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第五章 戦いの日々
56.続く暗殺劇
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翌日の昼ごろグランが追加で送り込んだ密偵が戻ってきた。城では一晩中大騒ぎだったらしい。結局賊は見つからずあれこれと噂話が広がっている。その中には私が犯人だと言うものも交じっているようだったが、やはり王位争いによるものという見方が圧倒的に多く、王都ではその話で持ちきりとのことだ。
その王都での噂を止めるためなのか今日になって外出制限令が出された。戒厳令ほど厳格ではないが外出は必要最小限にとどめよとのお触れである。
街には兵士が総出で見回りを行っていて雰囲気が悪く、食料の買い出しをするだけでも緊張してしまうほどだった。
「ただいま、街中は気楽に歩ける状況じゃないわね。
店で話し込もうものならすぐに兵士がやってくる始末よ。
さっきも雑談していただけの人たちが数人連れて行かれたのよ?」
「まるで戦時中みたいな厳しさだな。
軍隊に全権持たせているなら戒厳令と大差ないだろうに。
指揮を取っているのは第四皇子だろうが王国軍を自由に動かせるような立場なのかね」
「どうかしら、でも王国軍を統括している騎士団長が反乱することはないんじゃない?
そんな忠誠心の低い人を頭に据えないと思うわ」
「いや、わからんぜ?
もしかしたら第六皇子や第七皇子派閥かもしれねえ」
「それなら前回うちにトーラス軍が侵攻してきた時に王国軍も参加してるでしょ。
少なくともハマルカイトが自由に動かせるわけではなさそう。
でもこれから何が起こるかわからないから油断はできないわね。
もし国王暗殺がハマルカイトの仕業だとしたら次はタマルライト第四皇子を狙うはず」
「そうだなゴーメイト皇子は辺境で何も知らずってとこだし後回しだろう。
ハマルカイトとトーラスが王国軍を動かせないならチャンスかもしれねえな。
もしやつらが王都へ進軍した時には反乱軍扱いだろ?
それを討ち取るという名目なら大義を持って動けるはずだ」
「でもそのためにはタマルライト殿下へ繋ぎをつけておかなければいけないわ。
国が割れるような戦になった際、どちらへ味方するのか表明しておかないとね。
何とか王城へ入れないかしら」
私がそう言うとグランからは思ってもみない答えが返ってきた。
「城なら余裕で入れるぜ。
今、城のほとんどはもぬけの殻だ。
タマルライト皇子は玉座の間と周辺数部屋のみをガッチリ警護させてるのさ。
だから門兵もいないし警護されている近くまではすんなり行かれるよ」
「じゃあそこまで行って謁見を申し出れば平気かしら。
身分が怪しいわけじゃないのだし入れてくれそうね」
「試してみる価値はあるかもしれねえな。
ルモンド殿、閣下と一緒に行っていただけますか?
俺はここで諜報の取りまとめをしなきゃならねえんで」
「もちろんです。
このルモンド、姫様のためなら檻の中まででもご一緒しますよ」
「檻の中はもうこりごり、目指すは玉座の間よ。
何かあった時のために連絡係が一人くらい欲しいわね」
「では私が同行しようかしら。
こう見えても挿入、じゃなかった、潜入は得意なのよ?」
わが軍勢には似つかわない女性の声がしてそちらへ振り返ると、そこにはグレイズが立っていた。いつの間に城から出てここへ合流したのだろう。昨日から何度もグランのところへ報告に来る人はいるけどグレイズの姿は見ていなかった。
「あなた城の中にいたんじゃないの?
いつの間にやってきていたの?」
「ついさっき伯爵の横を通ったわよ。
着ていた服は違いますけどね」
「じゃあさっきの兵士があなた!?
はあ、綺麗なだけじゃなくて変装も上手なのねえ
全く気が付かなかったわ」
「あら嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
お礼にキスしてあげるわ」
グレイズはそう言いながら私に抱きついて来て唇を寄せてくる。いくらなんでもこれはやり過ぎだと無理やり引きはがす。この人には隙を見せたらまずそうだ。
「では行きましょうか。
それはちゃんとしまっておいてね」
それとはなんだろうかと思ったが、いつの間に自分の手に何かが握らされている。それは二枚貝のような容器だった。
「これはなに? 何かの役に立つのかしら?」
「それは傷薬よ。
異国産で良く効くからきっと役に立つわ」
「傷を負うようなことはしないつもりだけどありがたく受け取っておくわ。
では今度こそ行くわよ」
こうして私たちは正面から堂々と城の中へ入っていった。確かに門兵はおらず途中までは完全に無人である。三階へ上がるとようやく人影が見えたが、メイドがお茶を運んでいるだけだった。
「ねえあなた、タマルライト殿下のところへ行くのかしら?
