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第五章 戦いの日々
50.準備万全
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ダグラスが仲間に加わってから数日後、いよいよトーラス卿に動きがあった。予想通りこちらの要望である鉱山の引き渡しには応じないどころか反乱の疑いありと告発すると通告してきた。
「まったく仕方ないわねえ。
どちらが優位にあるか思い知らせてあげるわ。
早馬を用意して! 貴族会合召集要請をするわよ」
「しかし姫様、会合は最終的に多数決で決まるのですぞ?
トーラス卿が王族や他の貴族に根回ししていたらこちらが不利でございます。
まずは他に打つ手を考えましょう」
「うーん、カメル卿はこちらについてくれるはずでしょ?
それにアーマドリウス家とモンドモル家はトーラス家と仲が悪いわ。
御三家のうち二つが味方なら何とかなるんじゃないかしら。
筆頭貴族のエラソ公爵はちょっとわからないわね」
「まあ落ち着けよ。
ルモンド殿の言うことはもっともだ。
もしその場で何かあってもここから派兵するのにかなり時間がかかる。
対するトーラス卿は王領隣接だからな」
「じゃあこちらも連れて行けばいいじゃない。
いざとなったら王都決戦と行きましょ」
「そんなことしたらそれこそ反乱もいいとこだぜ?
せめて王位が狙われていることを伝えられればいいんだが……」
「じゃあこんなのはどう?
トーラス卿の娘を攫っておくのよ。
そうすればむやみに手出しできなくなるわ」
「姫様! めったなことを口にする物ではありませぬ。
いや、待って下さい? 保護と言う名目で来ていただき、王都へお連れするなら……」
「よし決まったわね、それで行きましょう。
グランは迎えの馬車を用意して! 人選は任せるわ。
顔を知っているのはダグラスだけだから一緒に行ってちょうだい」
「畏まりました。
すぐに追いつくよう急いで行ってまいります」
「ルモンドはカメル卿へ親書を持って説明してきて。
返答次第では駐留している兵を引き上げて来てもいいわ。
二人ともトーラス領へ向かう軍勢も準備しておいてね」
「御意、出発はいつ頃のつもりだだ?
もうすぐアレが完成する予定なんだが二日くらいあれば間に合うかもしれねえ」
「ダグラスが行って帰ってくるのに三日でしょ?
出発は四日後ってところかしら。
警備兵は村の警備として全員置いていきましょ。
王都まで行くのは騎士団だけでいいわ」
絵図は描けた。あとは行動するだけだ。なんと言ってもこちらにの最終手段には隣国の領主へ向けたトーラス卿の親書がある。会議の場でこれを出せば失脚間違いなしだろう。あの性悪貴族め、私を貶めようとしたことを後悔させてやる。
ルモンドはカメル領へ、ダグラスたちは隣国へ、そしてグランは湖の集落へ向かいそれぞれが準備を始める。私はといえばみんなを見送った後は特にやることもないのでお茶を飲んでくつろいでいた。
そして数日が経ち思惑通りに事はすす―― まなかった。なんとも予想外の報告があったのだ。
「じゃあ留学先にはすでにいなかったのね。
今年いっぱいは通うはずなのに退学したなんておかしいわ」
「はい、しかし間違いなくトーラス卿より迎えが来て自国へ帰ったとのこと。
半年以上前のことなのでこちらの出方を事前に察知したわけではないようです」
「そうなると人質作戦は使えないわね。
あとは親書の暴露だけどこの手段は最後まで取っておきたかったわ。
ああ、考えるのも面倒ね」
私が次の言葉を発する前になにかを察知したグランが口を挟んできた。
「だからって勝手に攻め込んでいくのは止めてくれよ?
大丈夫だとわかっていても一応心配はするんだぜ?
