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本編
第十八話 前回対応に不備があったことが判明いたしました。
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王城を出発して最初の夜を迎えた。
断崖絶壁沿いの道を通り抜け、サトシ達は野営にちょうど良さそうな平地にたどり着いた。
日中は野盗の襲撃もあって疲れているが、そんな時でも腹は減るもんだ。
「ここなら見通しも良い。今夜はここで野宿じゃの」
「え、野宿……?」
アルデの野宿提案にレイミとメリルはあからさまな戸惑いを見せた。
優雅に車中泊と行きたいところだが、あいにくアルデのマシンは一人乗りのコックピットと三人横並びで座るのが精いっぱいの後部座席しかなく、全員が横になることは出来そうもない。
「車の中で寝ることができるのはせいぜい二人までだ。二人ずつ夜番をするようにしよう」
◇
川で汲んだ水を、鍋替わりにしたマシンの装甲板で沸かす。
周囲に生えている植物のうち、柔らかい芽や根を摘み取って湯の中に入れる。
調味料はない。空腹を満たすためだけのスープが出来上がった。
毒草の見分けがつかないので、念のためメリルの能力「|毒消し(ディスポイズン)」で鍋の中身を浄化する。
「うえぇ……まずぅ……これ、飲めないですぅ」
スープに口を付けたメリルは顔をしかめた。
サトシも味をみてみたが、確かにひどい味だ。
しかしアルデは黙々と食している。その様子を見てレイミも食べている。
仕方なくサトシもこの不味いスープを平らげた。
不味い食い物でも腹は膨れ、眠気がやってくる。
まずはサトシとメリルが寝る事にし、アルデとレイミが夜番を担当した。
マシンの狭い後部座席で抱き合うような態勢でメリルと寝る。
暗い中で女と密着していると劣情が湧き上がる。
サトシは劣情に逆らうことなくメリルの体をまさぐった。
お世辞にも良い身体つきとは言えないメリルだが、それでも男の体とは違い、柔らかく湿っていた。
突起をこねくり回し、穴に指を入れてかき混ぜる。
相手が処女だったので最後までは至らなかったが、精神的な満足感を得ることができた。
――好きなように生きるというのはなんて素晴らしいことなんだ!
◇
翌日、ケマの町が見えるところまでやってきた。
「ここが大宝神魔封印の地じゃ」
ケマの町は荒野の盆地中央にあり、町の北部には湖があった。
この湖の水はそれ自体が聖なる力を秘めていると信じられている。
「なかなか綺麗な場所だな」
「ケマはヌージィガで最古の町と言われておる。初代ヌージィガ王生誕の地でもあり、聖地とされておるんじゃよ」
「そうなんだ。じゃぁ少しはましな食べ物もあるかもしれないな」
マシンはケマの町に向かって坂を駆け下りた。
一行の頬を乾いた風が撫でる。サトシは爽やかな風に目を閉じた。
町に近づく。
古い建物や並木が段々とはっきり見えてくる。
町に続く道の端のところどころに黒い塊のようなものが落ちている。
その塊の正体に最初に気づいたのはアルデだった。
その表情の変化からサトシもそれが何なのか理解した。
「アルデ……これは……」
「人間の死体じゃな」
アルデは町の入り口にマシンを止めた。
「アルデ、俺が中を見てくる。レイミとメリルはアルデと一緒にここにいろ」
「分かりました」
「サトシ、注意するんじゃぞ」
「分かってる」
サトシは町の中に進んだ。
道は糞尿にまみれ、悪臭を放っている。
いたるところに白骨化した死体、黒焦げの死体が落ちている。
死体のほとんどは男性と子供のものとみられる。
町の中央部に向かう。そちらの方から大きな騒ぎ声が聞こえるからだ。
