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26.愛ゆえの行動
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偏差値と言う概念すら無縁な二人、それが高波と金子である。中学の頃は何事も暴力で訴えるような生徒も多かったため、二年まで金子は暴力を受けていた。その頃高波はほとんど学校へ来ておらず金子の存在を忘れていた。
三年になり夏休み直前辺りからはちゃんと学校へ行くようにと美咲たちに命令され従うようになった高波は、そこで久しぶりに金子と顔を合わせることとなる。同学年のいわゆる不良グループに暴力を振るわれていた金子は、それでも言いなりになることはなかった。
ケンカの強い高波と栄養失調気味で華奢だった金子は小学校の頃すでに仲が良く、金子が不良のターゲットになることはなかった。中学に上がり高波が学校へ行かなくなってから金子が不良たちの標的にされてしまったのである。
だが高波が復学してからはそれもぱたりとやんだ、というか高波が力づくでやめさせたのだ。父親に格闘技を叩きこまれて育ったことと、持って生まれた強靭な肉体、それにリリ子の好みで筋トレをさせられていたため体格はさらに良くなっていた。
幸い高校へ入ってからはその腕っぷしを披露する機会はほとんどなく、入学してすぐ三年生に呼び出された時と、不倫淫行教師を病院送りにした時の二度だけである。
そんな風にまともではない中学時代を過ごした二人と、優等生だが運が少し悪かっただけの久美が同じ高校へ通っているのだから世の中は不公平である。
「なるほど、貞子も苦労してるんだなぁ。
なんつーか災難だったな、でも東高も悪くねえだろ?
オレみたいな優しいナイスガイがいるんだからよ」
「煩悩の塊、エロナンパ男の間違いじゃなくて?
しかも一号二号だもんねぇ…… 大内君までそうなりそうなんてヤバいよ」
「メガッチは谷前一筋だから平気じゃね?
あいつって真面目なほうじゃん? 元々エロいことは好きだけどな。
中学の時なんて香織ってやつのい――」
『バチン!』
「―― っておい! ナミタカ、そこまでだ。
メガッチの秘密を暴露すんじゃねえよ、あいつまた泣いちゃうぞ?」
「ちょっと? 中学の頃の話とか秘密とか泣くとかさぁ。
そこまで口にしたらもう手遅れじゃない? ねえ、そう思うでしょ?
金子君、高波君、アタシはそう思うけど二人はどうかしら?」
「金ちゃん、今悪かったのはオレじゃないと思うわ。
マジで隠し事下手過ぎか」
「わりぃ、やっちまったなコリャ。
んじゃもしもばれた時には俺のせいってことにするしかねえなぁ。
いいか貞子? 絶対に誰にも言っちゃダメだぞ?
特に谷前に知られたら相当ヤバいかもしれんからな?」
結局金子は、久美へ花崎香織の椅子舐め事件を全て話してしまった。しかも本当は椅子に抱きついていただけだったはずなのに、いつの間にか座面を舐めていたことになっている。ただし、暴露した本人は話を盛ったことに気付いていなかった。
そうは言っても、今初めて話を聞いた久美はこれ以上ないと言うくらいにドン引きである。腕を組みながら盛んにこすっているくらいだから寒気を感じているのだろう。
「でもよ? 別に貞子の好きな男でもねえから気にしなくてもいいだろ。
クラスメートの男がキモかろうとなんの影響もないだろ?
体育だって男女別だし、まあ合同班で一緒になるとかはあるかもだけどさ」
「そうだけどさ…… そう言う事する人って本当にいるんだねぇ。
小学校の時に縦笛舐めたとか言われた男子がいたけどさ。
アタシはそんな子がこの世にいるわけないと思ったから本気にしなかったもん」
「縦笛舐めるくらいは普通にいるんじゃね?
わからんけど、いかにもいそうな気がする。
さすがのオレも小学生では目覚めてなかったから実態は知らねえけどよ」
「いたじゃん、五年の時同じクラスだった上岡が新田のハーモニカパクってさ。
しばらくキモがられてて学校来なくなっちゃってよ。
その後結局転校しちゃったんだっけか?」
「そんなのいたっけ?
上岡はともかく新田ってのが思い出せねえ」
「アンタが女子を忘れるなんて、そんなカワイイ時代もあったんだね。
と言うか二人は小学校から仲良しだったのかー」
「ん? 女子は上岡のほうだぞ?
