18 / 63
第二章 戸惑いの異世界
18.異世界で露店
しおりを挟む
翌日、真琴とのんびりした朝を過ごしていると、マーボが昨日カナエから貰ったお茶を淹れて持ってきてくれた。一緒にクッキーまで作ってきてくれて僕は驚いてしまった。
「クッキーなんて良く作れたね。
このカラフルなのは何が入ってるの?」
「お兄ちゃん、これは果物とお野菜だよ。
こっちがオレンジでこっちは人参だね、マーボちゃんすごいね。
すっごくおいしいしお茶にもよく合うね、ありがとー」
「なるほど、クッキーが作れる材料なんてあったんだね。
いくら食べなくてもいいといってもこうやってお茶するのはいいもんだ。
みんなも一緒にどう?」
「マーボたちは飲食するようには出来ていないのです。
お気持ちは大変光栄で嬉しく思いますが、ご一緒できず申し訳ありません。
本日のご予定はやはりマーケットでしょうか?
これから餃子を全て焼いてしまう予定ですが、数が多いので時間がかかりそうなのです」
「それでも調理自体は出来そうなの?
キッチンはちゃんと使えそう?」
「魔道具|焜炉(こんろ)は正常に動作したので問題ないのです。
地下にあった食材を全て調理する程度造作もございません」
「なるほど、コンロも魔道具なのか、僕には使えそうにないけど……
でも火をつけてもらえれば僕にも手伝えるかもしれないな。
じゃあ全部出来上がったら出かけることにしようか。
真琴はどうする? なにかやりたいことあるかな?」
「マコはルースーちゃんと一緒にお庭をどうするか考えるの。
花壇だけじゃなくて植木や畑とかできるくらい広いしね。
フルーツの木も植えてみたいなー」
「よし! 餃子を売りまくって大儲けするからな!
そしたら苗木でもなんでも買ってあげるから期待しときなよ?」
「うん、お兄ちゃんならきっと出来るよ!
期待して待ってるからね」
優雅なティータイムを終えて部屋へ戻った真琴は、ルースーを連れてあっという間に戻ってきた。庭仕事にふさわしく、Tシャツとオーバーオールの組み合わせである。あの魔道具らしきクローゼットは本当に何でもあるんだなと感心するが、用意された衣類が爺ちゃんの趣味なのかは疑っている。
ざっと見ただけだが、カジュアルなものからフォーマル寄りなもの、昨日着ていたようなフリフリのゴスロリドレスは何種類もあったし浴衣や民族衣装っぽいものまであってジャンルも幅広い。もちろん今着ているラフな作業着っぽいものもいくつかあった。
昨日マイや村長が着ていたのはごく普通のスーツっぽいものだし、マサタカとカナエの夫婦は開襟シャツにスラックスで無難すぎるほど教育者っぽかった。一緒に来ていたけど紹介されなかった村人も、記憶に残らないくらい普通で特に変わった服装ではなかったと思う。こうなると、トラスやコ村固有の服装と言うのがあるのか少しだけ気になってくる。
とは言っても僕はあまりおしゃれに気を使うほうではない、というか今までそんな余裕はなかったと言った方が正しい。普段は制服とジャージくらいしか着ていなかったし、出かけるときは適当なシャツにジーパンだ。その分真琴にはいろいろ買ってあげたけど、油断すると店の売り上げは親父の酒代へと消えていた。
でももう毎日評判も良くないラーメンを作る必要はないし、へたくそな料理を出して客に文句を言われることもない。寒い日に洗い物をすることも、暑い日に出前へ出ることも、売り上げが悪くて殴られることももうないのだ。
考え事はいくらでも出て来てしまうが、あまり後ろ向きではなく前向きでいたい。それが真琴の為にもなるはずだ。そう信じて生きていくための第一歩、今できるのは餃子を焼いて売りまくるしかない。こうして僕は、マーボと一緒に午前中いっぱいかけて餃子約三百個余りを焼きあげた。
調理が終わったらお役御免と言うわけではないが、マーケットへは僕と真琴、そして護衛のチャーシにどうしてもついてくると言って食い下がるルースーの四人で向かうことになった。
観光案内所の前を通るとマイがお客さんの相手をしながら手を振ってくれた。学校からは子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくるが校長達の姿は見えなかった。帰り荷でもどんな授業をしているのか覗いてみるのも悪くない。
家を出てから二十分ほどだろうか。アンク北のマーケット広場へとついた僕たちは、さっそく空きスペースへレジャーシートを広げてバットにいれた餃子を良く見えるように置いた。周囲を見ると果物やスコーンのような物、飲み物などが大体100と書いてあるので同じように張り紙に100と書いてみる。
目の前を通る人たちは物珍しそうに眺めてはいくのだがなかなか買ってもらえない。いくら痛むことがないとは言え、できれば熱いうちに食べてほしいのだが難しそうである。仕方ないので一つ摘まんで口へ放り込むと、真琴も真似をしてつまみ食いだ。その行動が興味を誘ったのか、正面でフルーツジュースを売っている女性がコップを二つ持ってやってきた。
「ねえお兄さん、その食べ物とこれを交換しない?
