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第1章 始まりのお話

第6話 敵を白兵戦でぶちのめす!

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 ドオオオオ……!!

 轟音とともに基地が大きく揺れた。

「な……なんだ!?」


「サガンヌキ様! 敵襲です!」

「敵の規模は!」

「戦艦5隻、強襲揚陸艇多数! 基地内に侵入されています!」

「おのれぇっ!迎え撃つぞ! 我らが基地を落とされるは恥辱の限りよ!」

 サガンヌキは銃を構え飛び出した。


「俺達も総員戦闘配置だ!」

 ソウコウのの声がプレアデス全乗員に届く。
 この世でただ一人、勇者のみが使える魔法、獅子吼ししくだ。

 相手がどこにいても声を届ける事ができる。
 ただし、面識のある相手全てに声が届くため、秘密の通信には向かない。

「マァルはこっちに来い! ユカは艦を指揮! サトシ、アルデ、西野、吉川は敵戦艦を落とせ! 俺とアイラは侵入した敵を討つ!」


「え……落とせって言われても……」

 戸惑う西野にユカが声をかける。

「西野! やるしかないでしょ! いくよ!」


 全員が各々の持ち場に走り出した。





 ソウコウとアイラが走る。
 目の前ではフェルミ兵とジェミ兵が銃撃戦を繰り広げていた。

強火炎魔法レッドファイア!」

 アイラの前方空間が歪み、炎の帯が生じる。炎は意思を持つ大蛇のように的確に敵兵だけを飲み込んだ。

「これが魔法か!」

 興奮するサガンヌキの横をソウコウが走り抜ける。廊下の曲がり角を過ぎたところで向かってくる敵を見つけた。敵の数はおよそ15-6人と言ったところか。

 普通に考えれば一人で対応はできない。

 だが、ソウコウは勇者だ。普通の人間の常識は彼には適用できない。


「ちょっと少ないが……大盤振る舞いしてやるぜ! 食らえ!高速多段雷撃剣ソニックブラスト!!!」

 全身からほとばしる電撃が長剣に集約され光輝く。
 それを振りかざすと電撃の刃が敵を貫いた。

 激しい電撃は敵の体組織を一瞬で粉砕、爆発四散させる。

「な……なんだこいつ、こんな奴がいるなんて聞いてねえぞ」

 敵がひるむ。その隙をソウコウとアイラは見逃さない。
 低い体制をとり一気に敵との距離を縮める。
 滑るように走る剣は敵の腕を、足を、首をバターのように切り取った。



 

 サトシたちはプレアデスのロボ格納庫へ駆け込む。

 西野にはロボの操縦など判らない。

「片山さん! これどうすれば?」

「乗れば分かるように出来てる。とにかく怖がるな! 魔法は精神状態に大きく左右される。サーシャ! カタパルト両側オープンしてくれ!」

「承知しました!」

 左右両翼のカタパルトにサトシ、アルデが足をかける。
「2号機エレクトラ、乗員サトシ発艦する!」
「4号機アルキュオネ、アルデ出る」
 二機は敵戦艦の方角へ射出された。


 続いて西野もカタパルトに乗り込む。
「7号機メロペ、西野発進します」
 カタパルトがメロペを押し出す。凄い加速度だ。
 西野はあやうく意識を失うところだった。

 射出された先は真っ暗な闇。
「……落ちていくような感じだ……」
 西野はジェットコースターを思い出した。
 無重力、上も下もない世界。

「片山さんに合流しないと……」





 マァルは久々の戦闘を楽しんでいる。
 敵の阿鼻叫喚が彼の生存理由だ。
 赤い月によるヌージィガ星団の統一後、この4年間はマァルにとっては退屈過ぎた。

 血沸き肉踊る戦い、ベリアルとの死闘、それらの記憶が戦いの日々を求め続けていた。
 『死闘』のみを目的として国に反逆しようと思ったのは一度や二度ではない。

 これまでの鬱憤うっぷんを晴らすかのようにマァルは敵を斬る。
 敵の小隊が一斉にマァルに発砲する。
 銃を向けられたのは初めてだ。
 しかし、つぶてのように飛んでくる銃弾を見た瞬間にマァルはすべてを理解し、対応した。

 幅の広い黒い大鎌に身を隠し初弾を防ぐ。
 とともに通路の壁を蹴る勢いで敵との距離を詰め、その大鎌の一振りで敵の首を切り落とした。
 頭部を失った兵たちはその場に崩れ落ちる。

「フン、ジェミというのはこの程度か。ヌージィガの方がまだ抵抗したぞ」


「……ちきしょう、殺ってやる……」
 笑うマァルをジェミ兵が物陰から狙撃する。
 銃弾はマァルの肩に命中した。
「やったか!?」

 しかし、そのような攻撃で倒れるマァルではない。
 傷は瞬く間にふさがり、抉れた肩の肉は蘇生される。
 残念ながら兵の撃った弾は、マァルに己の場所と存在を伝えるだけの意味しか持たなかった。
 大鎌が兵の体を縦方向に両断した。
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