上岡は背の順で一番後ろでさ、ごっつい巨体でマジヤヴェ奴だったんだよ。
んで、大人しくて女子っぽくて男の娘って言われてた新田を食ったってわけ。
アンダスタン?」
金子は久美の想像を超えた人物像を口にした。
三年になり夏休み直前辺りからはちゃんと学校へ行くようにと美咲たちに命令され従うようになった高波は、そこで久しぶりに金子と顔を合わせることとなる。同学年のいわゆる不良グループに暴力を振るわれていた金子は、それでも言いなりになることはなかった。
ケンカの強い高波と栄養失調気味で華奢だった金子は小学校の頃すでに仲が良く、金子が不良のターゲットになることはなかった。中学に上がり高波が学校へ行かなくなってから金子が不良たちの標的にされてしまったのである。
だが高波が復学してからはそれもぱたりとやんだ、というか高波が力づくでやめさせたのだ。父親に格闘技を叩きこまれて育ったことと、持って生まれた強靭な肉体、それにリリ子の好みで筋トレをさせられていたため体格はさらに良くなっていた。
幸い高校へ入ってからはその腕っぷしを披露する機会はほとんどなく、入学してすぐ三年生に呼び出された時と、不倫淫行教師を病院送りにした時の二度だけである。
そんな風にまともではない中学時代を過ごした二人と、優等生だが運が少し悪かっただけの久美が同じ高校へ通っているのだから世の中は不公平である。
「なるほど、貞子も苦労してるんだなぁ。
なんつーか災難だったな、でも東高も悪くねえだろ?
オレみたいな優しいナイスガイがいるんだからよ」
「煩悩の塊、エロナンパ男の間違いじゃなくて?
しかも一号二号だもんねぇ…… 大内君までそうなりそうなんてヤバいよ」
「メガッチは谷前一筋だから平気じゃね?
あいつって真面目なほうじゃん? 元々エロいことは好きだけどな。
中学の時なんて香織ってやつのい――」
『バチン!』
「―― っておい! ナミタカ、そこまでだ。
メガッチの秘密を暴露すんじゃねえよ、あいつまた泣いちゃうぞ?」
「ちょっと? 中学の頃の話とか秘密とか泣くとかさぁ。
そこまで口にしたらもう手遅れじゃない? ねえ、そう思うでしょ?
金子君、高波君、アタシはそう思うけど二人はどうかしら?」
「金ちゃん、今悪かったのはオレじゃないと思うわ。
マジで隠し事下手過ぎか」
「わりぃ、やっちまったなコリャ。
んじゃもしもばれた時には俺のせいってことにするしかねえなぁ。
いいか貞子? 絶対に誰にも言っちゃダメだぞ?
特に谷前に知られたら相当ヤバいかもしれんからな?」
結局金子は、久美へ花崎香織の椅子舐め事件を全て話してしまった。しかも本当は椅子に抱きついていただけだったはずなのに、いつの間にか座面を舐めていたことになっている。ただし、暴露した本人は話を盛ったことに気付いていなかった。
そうは言っても、今初めて話を聞いた久美はこれ以上ないと言うくらいにドン引きである。腕を組みながら盛んにこすっているくらいだから寒気を感じているのだろう。
「でもよ? 別に貞子の好きな男でもねえから気にしなくてもいいだろ。
クラスメートの男がキモかろうとなんの影響もないだろ?
体育だって男女別だし、まあ合同班で一緒になるとかはあるかもだけどさ」
「そうだけどさ…… そう言う事する人って本当にいるんだねぇ。
小学校の時に縦笛舐めたとか言われた男子がいたけどさ。
アタシはそんな子がこの世にいるわけないと思ったから本気にしなかったもん」
「縦笛舐めるくらいは普通にいるんじゃね?
わからんけど、いかにもいそうな気がする。
さすがのオレも小学生では目覚めてなかったから実態は知らねえけどよ」
「いたじゃん、五年の時同じクラスだった上岡が新田のハーモニカパクってさ。
しばらくキモがられてて学校来なくなっちゃってよ。
その後結局転校しちゃったんだっけか?」
「そんなのいたっけ?
上岡はともかく新田ってのが思い出せねえ」
「アンタが女子を忘れるなんて、そんなカワイイ時代もあったんだね。
と言うか二人は小学校から仲良しだったのかー」
「ん? 女子は上岡のほうだぞ?
上岡は背の順で一番後ろでさ、ごっつい巨体でマジヤヴェ奴だったんだよ。
んで、大人しくて女子っぽくて男の娘って言われてた新田を食ったってわけ。
アンダスタン?」
金子は久美の想像を超えた人物像を口にした。
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