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第二章 遠征 X ダンジョン + 人気者
18.ランクイン
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おふざけにより話が逸れたがいよいよ本題だ。あの氷漬け事件の時に何が起こっていたのか、彼女たちが説明してくれることになった。
「あの時は中型のモンスターが突然前後から現れたの。
私の背後は金剛さんがカバーしてくれて、いつも通り前方を凍らせようとしたのです。
その瞬間上空から水が大量に降ってきて三人まとめて凍ってしまいました」
「氷姫の能力って任意の場所や物を凍らせるものだって聞いたことあるけど?
モンスターに対し能力を使用したのに自分たちが凍ることなんてあるの?」
「秘密と言うわけではないですが、私の能力は間に障害物があると遮られるのです。
今回の場合だと冷凍能力が降ってきた水に遮断されて氷結したのかと……
でもそんなこと普通では考えられません」
雪南の言いたいことはよくわかる。つまりこれは人為的な出来事ではないかと考えているのだろう。その証拠にアーカイブ映像を見直しながら行動を振り返ってみると、不自然な点がいくつも見つかっていると言う。
まず、ダンジョン内に雨が降るなんてあり得ないし、まして多量の水が降り注ぐなんて異常事態どころの騒ぎではない。それに現場は直線通路だったのだから、どちらから進んできたとしてもモンスターに挟まれることなんて考えられず、すでにそこからが何者かによる工作だった可能性が高い。
かと言って、俺のホームである舎人ダンジョンで人為的な妨害なんて、今までに聞いたことの無い事例である。そもそも現代のように全探索隊の行動が公的機関に記録されているのだから、故意に他人を妨害するという重罪に問われかねない行為が高リスクでメリットがほとんどないのだ。
「言わんとすることはわかるけど……
舎人で生まれ育って、潜るようになってからも四年経つけどなぁ。
誰かに妨害されたりしたやつ聞いたこともないし見たこともないんだ。
いや、もちろん今までいなかっただけかもしれないけど……」
「これは失礼しました。
私も舎人にそういう不埒者がいると言いたいのではありません。
今回の遠征は学校の課題で出されたものなのです。
先週今週に渡って横須賀校からいくつかの隊が、舎人だけではなく足柄へも行きました。
しかし被害にあったのは私たちだけなのです」
「学校や行政側も人為的な物、妨害工作的な行為が行われたとみている?
さらにその標的はスノーダイヤモンドだけと断定しているのかい?」
「断定と言うまでは行きませんが、結果から考えての推測ですね。
たまたまではあるのですが、今回の遠征で人気ランキング一桁は私たちだけでした。
もしかしたら今後は他の高ランカーも狙われるかもしれません」
「それなら俺たちは全く心配ないってことか。
なんたってランキング圏外だからなぁ。
嬉しいんだか悲しいんだかだけど」
なかば自虐的に人気や知名度の低さを嘆いてみたが、氷見子がそれを否定するように話に割って入ってきた。そしてそれは意外な内容だった。
「あのですね、そう気楽に構えてはいられないかもよ?
今回私たちを救出したのが救命隊でないことは周知の事実なの。
そしてそれを証明するように今週の注目度上昇ランキングはこんな感じに――」
氷見子がオペ端末へ表示している画面を上部モニタへ拡大表示すると、そこには圏外からランクアップしたことを表す『注目』マークの付いている見慣れた名前のパーティーが表示されていた。
「え、ええっ!? これってうちじゃないか。
一体なんでこんなことになってるんだ?
今までどんなランキングだろうと二桁入りさえしたこと無かったのに」
考えたこともない出来事に目が点になった気分の俺は、思い当たることは一つしかないと頭に浮かべ、どうしていいかわからずに頭をポリポリと掻いていた。
「あの時は中型のモンスターが突然前後から現れたの。
私の背後は金剛さんがカバーしてくれて、いつも通り前方を凍らせようとしたのです。
その瞬間上空から水が大量に降ってきて三人まとめて凍ってしまいました」
「氷姫の能力って任意の場所や物を凍らせるものだって聞いたことあるけど?
モンスターに対し能力を使用したのに自分たちが凍ることなんてあるの?」
「秘密と言うわけではないですが、私の能力は間に障害物があると遮られるのです。
今回の場合だと冷凍能力が降ってきた水に遮断されて氷結したのかと……
でもそんなこと普通では考えられません」
雪南の言いたいことはよくわかる。つまりこれは人為的な出来事ではないかと考えているのだろう。その証拠にアーカイブ映像を見直しながら行動を振り返ってみると、不自然な点がいくつも見つかっていると言う。
まず、ダンジョン内に雨が降るなんてあり得ないし、まして多量の水が降り注ぐなんて異常事態どころの騒ぎではない。それに現場は直線通路だったのだから、どちらから進んできたとしてもモンスターに挟まれることなんて考えられず、すでにそこからが何者かによる工作だった可能性が高い。
かと言って、俺のホームである舎人ダンジョンで人為的な妨害なんて、今までに聞いたことの無い事例である。そもそも現代のように全探索隊の行動が公的機関に記録されているのだから、故意に他人を妨害するという重罪に問われかねない行為が高リスクでメリットがほとんどないのだ。
「言わんとすることはわかるけど……
舎人で生まれ育って、潜るようになってからも四年経つけどなぁ。
誰かに妨害されたりしたやつ聞いたこともないし見たこともないんだ。
いや、もちろん今までいなかっただけかもしれないけど……」
「これは失礼しました。
私も舎人にそういう不埒者がいると言いたいのではありません。
今回の遠征は学校の課題で出されたものなのです。
先週今週に渡って横須賀校からいくつかの隊が、舎人だけではなく足柄へも行きました。
しかし被害にあったのは私たちだけなのです」
「学校や行政側も人為的な物、妨害工作的な行為が行われたとみている?
さらにその標的はスノーダイヤモンドだけと断定しているのかい?」
「断定と言うまでは行きませんが、結果から考えての推測ですね。
たまたまではあるのですが、今回の遠征で人気ランキング一桁は私たちだけでした。
もしかしたら今後は他の高ランカーも狙われるかもしれません」
「それなら俺たちは全く心配ないってことか。
なんたってランキング圏外だからなぁ。
嬉しいんだか悲しいんだかだけど」
なかば自虐的に人気や知名度の低さを嘆いてみたが、氷見子がそれを否定するように話に割って入ってきた。そしてそれは意外な内容だった。
「あのですね、そう気楽に構えてはいられないかもよ?
今回私たちを救出したのが救命隊でないことは周知の事実なの。
そしてそれを証明するように今週の注目度上昇ランキングはこんな感じに――」
氷見子がオペ端末へ表示している画面を上部モニタへ拡大表示すると、そこには圏外からランクアップしたことを表す『注目』マークの付いている見慣れた名前のパーティーが表示されていた。
「え、ええっ!? これってうちじゃないか。
一体なんでこんなことになってるんだ?
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