どんなものなのか興味があるんだけど。
何かの包み焼きみたいだけど何が入ってるの?」
「小麦の皮で引き肉や野菜を混ぜた具を包んでいるんです。
とってもおいしいですから試してみてください」
僕はそう言って差し出された空のコップへ餃子を十個入れて返した。真琴は中身の入ったコップを二つ受け取って上機嫌だ。メロンのような香りのするジュースはぬるかったが甘くておいしい。きっと餃子も好評に違いない、と思っていたのだが、ジュース屋のお姉さんは顔をしかめていた。
「あ、あれ? 口にあいませんでした?
そんなに癖のある食べ物じゃないと思うんだけどな。
もしかしてニンニクが苦手とか?」
「そっか、これニンニクが入ってるのね。
魔人なのに刺激の強い食べ物を作るなんて、お兄さんたら変わってるわ。
好みが分かれるから注意書きしておいた方がいいと思う。
ちょっと他の人に試食してもらって来るわね」
ジュース屋の女性はしばらくすると恰幅のいい年配男性を連れてきた。なんと村に来て初めて出会う直線角の持ち主である。
「おお、こんなに沢山あるのか。
ええっと五個で100ルドなんだな?
よし、五十個貰えるか、これに入れてくれ」
「は、はい! 毎度ありがとうございます!
1000…… ルド? ですね」
僕は差し出された木製の大皿へ餃子を五十個盛りつけて男性へと返した。そしてお代を受け取ろうと手を出したのだが、不思議そうに首を傾げているではないか。もしかして無銭飲食!?
「スマメを出してくれなきゃ支払出来ないじゃないか。
早くしてくれよ、それとも払わなくてもいいのか?」
「ああ、すいません、不慣れなもので……」
どうやらスマメ同士でお金をやり取りするらしく、男性はスマメを構えて待っていたのだった。僕もスマメを呼び出してマネーのページにある受け取りボタンを押すと、数字の入力欄が表示された。そこへ1000と打ってから相手に見せると、向こうも自分のスマメに1000と打ちこんでお互いを接触させた。
『ピョリョリ~ン♪』
気の抜けた音と共に残高欄に1000ルドと表示されている。感動の初売上である。この男性は工房で働いている魔道具職人らしく、休憩の時には刺激のある食べ物を摘まみたくなるらしい。そのことを知っていた女性が試食させ連れて来てくれたのだった。
この村の人たちは本当にみんな親切だなと、僕は改めて感動するのだった。
「クッキーなんて良く作れたね。
このカラフルなのは何が入ってるの?」
「お兄ちゃん、これは果物とお野菜だよ。
こっちがオレンジでこっちは人参だね、マーボちゃんすごいね。
すっごくおいしいしお茶にもよく合うね、ありがとー」
「なるほど、クッキーが作れる材料なんてあったんだね。
いくら食べなくてもいいといってもこうやってお茶するのはいいもんだ。
みんなも一緒にどう?」
「マーボたちは飲食するようには出来ていないのです。
お気持ちは大変光栄で嬉しく思いますが、ご一緒できず申し訳ありません。
本日のご予定はやはりマーケットでしょうか?
これから餃子を全て焼いてしまう予定ですが、数が多いので時間がかかりそうなのです」
「それでも調理自体は出来そうなの?
キッチンはちゃんと使えそう?」
「魔道具|焜炉(こんろ)は正常に動作したので問題ないのです。
地下にあった食材を全て調理する程度造作もございません」
「なるほど、コンロも魔道具なのか、僕には使えそうにないけど……
でも火をつけてもらえれば僕にも手伝えるかもしれないな。
じゃあ全部出来上がったら出かけることにしようか。
真琴はどうする? なにかやりたいことあるかな?」
「マコはルースーちゃんと一緒にお庭をどうするか考えるの。
花壇だけじゃなくて植木や畑とかできるくらい広いしね。
フルーツの木も植えてみたいなー」
「よし! 餃子を売りまくって大儲けするからな!
そしたら苗木でもなんでも買ってあげるから期待しときなよ?」
「うん、お兄ちゃんならきっと出来るよ!