まあカメル卿の代わりに出席するダリルは間違いなく味方だ。
あとはトーラス卿憎しで三名ほどこちらの肩を持ってくれれば問題ねえさ」
「あとはバカ皇子のバカ兄たちがどう出るかよね。
自分たちが狙われてるとは考えてないでしょうからトーラス卿につくかもしれないわ。
そうなるとアーマドリウス、モンドモルがついてくれて同数か。
残りのエラソ家とホウライ家にラギリ家がどちらに着くかだわ」
「今のところ返事はないが、第六皇子のゴーメイト殿下はこちら側かもしれん。
調査によるとどうもハマルカイト殿下とは仲が悪いようだ。
辺境へ送られたことで王位継承から外されたと考えてるみてえだな」
「それもおかしな話よね。
ハマルはまだ学園へ通っているのだから王都にいて当たり前よ?
自分だって通ってたんだから恨むのは筋違いじゃないの」
「じゃあ意図的に流した虚偽の噂だと?
そこまで念入りに何かできるようなら王に相応しいかもしれんな」
「それもそうね、あの人たちがそこまで賢いとは思えない。
問題はトーラス卿の娘がいなかったことがどう影響するかね。
急に連れ戻すなんていったいどうしたのかしら」
「まあいなかったのをいつまでも考えてたって仕方ねえ。
明日は早朝に出発だ、早めに寝ておけよ」
「あなた達も深酒しないようにね。
人生最後のお酒じゃないんだから帰ってきてから浴びるほど飲ませてあげるわよ。
きっとトーラス卿の屋敷にはいいお酒がたんまりあるでしょうから。
ねえダグラス?」
「はい、我らには一口たりとも飲ませて下さらなかった高級酒が!
いやあ楽しみですな、留守番なのが残念でなりません」
「しょうがないじゃない、対外的には行方不明ってことになってるんだもの。
トーラス卿失脚の後にちゃんと騎士の身分を付けてあげるわ」
ダグラスがお辞儀をしながら礼を言う。酔っていない時の彼はとても紳士的で礼儀正しい。いつも私に向かって遠慮なく暴言をまき散らすグランにも少しは見習ってほしいものだ。
翌朝まだ空が白いうちに私たちは屋敷の裏手に整列していた。いよいよ王都へ向かうのだが、この時のために屋敷の裏から山の下まで山道を作っておいたのだ。少し下ったところに鉱山が有り砦を兼ねているので防衛も万全である。
「ではみんなそろそろ出発するわよ!
誰かを傷つけるためではなく、私たちの名誉のために進むの!
だからむやみに争いごとを起こさないようにね。
それと――」
「「「命は大事に!」」」
「分かっているならよろしい。
ではまずは砦まで! 全軍出発進行!」
「「「おおおう!!」」」
全軍と言っても抱えている騎士団は小規模なものなので総勢七十名ほどだ。右翼はグランを先頭にデコール、ボッコ、そして新たに騎士へ任命したカウロスの三名がキリッとした顔で続く。左翼はルモンドを先頭にコーネル、グラシアの二部隊が続いた。
「ねえ、私まだ見てないんだけどうまくできたの?
あんなもん作るなんて、ってディックスがぼやいていたわ」
「ああアレか? バッチリだ。
試しに動かした時はすげえ迫力でカッコよかったぞ。
それにお前用の武器も作らせておいたから楽しみにな」
「出番がないことを祈っているわ。
この間は丸太で殴った人たちのこと考えたら夢見が悪かったもの」
「まあでもあちらさんはやる気だろうからな。
嫌ならずっと後ろにいてもいいんだぞ?
本来戦うのは俺たちの仕事だからな」
「でもこの間みたいに二千人相手だったら無理でしょ。
また逃げ出してくれるとありがたいのだけどね」
「あんなの見て逃げ出さねえ奴はどうかしてるよ。
あんな太てえ丸太振り回す子供を見たら俺だって逃げるに違いねえぜ」
「まあ失礼しちゃうわ。
たまにはカワイイとかキレイとか褒めてくれたっていいじゃないの」
「カワイくてキレイになったらな。
今のお前はいたずらっ子みてえな顔してるよ」
「もうグランったらクラリスみたいなこと言わないでよ!」
そう言って平手でたたくようなしぐさをすると、グランはふざけて叩かれたふりをしたのだが、勢い余って馬から落ちそうになっていた。まったく緊張感がないったらありゃしない。
そうこうしているうちに私たちは鉱山の砦へと到着した。そして目の前にある『アレ』を見てポカンと大口を開けてしまうのだった。
「まったく仕方ないわねえ。
どちらが優位にあるか思い知らせてあげるわ。
早馬を用意して! 貴族会合召集要請をするわよ」
「しかし姫様、会合は最終的に多数決で決まるのですぞ?
トーラス卿が王族や他の貴族に根回ししていたらこちらが不利でございます。
まずは他に打つ手を考えましょう」
「うーん、カメル卿はこちらについてくれるはずでしょ?
それにアーマドリウス家とモンドモル家はトーラス家と仲が悪いわ。
御三家のうち二つが味方なら何とかなるんじゃないかしら。
筆頭貴族のエラソ公爵はちょっとわからないわね」
「まあ落ち着けよ。
ルモンド殿の言うことはもっともだ。
もしその場で何かあってもここから派兵するのにかなり時間がかかる。
対するトーラス卿は王領隣接だからな」
「じゃあこちらも連れて行けばいいじゃない。
いざとなったら王都決戦と行きましょ」
「そんなことしたらそれこそ反乱もいいとこだぜ?
せめて王位が狙われていることを伝えられればいいんだが……」
「じゃあこんなのはどう?
トーラス卿の娘を攫っておくのよ。
そうすればむやみに手出しできなくなるわ」
「姫様! めったなことを口にする物ではありませぬ。
いや、待って下さい? 保護と言う名目で来ていただき、王都へお連れするなら……」
「よし決まったわね、それで行きましょう。
グランは迎えの馬車を用意して! 人選は任せるわ。
顔を知っているのはダグラスだけだから一緒に行ってちょうだい」
「畏まりました。
すぐに追いつくよう急いで行ってまいります」
「ルモンドはカメル卿へ親書を持って説明してきて。
返答次第では駐留している兵を引き上げて来てもいいわ。
二人ともトーラス領へ向かう軍勢も準備しておいてね」
「御意、出発はいつ頃のつもりだだ?
もうすぐアレが完成する予定なんだが二日くらいあれば間に合うかもしれねえ」
「ダグラスが行って帰ってくるのに三日でしょ?
出発は四日後ってところかしら。
警備兵は村の警備として全員置いていきましょ。
王都まで行くのは騎士団だけでいいわ」
絵図は描けた。あとは行動するだけだ。なんと言ってもこちらにの最終手段には隣国の領主へ向けたトーラス卿の親書がある。会議の場でこれを出せば失脚間違いなしだろう。あの性悪貴族め、私を貶めようとしたことを後悔させてやる。
ルモンドはカメル領へ、ダグラスたちは隣国へ、そしてグランは湖の集落へ向かいそれぞれが準備を始める。私はといえばみんなを見送った後は特にやることもないのでお茶を飲んでくつろいでいた。
そして数日が経ち思惑通りに事はすす―― まなかった。なんとも予想外の報告があったのだ。
「じゃあ留学先にはすでにいなかったのね。
今年いっぱいは通うはずなのに退学したなんておかしいわ」
「はい、しかし間違いなくトーラス卿より迎えが来て自国へ帰ったとのこと。
半年以上前のことなのでこちらの出方を事前に察知したわけではないようです」
「そうなると人質作戦は使えないわね。
あとは親書の暴露だけどこの手段は最後まで取っておきたかったわ。
ああ、考えるのも面倒ね」
私が次の言葉を発する前になにかを察知したグランが口を挟んできた。
「だからって勝手に攻め込んでいくのは止めてくれよ?
大丈夫だとわかっていても一応心配はするんだぜ?
