上 下
39 / 66
第十章 二人の王子

40.改革の始まり

しおりを挟む
 貴族議会は国王と摂政、十名の貴族によって円卓を埋める政治の席だ。しかし決議権は国王にしかなく、地方を代表する貴族の意見を吸い上げる場と言う名目だけの一人乗り馬車のようなものである。それは初代国王から数えて九代、およそ三百年以上続いており歴史のある方式ではあった。だが決して順風だったわけではなく、王族同士が血を流す歴史でもあった。

 今そこに大鉈が振るわれ改革が行われようとしている。

「各自不満もあろうが、安定するまでは税の徴収を軽減することで調整するものとする。
 領地が減った者は特に軽くし、増えたものはその分厳しくなると思え。
 分不相応に抱えたと思うなら遠慮なく申し出るように。
 逆に不足を感じる者がいればそれらとの増減を行おうではないか」

「ですが陛下、これでは陛下のところへ集まる税は大きく減ることになります。
 これで本当に国家運営が滞りなく行えるのでしょうか。
 確かに我々は楽になるのかもしれませんが……」

「そう考えるのは早計だ、なにせ地方は貴公らの責になるのだからな。
 今までは川が溢れて橋が流れれば修繕は国で賄ってきた。
 飢饉があれば国庫から麦を出し、豊作であれば高値で買い取ってきた。
 しかしこれからはそう簡単にはいかんぞ?」

「それもそうか、我々自身の責任が大きくなるのか」
「しかし利も大きくなるので悪い話ではない」
「問題はすぐに軌道へ乗せられるかどうかではないか?」
「確かに領民の反発もあろうことは明白だ」

 貴族たちは思い思いに意見を交わしている。これこそが国家運営に相応しい姿ではなかったのか、王は今更ながらにそう感じこれまでを振り返り反省していた。もちろん最初からうまくいくはずもなく大きな騒動が起きるかもしれない。しかし何もしなければ変えることはできない。

 こう言った議会を繰り返しながら地方を知り国内情勢を知ることは新鮮だったが、やはりそれは正常なことでは無い。今までの王は城の中と議会貴族のことくらいしか知らなかった。これでは盲目同然で何も知らないのと同じである。こんな事でよく国が回ってきた物だと自分に呆れながらも、王族の持つ強大な力を笠に、貴族たちが国の隅々まで恐怖を行きわたらせていたのはあながち間違いと言いきれない。

 今までの仕組みを急に変えることは民の混乱、果ては国に争乱を齎(もたら)すことにもなりかねない。そんなことが起こっては改革を行った勇気ある王ではなく国を潰した無能として歴史へ名を刻むことになるだろう。今までのように子作りに注力すれば良いわけではなく、次世代の王を作るためにどうすれば良いかを考えることが求められる。


「陛下ぁ? 今は考え事するのおやめ下さいませんか?
 クラウディアだけが旅立ってしまいましたわよ?
 まさかこの子のお口へお恵みになったからわたくしには何もなしなんてこと、ございませんよね?」

「う、うむ、そう慌てるな、我にもいろいろあるのだ。
 ほれ行くぞ、ふんふんふんふん! おお、相変わらず吸い付きがいいのう。
 おぬしのこの中は一体どうなっているのだろうか。
 一番奥に唇がついているようなこの感触、不思議な味わいだわ」

「あ、あ、あ、あん、ああ、あ、ああん、う、う、あぅ、あふぅ
 陛下! もっと強くぅ、あふ、おほっ、ああ、あ、ああ、あああ―― あ、あー!!!
 一緒にー! 陛下とおおおぉおぉぉおお!!」

 王が自らを激しく突き動かすと、横になったシャラトワの壺は形を変えるように内部をくねらせ、まるで独立した生き物のようになっていく。赤々と腫れあがった王の先端は、壺の奥にある唇(ポルチオ)を責めたて勢いを増していく。そして最後には白目をむきながら果てた。その瞬間に王も満足げに証を流し込み、二人が繋がった箇所から白いものが溢れ出て来た。