期待して待ってるからね」
優雅なティータイムを終えて部屋へ戻った真琴は、ルースーを連れてあっという間に戻ってきた。庭仕事にふさわしく、Tシャツとオーバーオールの組み合わせである。あの魔道具らしきクローゼットは本当に何でもあるんだなと感心するが、用意された衣類が爺ちゃんの趣味なのかは疑っている。
ざっと見ただけだが、カジュアルなものからフォーマル寄りなもの、昨日着ていたようなフリフリのゴスロリドレスは何種類もあったし浴衣や民族衣装っぽいものまであってジャンルも幅広い。もちろん今着ているラフな作業着っぽいものもいくつかあった。
昨日マイや村長が着ていたのはごく普通のスーツっぽいものだし、マサタカとカナエの夫婦は開襟シャツにスラックスで無難すぎるほど教育者っぽかった。一緒に来ていたけど紹介されなかった村人も、記憶に残らないくらい普通で特に変わった服装ではなかったと思う。こうなると、トラスやコ村固有の服装と言うのがあるのか少しだけ気になってくる。
とは言っても僕はあまりおしゃれに気を使うほうではない、というか今までそんな余裕はなかったと言った方が正しい。普段は制服とジャージくらいしか着ていなかったし、出かけるときは適当なシャツにジーパンだ。その分真琴にはいろいろ買ってあげたけど、油断すると店の売り上げは親父の酒代へと消えていた。
でももう毎日評判も良くないラーメンを作る必要はないし、へたくそな料理を出して客に文句を言われることもない。寒い日に洗い物をすることも、暑い日に出前へ出ることも、売り上げが悪くて殴られることももうないのだ。
考え事はいくらでも出て来てしまうが、あまり後ろ向きではなく前向きでいたい。それが真琴の為にもなるはずだ。そう信じて生きていくための第一歩、今できるのは餃子を焼いて売りまくるしかない。こうして僕は、マーボと一緒に午前中いっぱいかけて餃子約三百個余りを焼きあげた。
調理が終わったらお役御免と言うわけではないが、マーケットへは僕と真琴、そして護衛のチャーシにどうしてもついてくると言って食い下がるルースーの四人で向かうことになった。
観光案内所の前を通るとマイがお客さんの相手をしながら手を振ってくれた。学校からは子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくるが校長達の姿は見えなかった。帰り荷でもどんな授業をしているのか覗いてみるのも悪くない。
家を出てから二十分ほどだろうか。アンク北のマーケット広場へとついた僕たちは、さっそく空きスペースへレジャーシートを広げてバットにいれた餃子を良く見えるように置いた。周囲を見ると果物やスコーンのような物、飲み物などが大体100と書いてあるので同じように張り紙に100と書いてみる。
目の前を通る人たちは物珍しそうに眺めてはいくのだがなかなか買ってもらえない。いくら痛むことがないとは言え、できれば熱いうちに食べてほしいのだが難しそうである。仕方ないので一つ摘まんで口へ放り込むと、真琴も真似をしてつまみ食いだ。その行動が興味を誘ったのか、正面でフルーツジュースを売っている女性がコップを二つ持ってやってきた。
「ねえお兄さん、その食べ物とこれを交換しない?
どんなものなのか興味があるんだけど。
何かの包み焼きみたいだけど何が入ってるの?」
「小麦の皮で引き肉や野菜を混ぜた具を包んでいるんです。
とってもおいしいですから試してみてください」
僕はそう言って差し出された空のコップへ餃子を十個入れて返した。真琴は中身の入ったコップを二つ受け取って上機嫌だ。メロンのような香りのするジュースはぬるかったが甘くておいしい。きっと餃子も好評に違いない、と思っていたのだが、ジュース屋のお姉さんは顔をしかめていた。
「あ、あれ? 口にあいませんでした?
そんなに癖のある食べ物じゃないと思うんだけどな。
もしかしてニンニクが苦手とか?」
「そっか、これニンニクが入ってるのね。
魔人なのに刺激の強い食べ物を作るなんて、お兄さんたら変わってるわ。
好みが分かれるから注意書きしておいた方がいいと思う。
ちょっと他の人に試食してもらって来るわね」
ジュース屋の女性はしばらくすると恰幅のいい年配男性を連れてきた。なんと村に来て初めて出会う直線角の持ち主である。
「おお、こんなに沢山あるのか。
ええっと五個で100ルドなんだな?
よし、五十個貰えるか、これに入れてくれ」
「は、はい! 毎度ありがとうございます!
1000…… ルド? ですね」
僕は差し出された木製の大皿へ餃子を五十個盛りつけて男性へと返した。そしてお代を受け取ろうと手を出したのだが、不思議そうに首を傾げているではないか。もしかして無銭飲食!?
「スマメを出してくれなきゃ支払出来ないじゃないか。
早くしてくれよ、それとも払わなくてもいいのか?」
「ああ、すいません、不慣れなもので……」
どうやらスマメ同士でお金をやり取りするらしく、男性はスマメを構えて待っていたのだった。僕もスマメを呼び出してマネーのページにある受け取りボタンを押すと、数字の入力欄が表示された。そこへ1000と打ってから相手に見せると、向こうも自分のスマメに1000と打ちこんでお互いを接触させた。
『ピョリョリ~ン♪』
気の抜けた音と共に残高欄に1000ルドと表示されている。感動の初売上である。この男性は工房で働いている魔道具職人らしく、休憩の時には刺激のある食べ物を摘まみたくなるらしい。そのことを知っていた女性が試食させ連れて来てくれたのだった。
この村の人たちは本当にみんな親切だなと、僕は改めて感動するのだった。
26
お気に入りに追加
1,731
あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる