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第十一章 不遇の王子
50.消えた者たち
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王城の密会部屋、そこでは王とアーゲンハイム伯爵の密談が行われていた。誰からも聞かれないよう厚い壁と厚い扉に遮られている小部屋である。
「どうだ、間違いなさそうか?」
「はっ恐らくは、ただどこにいるのかまではわかりません。
ですが全ての村を見張れば捕らえることは可能かと……」
「伯爵よ、もっと現実的な話が聞きたいものだな。
やはり我が直接出るしかないか」
「ですが国王陛下自ら見回りなど現実的ではございません。
どうぞ騎士団へお任せください」
「だがもう何人犠牲になったのだ?
その分だけ、その期間があればどれだけ強くなっておるか……
一個師団で止められるとは限らんぞ?」
「ですが…… 今はまだ三名ですから年齢を考えても……」
「自らの腹に喰らった拳を思い出してみい。
何も鍛えず過ごしていてお主を一撃で伸すのだぞ?
そこから月に一人ほどか、まさか剣術を習ってはいないだろうがな」
「ま、まずはまだ被害の無い村を見張るように指示を出しておきます。
くれぐれも陛下はお一人で出歩かぬようお願い申し上げます」
この密会はもちろんフラムスの行方と、被害者の可能性がある行方不明の女達だった。今となってはもう隠し通すしかない、一緒に消えた使用人の娘…… あれを含めてわかっているだけで四人の女を相手にしているはずだ。原理は不明だが王族の強さは間違いなく本物なのだ。アーゲンハイム伯爵は幼少のタクローシュ王子と手合わせをした際、いいようにあしらわれたことを思い出していた。
それにしても奴らはどこへ消えてしまったのだ。一緒に逃げているのか使用人も犠牲者なのかは不明だが、近隣の村で行方不明になった三人の娘も見つかっていない。生きているのか殺されたのかもわからない状態なのが伯爵を更に苛立たせていた。
◇◇◇
「ドロシー、平気かい?
やはりたまには陽に当たらないと具合が悪くなりそうだね」
「でも二人一緒に出歩いたら目立つもの。
フラムスに迷惑はかけられないわ」
「何を言ってるんだ、僕が迷惑をかけているのだから。
それよりこの力はいったい何なのだろう。
ドロシーの言う通り、女を抱けば抱くほど強くなっていく気がする。
最初はあんなに重かった岩も今ではドアを開け閉めする程度さ」
「うふふ、人間離れした力なんてまるで王族みたい。
フラムスはもしかして王様になるために産まれてきたのかもしれないわね。
でも本当は嫉妬しているの、だからあの子たちには優しくしないで?
私、憎い…… あの子たちが憎たらしいの……」
「大丈夫さ、そのうちきっと出来るよ、僕と君の子が。
その時までドロシーが壊れないように気をつけないといけないからさ。
他の女を犯すのを見ても我慢してておくれ、ごめんね」
フラムスとドロシーは固く抱擁しあって唇を重ねた。その純粋な愛とは裏腹に、言っていることも考えていることも異常であるし、愛をささやき合っているそのすぐ目の前には、攫ってきた女たちが猿轡をされ裸にされた状態で転がっている。辛うじて三人とも息はあるが、最初の女はもはや虫の息だった。
「最後にこいつを使ってしまおうか。
もう壊れてるし間もなく命も尽きそうだからね。
ドロシー、辛いだろうから向こうを見ていておくれ」
「ううん、私は平気よ。
だから一緒にこの女を痛めつけてもいいでしょう?
もう終わりなら何しても構わないわよね?」
「もちろんさ、君の好きにしていい、のだけど――
―― こうしたら面白いのではないかな?」
フラムスは同じ側の手脚を縛り自由が効かない女を岩の上に乗せ、臀部を勢い良く叩いてから、ドロシーを抱え上げてその上へと乗せた。二人は接吻をしたままで抱き合い、ドロシーは足を背中へ回すように絡めてその身を委ねた。
男はそのまま乱暴に両の穴を交互に犯し、岩に押し付けられた女は声も上げることなく苦しんでいる。しまいには顔面が地面へと落ちたままで揺さぶられ顔の皮が剥けて血が流れ始めた。広げられた足の間には二人分の重さが加わり激しい衝撃が加わっているのがよくわかる。やがて女は痙攣し始めてから動かなくなった。
男がその暴虐の証を引き抜くと、動かなくなった女を足蹴にして飛び降りた女は、その男の目の前に傅(かしず)いた。
「ああ、私の王子様、今きれいにして差し上げます。
ん、じゅる、んぐぅ、はぁはあ、んふぅ――」
未だ意識を保っていた女たちも、その狂気を見ながらもがき、震え、一人はすぐに気を失い、一人は失禁しながら泡を吹いている。二人の女たちは自分たちが生きて解放されることがない事を悟ったのだ。もちろん今動かなくなった女と同様、手首足首が鬱血(うっけつ)するほど固く縛られ繋がれている。そのことからも初めから解放する気などない事がわかると言うものだ。
ひとしきり弄(もてあそ)んで気を良くしたフラムスは、動かなくなって女を抱えてどこかへと歩いていった。残されたドロシーは気絶している女の体を細い枝で引っ掻いて笑っている。そんな薄暗い洞窟には狂気だけが満ちていた。
「どうだ、間違いなさそうか?」
「はっ恐らくは、ただどこにいるのかまではわかりません。
ですが全ての村を見張れば捕らえることは可能かと……」
「伯爵よ、もっと現実的な話が聞きたいものだな。
やはり我が直接出るしかないか」
「ですが国王陛下自ら見回りなど現実的ではございません。
どうぞ騎士団へお任せください」
「だがもう何人犠牲になったのだ?
