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35.ヒロイン登場
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「蒼玉ーーーー!!!」
バァン!
休み時間中に教室の扉を元気に、いやそれ以上にあけ放って教室内にドカドカと入ってきたのは、この乙女ゲームの純正ヒロインであるヒナだった。
「蒼玉ぅ!寂しかったー!蒼玉も寂しかったでしょ?」
「……」
「んもう!照れ屋さんなんだからっ!本当は一緒のクラスになるはずだったのになぁー。
なんで離れちゃったんだろ?先生に相談してみるね!」
「……いや、相談もなにも試験結果じゃないか?」
「えーーー!だって、あたし、光属性だよぉー?しかもチート級の!多少座学の出来が悪くてもそこは普通加味されるじゃん!」
「加味した結果では?」
「もうっ!なんでそんなにクールなのよぉぉおお!」
なんつーかもう、情報量とツッコミどころが凄すぎて脳みそが付いていかないんだが?
あとなんか、今の会話の中で何か引っかかった気がするんだけど…なんだろ。
「えぇと、あれは…」
「うぅん……なんといいますか、まぁ、あの通りの関係ですわ」
「えっ?!蒼玉ってレティシアを…いや、なんでもないです」
「ふふ。どういう勘違いでそう思ったのか分かりませんが、蒼玉は私の過保護な幼馴染でしかありませんのよ?」
「お、おう。ソウナンデスカ…」
「そうなんですの」
え?ちょっと頭がついていかないんだが。
レティシアが最愛じゃないの?え?なに?ちょっと待って!
もしかしてヒナが蒼玉を攻略したってこと?
は?そんなルートあったか??
頭がパニックになって唖然としたまま2人を遠巻きに見つめていると、蒼玉がこちらを見て目が合うと眉間に皺を寄せた。
あうぅ…相変わらず警戒されてるぅぅう。
それにつられるようにヒナもこっちを見て目を見開いた。
「えーーー?!あれ?あれって…孔雀ぅ?!」
おいおいおい…確かに今は王族じゃないけどお前より爵位は高いし、そもそも今生では初対面だろうが。
ヒナはこんなに常識知らずな子だったっけ?
横でため息が聞こえたと思うと、すっと立ち上がったレティシアが口を開いた。
「ヒナさん、以前から何度も言っているでしょう?貴族としての振る舞いを覚えなさいと。
この学園では表向きは身分の垣根はないと謳っているとはいえども暗黙の了解で身分の差はあるのですよ
ましてや孔雀様は元王族とはいえ、あなたよりも身分が高いのです。何よりも初対面でしょう?口の利き方を…」
「あーーーーー!もう!いっつもいっつも煩いなぁ!分かってはいるわよ!そうは言っても身分を超えた付き合いを通して学ぶこともあるし、そもそもね、庶民のことを知らずして貴族としての役割を全うすることなんて出来ないわよ。
確かに私は元庶民で養子として迎えられて貴族になったわよ?
でもすぐに貴族として振る舞えって言っても無理よ~。ね、蒼玉!」
「……ヒナ、いつも言っているだろう?レティシア様のおっしゃる事をよく聞けと」
「あーーーー!ひっどぉい…また彼女の肩を持つんだ…酷いよ、蒼玉」
ギョッとした。
何がギョッとしたかというと、酷いひどいと連呼して肩を震わせて泣き始めたヒナの肩をそっと抱き寄せた蒼玉の胸に当然のようにヒナが飛び込み、ヒナを抱きしめた蒼玉が優しく髪の毛を撫でたからだ!!
え?
え??
何この展開。
オレ、知らない。
視界の端にふるりと震える拳が目に入って横にいるレティシアを見ると、苦々しくも切なげな表情で2人を見ていた。
ん?何この雰囲気。もしかして今生のレティシアは蒼玉が好きとか?
「…孔雀様、誤解なきよう」
俺、なにも言ってないよ。怖いね、レティシア。
「孔雀様は表情に色々と出過ぎなのですわ」
「へ?うそん」
前も思ったけど、俺ってばダダ漏れなの?
おっかシーナ、これでも18年と数年は王族やってたのよ?
ポーカーフェイスはお手のもののはずなんだが…。
いや、そもそも俺の表情見えてないじゃん。こわ…この子敵に回したらダメ、絶対。
バァン!
