにはお手数ですが、なるべく詳しく教えていただけると助かります。
ぶっちゃけ、こんなところなんて誰も読んでないやろ…とは少し思ってますが、ご理解いただけると幸いです。
…ちなみに10話程度で完結させようと思っていたのですが、それは無理そうなので1000話以内には終わります()
2022/01/23
タグを追加しました。
2024/02/06
ネタ切れのため休載してます。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる