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メール
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ルシータが初授業を行ったその日の晩。
お風呂上がりで寝巻き姿のボクは、自室のベットの上で寝転がりルシータにメールを送るかどうかで大いに迷って水泳のバタ足のように脚をバタつかせていた。
ルシータは初授業で疲れているだろうから、メールは迷惑かな? それとも疲れているからこそ、励ましやねぎらいのメールを喜んでくれるかな? しかし——
うーん、ドキドキが止まらない。と言うかなんでメールを送るかどうかだけでこんなにも胸が痛くなっているのかな?
ルシータに対して、意識はしている。だってあんな夢を毎夜見せられているのだから。逆にあの夢を見ていて意識しない方がおかしいと思う。そう、ルシータを意識するボクは正常なんだ。女の子同士だけど、……たぶん正常なんだと思う。
でもこの意識するのって、正確に分析するとどう言う事なんだろう。……少しだけ、少しだけあの夢のシチュエーションに興味がある自分がいる。そう、最初は戸惑ったし、何事!? ってなったけど、沢山見ていくうちに嫌じゃ無くなってきたんだ。そしていつしかキスに、本当のキスに興味が湧いて来ちゃっているのだ。勿論それ以上の事はまだ抵抗があるから、このキスにだけ興味があるのは間違いないと思う。……つまりボクは、ルシータと、多分キスがしたい。……してみたい。
うーん、なんかメールを送るのを分析してみたら、ボクの下心がありありな事が分かってきてしまった。でも本当に、疲れているであろうルシータを気遣う気持ちもあるんだ。下心と気遣いを天秤にかけたら水平がキープされるように、二つの気持ちは共に大いにあるんだ。
そうだ、まだ送るとは決めていないけど、送る気持ちが一杯になった時の事を考えて携帯に文章だけ入力しておこう。やっぱり変に思われないよう、やっぱり重く思われないよう、初めの文章は短めが良いよね。あと最初から絵文字を沢山使わないで、文末に顔文字を一個だけ付けてみようかな。
そうしてあーだこーだと時間をかけて考えた文章は、なんの捻りもない『今日はお疲れ様でしたー( ̄∇ ̄)』と言う文面に決まった。
さてと、あとは送信ボタンを押すだけなんだけど。壁時計を見やる。時刻を示す針は20時になったばかりである事を教えてくれている。
今送ったらさり気ない感じで送れるかな? 今送ったら何気ない気持ちで見てくれるかな?
送信ボタンの上に親指を移動させるけれど、指がプルプルと震えてしまっている。
きゃー、押せない、まだ勇気が足りない。ルシータと友達になったわけだけれど、ルシータは若いとは言っても大人の女性である。ボクなんか小娘の事なんて露ほども相手にしていないかも知れない。それにもしかしたら知り合いと食事に行っていたりして、まだ帰宅していないかも知れない。でも、でも街を案内する約束はしたけれど、このままだとずっと相手にされないかも知れない。だから勇気を振り絞って一歩を踏み出さないといけない、時があると思う。それは今この時であって、明日になってからメールを送るのはもう手遅れなんだ。
そうだ、メールは今この時に送らないと賞味期限がキレッキレッになってしまうんだ。例えルシータが外食をしていたとしても、すぐにメールを見て貰えなくても良いじゃないか。だから押すんだ、送信ボタンを押すんだ。だから神様、ボクに少しだけ勇気を与えて下さい。
そしてなんとか自分を奮い立たせて送信ボタンを押せた時には、時刻が21時になる少し前であった。
やった、やったぞ! 送信ボタンを押したぞ! 心臓がかなりドキドキしている。
時刻もまだ迷惑にならないギリギリの時間のはず。落ち着け、落ち着くんだ。まだメールを送っただけなのだから。あとはルシータが見てくれたら、返事をくれる、かな? 突然のメールを変に思われないかな? 既読スルーされないかな?
そしてふと送ったメールを見てみると、既読の文字が付いていた。ルシータがメールに気付いてくれた。ルシータが今メールを見てくれている。そそ、それより早く画面を閉じないと、ルシータが返信をしてくれた場合、こちらの既読がすぐに付いてしまう。それはルシータとのやり取りの画面をジッと見つめていた事になるわけで、それはとても恥ずかしい。
そして画面を閉じた携帯をそのまま持っているのはボクが耐えれなかったので、布団の上にボフッと置く。そんな携帯を遠目にチラチラと見ながら、ボクは自室を右往左往する。
返信くるかな? もしかしたらルシータは日本語の入力に手間取るかも知れない。だから返信は今日ではなくて、明日くるかも知れない。いや、まだ返信がくるのは良い方で、入力が出来なくて返信は来ないかも知れない。いやいや、そもそもボクのメールを見てそれで完結してしまっている可能性もあるじゃないか。
はははっ、期待してしまうと後が辛くなる。だから少しばかり早いけど、布団に入ってもう寝ようかな?
とそこで携帯から、メールが届いた音が一度鳴る。
ルシータから!? いや、由香とか他の友達の可能性もある。だから期待はせずに——
ゆっくり布団から携帯を掴み取ると、ボクは怖いものを見るようにして薄目の状態で携帯の画面を開く。
するとルシータからのメールであった。
ボクの心臓が、トクトクと嬉しい心音を奏で始める。
そして文面を見てみると『ありがとう! 因みにまだまだ若いですから、そんなに疲れてない、かな? それと、ツバサとの初メールだね♡』とあった。
嬉しくて心臓がキャーキャー悲鳴を上げ始める。眠気は弾け飛び瞳が覚醒し、その場を跳ね回る。
返信を送ってくれた! それもハートマークまで付けてくれて!
そそっ、それよりこのままメールを終わらせてしまうのか? そんなの嫌だ! もっとやり取りがしたい!
そうしてボクは素早く文字を入力して『ルシータは何才なんですか? 』と送る。すると『それを聞いちゃうのかな? 』とすぐに返信が来た。そこで『べっ、べつにルシータの年齢なんて興味ないんだからねっ』と送って——
そんな感じで他愛のないメールのやり取りを沢山していると、気が付けば22時近くになっていた。そこでボク達はオヤスミのメールを送り合う。そうして今日のボクは、ホクホク顔で眠りにつくのであった。
お風呂上がりで寝巻き姿のボクは、自室のベットの上で寝転がりルシータにメールを送るかどうかで大いに迷って水泳のバタ足のように脚をバタつかせていた。
ルシータは初授業で疲れているだろうから、メールは迷惑かな? それとも疲れているからこそ、励ましやねぎらいのメールを喜んでくれるかな? しかし——
うーん、ドキドキが止まらない。と言うかなんでメールを送るかどうかだけでこんなにも胸が痛くなっているのかな?
ルシータに対して、意識はしている。だってあんな夢を毎夜見せられているのだから。逆にあの夢を見ていて意識しない方がおかしいと思う。そう、ルシータを意識するボクは正常なんだ。女の子同士だけど、……たぶん正常なんだと思う。
でもこの意識するのって、正確に分析するとどう言う事なんだろう。……少しだけ、少しだけあの夢のシチュエーションに興味がある自分がいる。そう、最初は戸惑ったし、何事!? ってなったけど、沢山見ていくうちに嫌じゃ無くなってきたんだ。そしていつしかキスに、本当のキスに興味が湧いて来ちゃっているのだ。勿論それ以上の事はまだ抵抗があるから、このキスにだけ興味があるのは間違いないと思う。……つまりボクは、ルシータと、多分キスがしたい。……してみたい。
うーん、なんかメールを送るのを分析してみたら、ボクの下心がありありな事が分かってきてしまった。でも本当に、疲れているであろうルシータを気遣う気持ちもあるんだ。下心と気遣いを天秤にかけたら水平がキープされるように、二つの気持ちは共に大いにあるんだ。
そうだ、まだ送るとは決めていないけど、送る気持ちが一杯になった時の事を考えて携帯に文章だけ入力しておこう。やっぱり変に思われないよう、やっぱり重く思われないよう、初めの文章は短めが良いよね。あと最初から絵文字を沢山使わないで、文末に顔文字を一個だけ付けてみようかな。
そうしてあーだこーだと時間をかけて考えた文章は、なんの捻りもない『今日はお疲れ様でしたー( ̄∇ ̄)』と言う文面に決まった。
さてと、あとは送信ボタンを押すだけなんだけど。壁時計を見やる。時刻を示す針は20時になったばかりである事を教えてくれている。
今送ったらさり気ない感じで送れるかな? 今送ったら何気ない気持ちで見てくれるかな?
送信ボタンの上に親指を移動させるけれど、指がプルプルと震えてしまっている。
きゃー、押せない、まだ勇気が足りない。ルシータと友達になったわけだけれど、ルシータは若いとは言っても大人の女性である。ボクなんか小娘の事なんて露ほども相手にしていないかも知れない。それにもしかしたら知り合いと食事に行っていたりして、まだ帰宅していないかも知れない。でも、でも街を案内する約束はしたけれど、このままだとずっと相手にされないかも知れない。だから勇気を振り絞って一歩を踏み出さないといけない、時があると思う。それは今この時であって、明日になってからメールを送るのはもう手遅れなんだ。
そうだ、メールは今この時に送らないと賞味期限がキレッキレッになってしまうんだ。例えルシータが外食をしていたとしても、すぐにメールを見て貰えなくても良いじゃないか。だから押すんだ、送信ボタンを押すんだ。だから神様、ボクに少しだけ勇気を与えて下さい。
そしてなんとか自分を奮い立たせて送信ボタンを押せた時には、時刻が21時になる少し前であった。
やった、やったぞ! 送信ボタンを押したぞ! 心臓がかなりドキドキしている。
時刻もまだ迷惑にならないギリギリの時間のはず。落ち着け、落ち着くんだ。まだメールを送っただけなのだから。あとはルシータが見てくれたら、返事をくれる、かな? 突然のメールを変に思われないかな? 既読スルーされないかな?
そしてふと送ったメールを見てみると、既読の文字が付いていた。ルシータがメールに気付いてくれた。ルシータが今メールを見てくれている。そそ、それより早く画面を閉じないと、ルシータが返信をしてくれた場合、こちらの既読がすぐに付いてしまう。それはルシータとのやり取りの画面をジッと見つめていた事になるわけで、それはとても恥ずかしい。
そして画面を閉じた携帯をそのまま持っているのはボクが耐えれなかったので、布団の上にボフッと置く。そんな携帯を遠目にチラチラと見ながら、ボクは自室を右往左往する。
返信くるかな? もしかしたらルシータは日本語の入力に手間取るかも知れない。だから返信は今日ではなくて、明日くるかも知れない。いや、まだ返信がくるのは良い方で、入力が出来なくて返信は来ないかも知れない。いやいや、そもそもボクのメールを見てそれで完結してしまっている可能性もあるじゃないか。
はははっ、期待してしまうと後が辛くなる。だから少しばかり早いけど、布団に入ってもう寝ようかな?
とそこで携帯から、メールが届いた音が一度鳴る。
ルシータから!? いや、由香とか他の友達の可能性もある。だから期待はせずに——
ゆっくり布団から携帯を掴み取ると、ボクは怖いものを見るようにして薄目の状態で携帯の画面を開く。
するとルシータからのメールであった。
ボクの心臓が、トクトクと嬉しい心音を奏で始める。
そして文面を見てみると『ありがとう! 因みにまだまだ若いですから、そんなに疲れてない、かな? それと、ツバサとの初メールだね♡』とあった。
嬉しくて心臓がキャーキャー悲鳴を上げ始める。眠気は弾け飛び瞳が覚醒し、その場を跳ね回る。
返信を送ってくれた! それもハートマークまで付けてくれて!
そそっ、それよりこのままメールを終わらせてしまうのか? そんなの嫌だ! もっとやり取りがしたい!
そうしてボクは素早く文字を入力して『ルシータは何才なんですか? 』と送る。すると『それを聞いちゃうのかな? 』とすぐに返信が来た。そこで『べっ、べつにルシータの年齢なんて興味ないんだからねっ』と送って——
そんな感じで他愛のないメールのやり取りを沢山していると、気が付けば22時近くになっていた。そこでボク達はオヤスミのメールを送り合う。そうして今日のボクは、ホクホク顔で眠りにつくのであった。
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