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第六章 二人だけの革命軍
72.血の楼上(バルコニー)
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前回と違い暴れて捕らえられたわけではないからか、今回は鎖でぐるぐる巻きにされることもなく檻の中に入れられただけだ。ここまではまあ想定通りなので打ち合わせ通りに行動を開始しよう。
まずは檻を破壊して牢から出ると、相変わらず看守のいない通路を通って階段を上っていった。流石にエントランスには衛兵が数人立っていたが、身なりのせいか挨拶をしながらあるくと敬礼を返してくれるほど無警戒である。
そのままあっさりと正門の裏までやってくるとさすがにさっき連行され通ったばかりなのを覚えている様子だ。
「もうお帰りになられるのですか?
アーマドリウス子爵様からはなにも言われていないのですが……」
「ええ大丈夫よ、あなた達も別の場所へ行っていいわよ。
これから門を壊すから怪我しないよう離れていてね」
「は? それはどういう――」
門の衛兵が言葉を続ける前に私は扉を素手で殴り飛ばし一撃で破壊した。砕け散った扉が堀へと落ちていく。ちなみに前回砲撃で壊した城壁はすぐに直せなかったのか、今は石造りではなく木造だった。それを再び壊してしまい申し訳ない気もするが仕方ない。
壊した門から表へ出た私は再び演説を始めた。目の前には連行されたときに後をついて来ていた群衆が群がっている。
「たった今、私は牢へ入れられました。
しかしみなさんへ言葉を伝えるためにこうしてここへ戻ってきたのです。
私へ力を分けてください!
剣に負けない言葉の力を信じ後押ししていただきたいのです!」
そう言ってから城へ向かって振り返る。ここでダメ押しだ。
「国王陛下! 顔をお見せください!
なぜ実の兄を殺し裁かれるはずだったハマルカイト皇子へ譲位なさるのですか!
殺人者の王が民を導くことが出来ますでしょうか!
今ここで! 民衆の前でご説明下さいませ!」
しかし当然のように国王が出てくるはずもなく、奥からコノモや他の貴族がやってきた。その中には王の遠縁にあたるプレバディス公爵もいる。彼の家系に譲位するならまだ納得がいくと言うものだ。
「これはこれは、アローフィールズ伯爵、一応お初ですな?」
「プレバディス公爵、お騒がせしております。
私は今回の王位継承を受け入れることが出来ないためここへやってきました。
公爵はご納得しているのでしょうか」
「はっはっは、私には発言権はございませぬよ。
国王の決断をただ受け入れるのみです。
ただ伯爵の言い分もわからないではない。
ここはどうか穏便に済ませてはいただけぬだろうか」
「お気遣い感謝いたします。
しかし私は国王の真意をここでお話しいただくまでは一歩も動きません。
たとえ力ずくで排除しようとしても最後まで抵抗いたします」
背後にはどんどん人が集まってくる。できればこの聴衆の前で国王に話をさせたいところだ。このまま玉座の間まで行って無理やり連れて来てもいいが、それでは武力行使を見せつけることになってしまう。
「趣旨は十分理解しました。
ただ国王も病み上がりの身、あまり無理はさせられませぬ。
少々高いが楼上からでもよろしいだろうか」
「民へ言葉をおかけくださるのであればどこからであろうと差支えございません。
侯爵のお気遣いに感謝いたします」
思わぬ展開だが国王が顔を出すのであれば何でも構わない。私は城門から堀を渡って群衆と共に国王を待つことにした。
ほどなくしてバルコニーに国王が現れた。傍らにはハマルカイトもいる。あの顔を見るだけで吐き気がするくらい腹がたつが今は気にしている場合ではない。
「アローフィールズ伯爵よ、この度の行い覚悟の上と聞いた。
その覚悟に免じてこの度の決定について説明しよう」
「国王陛下、お心遣い感謝いたします。
そして騒動を起こしたこと、お詫び申し上げます」
「全ての民へ問おう。
この国を建てたのは誰か、民を導いてきたのは誰か。
人には生まれながらに役割と言うものがあるのだ。
我々王族は全ての民を従え治め、糧をもたらしている。
この国を統治できるのは王族だけなのだ」
国王の演説に頷いている人たちもいるが、首を横に振っている人もいる。事前に行った私の演説は無駄でなかったようだ。そんな群衆の様子には目もくれず国王は言葉を続けた。
「確かに我が息子ハマルカイトは罪を犯したかもしれん。
だがしかしそれは王族の中でのことであり、力関係を示す戦いでもある。
そこまですることこそが王として民を治める覚悟とも言えよう。
そして約束しよう、その力は決して民に向かって振るわれるものではないと言うことを!」
まさか兄弟の殺し合いを肯定するとは考えてもいなかった。いくら大人しい王国民相手とは言え、これは受け入れがたいのではないだろうか。その証拠に昨日までであればここで大歓声でも起こったのかもしれないが、今は怒号のほうが大きいように感じる。
「国王陛下! 民は王族や貴族に従えられるために産まれてくるのではありません。
一人ひとり同じ権利を持って産まれて来ているのです。
産まれながらの役割などというものはございません!