私も今からお会いしに行くのだけどご一緒していいかしら」
「は、はい…… あの、どちらのご貴族様でしょうか。
玉座の間にいらっしゃるのでしたらお茶を追加しなければなりません」
「私の名はレン・ポポ・アローフィールズよ。
長居はしないからお茶はいらないわ。
さあ、殿下のお茶が冷めてしまうから早くいきましょ」
メイドの後について行き、玉座の間の扉までやってくるとさすがにここは素通りさせてもらえないようだ。だが身分を名乗ると衛兵の一人が中へ確認に行き、その後入室が許されてホッとした。
「アローフィールズ殿か、何しに来られたのだ。
今は非常時ゆえ表を出歩かぬよう触れを出しているはずだが?」
どうにも機嫌が悪そうでとても歓迎されているとは言い難い。それでも中へ入れてくれたのだから話くらい聞いてくれるつもりはあるのだろう。
「タマルライト殿下、国王様の件、心中お察しいたします。
犯人はやはりトーラス卿の手の者でしょうか。
それとも殿下の――」
「しっ、誰に聞かれているかもわからぬ。
滅多なことは口にしないことだ。
貴公も策にはまっていたではないか」
「では今のところは犯人不明と言うことなのですね?
逆賊はなんとか捕らえて処罰しなければなりません。
出来るだけご協力いたしますので何なりとお申し付けください」
「それはありがたい、まあ座ってくれ」
会話が途切れたところでメイドがタマルライト皇子の前へティーカップを置いた。するとその時グレイズがメイドの手を掴んだではないか。いったい何をするつもりだろうか。
「ねえあなた、このお茶飲んで下さらない?
私、どうしてもカップの中身が気になるのよねえ」
「どうしたと言うのだ、貴公の付き人は随分と図々しい女だな。
このメイドは城に長く使えておる者だ。
まさか毒を盛るはずもなかろう」
グレイズはなにか確信めいたものを持っているようだ。その表情は真剣で決してふざけたり場を争うとしているわけではないと一目でわかる。
「殿下、私からもお願いいたします。
このお茶をメイドに飲むようご命令ください」
「まあたかがお茶だからな。
飲まれてしまったらまた淹れなおしてもらえば済むことだ。
よし、そなたこれを飲んでみよ」
するとメイドはグレイズの手を振りはらい扉へ向かって走り出した。しかしそこをすかさずルモンドが制止し床へ押し付けて取り押さえた。
「はなせ! 私は何も知らない!」
「このメイド、随分と剣ダコがございますなあ。
かなり鍛えているようですぞ?」
「それではやっぱり?
グレイズったらよく気が付いたわね、お手柄よ」
「廊下を歩いているときに足音を立てないよう歩いていたからおかしいと思ったのよ。
身のこなしも柔らかだし、これは密偵の疑いありってね」
なるほど、同じ密偵だからなのか見るべきポイントが一般人とは違うのだろう。おかげでタマルライト皇子へ恩を売ることが出来た。これならなんなく取り入ることが出来る、私はそう考え心の中でガッツポーズをしていた。
その王都での噂を止めるためなのか今日になって外出制限令が出された。戒厳令ほど厳格ではないが外出は必要最小限にとどめよとのお触れである。
街には兵士が総出で見回りを行っていて雰囲気が悪く、食料の買い出しをするだけでも緊張してしまうほどだった。
「ただいま、街中は気楽に歩ける状況じゃないわね。
店で話し込もうものならすぐに兵士がやってくる始末よ。
さっきも雑談していただけの人たちが数人連れて行かれたのよ?」
「まるで戦時中みたいな厳しさだな。
軍隊に全権持たせているなら戒厳令と大差ないだろうに。
指揮を取っているのは第四皇子だろうが王国軍を自由に動かせるような立場なのかね」
「どうかしら、でも王国軍を統括している騎士団長が反乱することはないんじゃない?
そんな忠誠心の低い人を頭に据えないと思うわ」
「いや、わからんぜ?
もしかしたら第六皇子や第七皇子派閥かもしれねえ」
「それなら前回うちにトーラス軍が侵攻してきた時に王国軍も参加してるでしょ。
少なくともハマルカイトが自由に動かせるわけではなさそう。
でもこれから何が起こるかわからないから油断はできないわね。
もし国王暗殺がハマルカイトの仕業だとしたら次はタマルライト第四皇子を狙うはず」
「そうだなゴーメイト皇子は辺境で何も知らずってとこだし後回しだろう。
ハマルカイトとトーラスが王国軍を動かせないならチャンスかもしれねえな。
もしやつらが王都へ進軍した時には反乱軍扱いだろ?
それを討ち取るという名目なら大義を持って動けるはずだ」
「でもそのためにはタマルライト殿下へ繋ぎをつけておかなければいけないわ。
国が割れるような戦になった際、どちらへ味方するのか表明しておかないとね。
何とか王城へ入れないかしら」
私がそう言うとグランからは思ってもみない答えが返ってきた。
「城なら余裕で入れるぜ。
今、城のほとんどはもぬけの殻だ。
タマルライト皇子は玉座の間と周辺数部屋のみをガッチリ警護させてるのさ。
だから門兵もいないし警護されている近くまではすんなり行かれるよ」
「じゃあそこまで行って謁見を申し出れば平気かしら。
身分が怪しいわけじゃないのだし入れてくれそうね」
「試してみる価値はあるかもしれねえな。
ルモンド殿、閣下と一緒に行っていただけますか?
