インモラルハイスクール

釈 余白(しやく)

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13.愛の腰砕け ワンモア

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 ヘタレの金子がなんとか桃子を呼び出して、ショッピングモールでアドレスをゲットしていたころ、もう一人取り込み中の男子がいた。

「大内君、イヤじゃなかった?
 私ってかわいい方じゃないし太ってるから幻滅したんじゃないかって……」

「そ、そんなことないよ、僕だって貧弱だし……
 それに、えっと、不慣れでゴメン」

「ふふ、それはカワイイからいいんだけどね。
 見た目よりもずっとすごいからビックリ。
 もしかしてアイドルだけじゃなくてそういうゲームとか好きなの?」

「そういう…… とはどういう……
 カワイイ女子はそりゃ好きだよ、谷前さんとかさ……」

「お世辞までうまいなんて意外すぎるよ。
 さすがアノ高波君が友達だって言い切る男子なんだなぁ。
 じゃあ、ん、ほうして、もうひょっと、ね?」

「うわ、うあああ、くー」

 事が済んで二人がゆっくりしていた部屋に、再びベッドのきしむ音が聞こえてくる。室温と湿気が上がっていくその場所には、純粋な欲望として色欲の愛が充満していった。そのことに満足している天使は、愛の水差しを使って二人から愛を汲みあげた。

 いくら愛し合っても満たされず求めあい続けてしまう二人は、高校生が帰宅するにはあまり褒めらたものではない時間に自宅へ戻った。最後には満足し満ち足りた様子の谷前は自分の部屋に戻った後も余韻を楽しみ満足しているようだ。

 しかし心の満足と引き換えに数時間の行為でやつれてしまった気分の大内は、力が入らなくなった足腰にムチ打って自宅へ帰りつき、帰宅が遅いと叱りたいが何かを察知して黙ったままの母を尻目に自室へと籠った。この日彼が得た知見は、女子はやはり見た目で判断できないと言うことと、ラブホのゴムはおかわりできると言うことだった。


◇◇◇


 さくじつはおたのしみだった大内の背後に二人の怪しい人影が迫る。武術の達人でもなんでもない一般人の大内が気配を察知できるはずもなく、その大声に気付いた時には既に両手で腰を掴まれていた。

「ひゃああああ! ってて……
 高波だろ! なにすんだよ、痛いじゃないか。
 今日はちょっと腰が痛くてだな……」

「軽く触れただけなのに痛いのかよ。
 親友にいくらメッセしても返事が返ってこないオレは心が痛いぜ?」

「いいや俺はうれしいね、メガッチがトラウマを克服したと思うと感慨深い。
 そんでどんな感じなんだ?」

「そりゃ…… なんというか…… ありがとう……
 あまりに夢みたいなことが起こってエロゲの主人公にでもなった気分だよ」

「なんだそりゃ、例えが全然わかんねーっての。
 でもいろいろイイ目にあえたってことでいいのか?
 昨日は金ちゃんもまあまあだったし、サイコーの一日だったな」

「そんなことよりあの後ナミタカたちはどうしたんよ?
 まさかあのミチって子をそのまま帰したってこともねえだろ?
 どっか泊まってた割にはちゃんと着替えてるっぽいしシャンプーの匂いも同じだな」

「金ちゃんってばオレのことチェックしすぎっしょ。
 愛を感じるぜー、今晩いっしょにどう?」

「どう? じゃねえってんだよ、離れろ! 抱きつくな!
 俺はそう言う趣味はねえんだよ、っつーか、アレ」

「おっと、メガッチ、ほれ、谷前が待ってんぞ、行けよ。
 ひゅーウラヤマだなー青春してるなー、くれぐれも腰は大切にしろよワロ」

「うっさい! それじゃまた後でー」

 大内は先に来て待っていた様子の谷前のところへ小走りで向かった。思い通りうまくいったと満足する高波、感心したと腕を組んでいる金子、そしていつのまにか隣には、不思議そうに大内と谷前を見つめる貞岡久美がいた。

「おわっ、貞子いつの間に。
 どうした? お前もウラヤマなのか?
 オレで良かったらオレを紹介してやってもいいぞ?」

「誰がアンタなんかに! てゆーか貞子じゃないから!
 二人に聞きたいことあったんだよね。
 昨日西高に押しかけたってマジ? 何しに行ったのよ」

「良く知ってるな、流石耳年増なことはある。
 ちょっとした野暮用だよ」

「なんでそこで耳年増が出てくるのよ…… 意味違ってるし。
 西高の仲いい子から連絡来てね、変な二人が来て校内でナンパしてたって。
 いくらアンタたちでもそこまでやるなんて思って無かったんだけどねぇ。
 やっぱりエロバカコンビだったんだ」

「ナンパなんてしてねえってば。
 オレは待ち合わせで金ちゃんは――」

「俺も待ち合わせだ、そうだよ、ナンパなんてするわけねえだろ。
 中学時代の友達と約束してただけさ」

「へぇ、なんか怪しいわねぇ。
 でもアンタたちみたいなのが西高に友達いたなんて意外だわ。
 大内君が東高にいるくらい信じがたい事実ね」

「そりゃオレは前世から約束してたからな、運命の相手とさ。
 マジピピッと来たから間違いねえよ」

「あ、そういうのいいんで、朝から頭がおかしくなりそう。
 それじゃお先にー」

 貞岡久美はそう言って去って行く。残された二人は顔を見合わせて首をすくめた。
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