それに王位継承権を理由にした殺し合いが肯定されることもございません!
なぜ肯定されるものならばタマルライト皇子は国王を助けたのでしょうか。
あの時ハマルカイト皇子の手の者に暗殺されかけた国王のことを!」
「そ、それは……
譲位が済んでいなかったからであろう……」
「しかしタマルライト皇子は継承権第一位でした。
ハマルカイト皇子によって国王が暗殺されればご自身が国王となるはず。
つまり王位欲しさに父親や兄弟を手に掛けるような人ではなかったと言うことに他ありません」
「それは結果論であろう。
過去をさかのぼっても王位継承に血の争いは付き物なのだ!」
「では国のため民のためであれば民に討たれてもよろしいのですね?
私が王族を討てば国は私の物でしょうか。
いいえ、そうであってはなりません。
国と言うものは、民が団結し平等を掲げ、話し合いによって統治されるべきだからです!」
「国と言うものは多くを統一した存在なのだ。
統一すべき王がいなければまとまらず塵と消えることだろう。
貴公の言っていることは絵空事にすぎぬ!」
「その王たるべく存在が身内殺しをするような者でも良いとおっしゃるのですか?
一族の血に穢れたその手で幼子の手を引けるのでしょうか。
慈愛を持って全てを包み込み守っていけるのは民の団結に他なりません」
私の言葉に呼応するように、群衆が大きな歓声を上げた。これこそが民の団結だと言わんばかりの大声にたじろいだのか、国王は思わず衛兵へ向かって合図をする。その合図を受けて衛兵たちは私の前に集結し群衆を威嚇した。
剣と槍が光を放ち背後の群衆が委縮するが、その威嚇を遮るように私は両手を広げ衛兵たちの行く先を遮って声を張り上げた。
「国王陛下! 民を恐怖で縛るのはおやめください!
それは統治ではなく支配ではございませんか!」
「愛だの慈悲だのはまやかしである。
それでは国を護ることはできないと言うのがなぜわからぬ。
兵は恐怖ではなく力の証明であり、王国を護るために誇示することも必要なのだ。
貴公が言う力の否定は民衆を扇動し破滅に導く行為に他ならない」
「民が自ら破滅へ向かうと考えることが思い上がりなのです。
王も民も同じ人間、ならば同じように考えることが出来て当然とは考えられませんか?
この際、政を民に委ね、民による国家樹立をお考えください!
血塗られた我が子を王とするのは富と権力にしがみつく愚行でございます!!」
「ぐ、愚行とは無礼な!
王国は王族の物なのだ! 後を継ぐのは王族でなければならぬのだ!
すべての民は王に分け与えられる富で生きるものなのだぞ!」
国王がそう言うと、群衆がいっそう声を張り上げて叫び始めた。何を言っているのか聞き取れるような統率されたものではなく、怒号というほかない怒りの声だ。
その時突然、国王がバルコニーの手すりへもたれかかった。
「父上! いかがなされた!