まあカメル卿の代わりに出席するダリルは間違いなく味方だ。
あとはトーラス卿憎しで三名ほどこちらの肩を持ってくれれば問題ねえさ」
「あとはバカ皇子のバカ兄たちがどう出るかよね。
自分たちが狙われてるとは考えてないでしょうからトーラス卿につくかもしれないわ。
そうなるとアーマドリウス、モンドモルがついてくれて同数か。
残りのエラソ家とホウライ家にラギリ家がどちらに着くかだわ」
「今のところ返事はないが、第六皇子のゴーメイト殿下はこちら側かもしれん。
調査によるとどうもハマルカイト殿下とは仲が悪いようだ。
辺境へ送られたことで王位継承から外されたと考えてるみてえだな」
「それもおかしな話よね。
ハマルはまだ学園へ通っているのだから王都にいて当たり前よ?
自分だって通ってたんだから恨むのは筋違いじゃないの」
「じゃあ意図的に流した虚偽の噂だと?
そこまで念入りに何かできるようなら王に相応しいかもしれんな」
「それもそうね、あの人たちがそこまで賢いとは思えない。
問題はトーラス卿の娘がいなかったことがどう影響するかね。
急に連れ戻すなんていったいどうしたのかしら」
「まあいなかったのをいつまでも考えてたって仕方ねえ。
明日は早朝に出発だ、早めに寝ておけよ」
「あなた達も深酒しないようにね。
人生最後のお酒じゃないんだから帰ってきてから浴びるほど飲ませてあげるわよ。
きっとトーラス卿の屋敷にはいいお酒がたんまりあるでしょうから。
ねえダグラス?」
「はい、我らには一口たりとも飲ませて下さらなかった高級酒が!
いやあ楽しみですな、留守番なのが残念でなりません」
「しょうがないじゃない、対外的には行方不明ってことになってるんだもの。
トーラス卿失脚の後にちゃんと騎士の身分を付けてあげるわ」
ダグラスがお辞儀をしながら礼を言う。酔っていない時の彼はとても紳士的で礼儀正しい。いつも私に向かって遠慮なく暴言をまき散らすグランにも少しは見習ってほしいものだ。
翌朝まだ空が白いうちに私たちは屋敷の裏手に整列していた。いよいよ王都へ向かうのだが、この時のために屋敷の裏から山の下まで山道を作っておいたのだ。少し下ったところに鉱山が有り砦を兼ねているので防衛も万全である。
「ではみんなそろそろ出発するわよ!
誰かを傷つけるためではなく、私たちの名誉のために進むの!
だからむやみに争いごとを起こさないようにね。
それと――」
「「「命は大事に!」」」
「分かっているならよろしい。
ではまずは砦まで! 全軍出発進行!」
「「「おおおう!!」」」
全軍と言っても抱えている騎士団は小規模なものなので総勢七十名ほどだ。右翼はグランを先頭にデコール、ボッコ、そして新たに騎士へ任命したカウロスの三名がキリッとした顔で続く。左翼はルモンドを先頭にコーネル、グラシアの二部隊が続いた。
「ねえ、私まだ見てないんだけどうまくできたの?
あんなもん作るなんて、ってディックスがぼやいていたわ」
「ああアレか? バッチリだ。
試しに動かした時はすげえ迫力でカッコよかったぞ。
それにお前用の武器も作らせておいたから楽しみにな」
「出番がないことを祈っているわ。
この間は丸太で殴った人たちのこと考えたら夢見が悪かったもの」
「まあでもあちらさんはやる気だろうからな。
嫌ならずっと後ろにいてもいいんだぞ?
本来戦うのは俺たちの仕事だからな」
「でもこの間みたいに二千人相手だったら無理でしょ。
また逃げ出してくれるとありがたいのだけどね」
「あんなの見て逃げ出さねえ奴はどうかしてるよ。
あんな太てえ丸太振り回す子供を見たら俺だって逃げるに違いねえぜ」
「まあ失礼しちゃうわ。
たまにはカワイイとかキレイとか褒めてくれたっていいじゃないの」
「カワイくてキレイになったらな。
今のお前はいたずらっ子みてえな顔してるよ」
「もうグランったらクラリスみたいなこと言わないでよ!」
そう言って平手でたたくようなしぐさをすると、グランはふざけて叩かれたふりをしたのだが、勢い余って馬から落ちそうになっていた。まったく緊張感がないったらありゃしない。
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