休み時間中に教室の扉を元気に、いやそれ以上にあけ放って教室内にドカドカと入ってきたのは、この乙女ゲームの純正ヒロインであるヒナだった。
「蒼玉ぅ!寂しかったー!蒼玉も寂しかったでしょ?」
「……」
「んもう!照れ屋さんなんだからっ!本当は一緒のクラスになるはずだったのになぁー。
なんで離れちゃったんだろ?先生に相談してみるね!」
「……いや、相談もなにも試験結果じゃないか?」
「えーーー!だって、あたし、光属性だよぉー?しかもチート級の!多少座学の出来が悪くてもそこは普通加味されるじゃん!」
「加味した結果では?」
「もうっ!なんでそんなにクールなのよぉぉおお!」
なんつーかもう、情報量とツッコミどころが凄すぎて脳みそが付いていかないんだが?
あとなんか、今の会話の中で何か引っかかった気がするんだけど…なんだろ。
「えぇと、あれは…」
「うぅん……なんといいますか、まぁ、あの通りの関係ですわ」
「えっ?!蒼玉ってレティシアを…いや、なんでもないです」
「ふふ。どういう勘違いでそう思ったのか分かりませんが、蒼玉は私の過保護な幼馴染でしかありませんのよ?」
「お、おう。ソウナンデスカ…」
「そうなんですの」
え?ちょっと頭がついていかないんだが。
レティシアが最愛じゃないの?え?なに?ちょっと待って!
もしかしてヒナが蒼玉を攻略したってこと?
は?そんなルートあったか??
頭がパニックになって唖然としたまま2人を遠巻きに見つめていると、蒼玉がこちらを見て目が合うと眉間に皺を寄せた。
あうぅ…相変わらず警戒されてるぅぅう。
それにつられるようにヒナもこっちを見て目を見開いた。
「えーーー?!あれ?あれって…孔雀ぅ?!」
おいおいおい…確かに今は王族じゃないけどお前より爵位は高いし、そもそも今生では初対面だろうが。
ヒナはこんなに常識知らずな子だったっけ?
横でため息が聞こえたと思うと、すっと立ち上がったレティシアが口を開いた。
「ヒナさん、以前から何度も言っているでしょう?貴族としての振る舞いを覚えなさいと。
この学園では表向きは身分の垣根はないと謳っているとはいえども暗黙の了解で身分の差はあるのですよ
ましてや孔雀様は元王族とはいえ、あなたよりも身分が高いのです。何よりも初対面でしょう?口の利き方を…」
「あーーーーー!もう!いっつもいっつも煩いなぁ!分かってはいるわよ!そうは言っても身分を超えた付き合いを通して学ぶこともあるし、そもそもね、庶民のことを知らずして貴族としての役割を全うすることなんて出来ないわよ。
確かに私は元庶民で養子として迎えられて貴族になったわよ?
でもすぐに貴族として振る舞えって言っても無理よ~。ね、蒼玉!」
「……ヒナ、いつも言っているだろう?レティシア様のおっしゃる事をよく聞けと」
「あーーーー!ひっどぉい…また彼女の肩を持つんだ…酷いよ、蒼玉」
ギョッとした。
何がギョッとしたかというと、酷いひどいと連呼して肩を震わせて泣き始めたヒナの肩をそっと抱き寄せた蒼玉の胸に当然のようにヒナが飛び込み、ヒナを抱きしめた蒼玉が優しく髪の毛を撫でたからだ!!
え?
え??
何この展開。
オレ、知らない。
視界の端にふるりと震える拳が目に入って横にいるレティシアを見ると、苦々しくも切なげな表情で2人を見ていた。
ん?何この雰囲気。もしかして今生のレティシアは蒼玉が好きとか?
「…孔雀様、誤解なきよう」
俺、なにも言ってないよ。怖いね、レティシア。
「孔雀様は表情に色々と出過ぎなのですわ」
「へ?うそん」
前も思ったけど、俺ってばダダ漏れなの?
おっかシーナ、これでも18年と数年は王族やってたのよ?
ポーカーフェイスはお手のもののはずなんだが…。
いや、そもそも俺の表情見えてないじゃん。こわ…この子敵に回したらダメ、絶対。
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