おい、具合が芳しくないようだ、奥へお連れしろ」
ハマルカイトが慌てた様子で国王へ肩を貸している。長丁場の言論合戦に疲れてしまったのかもしれない。体調を心配しながら国王が引き上げるところを見ていたが、その背中に赤いものが広がっていることに気が付き、私は背筋が凍るような思いを感じたのだった。
まずは檻を破壊して牢から出ると、相変わらず看守のいない通路を通って階段を上っていった。流石にエントランスには衛兵が数人立っていたが、身なりのせいか挨拶をしながらあるくと敬礼を返してくれるほど無警戒である。
そのままあっさりと正門の裏までやってくるとさすがにさっき連行され通ったばかりなのを覚えている様子だ。
「もうお帰りになられるのですか?
アーマドリウス子爵様からはなにも言われていないのですが……」
「ええ大丈夫よ、あなた達も別の場所へ行っていいわよ。
これから門を壊すから怪我しないよう離れていてね」
「は? それはどういう――」
門の衛兵が言葉を続ける前に私は扉を素手で殴り飛ばし一撃で破壊した。砕け散った扉が堀へと落ちていく。ちなみに前回砲撃で壊した城壁はすぐに直せなかったのか、今は石造りではなく木造だった。それを再び壊してしまい申し訳ない気もするが仕方ない。
壊した門から表へ出た私は再び演説を始めた。目の前には連行されたときに後をついて来ていた群衆が群がっている。
「たった今、私は牢へ入れられました。
しかしみなさんへ言葉を伝えるためにこうしてここへ戻ってきたのです。
私へ力を分けてください!
剣に負けない言葉の力を信じ後押ししていただきたいのです!」
そう言ってから城へ向かって振り返る。ここでダメ押しだ。
「国王陛下! 顔をお見せください!
なぜ実の兄を殺し裁かれるはずだったハマルカイト皇子へ譲位なさるのですか!
殺人者の王が民を導くことが出来ますでしょうか!
今ここで! 民衆の前でご説明下さいませ!」
しかし当然のように国王が出てくるはずもなく、奥からコノモや他の貴族がやってきた。その中には王の遠縁にあたるプレバディス公爵もいる。彼の家系に譲位するならまだ納得がいくと言うものだ。
「これはこれは、アローフィールズ伯爵、一応お初ですな?」
「プレバディス公爵、お騒がせしております。
私は今回の王位継承を受け入れることが出来ないためここへやってきました。
公爵はご納得しているのでしょうか」
「はっはっは、私には発言権はございませぬよ。
国王の決断をただ受け入れるのみです。
ただ伯爵の言い分もわからないではない。
ここはどうか穏便に済ませてはいただけぬだろうか」
「お気遣い感謝いたします。
しかし私は国王の真意をここでお話しいただくまでは一歩も動きません。
たとえ力ずくで排除しようとしても最後まで抵抗いたします」
背後にはどんどん人が集まってくる。できればこの聴衆の前で国王に話をさせたいところだ。このまま玉座の間まで行って無理やり連れて来てもいいが、それでは武力行使を見せつけることになってしまう。
「趣旨は十分理解しました。
ただ国王も病み上がりの身、あまり無理はさせられませぬ。
少々高いが楼上からでもよろしいだろうか」
「民へ言葉をおかけくださるのであればどこからであろうと差支えございません。
侯爵のお気遣いに感謝いたします」
思わぬ展開だが国王が顔を出すのであれば何でも構わない。私は城門から堀を渡って群衆と共に国王を待つことにした。
ほどなくしてバルコニーに国王が現れた。傍らにはハマルカイトもいる。あの顔を見るだけで吐き気がするくらい腹がたつが今は気にしている場合ではない。
「アローフィールズ伯爵よ、この度の行い覚悟の上と聞いた。
その覚悟に免じてこの度の決定について説明しよう」
「国王陛下、お心遣い感謝いたします。
そして騒動を起こしたこと、お詫び申し上げます」
「全ての民へ問おう。
この国を建てたのは誰か、民を導いてきたのは誰か。
人には生まれながらに役割と言うものがあるのだ。
我々王族は全ての民を従え治め、糧をもたらしている。
この国を統治できるのは王族だけなのだ」
国王の演説に頷いている人たちもいるが、首を横に振っている人もいる。事前に行った私の演説は無駄でなかったようだ。そんな群衆の様子には目もくれず国王は言葉を続けた。
「確かに我が息子ハマルカイトは罪を犯したかもしれん。
だがしかしそれは王族の中でのことであり、力関係を示す戦いでもある。
そこまですることこそが王として民を治める覚悟とも言えよう。
そして約束しよう、その力は決して民に向かって振るわれるものではないと言うことを!」
まさか兄弟の殺し合いを肯定するとは考えてもいなかった。いくら大人しい王国民相手とは言え、これは受け入れがたいのではないだろうか。その証拠に昨日までであればここで大歓声でも起こったのかもしれないが、今は怒号のほうが大きいように感じる。
「国王陛下! 民は王族や貴族に従えられるために産まれてくるのではありません。
一人ひとり同じ権利を持って産まれて来ているのです。
産まれながらの役割などというものはございません!
