3 / 162
序章 女神との出会いと異世界転生編
03.心に刺さる言葉
しおりを挟む
女神は七海の戸惑いなど気にもしない様子で話を続けている。それを聞いている七海は、話半分としてもこの摩訶不思議な内容に事実が含まれていると信じてしまっていた。でも人々の生活をゲームだなんて言う人のことを本当に信じていいのだろうか。
「実験だったら結果から知見を得て、そこからなにか発展させようとするものじゃない?
でも私たちがやっているのは見ること以外特に目的がないから観察なのかな。
人間と違って魚や野生動物を閉じ込めたりはせず、自由にしてもらってるけどね」
「正直に言うと、女神さまの存在やお話自体は信じるしかないと思ってます。
かと言って私自身がそこへ行きたいかと聞かれたら、行きたくないとお答えするしかありません。
確かに今は辛いことばかり続いてるけど、いつかはその反動でいいことばかり続くかもしれない。
私はそう言う風に思っていたいんです」
「そっか、わかったよ。
七海ちゃんの人生だから自分のために使えばいいもんね。
でもね、じゃあなんで自分の命を絶とうとなんて考えたの?
今の人生に絶望して惰性で生きているからじゃないかな?」
そんな…… 昨日の出来事さえ知っているのかと驚き、なにも言い換えす言葉が出てこない。確かに昨晩の七海はどうかしていたのかもしれない。かと言って考えてもいないことを行動に移したわけでなかったのは自分自身一番わかっている。
「あのさ、七海ちゃんってば悪いことばかりの人生だって自覚があるのでしょ?
それなのにまだ未来に希望を持ってるんだもん。
だったら希望が持てる未来を掴んでほしいって思っちゃったのよね。
そういう人の方が次の人生を楽しんでくれそうでしょ?」
これは反則だ。今まで誰も手を差し伸べてくれなかった七海にとって涙を流すに十分な言葉だった。中学で孤独になった時も、両親が事故で亡くなった時も独りだった。そして自暴自棄になっている今も頼れる人は誰もいない。
でももしかしたら、このうさんくさくて怪しい自称女神なら、七海の手を引いてくれるのではないか、そう思ってしまいそうだ。でも確か怪しい新興宗教の勧誘も似たような手口と聞いたことがある。結局七海には他人を信用することなんて出来るはずがないのだ。
「きっとね、完全に信用するのも決断するのも、まあすぐにはできないと思うんだよね。
だからこれを渡しておくから持って帰って」
そう言って女神は古風な短剣を差し出した。向けられた柄を持って受け取ってみると、見た目よりも相当軽くておもちゃみたいだ。刃から手を離した女神が口を開く。
「これは転生に使う『儀式の短剣』って言うものなの。
今の生活をすべてを棄てて新しい世界へ旅立つ決心がついたら、その刃を自分の胸へ刺すのよ。
そうすればあなたは今の自分から別の自分へ生まれ変わることができる。
もちろん生まれ変わる先は異世界だから、今までとは大分異なる生活が待ってるよ?
さっきも言ったけど、なんでも思い通りになるわけじゃないし大変なこともあるはず。
それでも今いるこの世界、この社会よりはよほど素晴らしいところなんだから」
七海がわかったと頷くと女神は言葉を続けた。
「もしも転生なんてしたくない、今のままがいいと本心で思った場合はね。
その短剣を握ったままでこんなものはいらない、そのままで生きていくって強く願うの。
そうすると、この短剣や私と会って話をした記憶は全部消えちゃう。
もしそうなったら残念だけどきっぱりと諦めるわね」
「これはいつまで持っていればいいんですか?
