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第五章 学園入学
27.神探し
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俺とジョアンナが処置について話し合っている間に賊の三人は目覚めた。先ほどまでとは様子が異なりすっかりおとなしくなっている。しかし女の瞳には涙が浮かび、男二人もうなだれて黙ったままである。
「さて、洗いざらい吐いてもらおうか。
なぜ俺を襲ったのかと誰に命じられたのかだ」
「はい、私はこの二人に協力しろと呼び出されたので詳しくは知りません。
ですが悪いことをするのだとは気が付いていました。
こんな罪深い私に裁きをお願いいたします!」
「俺は隣のコイツに誘われて話に乗りました。
生意気なガキがいるからシメに行くというので面白そうだと思って……
ですが今は後悔しています、どうぞお好きなように罰を与えてください!」
「俺は兄貴が恥かかされたって聞いたんでそのままにはしておけねえと思って……
ヨージの兄貴はあんたのせいで連合内の地位を下げられちまったんだ。
だが今は俺がバカだったと思ってる、敵う相手でもないのに手を出すなんて俺はバカだ」
「ってことは、アンタたちってヨージの舎弟ってやつ?
あんな情けない男によくついていくわねぇ」
ジョアンナの言う通り、人を見る目がないと苦労するいい見本と言えるだろう。それにしても逆恨みを買うとは面倒なことになった。まあヨージという男がやらせたのでは無さそうだし、こいつらをどうにか始末すればこの件は片付きそうでなによりだ。
「それでうみんちゅ? こいつらはどうするの?
先に行っとくけど狼に食わせるーとかなしだからね。
まっとうな答えを期待してるわ」
「うむ、こいつらは警備兵に渡すだけでいいとは思う。
しかしそうすると、なんで俺を襲ったかって話になるだろうな。
別にやましいことはないがあれこれ詮索されるのも面倒だし、悩むところだ」
「じゃあどうするの?
このまま帰してあげるってわけにもいかないでしょ」
「うむ、こいつらを帰すのではなく、届けてやろうと思うんだ。
それにはまず確認しておくことがある。
またあそこへ行って奴らにあってからにしたいんだが今日はもう遅いし明日は学校もある」
「あ、ああ、あそこね。
向こうから来てくれたらいいんだけどねぇ。
ちょっといい?」
ジョアンナは俺についてこいと促して奥の部屋へと向かった。
「奥につれて来てどうした? 本当に話は通じていたのか?
出来れば今すぐにでも行きたいくらいなんだぞ?」
「わかってるから聞かれないようにしたんでしょうに。
今から農業公園まで行っても開いて無くて入れないのよ。
だから他の神社へ行ってみるってのはどうかなって。
この近所にも大小いくつかの神社があるからさ」
「おお、そこで呼び出せばいいってことだな。
俺は剣の秘密に確証が持てればそれでいい。
不明なままでもまあ構わないんだがな」
「それはどういうことなの?
あいつらを斬ったのに斬れてなかったことでしょ?」
「うむ、それに急にしおらしくなったこともだ。
だがそれには心当たりがある。
俺は使い手ではなかったのだが、実は心を斬る斬撃と言うものがあるんだ。
善悪は問わず、戦うことには強い精神力が求められる。
それを断ち切って意欲をそぐと言うものだな」
「じゃあ悪意を斬られて反省しちゃったってこと?
そんな都合のいいものがあるなら犯罪者はずいぶん減るでしょうね」
「まあ使い手が大勢いれば、だがな。
俺の剣はそんな特別なものではなく、力で押し切るものだった。
だが剣に実体がなかったことで心を力で押し切ったのではないかと考えているのだ」
「ま、難しいことはわかんないけどさ。
とりあえず近くの神社を回ってみない?
お腹が空いてるのにかわいそうだけどさ」
「いや大丈夫だ、さっきパフェというものを食べさせてもらったからな。
姫は食べたことあるか? 凄い量だったぞ?」
俺は両手でその形を真似て大きさを伝えた。するとジョアンナはやや不機嫌そうになって、良かったわね、なんて一言であしらわれてしまった。やはり召し抱えられている分際なのに、一人で遊びに行ったのは不味かったのかもしれない。
その件と、柳に提案されたことなどは後回しにして、今は近所の神社を回るのが先決だ。台所に三人を置き去りにし、俺とジョアンナは家を出た。
「見てくれ! ここに奇怪な獅子ののような動物が石化している!
これはメデューサの仕業なのか!?
一体この場所で何があったと言うんだ……」
「はいはい、魔法凄いね。
そんなのいいからこっちの本殿へいってみよ?」
「見てくれ! こんどはキツネが石化しているぞ!?
この国は平和だと思っていたのにこんなにもメデューサが跋扈(ばっこ)しているなんて……
すぐに退治した方がいいのではないか?」
「はいはい、魔法スゴイスゴイ、ゴイスー
いい加減怒るよ? 早く来なさいっての」
こうしていくつか神社を回ったのだが神は現れず空振りに終わった。仕方なく家に戻ろうとするとごく小さな祠が目に入る。これも神社なのだろうか。例の赤い格子型の門が無いので違うのかもしれないが、念のため確認してみることにした。
「姫? これは神社ではないのか?
赤いのは無いが小さな扉のような物に縄がかけてあるぞ?
こぎれいに手入れもされているようだなぁ」
「こんなところにもあったんだね。
どうやらここもお狐様みたい、全然知らなかった」
「狐の神なのか?
どちらかと言うと人間の神に用があるんだがな。
まあこの際贅沢は言ってられん、こら、神、早く出てこい!」
「まったくもう、そんな言い方してると祟られるわよ?
信仰心は無くても無礼していいってわけじゃないでしょ?」
「そうだな、こんな素晴らしい世界へ送ってくれたんだから感謝しないとダメか。
おい、早く出て来てくれ、狐の神よーい」
「相変わらず失礼な奴だなぁ。
姉ちゃんの言うとおり、もっと敬意を持って接するべきだと思うよ、ぼかぁ」
「うわっ、ホントに出やがった!
それにしても狐の姿ではないんだな」
俺がジョアンナに尻を蹴り飛ばされながら素直な感想を言うと、地球の神は呆れたように話し出した。
「さて、洗いざらい吐いてもらおうか。
なぜ俺を襲ったのかと誰に命じられたのかだ」
「はい、私はこの二人に協力しろと呼び出されたので詳しくは知りません。
ですが悪いことをするのだとは気が付いていました。
こんな罪深い私に裁きをお願いいたします!」
「俺は隣のコイツに誘われて話に乗りました。
生意気なガキがいるからシメに行くというので面白そうだと思って……
ですが今は後悔しています、どうぞお好きなように罰を与えてください!」
「俺は兄貴が恥かかされたって聞いたんでそのままにはしておけねえと思って……
ヨージの兄貴はあんたのせいで連合内の地位を下げられちまったんだ。
だが今は俺がバカだったと思ってる、敵う相手でもないのに手を出すなんて俺はバカだ」
「ってことは、アンタたちってヨージの舎弟ってやつ?
あんな情けない男によくついていくわねぇ」
ジョアンナの言う通り、人を見る目がないと苦労するいい見本と言えるだろう。それにしても逆恨みを買うとは面倒なことになった。まあヨージという男がやらせたのでは無さそうだし、こいつらをどうにか始末すればこの件は片付きそうでなによりだ。
「それでうみんちゅ? こいつらはどうするの?
先に行っとくけど狼に食わせるーとかなしだからね。
まっとうな答えを期待してるわ」
「うむ、こいつらは警備兵に渡すだけでいいとは思う。
しかしそうすると、なんで俺を襲ったかって話になるだろうな。
別にやましいことはないがあれこれ詮索されるのも面倒だし、悩むところだ」
「じゃあどうするの?
このまま帰してあげるってわけにもいかないでしょ」
「うむ、こいつらを帰すのではなく、届けてやろうと思うんだ。
それにはまず確認しておくことがある。
またあそこへ行って奴らにあってからにしたいんだが今日はもう遅いし明日は学校もある」
「あ、ああ、あそこね。
向こうから来てくれたらいいんだけどねぇ。
ちょっといい?」
ジョアンナは俺についてこいと促して奥の部屋へと向かった。
「奥につれて来てどうした? 本当に話は通じていたのか?
出来れば今すぐにでも行きたいくらいなんだぞ?」
「わかってるから聞かれないようにしたんでしょうに。
今から農業公園まで行っても開いて無くて入れないのよ。
だから他の神社へ行ってみるってのはどうかなって。
この近所にも大小いくつかの神社があるからさ」
「おお、そこで呼び出せばいいってことだな。
俺は剣の秘密に確証が持てればそれでいい。
不明なままでもまあ構わないんだがな」
「それはどういうことなの?
あいつらを斬ったのに斬れてなかったことでしょ?」
「うむ、それに急にしおらしくなったこともだ。
だがそれには心当たりがある。
俺は使い手ではなかったのだが、実は心を斬る斬撃と言うものがあるんだ。
善悪は問わず、戦うことには強い精神力が求められる。
それを断ち切って意欲をそぐと言うものだな」
「じゃあ悪意を斬られて反省しちゃったってこと?
そんな都合のいいものがあるなら犯罪者はずいぶん減るでしょうね」
「まあ使い手が大勢いれば、だがな。
俺の剣はそんな特別なものではなく、力で押し切るものだった。
だが剣に実体がなかったことで心を力で押し切ったのではないかと考えているのだ」
「ま、難しいことはわかんないけどさ。
とりあえず近くの神社を回ってみない?
お腹が空いてるのにかわいそうだけどさ」
「いや大丈夫だ、さっきパフェというものを食べさせてもらったからな。
姫は食べたことあるか? 凄い量だったぞ?」
俺は両手でその形を真似て大きさを伝えた。するとジョアンナはやや不機嫌そうになって、良かったわね、なんて一言であしらわれてしまった。やはり召し抱えられている分際なのに、一人で遊びに行ったのは不味かったのかもしれない。
その件と、柳に提案されたことなどは後回しにして、今は近所の神社を回るのが先決だ。台所に三人を置き去りにし、俺とジョアンナは家を出た。
「見てくれ! ここに奇怪な獅子ののような動物が石化している!
これはメデューサの仕業なのか!?
一体この場所で何があったと言うんだ……」
「はいはい、魔法凄いね。
そんなのいいからこっちの本殿へいってみよ?」
「見てくれ! こんどはキツネが石化しているぞ!?
この国は平和だと思っていたのにこんなにもメデューサが跋扈(ばっこ)しているなんて……
すぐに退治した方がいいのではないか?」
「はいはい、魔法スゴイスゴイ、ゴイスー
いい加減怒るよ? 早く来なさいっての」
こうしていくつか神社を回ったのだが神は現れず空振りに終わった。仕方なく家に戻ろうとするとごく小さな祠が目に入る。これも神社なのだろうか。例の赤い格子型の門が無いので違うのかもしれないが、念のため確認してみることにした。
「姫? これは神社ではないのか?
赤いのは無いが小さな扉のような物に縄がかけてあるぞ?
こぎれいに手入れもされているようだなぁ」
「こんなところにもあったんだね。
どうやらここもお狐様みたい、全然知らなかった」
「狐の神なのか?
どちらかと言うと人間の神に用があるんだがな。
まあこの際贅沢は言ってられん、こら、神、早く出てこい!」
「まったくもう、そんな言い方してると祟られるわよ?
信仰心は無くても無礼していいってわけじゃないでしょ?」
「そうだな、こんな素晴らしい世界へ送ってくれたんだから感謝しないとダメか。
おい、早く出て来てくれ、狐の神よーい」
「相変わらず失礼な奴だなぁ。
姉ちゃんの言うとおり、もっと敬意を持って接するべきだと思うよ、ぼかぁ」
「うわっ、ホントに出やがった!
それにしても狐の姿ではないんだな」
俺がジョアンナに尻を蹴り飛ばされながら素直な感想を言うと、地球の神は呆れたように話し出した。
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