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灰猫ベル

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本編

第四十四話 これより回復を行います。

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 魔法国家ロスワは、ヌージィガの侵攻により陥落した。
 ロスワ中央評議会メンバーの中心幹部たちは戦死。
 生存している政府関係者の中で最も位の高い、国立魔法研究所の所長が暫定的に国の代表となり、ヌージィガへ統治権の移譲を行った。
 この移譲によってロスワはヌージィガの支配下に置かれた。

 ロスワが、権限を中央評議会に集中していたこと、法整備が進んでおり国民の法令順守に対する意識が非常に高いことがあったため、統治権の移譲に伴う混乱はほとんど起きなかった。
 ロスワ内政のため、紅月隊七番隊が駐留部隊となり、隊長のヴェアーが丞相の任に就いた。

 紅月隊は戦闘能力においても卓越した部隊ではあるが、最大の特徴は敵地占領後の内政行為をそのまま行う能力を持つことにある。それは隊員教育の賜物である。
 ヴェアーにロスワの統治を任せ、紅月隊本隊は隣国ギガンへの侵攻を計画している。

「リマ、調査結果を報告してくれ」

「はい、まずは国勢の部から……」

 氷業神魔との戦いで瀕死の重傷を負ったリマだったが、レイミの回復能力で命を取り留めた。
 報告を行うリマの脳裏には「回復の時」の記憶が鮮明に残っている。


◇◆◇


 時間は数日前に遡る。
 ヴェアーに抱かれ中央評議会の塔から脱出したリマは瀕死の重傷を負っていた。
 複数の臓器が破裂し、体幹を成す骨も砕けていた。
 この状態のリマの救命を任されたのが、前王の第一妃であるレイミだ。
 レイミの能力は「キュアリキッド」。彼女から流れる体液はありとあらゆる傷病を癒す究極の霊薬となる。

 レイミの前にあおむけで差し出されたリマは、まさに命の炎が燃え尽きようとしているところであった。
 外的な傷は打撲痕とところどころ飛び出した骨。リマの命を消そうとしている原因は彼女の体内にあることは明らかだった。

「これより回復を行います。すみません、私が合図をしたら、どなたか彼女のお腹を切っていただけますか」

「承知しました」
 レイミの指示に一人の兵が前に出た。

 レイミは服を脱ぐと、リマをまたいでしゃがみこんだ。その場にいる男たちの視線はレイミの秘部に突き刺さる。
 男たちの視線を感じながらレイミは右手を挙げ合図をした。兵が一気にリマの腹部を縦方向に斬る。
 リマは体が痛みに大きくのけぞらせた。涙があふれる。ぼんやりとした意識が痛みではっきりとした。
 つぶれた内臓が飛び出し、血が噴き出す。
 同時にレイミは勢いよく尿をその傷に放った。開いた腹部がまるで和式便器のようだ。
 尿に触れたリマの内臓は凄まじい勢いで再生してゆく。やがて切り開かれた腹部も、滴る尿で塞がった。

「これで命は大丈夫だと思います。あとは、裂けた喉の治療です。皆さん、後はお手伝い不要です。できれば二人にさせてください」

 レイミは人払いをした。

「ごめんなさい」

 そういうとレイミはリマの口に柔らかく湿った秘部を押し当てた。

「気持ち悪いと思いますけど、飲んでください」

 レイミの尿道口からチョロチョロと尿が流れる。リマはその尿を飲んだ。一飲み毎に喉の傷が癒えてゆくのがわかった。
 気が付くとリマはレイミの性器を舐めていた。そこから流れる液体はリマの体に精気を与えた。少ししょっぱい。塩加減もちょうどよく感じた。
 敏感な部分を刺激されたレイミはさらに濡れる。その興奮はリマにも伝わり、リマも興奮する。そしてリマの興奮がまたレイミを刺激する。
 興奮した二人はお互いの敏感な部分を舐めあい、そして果てた。

 一時ほどして、レイミはリマから離れた。

「これで施術終了です」

 リマの身体は無傷に回復した。


◇◆◇


「……以上が現在分かっている範囲の情報となります」

「よくわかった。良く整備された民度の高い国なのだな。これであれば統治は容易かろう」

「して、身体の調子はどうだ?」

「回復の施術が良く、一切の問題はございません」

「それならば……よかった」

 リマの報告を受けて、ヴェアーは一瞬だけ表情を緩めた。




「ヴェアー、この地域は任せたぞ」

「承知しました」

 タケルは次の標的であるギガンへの侵攻計画を立て始める。





 しかし次の瞬間、タケルは狭い部屋にいた。
 懐かしい香りに頭の奥が痺れる。
 目の前には一人の女性。双子の兄弟サトシの恋人、ユカがいた。その頬には涙が零れている。

 ユカは重々しく口を開いた。

「もう、一緒には居れないよ……」

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