SE魔剣士、二つの世界で稼働中!

灰猫ベル

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本編

第十六話 私事で恐縮ですが、自分らしく生きてみようと思います。

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 サトシにとってカップルホテルに来たのは初めてだった。
 ガラス張りの浴室、低くて広いベッド、薄暗い照明、狭い部屋、少し寒いくらいの冷房。
 ユカはこの空間に入ったことはあるのだろうか? そんなことをサトシは考えた。

 ユカがサトシに体をくっつけた。サトシは腰を抱き密着させた。
 足と足が絡み、立っているのが困難になったので、ベッドに倒れこむ。

 額同士をくっつける。

「覚えてる? 会社の喫煙ブース」

「ああ、覚えてるよ」

 クスリと笑ってユカは唇を重ねた。自然と舌が出る。
 ベッドの上で舌、腕、足が絡み合い、服が脱がされる。
 ユカはワンピースの下に下着を着けていなかった。
 薄暗い部屋の中で、白いユカの裸身が浮かんで見える。


 ユカは細い指で怒張した部分を優しく握り、それに頬ずりをした。

「元気……かわいい……」

 そして、最大限まで硬くなっているそれに舌を這わせ、口に含んだ。

「ちゃんと練習してるんだよ……どう? 気持ちいい?」

 優しく撫でながら、敏感な部分は舌で刺激してくる。
 足の力が抜けそうになる。
 ぞわぞわした感覚が下から上がってくるようだ。
 自分でするのとは全然違う。

「ん……ン……」

 一心不乱にそれを咥えこむユカの姿を見て、サトシにはそれが人間ではない別の生き物のように見えた。
 しばらく奉仕したユカは自分で足を広げ、その付け根……秘密の繁みを見せてきた。

「もうね、ヌルヌルなんだよ……触ってみて」

 サトシは手を伸ばしその部分に触れる。

「ふぅんっ……!」 

 指を入れた。

「痛い?」

「うん、痛いよ。でも気にしないで」

 ユカはサトシにしがみつくと、自分で腰を押し付けてきた。
 指がどんどん奥に入っていく。
 柔らかく濡れた肉の感触を指に感じる。まるで指が溶けているように錯覚する。

「いたぁ…………どう? あったかい?」

「大丈夫?」

「うん……大丈夫だから……サトシのでかき混ぜて……」

 そういうとユカはサトシの上に馬乗りになり、自分の中にそれを挿し込んだ。


 甘い吐息で上下する彼女の姿を見て、サトシは思った。

 ――これは豚だ、メス豚だ。
 

 意識があいまいになる。
 意識を暗闇が包む。
 彼女の喘ぎ声が遠くなる。

 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 
 気が付くとサトシは異世界にいた。
 豪華な寝室。王の寝室だ。サトシは王になったのだった。
 
 目を閉じる。
 自分の上で乱れるユカの姿が夢のように思い出された。
 今、彼女はタケルと行為をしているのだろう。
 相手が別人になったことに気付くこともなく、一所懸命に奉仕するはずだ。


 ――ユカが悪いわけじゃない。
 ――タケルが悪いわけでもない。

 ――それぞれが、自分の生きているその瞬間に自分の意思で動いているだけだ。
 ――それなら……

 ――俺もタケルに遠慮はしない。
 ――この入れ替わりを含めて「俺の人生」として楽しんでやる。
 
 そう考えた瞬間、サトシは目の前の霧が一気に晴れたような気分になった。





「誰かいないか!」

 サトシが叫ぶとすぐに若い娘の召使が飛んできた。
 前王であれば機嫌を損ねるそうなことがあれば即殺されていた。
 まだ新王の人格を知らない以上、必死で務めるのが長生きの秘訣だ。