使わなかったらずっと残っている物ですか?」
「そうねえ、今まですぐに使わなかった子がいなかったからいつまで残るかはわかんない。
でも悩んだりしてて、いつ必要になるかわからないうちは消えないはず、多分ね」
「神様でもわからないことがあるんですね。
ちょっと面白いです」
「そうそう、忘れてるみたいだからもう一度名乗っておくね。
私は豊穣の女神、私たちの作った異世界で九神って呼ばれてる神々のうちの一人よ。
『ほうじょう』って言うのは豊作とかって意味ね。
だからたわわに実ってるでしょ?」
豊穣の女神はそう言いながら、ご自慢の? 巨大なおっぱいをを揺らして見せた。こんな街中で恥ずかしくないのかと思わなくもないが、七海以外には姿が見えていないようだし時間も止まっているのだった。それよりも見ているこちらが恥ずかしくなってくる。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか豊穣の女神はいなくなっていた。七海の手元へ短剣を残して……
◇◇◇
今日も業務は遅くまで続き、帰宅したのは真夜中である。七海はほっとしながら冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出した。昨晩は飲みすぎて、今朝は後悔するほど泥酔したと言うのに懲りずにまた飲んでしまう。
それにしても、今日は変なことがあったせいでプレゼンで噛みまくって大変だった。結果としてはクリアファイルを受注できたので七海的には成功だったのだが、受注額が安かったので帰社後に報告した課長からはそっけない返事が返ってきただけだった。
昼間の出来事が夢でなかったのは、カバンから出してテーブルへ乗せてある短剣を見ればわかる。一体これは何なんだろうか。あの狐耳のメイドが言っていたことが本当なら、女神の力によって異世界へ転生することができる魔法の短剣と言うことになる。
でもそんなおとぎ話のようなことがあるのだろうか。確かに世の中には科学で解明できない不思議なことがあるとは言うけど、そもそも七海は文系なので科学自体がよくわからない。
テーブルに手を伸ばし短剣を手に取ってみる。片手に短剣、もう片手には缶ビールというシュールな絵面だ。どう見ても切れ味が悪そうで、鋭さのかけらも感じられない刃をビールの缶へ押し当ててみる。すると押した分だけ少しへこんだ程度で穴が開く様子はない。
あの自称女神は、短剣が必要なければこのままで生きていくと念じることで短剣自体も、女神との記憶も消えると言っていた。七海は心の中で、この先も今のままで生きていくからこんなもの必要ない、と念じてみた。しかし何の変化もない。
逆に、今の生活には確かに疑問を感じているし、この先良くなる展望もないと思ったところ、刀身が輝いたように感じられる。ということは女神の言ったことは本当で、七海は今の自分を棄てて異世界へ転生したいと思っているのだろうか。だがそれは錯覚かもしれないし自己暗示かもしれない。かといって刃物を自分の胸へ突き刺すなんてこと、とてもじゃないが恐ろしくてできっこない。
こんなところで悩んでいてもすぐに答えは出せないのは明らかだと自分に活を入れ、まずはシャワーを浴びて頭を冷やしてから、七海は二本目の缶ビールを開けて一気に飲み干した。
「実験だったら結果から知見を得て、そこからなにか発展させようとするものじゃない?
でも私たちがやっているのは見ること以外特に目的がないから観察なのかな。
人間と違って魚や野生動物を閉じ込めたりはせず、自由にしてもらってるけどね」
「正直に言うと、女神さまの存在やお話自体は信じるしかないと思ってます。
かと言って私自身がそこへ行きたいかと聞かれたら、行きたくないとお答えするしかありません。
確かに今は辛いことばかり続いてるけど、いつかはその反動でいいことばかり続くかもしれない。
私はそう言う風に思っていたいんです」
「そっか、わかったよ。
七海ちゃんの人生だから自分のために使えばいいもんね。
でもね、じゃあなんで自分の命を絶とうとなんて考えたの?
今の人生に絶望して惰性で生きているからじゃないかな?」
そんな…… 昨日の出来事さえ知っているのかと驚き、なにも言い換えす言葉が出てこない。確かに昨晩の七海はどうかしていたのかもしれない。かと言って考えてもいないことを行動に移したわけでなかったのは自分自身一番わかっている。
「あのさ、七海ちゃんってば悪いことばかりの人生だって自覚があるのでしょ?
それなのにまだ未来に希望を持ってるんだもん。
だったら希望が持てる未来を掴んでほしいって思っちゃったのよね。
そういう人の方が次の人生を楽しんでくれそうでしょ?」
これは反則だ。今まで誰も手を差し伸べてくれなかった七海にとって涙を流すに十分な言葉だった。中学で孤独になった時も、両親が事故で亡くなった時も独りだった。そして自暴自棄になっている今も頼れる人は誰もいない。
でももしかしたら、このうさんくさくて怪しい自称女神なら、七海の手を引いてくれるのではないか、そう思ってしまいそうだ。でも確か怪しい新興宗教の勧誘も似たような手口と聞いたことがある。結局七海には他人を信用することなんて出来るはずがないのだ。
「きっとね、完全に信用するのも決断するのも、まあすぐにはできないと思うんだよね。
だからこれを渡しておくから持って帰って」
そう言って女神は古風な短剣を差し出した。向けられた柄を持って受け取ってみると、見た目よりも相当軽くておもちゃみたいだ。刃から手を離した女神が口を開く。
「これは転生に使う『儀式の短剣』って言うものなの。
今の生活をすべてを棄てて新しい世界へ旅立つ決心がついたら、その刃を自分の胸へ刺すのよ。
そうすればあなたは今の自分から別の自分へ生まれ変わることができる。
もちろん生まれ変わる先は異世界だから、今までとは大分異なる生活が待ってるよ?
