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41.魔石の正体
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「先生、失礼します」
「あぁ、これは孔雀さん。どうぞお待ちしていましたよ」
「今日はお時間を作っていただき、ありがとうございます」
中に入ると、そこここに本の山と(床にも!)鉱石やらビーカーやら何やらと色々なものが所狭しと部屋中を埋め尽くしていた。
魔術の自主練立ち合いをお願いすべく訪れたのは学園いち魔術オタクのフローライト先生だ。
実力はもちろん学会でもたくさんの論文を出している。
だがなぜか本名ではなく偽名(ペンネーム?)にて出しているという変わり者だ。
そもそも研究論文を偽名で出すことは何かしらに抵触しないのかはわからん。
そんなに興味もないから調べてもいないし。
他の教員にお願いしてもいいんだけど、この人の方が色々と自由にやらせてくれそうだし実力は折り紙付きだし権力におもねらないから無駄なゴマスリもない。
なんせ時間の全てを魔術の研究に捧げたいと考えている人だから。
そんな人だからこそ普通に頼んでも受けてくれないだろう。
さっき俺らが頼むことは命令に近しいと考えていたけど、よくよく考えたらこの魔術オタクは普通に断ってきそうだなと思ったから、対策を考えてきた。
魔術に関わる魔石もこの人の研究分野である。
そこでだ。
妖精達の力を使うことにした。
この世に存在する魔石のほとんどが魔物によるものだ。
魔物が死ぬとその命の源である核が残る。その核が魔石なのだ。
魔石には色んな用途があって代表的なのが魔力を込めてエネルギー源として使用するもの。あとは武器や防具の素材ともなる。
その魔石の中で幻と言われているのが「妖精の魔石」だ。
色んな仮説が唱えられていて、魔物と同じように死んだら核として残るだとか、妖精の国にあるだとか、魔力を操って作り出すだとか、仲良くなった妖精からもらえるだとか、様々だ。
それに気づいたのは偶然だった。
ある時、あちこちにコロコロと転がる美しい球体に気づいた。
なんだこれ?と思って拾って光に透かしてみるとキラキラと輝いて非常に美しい。
不透明なものや透明度が高いものと色々あったが、総じて非常に美しい。
大事なことなので2回言いました。
なんかやたらと落っこちてんなーと思ってたんだよね。
うちの敷地以外では見たことがなかったから、いくつか拾ってアカネに見せることにした。
その時に見るともなく見えたのは周りにブンブンと飛んでいる妖精どもで、
なんとも言えない微妙な表情でこちらを見ていた
不思議に思いつつも、奴らの様子がおかしいのはいつものことだからと気にしていなかったんだが…。
アカネに拾った石を見せるとその場でバビョンと飛んだ。
「く、くぅちゃん?これ、どこで見つけたの?」
心なしかいつも以上に鼻息が荒いアカネに引きつつ、最近あちこちに落ちていることを告げた次の瞬間目の前からいなくなっていた。
小一時間ほどして戻ってきたアカネの手にはパンパンになった小袋が握りしめられていた。
興奮気味に語ったアカネによるとこれは大変に希少価値が高く、幻と言われている妖精の残した魔石であるとのことだった。
そういえば、うちにはわんさか妖精がいるなと考えていると
「ねぇ、くぅちゃん!妖精さんたちにこれもらっていいか聞いてくれない?」
って聞かれたからその辺にいる妖精に聞くと、すんげぇ変な顔をして了承されたからそのままアカネに伝えると感激のあまり顔中にキスされて辟易した。
アカネも十分に魔術オタクなのだ。
部屋に戻って先ほど拾った魔石を眺めていると、俺を遠巻きに見ていた妖精達が言ったのだ。
『くじゃ、ばっち!』
何がばっちぃのか分からず首を傾げていると、その魔石の正体を教えてくれた。
お前が手に持っているのは自分たちのう⚪︎こであると…。
「あぁ、これは孔雀さん。どうぞお待ちしていましたよ」
「今日はお時間を作っていただき、ありがとうございます」
中に入ると、そこここに本の山と(床にも!)鉱石やらビーカーやら何やらと色々なものが所狭しと部屋中を埋め尽くしていた。
魔術の自主練立ち合いをお願いすべく訪れたのは学園いち魔術オタクのフローライト先生だ。
実力はもちろん学会でもたくさんの論文を出している。
だがなぜか本名ではなく偽名(ペンネーム?)にて出しているという変わり者だ。
そもそも研究論文を偽名で出すことは何かしらに抵触しないのかはわからん。
そんなに興味もないから調べてもいないし。
他の教員にお願いしてもいいんだけど、この人の方が色々と自由にやらせてくれそうだし実力は折り紙付きだし権力におもねらないから無駄なゴマスリもない。
なんせ時間の全てを魔術の研究に捧げたいと考えている人だから。
そんな人だからこそ普通に頼んでも受けてくれないだろう。
さっき俺らが頼むことは命令に近しいと考えていたけど、よくよく考えたらこの魔術オタクは普通に断ってきそうだなと思ったから、対策を考えてきた。
魔術に関わる魔石もこの人の研究分野である。
そこでだ。
妖精達の力を使うことにした。
この世に存在する魔石のほとんどが魔物によるものだ。
魔物が死ぬとその命の源である核が残る。その核が魔石なのだ。
魔石には色んな用途があって代表的なのが魔力を込めてエネルギー源として使用するもの。あとは武器や防具の素材ともなる。
その魔石の中で幻と言われているのが「妖精の魔石」だ。
色んな仮説が唱えられていて、魔物と同じように死んだら核として残るだとか、妖精の国にあるだとか、魔力を操って作り出すだとか、仲良くなった妖精からもらえるだとか、様々だ。
それに気づいたのは偶然だった。
ある時、あちこちにコロコロと転がる美しい球体に気づいた。
なんだこれ?と思って拾って光に透かしてみるとキラキラと輝いて非常に美しい。
不透明なものや透明度が高いものと色々あったが、総じて非常に美しい。
大事なことなので2回言いました。
なんかやたらと落っこちてんなーと思ってたんだよね。
うちの敷地以外では見たことがなかったから、いくつか拾ってアカネに見せることにした。
その時に見るともなく見えたのは周りにブンブンと飛んでいる妖精どもで、
なんとも言えない微妙な表情でこちらを見ていた
不思議に思いつつも、奴らの様子がおかしいのはいつものことだからと気にしていなかったんだが…。
アカネに拾った石を見せるとその場でバビョンと飛んだ。
「く、くぅちゃん?これ、どこで見つけたの?」
心なしかいつも以上に鼻息が荒いアカネに引きつつ、最近あちこちに落ちていることを告げた次の瞬間目の前からいなくなっていた。
小一時間ほどして戻ってきたアカネの手にはパンパンになった小袋が握りしめられていた。
興奮気味に語ったアカネによるとこれは大変に希少価値が高く、幻と言われている妖精の残した魔石であるとのことだった。
そういえば、うちにはわんさか妖精がいるなと考えていると
「ねぇ、くぅちゃん!妖精さんたちにこれもらっていいか聞いてくれない?」
って聞かれたからその辺にいる妖精に聞くと、すんげぇ変な顔をして了承されたからそのままアカネに伝えると感激のあまり顔中にキスされて辟易した。
アカネも十分に魔術オタクなのだ。
部屋に戻って先ほど拾った魔石を眺めていると、俺を遠巻きに見ていた妖精達が言ったのだ。
『くじゃ、ばっち!』
何がばっちぃのか分からず首を傾げていると、その魔石の正体を教えてくれた。
お前が手に持っているのは自分たちのう⚪︎こであると…。
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