28 / 63
第三章 学校生活始めました
28.大樹の手記 五章(閑話)
しおりを挟む
五.魔道具について
魔道具とは読んで字のごとし、魔力を利用して使用する道具類である。広く出回っているものとして魔灯(まとう)がある。これは魔力を光へ変換すると言う原理で動作を開始し、その後は込めた魔力量の分だけ継続動作すると言う特徴がある。しかし稼働時間は永遠ではなくせいぜい数十時間のため蝋燭の代わり程度にしかならない。それでも魔力を体外へ流す練習にはもってこいの道具である。
魔灯の便利な使い方の一つに目印として使用すると言うものがある。深い森や洞窟等を複数人で探索しているとき、先行しながら魔灯を設置していく。するとそれをたどりながら後続がやってくることが出来るし、自分が目印にして戻っていくこともできる。これは見知らぬ土地ではなかなかに有効なのでぜひ覚えておいてほしい。
他に身近な魔道具として魔道具|焜炉(こんろ)が挙げられる。これは魔力を送り込みながら熱源を集中的に発生させるものである。調理をしたり湯を沸かしたりと重宝するはずなのだが、魔人にとって食は必須ではないため出番はそうそうなく、自宅に設置していない家庭も数多い。ただ嗜好品として茶を嗜むことは悪くないので、湯を沸かす程度には使えるようにしておきたいものだ。
他にも魔力を流すことによって動作する道具は多岐に渡り、エネルギー源として光や熱、または圧力を利用するものであれば大抵は動力源を魔道具へと置き換え可能である。ただし火器類のように瞬発的な熱エネルギーを必要とするものにはあまり向いておらず、どちらかと言えば力を継続的に必要とするような機構に向いていると言える。特に熱を発生させるだけの道具は複雑な構造も必要なく相性がとても良い。
だが魔道具の真価は複雑さを持たせたものにこそある。屋敷の敷地内全てを覆っている結界や、屋敷内に設置してある浄化装置は、複雑な魔術を埋め込んだ建築素材により永続的な効果を得ているものである。これらの永続装置は、動作を開始させた後は自然界の魔素を自ら取り込みながら動作を続けるよう設計されている。このように道具自体が魔素を取り込んで作動するものは中級魔道具とされる。
魔術に大切なことは想像力であり、それを道具として具現化するのが魔道具師ということになる。魔道具師は想像し構成した魔術を、同じように構成した物体へ付与し動作原理を与える。これにより自動で動き続ける浄化装置や結界を実現すると言うわけである。石臼を自動的に動かし続けることも試みたが、巨大な機構を動かすだけの魔素を取り込ませることは無謀だったようで、残念ながら完成にはいたらなかった。
しかし魔力を与えることで回転力を得られる魔道具には無限の可能性が有り、小さなものを動かす程度なら強大な魔力を必要としない。それこそ井戸の釣瓶(つるべ)を昇降させたり、手押し車の車軸へ内包すると言った使い方が可能だ。馬車程度に大型なものだと一人で楽に動かすことは難しくなってくる。だとしても、複数人で魔力供給を行うことで大きな力を得ることもでき、車軸型の魔道具四つを四人で動かす魔力自動車は十分実用的で長距離移動に重宝されている。
魔道具の道具部分は手加工で作った物へ魔術付与するものと、魔術自体で産み出す一括生成方式に分かれる。魔術付与する魔道具は作成が容易で単純動作する道具に向く。一方一括精製する魔道具は、高度な魔術技量が必要になり製作だけでも並大抵の力量では不可能であるが、その構造や性能、特性等は想像力の範囲内で無限である。
これらの技術を駆使して製作した数々の品が屋敷の中にはいくつも設置・収蔵してあるため、将来的に参考となれば幸いだ。
魔道具とは読んで字のごとし、魔力を利用して使用する道具類である。広く出回っているものとして魔灯(まとう)がある。これは魔力を光へ変換すると言う原理で動作を開始し、その後は込めた魔力量の分だけ継続動作すると言う特徴がある。しかし稼働時間は永遠ではなくせいぜい数十時間のため蝋燭の代わり程度にしかならない。それでも魔力を体外へ流す練習にはもってこいの道具である。
魔灯の便利な使い方の一つに目印として使用すると言うものがある。深い森や洞窟等を複数人で探索しているとき、先行しながら魔灯を設置していく。するとそれをたどりながら後続がやってくることが出来るし、自分が目印にして戻っていくこともできる。これは見知らぬ土地ではなかなかに有効なのでぜひ覚えておいてほしい。
他に身近な魔道具として魔道具|焜炉(こんろ)が挙げられる。これは魔力を送り込みながら熱源を集中的に発生させるものである。調理をしたり湯を沸かしたりと重宝するはずなのだが、魔人にとって食は必須ではないため出番はそうそうなく、自宅に設置していない家庭も数多い。ただ嗜好品として茶を嗜むことは悪くないので、湯を沸かす程度には使えるようにしておきたいものだ。
他にも魔力を流すことによって動作する道具は多岐に渡り、エネルギー源として光や熱、または圧力を利用するものであれば大抵は動力源を魔道具へと置き換え可能である。ただし火器類のように瞬発的な熱エネルギーを必要とするものにはあまり向いておらず、どちらかと言えば力を継続的に必要とするような機構に向いていると言える。特に熱を発生させるだけの道具は複雑な構造も必要なく相性がとても良い。
だが魔道具の真価は複雑さを持たせたものにこそある。屋敷の敷地内全てを覆っている結界や、屋敷内に設置してある浄化装置は、複雑な魔術を埋め込んだ建築素材により永続的な効果を得ているものである。これらの永続装置は、動作を開始させた後は自然界の魔素を自ら取り込みながら動作を続けるよう設計されている。このように道具自体が魔素を取り込んで作動するものは中級魔道具とされる。
魔術に大切なことは想像力であり、それを道具として具現化するのが魔道具師ということになる。魔道具師は想像し構成した魔術を、同じように構成した物体へ付与し動作原理を与える。これにより自動で動き続ける浄化装置や結界を実現すると言うわけである。石臼を自動的に動かし続けることも試みたが、巨大な機構を動かすだけの魔素を取り込ませることは無謀だったようで、残念ながら完成にはいたらなかった。
しかし魔力を与えることで回転力を得られる魔道具には無限の可能性が有り、小さなものを動かす程度なら強大な魔力を必要としない。それこそ井戸の釣瓶(つるべ)を昇降させたり、手押し車の車軸へ内包すると言った使い方が可能だ。馬車程度に大型なものだと一人で楽に動かすことは難しくなってくる。だとしても、複数人で魔力供給を行うことで大きな力を得ることもでき、車軸型の魔道具四つを四人で動かす魔力自動車は十分実用的で長距離移動に重宝されている。
魔道具の道具部分は手加工で作った物へ魔術付与するものと、魔術自体で産み出す一括生成方式に分かれる。魔術付与する魔道具は作成が容易で単純動作する道具に向く。一方一括精製する魔道具は、高度な魔術技量が必要になり製作だけでも並大抵の力量では不可能であるが、その構造や性能、特性等は想像力の範囲内で無限である。
これらの技術を駆使して製作した数々の品が屋敷の中にはいくつも設置・収蔵してあるため、将来的に参考となれば幸いだ。
15
お気に入りに追加
1,675
あなたにおすすめの小説
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件
シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。
旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる