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灰猫ベル

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番外編

国立魔法研究所へようこそ

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 戦争が終わったらしい。
 僕の国は「敗戦国」になったそうだ。


 悲しいかって? 全然。
 僕は「国」というものにそこまでの拘りは持っていないからね。
 僕だけじゃない。この国の人間は「国」というものへの意識を持っていない人が大多数なんじゃないかな。軍属も含めて。
 だって、生まれた時から「国」ってのは自分を制御する「法」を運営している役割を担う存在に過ぎなかったからね。


 僕はヤック。
 ロスワ国立魔法研究所の開発統括部の主任をやってる。魔法の企画、設計、試作実装、試験の面倒を見ているんだ。
 研究所は国都グジンにあるんだけど、数日間ほど騒々しい日があるなと思ったら隣国のヌージィガに占領されてた。
 軍事施設の多くは占領軍の接収を受けて、この国立魔法研究所も占領軍に接収されたんだ。


 僕の住んでいるロスワは諸外国から「魔法国家」って呼ばれてた。それは他の国と比べて魔法の発展が進んでいるからだ。
 どこの国も魔法の研究自体は行ってると思うけど、ロスワの魔法研究は先進的なんだと思う。これはひいき目じゃなくてちゃんとした根拠があるんだ。

 この国では魔法の水準を高めるために、血統を重んじる。魔法の才能は遺伝によるところが大きいからね。だから政府の方針として魔法の強い者同士で子孫を残すようにしていたんだ。
 他の国は個人の自由意志で配偶者を決めることができるって聞くけど(確か恋愛っていうんだよね。)、それって才能の芽を摘むもったいない行為だと僕は考えてる。だって、どんな相手だったとしても毎日子作りをするとなるといずれは飽きちゃうし、生まれる子供の才能について全く予想が立たないなんて、以降の人生設計ができないよ。
 役割による人口計画は合理的だと僕は思う。もちろん異論は認めるよ。僕は思想は自由であるべきだって考えているからね。

 思想は自由って言ったけど、ロスワってのはとても自由な国だよ。
 他の国と違って神への信仰がないからね。自分の心を縛るものは何もない。
 法が歩き方や話し方まで定めているけど、法にさえ触れなければ僕たちは自由な心でいられるんだ。
 行動に対する規制は他の国よりも厳しいけど、精神的な自由度はどの国よりもあると僕は思っているよ。
 もっとも、行動を制限されることで思想をも制限されているって考える人もいるらしいけどね。そういった人たちは地下に潜ってたらしい。それがこの間の敗戦で最近表に出てきたんだ。
 前の政府を批判するのは別に構わないんだけど、僕たち上級魔法職の人間を目の敵にするのは本当に迷惑な話だよ。
 僕の同僚も数名が暴漢に襲われてる。こういうことって占領前のロスワでは考えられなかったことなんだ。
 行動の自由と引き換えに治安が失われるんじゃバカみたいな話だよね。


 さて、僕のことについて自己紹介をしよう。
 僕は万能系上級魔導士の父と魔法研究職の母のもとに生まれた。
 兄弟は五人。みんな僕と同じように上級魔法職に就いてる。
 僕の魔法の才能は兄弟の中では真ん中くらいだった。とはいっても兄弟の中での話で、一般国民の才能と比較するとかなり上の方だね。
 強力な魔法を使うというよりも、使える魔法の種類が多いタイプだよ。
 基本魔法はもちろん、応用魔法も上位学校の教本レベル程度なら専科問わず問題なく使える。全部覚えてるんだ。記憶力は兄弟の中でもずば抜けていいんだよ、僕は。
 学校を修了する際の進路選択では自分の記憶力をいかんなく発揮できる研究職を希望した。その希望が通って、今は研究職をやってるってわけ。
 この選択は自分でも良かったと思ってるよ。この仕事はとても楽しいからね。僕は魔法が好きなんだ。


 廊下。この施設の窓にはすべて遮光カーテンが下がっているから、直射日光は差さない。明かりは魔法灯の青白い明りだけ。
 もちろん、昼白色や暖色の光を発することもできるのだけれど、集中と冷静さを保つには青白い光が良いんだ。
 光の強さも絶妙だよ。魔法灯の間隔はそれぞれの光がわずかに混じる程度の間隔になっていて、ところどころに闇が生まれる。この闇のリズムが深層心理にあるアイデアを引き出しやすくしてくれるんだ。
 国立魔法研究所は、前時代の建築家ワシターの秀作と言われているよ。

 廊下の向こうから企画部のフェイがやってきた。この国の法では廊下を歩くときは左側を歩くことになっている。皆が法を守ることで無用なぶつかり合いを避けることができる。
「よぉっす! 天才!」
「あぁ、どうも……」
 フェイは右手を肩程度に挙げて挨拶してきた。僕も返事をした。
 彼とその取り巻きは僕のことを「天才」って呼ぶんだ。
 正直な話、「天才」って言われるのは好きじゃない。僕の魔法の技術は親から受け継いだ才能もあるけれど、才能を結実させたのは僕自身の努力だからね。


 次に僕の仕事についても紹介しよう。
 僕の仕事は魔法の開発と製品化、それから定着化だよ。製品化された魔法は「魔導書」として流通される。
 魔導書には、魔法発動までの各工程における魔力の制御方法や、思考のコントロール、イメージが図と文章で記載されている。理解が難しい箇所には映像も組み込んである。
 ある程度色んな魔法を使える人間からしてみれば、魔導書だけで魔法の習得は可能だけれど、多くの場合は難しい。
 だから、二つの月が重なる夜(集中がしやすいから、魔法の発動にはうってつけなんだ)に魔法の講習会を開いているよ。


 ひとくちに魔法の開発、製品化って言っても、その作業はいくつかの工程に分かれるんだ。

 企画。
 これはどんな魔法を作ろうかって考えるところだよ。
 お偉いさんの意見を聞いたり、市井の声を集めたりして、次に作る魔法を考えるんだ。
 お偉いさんの意見を聞くのは企画部中央連絡係の仕事。ここの連中は毎日お偉方の接待ばっかりやってる。そのせいかデブがやたら多い部署なんだよね。
 市井の声を集めるのは企画部情報集約係の仕事。ここの人たちは街に出て魔法の使い心地や改善案を聞いて回ってる。よく歩くからだろうけど体の丈夫な人が多いね。やわらかい人柄の人が多いよ。
 で、企画部企画係。これがみんなあこがれてる企画部の花形部署。集められた意見をもとに緊急性や難易度、開発期間をもとにして優先順位をつけて、優先順位の高い魔法の企画を行うよ。

 次に設計。これは企画部が企画した魔法をどうやって実現するか設計する作業になる。
 設計部は高齢の人が多いよ。膨大な知識を必要とするからね。大量の資料が部屋にあるよ。
 設計部はこの研究所の中で一番の大所帯だよ。専門分野別にたくさんの課と係でできてる。例えば、設計部火課攻撃係、設計部水課生活係なんてね。それぞれの分野の専門家が集まってる。大体それぞれの係が五から六人くらいだよ。
 企画した魔法によっては領域を横断することもあるんだけど、各係担当者はどいつもこいつもアクの強いやつばっかりだから調整は大変だよね。ちなみに調整は僕の仕事だよ。

 実装と試験。実装部と試験部は別の部になるけどとても仲が良いよ。
 実装部は設計部が設計した魔法の試作品を実装する部になる。どんな複雑な術式でもちゃんと実装してくれる。
 試験部は実装部が実装した魔法の検証を行うよ。検証に使うためにたくさんの動植物を育ててる。試験部は資材保管係、生物係、評価係、清掃係などがあるよ。

 僕の所属する開発統括部はここまで紹介した各部門と情報連携や日程調整をして、魔法の開発が滞らないように管理したり、その他雑用をやったりする係だよ。



 今日の仕事は炎魔法の省魔力化実験。仕事は既存魔法の省魔力化に関するものがほとんどなんだ。
 魔力は人によって差があるから、皆がすべての魔法を使えるわけじゃぁない。魔法のコントロールに優れていても魔力が不足して目当ての魔法が使えない。なんてことはザラにあるんだ。
 既存魔法の省魔力化は、その魔法の使用者を増やすことにつながる、つまりは高性能な魔法を多くの人が使用できるようになって、国としてもうれしいことなんだよ。
 省魔力化を図る上でのポイントは消費魔力の縮小になる。
 魔法を使うときの消費魔力は、その魔法のエネルギー入力の大きさをってことなんだ。
 魔法は大きく分けて入力、処理、出力の三つのプロセスで成り立ってる。
 入力プロセスは、術者が発する魔力を対象魔法に適した形に変換して、術式につなげる所作になる。術者の魔力の質や強弱のブレをうまく吸収できる術式が必要になる。
 処理プロセスは、入力プロセスで変換された魔力を実際の魔法に錬成しなおす所作だ。ここのプロセスが魔法によって大きく異なる部分になる。
 出力プロセスは、処理プロセスで錬成された魔法を実体化する所作だ。同じ系統の魔法でも出力プロセスが異なると違う魔法になる。火炎魔法で例えると、広域火炎魔法と狭域火炎魔法の違いがそれにあたるね。
 さらに各プロセスを細分化したものがモジュールだ。モジュールは無数に定義されてる。
 そのモジュールをさらに細分化して、一つの動作に分けたものがステップって呼ばれてる。
 このステップの単位で修正を加えていって魔法の最適化は行われるんだ。
 今回の実験の正式名称は「汎用炎魔法練成処理プロセス改善#1080実装結果検証」っていうよ。
 要件としては、汎用炎魔法、つまりは一般的に使われている基本炎魔法の炎練成部分において、熱を練成する方式を従来の直線振動方式から回転方式に変更したら消費魔力が減るのかな?っていう実験だよ。
 炎魔法の顕在化には熱を燃焼反応に連鎖させる必要があるんだけど、その熱の発生を効率化しようってわけ。
 既存の方法では魔素を直線的に往復させて発生する振動エネルギーを熱に変換していたんだけど、魔素を一部固定して回転運動を発生させることで少ない魔力でも同じレベルの熱を発生させることができるかなって話だよ。
 
 いきなり魔素とか言われてもわからないって? 魔素っていうのは概念を実体に変える重さのないエネルギーだよ。
 魔素はこの世界に充満していて、意思の力でエネルギー体になるものってことがわかってる。いつどうやってできたものなのかは不明だけど、それを解明しようとしている研究者も国内には多くいるよ。
 魔素に関する研究や知識は国家機密になってて、僕たちのような研究職や上級国民しか知らない。魔素の研究は魔法の強化研究とほぼ近しいからね。
 
 さて、今回の研究に話を戻そう。
 今回の研究は魔素の運動方式を変更することでエネルギーの効率化を目指すのだけれども、結果によっては上級魔法への応用がきく可能性がある。だからお偉方も結構注目してるんだ。
 少ない魔力で上位魔法を使えるとなると、現在の最上位魔法のさらに上の魔法を開発できるからね。
 
 僕は試験部に来たよ。企画部、設計部、実装部の担当者も一緒だ。
 試験部でやってる業務は検証。検証はステップ検証、モジュール検証、プロセス検証、魔法検証に分類される。
 
 実装検証は実装部が作成したステップの動作を実装部の担当者自身が検証する。
 対象となるステップ以外の部分を簡素化して、ステップ部分の動作にフォーカスして検証を行う作業だ。結果としては光が灯ったとか、石が転がったとか、そういった地味な結果で確認する。
 僕からみると結構つまんない仕事だけど、実装部の連中は実装したステップが動くのが楽しいみたい。そういうのを見ていると彼らが職人なんだなって思う。
 
 モジュール検証から試験部が入る。モジュール検証は実装部が実装したステップをモジュールの中に組み込んで、その実装前後の動作を比較検証する。
 
 プロセス検証は設計部が参加する。検証されたモジュールをプロセスの中に組み込んで設計部担当者が自分の設計した通りの実装になっているか確認するための試験ってわけ。
 
 魔法検証はプロセス検証で検証されたプロセスを実際の魔法に組み込んで一まとまりの魔法としての機能を検証する試験で、企画部がその結果の確認を行う。
 今日は企画部も参加している魔法検証だ。
 
 魔法検証は最後の検証だから緊張感がある。だって、ここで失格になっちゃうと設計からやり直しだからね。
 一つの魔法が設計から魔法検証に至るまでには大体数か月かかるから、彼らにとってはとっても大きな意味をもつ検証なんだよね。
 
 
「さーて、お集まり頂いた皆さん。これより汎用炎魔法練成処理プロセス改善#1080実装結果検証を実施します」
 実験の主幹は企画部担当者のフェイだ。調子に乗ったような声で実験の開始を宣言した。これから実験が始まる。
 今回、汎用炎魔法ってことで、改造のベースになった魔法は生活炎魔法だ。上級から下級まですべての国民が生活に使ってる炎魔法をベースにして、その威力やコントロール性は失われずに消費魔力だけを縮小した魔法に仕上がっていることが目標になる。
「設計部からのプロセス検証結果報告からお願いします」
「はい……、設計部よりプロセス検証の結果報告をいたします」
 設計部の担当者は厳しそうな顔立ちのおっさん。いつもへの字口をしてるから怒ってる風だけど、ホントは娘思いの気のいいおっさんだよ。顔で損しているけどね。
「設計部によるプロセス検証の結果、改修後プロセスの消費魔力は改修前と比較し三一%減となりました。出力については改修前との差分無し、コントロール指標については標準誤差内にとどまっておりました」
「三一%減だって! 予想以上じゃないか!」
「プロセス検証結果の承認をお願いいたします」
 フェイは満面の笑みで検証結果を歓迎した。
「オッケーオッケー! もちろん承認ですよ! さて、じゃぁ実験を開始しましょうか!」



 実験の結果は……残念ながら今回は失敗さ。
 何故って? 調子に乗ったフェイが安全装置のモジュールを取り外して最大出力で魔法をぶっぱなしやがった。周りは僕も含めてみんな止めたんだけどね。好奇心に負けちゃったんだな、多分。
 フェイは死ぬほど後悔してるだろうね。だって、失敗の代償はあいつの右手首だったからね。
 多分フェイの期待してたのはでっかくて緩やかな炎なんだろうけど、実際に起きたのは爆発に近い高速噴射の炎だった。安全装置のモジュールで炎の出方を調節してるってのに、中途半端な知識で術式を書き換えて実行しちゃうんだもん。馬鹿だよ。全く。

 ってなわけで、今回の案件はパー。設計部にゃ悪いけどこの研究はお蔵入りだね。残念。
 次の研究は入力プロセスの新規格開発って聞いてる。もしかしたら既存の魔法に大きな変化をもたらすかもしれないね。
 今から楽しみだよ。
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