途中ですれ違う連中は人相の悪い男と、それらに引き連れられる裸あるいは半裸の女性ばかりだ。
昼間でも薄暗い路地からは女の喘ぎ声が聞こえる。
町の中央部に到着した。
町の中央広場では大きな火が焚かれ、中央広場沿いにある大きな建物の前に一際ガタイのいい男が座っていた。
多数の女たちが世話をしている。この町の有力者と一目でわかった。
――なるほど、この町は悪党に占拠されたのか。
――この町の者に大宝神魔の事を聞いても有益な情報は得られそうもないな。
――どこかに生き残った住民が残っていればいいが……
サトシは住民の生き残りを探して一時間ほど徘徊したが見つける事は出来なかった。
あきらめていったん町を出ようとした時だ。
「やめてぇぇ!」
悲鳴が聞こえた。自然と足がそちらに向かう。
同じようにぞろぞろと他の者たちも声の方に向かっている。
声の主は年端もいかない少女だった。
破れていない衣類を着ている。今まで見つからずに潜んでいたのだろう。
「ヒャッハー! 邪教徒のガキを見つけたぜぇー!」
小汚いひげを生やした男が少女を担ぎ上げる。
「おうおう、いいなぁ。俺にも味わわせてくれよ」
「いいぜ、俺の後にな」
男たちが少女に群がる。少女は喚く。
サトシはその場を立ち去ろうとした。
少女と一瞬目が合った。
ただ、それだけの事でサトシは我に帰った。
――俺は好きなように生きる。そう決めたんじゃないか。
気がつくとサトシは魔剣を抜き、少女を掴み上げていた男を斬り捨てていた。
男は驚いたような顔をしたまま絶命した。
「何だこいつ、頭おかしいのか?」
「どうしたどうした?」
周囲の男たちがサトシを取り囲む。
そのうちの一人が指差して叫んだ。
「こ……こいつ! 『暁の四人』魔剣使いタケルだぞ!」
「なんだと!」
「マジか!」
一斉に恐怖と殺意の眼差しが注がれる。
「こいつを仕留めれば王から褒美が出るんだよなぁ」
「へへへ……ぶっ殺してやるぜ……」
まだこいつらはクーデターでカイマ王の治世が終わったことを知らないようだ。
敵の人数は十数名。それも体格の大きい者が多い。
サトシの背後には建物の壁、そして少女。
絶対絶命の状態。どうしたものか……
「いくら『暁の四人』と言えど、この人数じゃぁどうしようもねぇだろう?」
敵はジリジリと距離を詰めてくる。
どうする……
少女を救い、敵から逃れるには……
――閃いた!
「死ねぇぇ!」
敵が一斉に襲い掛かってきた!
サトシは意識を前方空間に集中、一か八かの賭けに出る!
「解放!」
次の瞬間、襲い掛かってきていた敵は膨張する空間に押し飛ばされる。
そしてその膨張した空間に現れたのは巨大な竜、鋼鱗の竜だった。
「何ぃぃぃぃ!」
「ドラゴンだと?」
「ひえぇぇぇ……」
その場にいた全員が一気に恐怖の表情を浮かべ、一目散に逃げ出した。
「キォォォォォォォォォン!」
【人間、食事の時間か?】
【あぁ、腹が減っているかと思ってね。こいつら食べてもいいよ】
竜が金属を叩いたような声で叫ぶ。
敵は物陰に隠れ、サトシとの距離は遠く離れた。
作戦はうまくいった。
後は竜に任せれば良い。
「キォォォォォォォォォン……」
【どうもそうもいかんようだ……】
竜がゆっくりとこちらを振り返り……そのままドウと地面に倒れた。
「え? あれ?」
竜に何があったのか、サトシには解らなかった。
メタルドラゴンの開きかけた口が不自然に動いている。
そしてその中から人影が這い出して来た。
「……カイマ……」
かつて王と呼ばれた少年は生きていた。
竜の口の中で再生を繰り返し、紙一重の命を繋いでいたのだ。
「ふぅ……やれやれ。ひどい目にあったなぁ……」
再生した体のコンディションを確かめるように、カイマは腕を曲げたり伸ばしたりしている。
「再戦といこうか。片山サトシ」
そう言うと前王はサトシを睨みつけた。
断崖絶壁沿いの道を通り抜け、サトシ達は野営にちょうど良さそうな平地にたどり着いた。
日中は野盗の襲撃もあって疲れているが、そんな時でも腹は減るもんだ。
「ここなら見通しも良い。今夜はここで野宿じゃの」
「え、野宿……?」
アルデの野宿提案にレイミとメリルはあからさまな戸惑いを見せた。
優雅に車中泊と行きたいところだが、あいにくアルデのマシンは一人乗りのコックピットと三人横並びで座るのが精いっぱいの後部座席しかなく、全員が横になることは出来そうもない。
「車の中で寝ることができるのはせいぜい二人までだ。二人ずつ夜番をするようにしよう」
◇
川で汲んだ水を、鍋替わりにしたマシンの装甲板で沸かす。
周囲に生えている植物のうち、柔らかい芽や根を摘み取って湯の中に入れる。
調味料はない。空腹を満たすためだけのスープが出来上がった。
毒草の見分けがつかないので、念のためメリルの能力「|毒消し(ディスポイズン)」で鍋の中身を浄化する。
「うえぇ……まずぅ……これ、飲めないですぅ」
スープに口を付けたメリルは顔をしかめた。
サトシも味をみてみたが、確かにひどい味だ。
しかしアルデは黙々と食している。その様子を見てレイミも食べている。
仕方なくサトシもこの不味いスープを平らげた。
不味い食い物でも腹は膨れ、眠気がやってくる。
まずはサトシとメリルが寝る事にし、アルデとレイミが夜番を担当した。
マシンの狭い後部座席で抱き合うような態勢でメリルと寝る。
暗い中で女と密着していると劣情が湧き上がる。
サトシは劣情に逆らうことなくメリルの体をまさぐった。
お世辞にも良い身体つきとは言えないメリルだが、それでも男の体とは違い、柔らかく湿っていた。
突起をこねくり回し、穴に指を入れてかき混ぜる。
相手が処女だったので最後までは至らなかったが、精神的な満足感を得ることができた。
――好きなように生きるというのはなんて素晴らしいことなんだ!
◇
翌日、ケマの町が見えるところまでやってきた。
「ここが大宝神魔封印の地じゃ」
ケマの町は荒野の盆地中央にあり、町の北部には湖があった。
この湖の水はそれ自体が聖なる力を秘めていると信じられている。
「なかなか綺麗な場所だな」
「ケマはヌージィガで最古の町と言われておる。初代ヌージィガ王生誕の地でもあり、聖地とされておるんじゃよ」
「そうなんだ。じゃぁ少しはましな食べ物もあるかもしれないな」
マシンはケマの町に向かって坂を駆け下りた。
一行の頬を乾いた風が撫でる。サトシは爽やかな風に目を閉じた。
町に近づく。
古い建物や並木が段々とはっきり見えてくる。
町に続く道の端のところどころに黒い塊のようなものが落ちている。
その塊の正体に最初に気づいたのはアルデだった。
その表情の変化からサトシもそれが何なのか理解した。
「アルデ……これは……」
「人間の死体じゃな」
アルデは町の入り口にマシンを止めた。
「アルデ、俺が中を見てくる。レイミとメリルはアルデと一緒にここにいろ」
「分かりました」
「サトシ、注意するんじゃぞ」
「分かってる」
サトシは町の中に進んだ。
道は糞尿にまみれ、悪臭を放っている。
いたるところに白骨化した死体、黒焦げの死体が落ちている。
死体のほとんどは男性と子供のものとみられる。
町の中央部に向かう。そちらの方から大きな騒ぎ声が聞こえるからだ。
途中ですれ違う連中は人相の悪い男と、それらに引き連れられる裸あるいは半裸の女性ばかりだ。
昼間でも薄暗い路地からは女の喘ぎ声が聞こえる。
町の中央部に到着した。
