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第一章 平凡兄 X 幼馴染 X 天才妹
7.セブン
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昼飯を終えた俺たちは、装備品のチェックをしたりバックパックへ水を入れたりしながらパーティー登録完了を待っていた。虹子は本当に緊張しているらしく、ハーネスのバックルを付けたり外したりして落ち着きがない。
「おにい、登録終った。
HMDRの初期設定もOKだから被らせて装着具合見てあげて。
虹子のハンドルは勝手に決めた」
「えっとここに表示されてるのがそうだっけ?
『セブン』であってるよね。
これって私が虹子だから?」
「そう、虹だから七だしおにいのハンドル『シックス』の次って意味もある。
ふふふ、うれしいんでしょ」
「べべべ、べつに普通、かな。
初めての装備品だからそれは嬉しいけどね。
二人ともありがとう」
「でも入学したら新しいのが支給されるんだったな。
あれって支給じゃなくて任意購入だったっけか?
まあどっちでもいいけど、タダだったら新しいの貰って登録し直せばいいな」
「そうだね、これは出どこわからないやつだし。
パパがおにいへ最初に渡したやつのはずだからきついかもしれない」
「今のところ大丈夫みたい。
もしかして私小顔かもしれないわね、ふふ」
「はいはい小顔小顔。
それじゃ後輩指導と同じ、最高で九階層までだな。
中に入ったら俺の腰についているバンドを自分のハーネスへ繋げるんだぞ?
もし戦闘になったら壁沿いでじっとしていればいいから」
「うん、わかった。
リクのこと頼りにしてるよ」
「それじゃ紗由、ナビよろしくな。
こないだみたいに氷漬けが居なけりゃいいけどよ。
まあ行ってくらー」
「おにい、虹子、いってらっしゃい。
虹子の初めてはおにいが、うふふ……」
「「こらっ」」
思わず紗由への突っ込みがハモってしまった。そんなことをしつつも準備を済ませて、俺のお下がり装備を身につけた虹子はいっぱしの探索者に見える。能技大へ入学すれば新しい装備が支給されるのだが、それまではこの使い古しで我慢してもらおう。変に真新しいよりは使い込んでいる方が動きやすいのも利点である。
「ブーツが少し大きいくらいで後はほとんどピッタリ。
そっか、もう私よりリクのほうが背が高くなってるのね。
全然そんな風に見えないのに、やっぱ男の子は違うなぁ」
「おう、違うぞ。
それってサイズ間違えてデカすぎたやつだけど金が無くて買い直せなかったんだ。
しばらく使ってたけど、こないだちゃんとしたサイズに買い替えたから余ってたんだよ」
「つまり……?」
「つまり、俺が着るとダボついてたジャンプスーツってこと。
簡単に言えば、虹子のほうが俺よりもサイズが大きいってことだな。
特に尻周りなんてユルユルどころじゃねえもん、あはは」
そんなやり取りの後、ほっぺたに手形を付けた俺は、むくれて頬を膨らませた虹子をミニバイクの後ろに乗せてのんびりとダンジョン入口へと向かった。
「おにい、登録終った。
HMDRの初期設定もOKだから被らせて装着具合見てあげて。
虹子のハンドルは勝手に決めた」
「えっとここに表示されてるのがそうだっけ?
『セブン』であってるよね。
これって私が虹子だから?」
「そう、虹だから七だしおにいのハンドル『シックス』の次って意味もある。
ふふふ、うれしいんでしょ」
「べべべ、べつに普通、かな。
初めての装備品だからそれは嬉しいけどね。
二人ともありがとう」
「でも入学したら新しいのが支給されるんだったな。
あれって支給じゃなくて任意購入だったっけか?
まあどっちでもいいけど、タダだったら新しいの貰って登録し直せばいいな」
「そうだね、これは出どこわからないやつだし。
パパがおにいへ最初に渡したやつのはずだからきついかもしれない」
「今のところ大丈夫みたい。
もしかして私小顔かもしれないわね、ふふ」
「はいはい小顔小顔。
それじゃ後輩指導と同じ、最高で九階層までだな。
中に入ったら俺の腰についているバンドを自分のハーネスへ繋げるんだぞ?
もし戦闘になったら壁沿いでじっとしていればいいから」
「うん、わかった。
リクのこと頼りにしてるよ」
「それじゃ紗由、ナビよろしくな。
こないだみたいに氷漬けが居なけりゃいいけどよ。
まあ行ってくらー」
「おにい、虹子、いってらっしゃい。
虹子の初めてはおにいが、うふふ……」
「「こらっ」」
思わず紗由への突っ込みがハモってしまった。そんなことをしつつも準備を済ませて、俺のお下がり装備を身につけた虹子はいっぱしの探索者に見える。能技大へ入学すれば新しい装備が支給されるのだが、それまではこの使い古しで我慢してもらおう。変に真新しいよりは使い込んでいる方が動きやすいのも利点である。
「ブーツが少し大きいくらいで後はほとんどピッタリ。
そっか、もう私よりリクのほうが背が高くなってるのね。
全然そんな風に見えないのに、やっぱ男の子は違うなぁ」
「おう、違うぞ。
それってサイズ間違えてデカすぎたやつだけど金が無くて買い直せなかったんだ。
しばらく使ってたけど、こないだちゃんとしたサイズに買い替えたから余ってたんだよ」
「つまり……?」
「つまり、俺が着るとダボついてたジャンプスーツってこと。
簡単に言えば、虹子のほうが俺よりもサイズが大きいってことだな。
特に尻周りなんてユルユルどころじゃねえもん、あはは」
そんなやり取りの後、ほっぺたに手形を付けた俺は、むくれて頬を膨らませた虹子をミニバイクの後ろに乗せてのんびりとダンジョン入口へと向かった。
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