その分だけ、その期間があればどれだけ強くなっておるか……
一個師団で止められるとは限らんぞ?」
「ですが…… 今はまだ三名ですから年齢を考えても……」
「自らの腹に喰らった拳を思い出してみい。
何も鍛えず過ごしていてお主を一撃で伸すのだぞ?
そこから月に一人ほどか、まさか剣術を習ってはいないだろうがな」
「ま、まずはまだ被害の無い村を見張るように指示を出しておきます。
くれぐれも陛下はお一人で出歩かぬようお願い申し上げます」
この密会はもちろんフラムスの行方と、被害者の可能性がある行方不明の女達だった。今となってはもう隠し通すしかない、一緒に消えた使用人の娘…… あれを含めてわかっているだけで四人の女を相手にしているはずだ。原理は不明だが王族の強さは間違いなく本物なのだ。アーゲンハイム伯爵は幼少のタクローシュ王子と手合わせをした際、いいようにあしらわれたことを思い出していた。
それにしても奴らはどこへ消えてしまったのだ。一緒に逃げているのか使用人も犠牲者なのかは不明だが、近隣の村で行方不明になった三人の娘も見つかっていない。生きているのか殺されたのかもわからない状態なのが伯爵を更に苛立たせていた。
◇◇◇
「ドロシー、平気かい?
やはりたまには陽に当たらないと具合が悪くなりそうだね」
「でも二人一緒に出歩いたら目立つもの。
フラムスに迷惑はかけられないわ」
「何を言ってるんだ、僕が迷惑をかけているのだから。
それよりこの力はいったい何なのだろう。
ドロシーの言う通り、女を抱けば抱くほど強くなっていく気がする。
最初はあんなに重かった岩も今ではドアを開け閉めする程度さ」
「うふふ、人間離れした力なんてまるで王族みたい。
フラムスはもしかして王様になるために産まれてきたのかもしれないわね。
でも本当は嫉妬しているの、だからあの子たちには優しくしないで?
私、憎い…… あの子たちが憎たらしいの……」
「大丈夫さ、そのうちきっと出来るよ、僕と君の子が。
その時までドロシーが壊れないように気をつけないといけないからさ。
他の女を犯すのを見ても我慢してておくれ、ごめんね」
フラムスとドロシーは固く抱擁しあって唇を重ねた。その純粋な愛とは裏腹に、言っていることも考えていることも異常であるし、愛をささやき合っているそのすぐ目の前には、攫ってきた女たちが猿轡をされ裸にされた状態で転がっている。辛うじて三人とも息はあるが、最初の女はもはや虫の息だった。
「最後にこいつを使ってしまおうか。
もう壊れてるし間もなく命も尽きそうだからね。
ドロシー、辛いだろうから向こうを見ていておくれ」
「ううん、私は平気よ。
だから一緒にこの女を痛めつけてもいいでしょう?
もう終わりなら何しても構わないわよね?」
「もちろんさ、君の好きにしていい、のだけど――
―― こうしたら面白いのではないかな?」
フラムスは同じ側の手脚を縛り自由が効かない女を岩の上に乗せ、臀部を勢い良く叩いてから、ドロシーを抱え上げてその上へと乗せた。二人は接吻をしたままで抱き合い、ドロシーは足を背中へ回すように絡めてその身を委ねた。
男はそのまま乱暴に両の穴を交互に犯し、岩に押し付けられた女は声も上げることなく苦しんでいる。しまいには顔面が地面へと落ちたままで揺さぶられ顔の皮が剥けて血が流れ始めた。広げられた足の間には二人分の重さが加わり激しい衝撃が加わっているのがよくわかる。やがて女は痙攣し始めてから動かなくなった。
男がその暴虐の証を引き抜くと、動かなくなった女を足蹴にして飛び降りた女は、その男の目の前に傅(かしず)いた。
「ああ、私の王子様、今きれいにして差し上げます。
ん、じゅる、んぐぅ、はぁはあ、んふぅ――」
未だ意識を保っていた女たちも、その狂気を見ながらもがき、震え、一人はすぐに気を失い、一人は失禁しながら泡を吹いている。二人の女たちは自分たちが生きて解放されることがない事を悟ったのだ。もちろん今動かなくなった女と同様、手首足首が鬱血(うっけつ)するほど固く縛られ繋がれている。そのことからも初めから解放する気などない事がわかると言うものだ。
ひとしきり弄(もてあそ)んで気を良くしたフラムスは、動かなくなって女を抱えてどこかへと歩いていった。残されたドロシーは気絶している女の体を細い枝で引っ掻いて笑っている。そんな薄暗い洞窟には狂気だけが満ちていた。
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