それに王位継承権を理由にした殺し合いが肯定されることもございません!
なぜ肯定されるものならばタマルライト皇子は国王を助けたのでしょうか。
あの時ハマルカイト皇子の手の者に暗殺されかけた国王のことを!」
「そ、それは……
譲位が済んでいなかったからであろう……」
「しかしタマルライト皇子は継承権第一位でした。
ハマルカイト皇子によって国王が暗殺されればご自身が国王となるはず。
つまり王位欲しさに父親や兄弟を手に掛けるような人ではなかったと言うことに他ありません」
「それは結果論であろう。
過去をさかのぼっても王位継承に血の争いは付き物なのだ!」
「では国のため民のためであれば民に討たれてもよろしいのですね?
私が王族を討てば国は私の物でしょうか。
いいえ、そうであってはなりません。
国と言うものは、民が団結し平等を掲げ、話し合いによって統治されるべきだからです!」
「国と言うものは多くを統一した存在なのだ。
統一すべき王がいなければまとまらず塵と消えることだろう。
貴公の言っていることは絵空事にすぎぬ!」
「その王たるべく存在が身内殺しをするような者でも良いとおっしゃるのですか?
一族の血に穢れたその手で幼子の手を引けるのでしょうか。
慈愛を持って全てを包み込み守っていけるのは民の団結に他なりません」
私の言葉に呼応するように、群衆が大きな歓声を上げた。これこそが民の団結だと言わんばかりの大声にたじろいだのか、国王は思わず衛兵へ向かって合図をする。その合図を受けて衛兵たちは私の前に集結し群衆を威嚇した。
剣と槍が光を放ち背後の群衆が委縮するが、その威嚇を遮るように私は両手を広げ衛兵たちの行く先を遮って声を張り上げた。
「国王陛下! 民を恐怖で縛るのはおやめください!
それは統治ではなく支配ではございませんか!」
「愛だの慈悲だのはまやかしである。
それでは国を護ることはできないと言うのがなぜわからぬ。
兵は恐怖ではなく力の証明であり、王国を護るために誇示することも必要なのだ。
貴公が言う力の否定は民衆を扇動し破滅に導く行為に他ならない」
「民が自ら破滅へ向かうと考えることが思い上がりなのです。
王も民も同じ人間、ならば同じように考えることが出来て当然とは考えられませんか?
この際、政を民に委ね、民による国家樹立をお考えください!
血塗られた我が子を王とするのは富と権力にしがみつく愚行でございます!!」
「ぐ、愚行とは無礼な!
王国は王族の物なのだ! 後を継ぐのは王族でなければならぬのだ!
すべての民は王に分け与えられる富で生きるものなのだぞ!」
国王がそう言うと、群衆がいっそう声を張り上げて叫び始めた。何を言っているのか聞き取れるような統率されたものではなく、怒号というほかない怒りの声だ。
その時突然、国王がバルコニーの手すりへもたれかかった。
「父上! いかがなされた!
おい、具合が芳しくないようだ、奥へお連れしろ」
ハマルカイトが慌てた様子で国王へ肩を貸している。長丁場の言論合戦に疲れてしまったのかもしれない。体調を心配しながら国王が引き上げるところを見ていたが、その背中に赤いものが広がっていることに気が付き、私は背筋が凍るような思いを感じたのだった。
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