俺はここで諜報の取りまとめをしなきゃならねえんで」
「もちろんです。
このルモンド、姫様のためなら檻の中まででもご一緒しますよ」
「檻の中はもうこりごり、目指すは玉座の間よ。
何かあった時のために連絡係が一人くらい欲しいわね」
「では私が同行しようかしら。
こう見えても挿入、じゃなかった、潜入は得意なのよ?」
わが軍勢には似つかわない女性の声がしてそちらへ振り返ると、そこにはグレイズが立っていた。いつの間に城から出てここへ合流したのだろう。昨日から何度もグランのところへ報告に来る人はいるけどグレイズの姿は見ていなかった。
「あなた城の中にいたんじゃないの?
いつの間にやってきていたの?」
「ついさっき伯爵の横を通ったわよ。
着ていた服は違いますけどね」
「じゃあさっきの兵士があなた!?
はあ、綺麗なだけじゃなくて変装も上手なのねえ
全く気が付かなかったわ」
「あら嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
お礼にキスしてあげるわ」
グレイズはそう言いながら私に抱きついて来て唇を寄せてくる。いくらなんでもこれはやり過ぎだと無理やり引きはがす。この人には隙を見せたらまずそうだ。
「では行きましょうか。
それはちゃんとしまっておいてね」
それとはなんだろうかと思ったが、いつの間に自分の手に何かが握らされている。それは二枚貝のような容器だった。
「これはなに? 何かの役に立つのかしら?」
「それは傷薬よ。
異国産で良く効くからきっと役に立つわ」
「傷を負うようなことはしないつもりだけどありがたく受け取っておくわ。
では今度こそ行くわよ」
こうして私たちは正面から堂々と城の中へ入っていった。確かに門兵はおらず途中までは完全に無人である。三階へ上がるとようやく人影が見えたが、メイドがお茶を運んでいるだけだった。
「ねえあなた、タマルライト殿下のところへ行くのかしら?
私も今からお会いしに行くのだけどご一緒していいかしら」
「は、はい…… あの、どちらのご貴族様でしょうか。
玉座の間にいらっしゃるのでしたらお茶を追加しなければなりません」
「私の名はレン・ポポ・アローフィールズよ。
長居はしないからお茶はいらないわ。
さあ、殿下のお茶が冷めてしまうから早くいきましょ」
メイドの後について行き、玉座の間の扉までやってくるとさすがにここは素通りさせてもらえないようだ。だが身分を名乗ると衛兵の一人が中へ確認に行き、その後入室が許されてホッとした。
「アローフィールズ殿か、何しに来られたのだ。
今は非常時ゆえ表を出歩かぬよう触れを出しているはずだが?」
どうにも機嫌が悪そうでとても歓迎されているとは言い難い。それでも中へ入れてくれたのだから話くらい聞いてくれるつもりはあるのだろう。
「タマルライト殿下、国王様の件、心中お察しいたします。
犯人はやはりトーラス卿の手の者でしょうか。
それとも殿下の――」
「しっ、誰に聞かれているかもわからぬ。
滅多なことは口にしないことだ。
貴公も策にはまっていたではないか」
「では今のところは犯人不明と言うことなのですね?
逆賊はなんとか捕らえて処罰しなければなりません。
出来るだけご協力いたしますので何なりとお申し付けください」
「それはありがたい、まあ座ってくれ」
会話が途切れたところでメイドがタマルライト皇子の前へティーカップを置いた。するとその時グレイズがメイドの手を掴んだではないか。いったい何をするつもりだろうか。
「ねえあなた、このお茶飲んで下さらない?
私、どうしてもカップの中身が気になるのよねえ」
「どうしたと言うのだ、貴公の付き人は随分と図々しい女だな。
このメイドは城に長く使えておる者だ。
まさか毒を盛るはずもなかろう」
グレイズはなにか確信めいたものを持っているようだ。その表情は真剣で決してふざけたり場を争うとしているわけではないと一目でわかる。
「殿下、私からもお願いいたします。
このお茶をメイドに飲むようご命令ください」
「まあたかがお茶だからな。
飲まれてしまったらまた淹れなおしてもらえば済むことだ。
よし、そなたこれを飲んでみよ」
するとメイドはグレイズの手を振りはらい扉へ向かって走り出した。しかしそこをすかさずルモンドが制止し床へ押し付けて取り押さえた。
「はなせ! 私は何も知らない!」
「このメイド、随分と剣ダコがございますなあ。
かなり鍛えているようですぞ?」
「それではやっぱり?
グレイズったらよく気が付いたわね、お手柄よ」
「廊下を歩いているときに足音を立てないよう歩いていたからおかしいと思ったのよ。
身のこなしも柔らかだし、これは密偵の疑いありってね」
なるほど、同じ密偵だからなのか見るべきポイントが一般人とは違うのだろう。おかげでタマルライト皇子へ恩を売ることが出来た。これならなんなく取り入ることが出来る、私はそう考え心の中でガッツポーズをしていた。
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