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3.心の中の国
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『にゃ、にゃ、にゃ、にゃ、にゃ、にゃ、にゃ』
ネコばかり作り続けているせいか夢の中までネコの鳴き声が聞こえてくる。ほっぺたには毛糸の感触まであって、これはある意味病的と言えるかもしれない。
元々は母さんが作ってくれた防犯ブザーのケースが始まりだった。小学校へ入学した際に配布されてランドセルにぶら下げて歩くアレである。その小さな編み物に興味を持った僕は、母さんに教わりながら一か月ほどかけてサイコロと言えなくもないただの立方体を一つ完成させた。
その記念すべき最初の作品はいつも筆箱の中へ入れてたけど、今は僕の部屋に無い。あんな拙いものを人にあげるなんて恥ずかしい限りだが、1年生が終わるところで引っ越すことになった隣の席の子が欲しがったのであげてしまった。
厳密にはあげたんじゃなくて交換したんだったっけ。今もまだ机の上に置いてある、フェルトでできたネコのワッペン、確かあの子が作ったって言ってたと記憶している。そう考えるとつくづくネコに縁があるのかもしれない。
ほんの少しの休憩ですっきりした僕がベッドから起き上がると、周囲にはまったく覚えのない風景が広がっていた。何処までも続く草原に真っ青な空、どうやら夢の中らしい。
そして周囲を見回すと、僕の周りには数匹のネコが『にゃ、にゃ』とネコらしくない不自然な鳴き声を上げながらこちらを見上げていた。
「これは…… ボクの作ったあみぐるみじゃないか。
夢の中で僕のあみぐるみが動いてるなんてうれしいね。
ほら、こっちおいで」
すると10匹ほどのネコたちが一斉に僕の手に群がりゴロゴロと喉を鳴らしている。あみぐるみとは言え愛着がある分本物のネコのようでとってもかわいらしい。
さらに遠くには他にも動物がいるようで、遠巻きにこちらを見ている。立ちあがった僕はネコたちに導かれるように他の動物へ近寄った。すると驚いたことにすべての動物がぬいぐるみだったのだ。
「一体これはどういうことなんだ?
僕の夢なのに見たこともないぬいぐるみが出てくるなんて。
まったくわれながら想像力豊かだなぁ」
『いいえ、これは夢ではありません。
あなたの心の中にある別の世界なのです』
「それを夢って言うんじゃないの?
どこか別の場所にあるんじゃなくて僕の中なんでしょ?
というかこの声はどこから聞こえて来てるんだ?」
『この声もあなたの心の中からですよ。
厳密には私たちの国のイメージを投影しているのです。
ですから私たちの実態はとても遠くにあります』
言っていることがよくわからないが、簡単に言えば夢と言うことだろう。それにしてもどこかできいたことのあるような声だ。
「君は誰? 僕の知ってる人?」
『私はこの『もふもふの国』の王女です。
あなたのことは知ってるけど、ナオ君は私を知らないでしょう』
「僕の事を知ってるって!?
どこかで会ったことがあるのかな。
夢の中だから自分自身ってことかな?」
『ですからこれは夢ではないのです。
あなたの心の中を通して景色を見てもらい会話しています。
何故そんなことをしているのか気になるでしょうね』
「それが本当だとしたらとても気になるね。
もっと詳しく聞かせてもらえるかな」
僕は夢だ夢だと言いながらも、声の主のことがどうしても気になって会話を続けたくなった。
ネコばかり作り続けているせいか夢の中までネコの鳴き声が聞こえてくる。ほっぺたには毛糸の感触まであって、これはある意味病的と言えるかもしれない。
元々は母さんが作ってくれた防犯ブザーのケースが始まりだった。小学校へ入学した際に配布されてランドセルにぶら下げて歩くアレである。その小さな編み物に興味を持った僕は、母さんに教わりながら一か月ほどかけてサイコロと言えなくもないただの立方体を一つ完成させた。
その記念すべき最初の作品はいつも筆箱の中へ入れてたけど、今は僕の部屋に無い。あんな拙いものを人にあげるなんて恥ずかしい限りだが、1年生が終わるところで引っ越すことになった隣の席の子が欲しがったのであげてしまった。
厳密にはあげたんじゃなくて交換したんだったっけ。今もまだ机の上に置いてある、フェルトでできたネコのワッペン、確かあの子が作ったって言ってたと記憶している。そう考えるとつくづくネコに縁があるのかもしれない。
ほんの少しの休憩ですっきりした僕がベッドから起き上がると、周囲にはまったく覚えのない風景が広がっていた。何処までも続く草原に真っ青な空、どうやら夢の中らしい。
そして周囲を見回すと、僕の周りには数匹のネコが『にゃ、にゃ』とネコらしくない不自然な鳴き声を上げながらこちらを見上げていた。
「これは…… ボクの作ったあみぐるみじゃないか。
夢の中で僕のあみぐるみが動いてるなんてうれしいね。
ほら、こっちおいで」
すると10匹ほどのネコたちが一斉に僕の手に群がりゴロゴロと喉を鳴らしている。あみぐるみとは言え愛着がある分本物のネコのようでとってもかわいらしい。
さらに遠くには他にも動物がいるようで、遠巻きにこちらを見ている。立ちあがった僕はネコたちに導かれるように他の動物へ近寄った。すると驚いたことにすべての動物がぬいぐるみだったのだ。
「一体これはどういうことなんだ?
僕の夢なのに見たこともないぬいぐるみが出てくるなんて。
まったくわれながら想像力豊かだなぁ」
『いいえ、これは夢ではありません。
あなたの心の中にある別の世界なのです』
「それを夢って言うんじゃないの?
どこか別の場所にあるんじゃなくて僕の中なんでしょ?
というかこの声はどこから聞こえて来てるんだ?」
『この声もあなたの心の中からですよ。
厳密には私たちの国のイメージを投影しているのです。
ですから私たちの実態はとても遠くにあります』
言っていることがよくわからないが、簡単に言えば夢と言うことだろう。それにしてもどこかできいたことのあるような声だ。
「君は誰? 僕の知ってる人?」
『私はこの『もふもふの国』の王女です。
あなたのことは知ってるけど、ナオ君は私を知らないでしょう』
「僕の事を知ってるって!?
どこかで会ったことがあるのかな。
夢の中だから自分自身ってことかな?」
『ですからこれは夢ではないのです。
あなたの心の中を通して景色を見てもらい会話しています。
何故そんなことをしているのか気になるでしょうね』
「それが本当だとしたらとても気になるね。
もっと詳しく聞かせてもらえるかな」
僕は夢だ夢だと言いながらも、声の主のことがどうしても気になって会話を続けたくなった。
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