 果ててぐったりしている女の上で一足先に夢を見ていた女は入れ替わるように目を覚まし、自らの口に蓄えたものと同じ王の恵みが零れ落ちてくるところを見て、嬉しそうに口を付けて吸い上げていく。

「ちゅるじゅる、じゅる、ずず、ちゅる、ちゅぅう――」

「あああ、そこ、そこぉおお、んああぁああぁー もう一度!
 陛下あああ! もう一度お情けをぉおおぉおおお!!」

 まだ王の男を咥えこんだままの花弁に新たな刺激を受け蘇った両色好者(バイ・セクシャル)の女は、繰り返しの褒美を所望して叫ぶ。すると王はそれに応え再び腰を走らせ始めた。ベッドのきしみ音が規則正しく続き、女の中から掻きだした悦びが弾けて飛び散る。そこへもう一人の女が口をつけ、どちらのものかもわからず混ざり合ったものと共に王の剣を愛でている。その愛を補充した王は己をますます怒張させ繰り返しの音を立てた。

『ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィッ――』
「あう、んく、あう、んあ、んぐ、ぉほ、おふっ――」

 下になった女は自分だけで満足しようとはせず、目の前に桃の花を咲かせている女を同時に愛でる。それは再び王の慈悲を受けられるようになった悦びを伝えると共に、齎せてくれたことへの恩返しでもあった。とは言え自らは陛下に恵みをいただいているだけでなく、同時にこの若い妃をも味わっているわけで、いくら返そうが一番得しているのはこの中年の両色好者女なのである。

「ちゅぱ、ちゅく、ちろちろちろちろ、ちゅちゅっ、じゅきゅ、ちゅぷ――」
「はっ、はぁ、ああ、はぅわぁ、ああっ、はあぁあ、はっぉあ、あふぅ――」

 最近は共同作業(3P)も慣れたもので、時には交代で、時には共に果て、さらにはどちらも果て無いようにして、なるべく長い時間陛下に慈悲をいただくことも出来るようになっていた。だがそれも間もなく終わる。両色好者の女に指でしこり(Gスポット)を責め立てられ。どうにも我慢できなくなった若妻が生き死にを口にし始めたのだ。

「あああ、もう、む、無理でございます!
 陛下のお情けをおおぉお、お、お、おね、がい申し上げますーうぅう!
 早く! ああ、あああ、もうだめ、ふぎゅぅ、しぬるぅう、ぐうっうぅー!
 ―― んっ んはぁあぃ…… ああああああああ!!!!」

 相変わらず過剰な反応を見せるその肉体は、熟練の側室として長年勤めてきたおかげで大分草臥(くたび)れたシャラトワのものとは全く違って羨ましさを感じる。自分も若い頃には今以上の快感を覚えてきた物だとわかっているからこそ若さを羨むのだろう。だが決定的に違っていることがあった。

『ぷしゃああああああー』

 派手な音を立てて泣き叫ぶのがこの若い母の特徴である。お陰で伽(とぎ)が済んだ後は顔や髪の毛がびしょ濡れになっている。だがその雨を浴びることで終わりを知ることが出来、自分も遠慮なく最後の時を迎えることが出来るのだ。

「あああ、陛下! わたくしもーおおぉうおぉおお!
 奥へ! 奥へとお注ぎくださいませぇえぇえ!! ん、なあ、んああぁぁあああ!
 陛下が! 陛下がああ、熱いぃいいぃ、ひぎぃいい!!!」

「我も今行くぞ! お、おおお! んんお、ん!」

 女二人は痙攣しながら、これこそが満足だとの表情だと誰もが思うであろう顔で気を失っている。王はその剣を抜き、後を引くように流れ出てきた己のなれの果てを目の前に満足気だった。こうして三人だけの会議は終わりを告げ、王は再び片付いていない考え事へと戻っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈 
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

処理中です...