乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

文字の大きさ
上 下
39 / 44

39.一緒に練習しよう!

しおりを挟む
「おはようレティシア、蒼玉」
「おはようございます孔雀様」
「…おはようございます」

挨拶を返してくれた!
すっっっっごく嫌そうな顔なのが泣けるけど。

「今日は魔術の授業がありますわね…」
「苦手?」
「えぇ…魔力量は普通なのですが、どうもコントロールがうまくいかなくて」
「そっかぁ。でも今日は座学なんじゃないかな?初っ端から実技するかなぁ」
「だといいのですが…」
「そ、蒼玉は魔術はどう?」
「どう、とは?」
「えぇと、レティシア嬢みたいに苦手な部分とかあったりするのかなって」
「そこまで苦手意識はないですね」
「そ、そうかぁ…」

はい、会話しゅーーーーりょーーーー。
もうこっち見てくれないしぃ。レティシアと目が合ってお互いに苦笑する。
なんでそんな態度なの?って聞きたいけど、さすがに聞けない。
喧嘩売ってると思われるのも嫌だし。

レティシアは本人が言うように魔力量は貴族らしく申し分はないんだけど、繊細なコントロールが苦手で細かい調整が必要な時は前世ではよく暴発させていた。
そのせいでヒナに攻撃したと勘違いされた場面があったことを思い出した。

「もし良かったら教えようか?」
「え?!孔雀様は魔術がお得意なんですの?」
「うーん…すごく上手い訳じゃないけどまぁ、コントロールに関してはそこそこは出来ると思うよ」
「是非!!!!」
「レティ…」
「なぁに?そんな目で見ても教えてもらうわよ!私のコントロールが下手なのは蒼玉が一番知っているでしょう?」
「そうだけど…孔雀様、先生でもあるまいし簡単に人に教えるなどと言うのはあまり感心しませんね」
「うっ…ごめんなさい。そうだね。だけど…一緒に練習するのはいいだろう?」
「ぐっ…」

言葉に詰まった蒼玉を見たレティシアが嬉しそうにしている。
レティシアも結構、表情が豊かじゃないか。
こんなに表情がコロコロ変わる子だったっけ?それとも前世ではほとんどまともにコミュニケーションを取っていなかったから、彼女のそんな一面を見ることが出来なかっただけ?

「こほんっ」

可愛らしい咳払いが聞こえて振り向くとやはり紅玉が立っていた。
お兄ちゃんは可愛い紅玉の声をしっかりと覚えているのだ!
今日も可愛いねぇ、紅玉は。

「おはよう、紅玉…様」

つい呼び捨てにしようとして紅玉の横に侍っている昨日の奴にギロリと睨まれて、慌てて敬称をつけた。
昨日の今日で取り巻きが増えたねぇ~。さすが紅玉だねぇ。

「べ、別に呼び捨てで構いませんよ?」
「い、いや、それはちゃんとしないとね」

紅玉が不満そうに口を尖らしたが、周りの視線を受けてハッとした顔をした後、慌てて元の表情に戻した。…ん?あれ?
紅玉は拗ねると口を尖らす癖がある。可愛いくって、尖らすたびに唇をつついて楽しんだものだ。つつくと恥ずかしそうな顔をした後、俺に抱きついて顔を隠すんだよなー。あの頃はまだ身長差があって俺の腰ぐらいに顔があった。
抱きついてきてお腹に顔を隠すのが可愛かったなぁ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

処理中です...