さっきも言ったけど、なんでも思い通りになるわけじゃないし大変なこともあるはず。
それでも今いるこの世界、この社会よりはよほど素晴らしいところなんだから」
七海がわかったと頷くと女神は言葉を続けた。
「もしも転生なんてしたくない、今のままがいいと本心で思った場合はね。
その短剣を握ったままでこんなものはいらない、そのままで生きていくって強く願うの。
そうすると、この短剣や私と会って話をした記憶は全部消えちゃう。
もしそうなったら残念だけどきっぱりと諦めるわね」
「これはいつまで持っていればいいんですか?
使わなかったらずっと残っている物ですか?」
「そうねえ、今まですぐに使わなかった子がいなかったからいつまで残るかはわかんない。
でも悩んだりしてて、いつ必要になるかわからないうちは消えないはず、多分ね」
「神様でもわからないことがあるんですね。
ちょっと面白いです」
「そうそう、忘れてるみたいだからもう一度名乗っておくね。
私は豊穣の女神、私たちの作った異世界で九神って呼ばれてる神々のうちの一人よ。
『ほうじょう』って言うのは豊作とかって意味ね。
だからたわわに実ってるでしょ?」
豊穣の女神はそう言いながら、ご自慢の? 巨大なおっぱいをを揺らして見せた。こんな街中で恥ずかしくないのかと思わなくもないが、七海以外には姿が見えていないようだし時間も止まっているのだった。それよりも見ているこちらが恥ずかしくなってくる。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか豊穣の女神はいなくなっていた。七海の手元へ短剣を残して……
◇◇◇
今日も業務は遅くまで続き、帰宅したのは真夜中である。七海はほっとしながら冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出した。昨晩は飲みすぎて、今朝は後悔するほど泥酔したと言うのに懲りずにまた飲んでしまう。
それにしても、今日は変なことがあったせいでプレゼンで噛みまくって大変だった。結果としてはクリアファイルを受注できたので七海的には成功だったのだが、受注額が安かったので帰社後に報告した課長からはそっけない返事が返ってきただけだった。
昼間の出来事が夢でなかったのは、カバンから出してテーブルへ乗せてある短剣を見ればわかる。一体これは何なんだろうか。あの狐耳のメイドが言っていたことが本当なら、女神の力によって異世界へ転生することができる魔法の短剣と言うことになる。
でもそんなおとぎ話のようなことがあるのだろうか。確かに世の中には科学で解明できない不思議なことがあるとは言うけど、そもそも七海は文系なので科学自体がよくわからない。
テーブルに手を伸ばし短剣を手に取ってみる。片手に短剣、もう片手には缶ビールというシュールな絵面だ。どう見ても切れ味が悪そうで、鋭さのかけらも感じられない刃をビールの缶へ押し当ててみる。すると押した分だけ少しへこんだ程度で穴が開く様子はない。
あの自称女神は、短剣が必要なければこのままで生きていくと念じることで短剣自体も、女神との記憶も消えると言っていた。七海は心の中で、この先も今のままで生きていくからこんなもの必要ない、と念じてみた。しかし何の変化もない。
逆に、今の生活には確かに疑問を感じているし、この先良くなる展望もないと思ったところ、刀身が輝いたように感じられる。ということは女神の言ったことは本当で、七海は今の自分を棄てて異世界へ転生したいと思っているのだろうか。だがそれは錯覚かもしれないし自己暗示かもしれない。かといって刃物を自分の胸へ突き刺すなんてこと、とてもじゃないが恐ろしくてできっこない。
こんなところで悩んでいてもすぐに答えは出せないのは明らかだと自分に活を入れ、まずはシャワーを浴びて頭を冷やしてから、七海は二本目の缶ビールを開けて一気に飲み干した。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
妖精王オベロンの異世界生活
悠十
ファンタジー
ある日、サラリーマンの佐々木良太は車に轢かれそうになっていたお婆さんを庇って死んでしまった。
それは、良太が勤める会社が世界初の仮想空間による体感型ゲームを世界に発表し、良太がGMキャラの一人に、所謂『中の人』選ばれた、そんな希望に満ち溢れた、ある日の事だった。
お婆さんを助けた事に後悔はないが、未練があった良太の魂を拾い上げたのは、良太が助けたお婆さんだった。
彼女は、異世界の女神様だったのだ。
女神様は良太に提案する。
「私の管理する世界に転生しませんか?」
そして、良太は女神様の管理する世界に『妖精王オベロン』として転生する事になった。
そこから始まる、妖精王オベロンの異世界生活。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる