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33.愛のエナジー
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高波や久美たちが西高へ行きバカをやりながらゲームセンターで桃子を待っていたころ、初々しいはずの二人はドロドロの汗まみれになっていた。
「はあはあはあ、ちょっと喉が…… ありがとう、はあ、疲れたぁ。
このちゃんも疲れた?」
「ふふ、疲れたけど幸せだよ。
たっくんは最初に比べたらすごく自信持っててカッコいいなぁ」
「いやあ、僕も心入れ替えたってわけじゃないけど現実を知ったって感じかな。
男は下手じゃダメで女子は慣れてると変な目で見られるのはおかしいかなって。
今は男女関係なく上手に越したことはないと思ってるよ。
お互いその方がいいもんね」
「いいこというね、たっくんってばさ。
やっぱり賢いと違うんだなぁ」
まさにお互いあばたもえくぼでなんでも褒め合うばかりである。こうして付き合い始めの今が一番幸せそうな大内と谷前だが、今日はいくら身体を合わせても完全な満足感が得られずにいた。
正確にはお互い満足しているのだが、少し休憩するとまたすぐに求めあってしまうような状況だ。いくら若いとは言え、これではまるで本能のみで生きている動物のようである。もちろんそれには種が有る。もちろん今この場で何億も捨てられている本物の種ではなく、からくりという意味の種だ。
と言うわけで、裏で暗躍している天使は、この若い二人から欲望にまみれた愛のエネルギーを愛の水差しへと汲みあげ続けていた。水差しに溜められたエネルギーは、愛渇望症とも言える荒んだ人間へ注ぐことで正常な営みへ戻すことができる。
しかし天使はそのエネルギーを自分で消費してしまおうと考えているのだ。その仕組みは単純でそのまま飲み込むだけである。天使は飲食を必要としないのでそれに伴う楽しみはない。同様に生殖機能もないため関連する快楽は備わっていないのだ。
そんな天使でも、インモラルエナジーを摂取することで人間由来の快楽物質を体内に取り込むことができる。するとあたかも自分が体験したように、肉体的、精神的な快感が体に充満する。
この事実を知った時に天使は歓喜した。集めた愛をどう使えば堕天出来るかになんの当てもなかったのだ。しかし神の遣いである天使の立場で人間の快楽を横取りしていれば、それはきっと堕落であり神への背徳だろう。
そんなことを考えながら、天使は若い二人の行為を眺め、そしてそこから吸い上げた快楽に溺れていた。
天使に踊らされているとは考えもしない二人は、お互いが魅力的過ぎて終わりがやってこないのだなどと考えている。しかしそれでも時間は過ぎて行き、そろそろ家族が帰宅する時刻が近づいてきた。
「たっくん、そろそろお母さんたちが帰って来ちゃう……
残念だけど今日はあと一回でおしまいかな」
「そっか、もうそんな時間なんだね。
明日からまたしばらくは普通のデートで我慢かな」
「うん、でどうしても我慢できなくなったら、ね?」
そういうと谷前は大内に唇を押し付けた。その肉厚な感触が大内の下腹部へ押し付けられた時を思い出し、再び熱を帯びた実感があるが仕方ない時間切れである。
名残惜しそうにしている二人を眺めながら、それにしてもこの二人はタフだな、などと他人事のように呆れている天使だった。
「はあはあはあ、ちょっと喉が…… ありがとう、はあ、疲れたぁ。
このちゃんも疲れた?」
「ふふ、疲れたけど幸せだよ。
たっくんは最初に比べたらすごく自信持っててカッコいいなぁ」
「いやあ、僕も心入れ替えたってわけじゃないけど現実を知ったって感じかな。
男は下手じゃダメで女子は慣れてると変な目で見られるのはおかしいかなって。
今は男女関係なく上手に越したことはないと思ってるよ。
お互いその方がいいもんね」
「いいこというね、たっくんってばさ。
やっぱり賢いと違うんだなぁ」
まさにお互いあばたもえくぼでなんでも褒め合うばかりである。こうして付き合い始めの今が一番幸せそうな大内と谷前だが、今日はいくら身体を合わせても完全な満足感が得られずにいた。
正確にはお互い満足しているのだが、少し休憩するとまたすぐに求めあってしまうような状況だ。いくら若いとは言え、これではまるで本能のみで生きている動物のようである。もちろんそれには種が有る。もちろん今この場で何億も捨てられている本物の種ではなく、からくりという意味の種だ。
と言うわけで、裏で暗躍している天使は、この若い二人から欲望にまみれた愛のエネルギーを愛の水差しへと汲みあげ続けていた。水差しに溜められたエネルギーは、愛渇望症とも言える荒んだ人間へ注ぐことで正常な営みへ戻すことができる。
しかし天使はそのエネルギーを自分で消費してしまおうと考えているのだ。その仕組みは単純でそのまま飲み込むだけである。天使は飲食を必要としないのでそれに伴う楽しみはない。同様に生殖機能もないため関連する快楽は備わっていないのだ。
そんな天使でも、インモラルエナジーを摂取することで人間由来の快楽物質を体内に取り込むことができる。するとあたかも自分が体験したように、肉体的、精神的な快感が体に充満する。
この事実を知った時に天使は歓喜した。集めた愛をどう使えば堕天出来るかになんの当てもなかったのだ。しかし神の遣いである天使の立場で人間の快楽を横取りしていれば、それはきっと堕落であり神への背徳だろう。
そんなことを考えながら、天使は若い二人の行為を眺め、そしてそこから吸い上げた快楽に溺れていた。
天使に踊らされているとは考えもしない二人は、お互いが魅力的過ぎて終わりがやってこないのだなどと考えている。しかしそれでも時間は過ぎて行き、そろそろ家族が帰宅する時刻が近づいてきた。
「たっくん、そろそろお母さんたちが帰って来ちゃう……
残念だけど今日はあと一回でおしまいかな」
「そっか、もうそんな時間なんだね。
明日からまたしばらくは普通のデートで我慢かな」
「うん、でどうしても我慢できなくなったら、ね?」
そういうと谷前は大内に唇を押し付けた。その肉厚な感触が大内の下腹部へ押し付けられた時を思い出し、再び熱を帯びた実感があるが仕方ない時間切れである。
名残惜しそうにしている二人を眺めながら、それにしてもこの二人はタフだな、などと他人事のように呆れている天使だった。
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