町の中央広場では大きな火が焚かれ、中央広場沿いにある大きな建物の前に一際ガタイのいい男が座っていた。
多数の女たちが世話をしている。この町の有力者と一目でわかった。
――なるほど、この町は悪党に占拠されたのか。
――この町の者に大宝神魔の事を聞いても有益な情報は得られそうもないな。
――どこかに生き残った住民が残っていればいいが……
サトシは住民の生き残りを探して一時間ほど徘徊したが見つける事は出来なかった。
あきらめていったん町を出ようとした時だ。
「やめてぇぇ!」
悲鳴が聞こえた。自然と足がそちらに向かう。
同じようにぞろぞろと他の者たちも声の方に向かっている。
声の主は年端もいかない少女だった。
破れていない衣類を着ている。今まで見つからずに潜んでいたのだろう。
「ヒャッハー! 邪教徒のガキを見つけたぜぇー!」
小汚いひげを生やした男が少女を担ぎ上げる。
「おうおう、いいなぁ。俺にも味わわせてくれよ」
「いいぜ、俺の後にな」
男たちが少女に群がる。少女は喚く。
サトシはその場を立ち去ろうとした。
少女と一瞬目が合った。
ただ、それだけの事でサトシは我に帰った。
――俺は好きなように生きる。そう決めたんじゃないか。
気がつくとサトシは魔剣を抜き、少女を掴み上げていた男を斬り捨てていた。
男は驚いたような顔をしたまま絶命した。
「何だこいつ、頭おかしいのか?」
「どうしたどうした?」
周囲の男たちがサトシを取り囲む。
そのうちの一人が指差して叫んだ。
「こ……こいつ! 『暁の四人』魔剣使いタケルだぞ!」
「なんだと!」
「マジか!」
一斉に恐怖と殺意の眼差しが注がれる。
「こいつを仕留めれば王から褒美が出るんだよなぁ」
「へへへ……ぶっ殺してやるぜ……」
まだこいつらはクーデターでカイマ王の治世が終わったことを知らないようだ。
敵の人数は十数名。それも体格の大きい者が多い。
サトシの背後には建物の壁、そして少女。
絶対絶命の状態。どうしたものか……
「いくら『暁の四人』と言えど、この人数じゃぁどうしようもねぇだろう?」
敵はジリジリと距離を詰めてくる。
どうする……
少女を救い、敵から逃れるには……
――閃いた!
「死ねぇぇ!」
敵が一斉に襲い掛かってきた!
サトシは意識を前方空間に集中、一か八かの賭けに出る!
「解放!」
次の瞬間、襲い掛かってきていた敵は膨張する空間に押し飛ばされる。
そしてその膨張した空間に現れたのは巨大な竜、鋼鱗の竜だった。
「何ぃぃぃぃ!」
「ドラゴンだと?」
「ひえぇぇぇ……」
その場にいた全員が一気に恐怖の表情を浮かべ、一目散に逃げ出した。
「キォォォォォォォォォン!」
【人間、食事の時間か?】
【あぁ、腹が減っているかと思ってね。こいつら食べてもいいよ】
竜が金属を叩いたような声で叫ぶ。
敵は物陰に隠れ、サトシとの距離は遠く離れた。
作戦はうまくいった。
後は竜に任せれば良い。
「キォォォォォォォォォン……」
【どうもそうもいかんようだ……】
竜がゆっくりとこちらを振り返り……そのままドウと地面に倒れた。
「え? あれ?」
竜に何があったのか、サトシには解らなかった。
メタルドラゴンの開きかけた口が不自然に動いている。
そしてその中から人影が這い出して来た。
「……カイマ……」
かつて王と呼ばれた少年は生きていた。
竜の口の中で再生を繰り返し、紙一重の命を繋いでいたのだ。
「ふぅ……やれやれ。ひどい目にあったなぁ……」
再生した体のコンディションを確かめるように、カイマは腕を曲げたり伸ばしたりしている。
「再戦といこうか。片山サトシ」
そう言うと前王はサトシを睨みつけた。
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