「レイミはどこにいる?」

「えっと、えっと、地下牢におります」

「なんでそんな所に?」

「それは……前王の妃だったので……」

「誰の命令だ?」

「紅月隊のイシュファラ様の命です」

「ならその命令は俺が取り消す。レイミをここに連れてこい」


 召使はすぐにレイミを連れてきた。その手には手枷が掛けられている。
 俺は魔剣で手枷を切断した。

「レイミ、今から大宝神魔とやらに会いに行くぞ」

「え?」

「元の世界に帰りたいんだろう? 手伝ってやるよ」

「王様、ちょっと待ってください~」

 召使が焦る。

「王様は国の象徴として居てもらわないと、何かあったら大変ですぅ」

「傀儡の王なんてまっぴらゴメンだ。俺は……自分の好きなように生きていく!」

「そんなぁ……」

「イシュファラには逃げられたとでも言っておけ」

「それじゃぁ私が怒られちゃいますぅ」

 サトシは少し考えて言った。

「オッケー、じゃぁお前もついてこい。お前、名前は?」

「えっと……メリルです」

「よし、メリル。行くぞ」

 サトシはメリルを担ぎ、レイミを率いて城を出た。

「王様、お盛んですな!」

 兵士たちはサトシが女遊びを楽しんでいるように思った。
 カイマの時代には日常的な風景だったのだろう。

「俺は少し出かける。後の事はソウコウに任せる」
「はっ。承知いたしました」

 サトシは会社と逆方向の電車に乗ったかのようなすがすがしい気分を感じていた。





 とりあえず城を出たサトシだったが大宝神魔がどこに封印されているのか情報がなかった。
 あてもなく、とりあえず北方に向かって歩く。

 この世界は、それぞれの都市では建物が密集しているが、一歩町の外に出ると自然が広がる。
 草の生えていない道を歩いていかないと遭難するリスクが常に付きまとう。

「メリル、お前は大宝神魔が封印されている場所知ってるか?」

「い……いえ、知りません」

「そっか、しゃあないな。適当に歩いて、知ってそうな人を見つけるしかなさそうだな」


「おーい、タケル―」

 その時、王都の方からサトシを呼ぶ声が聞こえた。
 サトシが振り返るとアルデが自車に乗って追いかけてきていた。

「おぉ、アルデ! 俺はサトシだよ」

「なるほどサトシであったか。突然城を空けソウコウに後を預けたと聞いてのう。急いで追いかけてきたんじゃ」

「そっかそっか。俺これから大宝神魔の封印を解きに行こうと思ってるんだよ。アルデは大宝神魔の封印されてる場所知ってる?」

「うむ。知っておるぞ。レイミ妃を元の世界に戻すんじゃの?」

「お! やった。じゃぁアルデも一緒に行こう。その車使えるなら楽に移動もできるし」





 アルデの車は大宝神魔が封印されている地に向かい草原を走る。
 その後部座席でサトシはレイミとメリルに挟まれる形で座っている。

「なぁ、レイミ。お前の能力って何なの?」

 サトシはレイミに聞いた。
 この世界に転移するにあたって彼女にも何かの能力が付与されたはずだ。

「私の能力は回復能力です」

「ほぉ、回復とな。回復なら各種回復効果を持つ魔法があるからのう。どっちかというとハズレ能力じゃのう。とはいえ妾に回復魔法は使えんし、役には立つじゃろう」

「具体的にはどんな能力なんだ?」

「それは……」

 レイミは顔を赤らめた。

「私の体液……唾液とか、血液とか。触れたものを全回復する能力『|全快の液体(キュアリキッド)』です」

「その話だと、意志による発動ではない常時発動タイプの能力じゃな」

「はい、そうです。私の体液はそれ自体が万能薬になります」

「それはよいのう。魔法より便利じゃな!」

「なぁ、アルデ。そういえばこの世界に魔法ってあるじゃん? 魔法と能力ってどう違うんだ?」

「ふむ……良い質問じゃな。簡単に言えば魔法は技術、能力は個体特性じゃ」

「分かるような、分からないような……」

「まず魔法じゃが、これは自分の意志や行動を周辺空間に拡張する技術じゃ。『できる事の難易度』と『有効範囲』でその強さを評価することができる」

「この前カイマが使ってた魔法とかはどんな感じなんだ?」

「カイマの使っておった極大無属性攻撃魔法は高い難易度と前方方向に広い有効範囲を持っておったのう。あれほどの事象を具現化するにはかなり多くの魔力が必要じゃ」

「魔力?」

「うむ。魔力というのは事象の具現化をする力じゃ。これは生まれつきの素養でその強弱が決まる。まぁ、僅かに訓練で伸びるというのはあるがの」

「アルデも魔法を使えるのか?」

「妾はほとんど使えぬよ。小さな火を灯すとかその程度じゃ」

「能力ってのはどんなもんなんだ?」

「能力というのは、その人物に紐づく個体特性じゃ。生まれつき一人一つ持っておる。妾の場合は、『機械製造者マシンメーカー』、任意の動作をする機械を本能的に作り出せる能力じゃな」

「へぇ、すごい能力だな」

「お主の能力も十分すごい能力じゃよ」

「メリル、お前の能力はなんなの?」

「えっ、私? 私の能力は『毒消しディスポイズン』です。地味ですみません」

「どういう効果があるんじゃ?」

「えっと……人間にとって毒になるような物、植物の毒とか、毒のある肉とか、そういうものを食べれるものにします」

「うーん、戦闘には使えんのう……」

「ごめんなさい」

「いいよ、食い物には困らないって事でしょ? 助かるよ」

「ありがとうございますぅ」

 メリルは涙ぐんで喜んだ。


「魔法と能力の違いについては大体わかった気がするよ、ありがとうアルデ」

「サトシは知識欲があるのう。タケルなら気にせんような事じゃな」

「タケルはタケル。俺は俺だからな」


 こうしてサトシは、アルデ、レイミ、メリルの三人と一緒に大宝神魔の封印を解除するための旅を始めたのだ。
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